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2014.09.11
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テーマ: ニュース(96636)
カテゴリ: その他
【安藤政明の一筆両断】最低賃金と生活保護 逆転許されぬ 福岡


都道府県単位の判定方法は、事業所所在地と労働者住所のいずれか高い額が適用されます。例えば、佐賀県唐津市の事業所の最低賃金は664円ですが、福岡県糸島市の人を採用すれば福岡県最低賃金712円が適用されます。仮に、事業所の新規採用時の給与水準が福岡県最低賃金よりも低ければ、福岡県民という理由だけで、この人の採用を見送ることにもなりかねません。
ところで、最低賃金制度の最大の課題は、生活保護との関係です。
いわゆる「逆転現象」が、ここ数年の最低賃金大幅上昇の大きな理由の一つとなっています。そして、今年10月の最低賃金引き上げにより、生活保護との逆転現象が解消されると言われています。しかし、本当に解消されたと考えてよいのでしょうか。
最低賃金で給与を得れば課税対象ですし、社会保険料などの負担も生じます。これに対し、生活保護受給者は非課税で、医療費も無料。その他、様々な減免措置等があってとても優遇されています。中には、いわゆる「はしご受診」をしてタダで大量の薬を入手し、これを転売する者も存在するといいます。単に生活保護費の支給額だけで最低賃金と比較することは、公平な比較とはいえず、従って、逆転現象が解消されたともいえないのです。
「逆転現象」という言葉自体が「最低賃金が高く、生活保護が低い」ことを前提としています。その上で、逆転は「あってはならない状態」なのです。政府は一貫して最低賃金の引き上げだけに着目していますが、生活保護費の適正化の検討はまだまだ不十分です。
生活保護制度は、憲法が保障する生存権を根拠に、「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」制度です。「最低限度」であるにもかかわらず、最低賃金よりも優遇されていることが問題なのです。
国民の権利ではありますが、その前に国民の義務としての労働義務や納税義務はどうなったのでしょうか。
障害者であって働けない方など、労働義務を免除することが社会的に必要な方も確かに存在します。しかし、「働けるのに働かない」、「仕事があっても好き嫌いで選ぶ(結果、仕事しない)」ような方は、生活保護を受給し、最低賃金水準以上の生活を保障する対象とすべきではありません。生活保護は他の国民が納めた税金から出されているのです。
法律上の義務を果たさず、権利だけ主張することは、権利の濫用に過ぎません。この点からみても現在の制度は、労働義務や納税義務から逃れることを容認する制度として批判されるべきでしょう。
働くことが可能な生活保護受給者については、例えば最低賃金制度を活用する方法も考えられます。公共工事の作業、公共施設や道路清掃などの公益的な職務に従事させ、担当した時間に対して、最低賃金相当額を支給する方法等です。基準時間分従事しなかったときは、最低賃金の6割等、一定割合を保護費として支給とします。不満があるのなら、生活保護で社会に依存せず、自立すれば良いだけです。もともと生活保護法は、給付だけを目的とする制度ではなく、自立を助長する制度なのです。

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非常によくありがちな生活保護制度に対する批判ですが、かなり一面的な理解と考えざるを得ません。
生活保護基準と最低賃金の逆転現象は確かに問題であり、解消されるべきというのはそのとおりだと思います。しかし、引用記事は、「生活保護費の適正化の検討はまだまだ不十分です」と言っています。簡単に翻訳すれば、生活保護基準を引き下げろ、ということです。

総論として言うと、生活保護基準を引き下げるべき部分があるのではないか、とは私も思います。ただし、「保護基準」というのは、全国一律ではなく地域によって6段階に分かれ、その世帯の人数、年齢、家賃、居宅生活しているか入院中か、などによって細かく金額が定められているそうです。
「最低賃金との逆転現象」が問題になるのは、単身世帯で、かつ家賃が上限いっぱいの場合です。その場合、生活保護の基準は、東京23区・川崎・横浜の場合で、生活費が7万5千円から8万円(年齢によって少し違う)、家賃の上限が53700円です。大阪や名古屋も生活費は東京・横浜・川崎と同じですが、家賃の上限はもっと低いようです。逆に、最も安い地域の場合は、生活費が6万円程度で家賃の上限は2万円台前半のところもあるようです(宮崎県の農村部が23000円で、一番安いようです。)
この他、11月から3月までの5ヶ月間は、冬季加算といって暖房費が上乗せされるそうです。その額は、東京では約3000円、北海道などでは2万円くらいになります。

