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2011.07.24
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テーマ: ニュース(96636)
カテゴリ: 対中・対韓関係
かつて、鉄道という乗り物は危険に満ちたものでした。いや、鉄道に限らず乗り物全般に同様だったでしょうが。

旧国鉄で「戦後五大事故」と呼ばれるものがありました。
1951年桜木町事故(死者106人) 京浜東北線桜木町駅で、戦時中に粗製濫造されたモハ63型電車が架線のショートで炎上。
1954年洞爺丸台風(死者1430人) 台風で青函連絡船が沈没。洞爺丸が有名だが、実は一度に5隻の連絡船が沈没した。
1955年紫雲丸事故(死者166人) 宇高連絡船紫雲丸が衝突事故で沈没
1962年三河島事故(死者162人) 常磐線三河島駅付近で貨物列車の信号無視を契機にした三重衝突事故
1963年鶴見事故(死者161人) 東海道線鶴見駅付近で貨物列車の脱線を契機にした三重衝突事故

五大事故のうち2つは、実は鉄道事故ではなく海難事故ですけれど、それを除いても12年間で3回も100人以上の死者を出す大事故を起こしています。当然、死者100人に満たない事故は、これよりずっと多いのです。このほか、1945年(敗戦の9日後)と1947年に、いずれも八高線で衝突事故と脱線事故で各100人以上の死者が出ていますが、何故か戦後五大事故には含まれていません。おそらく敗戦直後の混乱期のため「戦後」扱いされていないのでしょう。

これらの惨事を教訓として、様々な対策が講じられ、現在では日本の鉄道は世界でも有数の安全な乗り物となりました。言い換えれば、これらの惨事で失われた命を代償として、安全性を獲得したと言ってもいいかもしれません。


東海道新幹線の開業は1964年です。前述の国鉄五大事故を見ると、最後の2つは新幹線の開業の前年と2年前です。つまり、鉄道が恒常的に大事故を起こすのが当たり前のような時代に新幹線は開業しているのです。実際、在来線ではこれ以降も大きな事故が何件か起きています。
そう考えると、新幹線の安全性というのは、驚異的ですらあります。時代の制約を突き抜けているんだから。

可能性から言えば新幹線が大惨事を起こしても不思議はない局面はいくつかありました。
一つは阪神淡路大震災。京都-新大阪間で高架線が崩れました。東海道新幹線は上下線合わせて1時間に10本以上の列車が走っていますから、新幹線の営業運転中にあの地震が発生していたら、崩壊地点に突っ込んでいた列車があったと思われます。その場合大量の死者が出ていた可能性が高いでしょう。しかし、現実には運転開始時間前の地震だったから人的被害はありませんでした。
もう一つは新潟中越地震。上越新幹線が脱線しました。私の記憶では、新幹線の営業運転中の脱線事故は、このときが初めてだったはずです(回送列車の脱線事故はそれ以前に例がある)。しかし、脱線にもかかわらず、車両が横倒しにならず、線路に対して平行を保ったまま止まったから、死傷者は1人も出なかった。あれはまさしく奇跡でした。
今回の東日本大震災でも、新幹線では死傷者は出ていません(在来線でも死者は出なかったように記憶しています)。

安全に関して、根拠のない幸運とか奇跡とかをあてにしてはいけないのでしょうが、それでも、新幹線は安全性についての何か特別な幸運の星をもっているんじゃなかろうか、と思えてしまいます。
でも、その幸運の星は、何もないところから出てきた偶然ではありません。前述のように、繰り返されてきた過去の大惨事を教訓として努力を積み重ねてきたからからです。安全は、一日にしてならず、なのです。

現在、新幹線の最高速度は時速300kmですが、「のぞみ」が登場する以前は最高速度210km/h、東京-新大阪間3時間10分という時代が長らく続きました。でも、実は開業の時点では最高速度は160km/h、東京-新大阪間は4時間かけていたのです。開業後半年くらいかけて安全性を確認してから、当初予定のスピードに引き上げているのです。
鉄道は、速いことも重要ですが、安全性はそれより重要です。

中国の高速鉄道で衝突事故が起こってしまいました。折しも北京-上海間の高速新線が開業した直後というタイミングです。事故現場は高速新線ではなく、在来線に高速車両が乗り入れている区間のようですが。

中国は高速鉄道の最高速度にこだわったようですが、残念ながら、一番こだわるべき点を間違えていた、と考えざるを得ないでしょう。安全性あっての最高速度ですから。





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最終更新日  2011.07.24 23:22:28
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