生活費と家賃を合計すると、東京の場合は13万円前後というのが単身世帯の保護基準の上限ですが、これはあくまでも家賃が53700円(以上)の場合です。公営住宅で家賃が2万円だったとすれば、保護基準は10万円を切るし、持ち家だったら住宅費は出ません。そして、この保護基準と自分の収入を比較して、収入のほうが少なければ、足りない分が保護費として出るそうです。つまり、保護基準が13万円で年金なり給料なりの収入認定が10万円だったとすると、差し引き3万円だけが生活保護費として支給されるわけです。
そのほか、医療費が無料になるのは引用記事にあるとおりです。
つまり、公営住宅や持ち家に住んでいる人の場合は、生活保護基準>最低賃金になることは、まずないのだろうと思います。持ち家で生活保護を受ける人は、そう多くはないでしょうが、皆無ではないらしいですし、公営住宅で生活保護を受ける人がかなり多いであろうことは、想像に難くありません。



私の個人的な印象でいうと、単身世帯の保護基準というのは、まさしく「最低生活費」であり、それをこれ以上引き下げるべきではないだろうと思います。
私自身は、かつて手取り給料14万円くらいで家賃38000円のアパートに暮らして、生活がカツカツだった時期がありました。(ボーナスがあったので、実際には月々の給料では収支マイナスの分をボーナスで取り戻してあまりあったけれど)
家賃38000円だと、生活保護基準は12万円弱になるわけで、手取り14万弱でもカツカツだったことから考えて、12万円弱は、文字どおり「最低限の生活費」だなと私は思います。もちろん、これは私の印象です。それを高いと見るか低いと見るか妥当と見るかは、人それぞれでしょうが。

一方、3人世帯、4人世帯と人数が増えていくと、保護基準はどんどん上がっていきます。特に、母子家庭には母子加算というのがある。
30代の母親と中学生の子どもの2人世帯だと、東京23区・川崎・横浜の場合、生活費が12万円くらい、家賃が上限で69800円、母子加算が2万円以上、児童養育加算が1万円、子どもの教育扶助が1万円あまり、ほかに給食費や教材費(実費額なので、額は学校ごとにまちまち)など、全部あわせると上限で23~24万円になる(家賃次第で基準が変わるのは先の例と同じ)。もちろん、これは基準であって、実際にはそこから収入が引かれるので、基準の全額が出るわけではないですが(母子家庭なら、児童手当と児童扶養手当があるので、働いていなくても収入0ということはない)。また、医療費が無料といっても、東京では生活保護でなくても、子どもの医療費は無料になりますが、それらのことを割り引いてもなお、この保護基準は、引き下げられても仕方がないだろうなと感じます。3人4人世帯は言うに及ばず、でしょう。もちろん、これもまた私個人の感覚であって、人によって感じ方は違うかもしれませんが。

ただし、生活保護世帯の7割以上は単身世帯だといわれます。2人以上の世帯は3割以下に過ぎませんから、「保護基準が高すぎる」というのはごく一部の例に過ぎないことも事実です。

中には、いわゆる「はしご受診」をしてタダで大量の薬を入手し、これを転売する者も存在するといいます。

という話があります。確かに、そういう事例がある、ということは私も聞いています。
実は、生活保護費3兆7千億円といわれますが、生活費や家賃などの、いわゆる「生活保護費」は全体の半分に過ぎません。残りの半分は医療扶助、つまり医療費なのです。(その他に、介護扶助というのがわずかにある)
なぜ医療扶助がそんなに高額になるかというと、生活保護になると国民健康保険に加入できず、医療費の全額を生活保護費で支出するからです。(社会保険は例外ですが、社保加入で生活保護を受ける人など、滅多にいないでしょう)一方、介護保険には生活保護受給者も加入していて、1割の自己負担部分だけを生活保護費で支出しているので、介護扶助は医療扶助より圧倒的に少ないわけです。(もっとも、公費で支出されているという意味では、似たようなもの、とも言えますが)
で、はしご受診のようなひどい例は確かにあり、ひどく腹立たしいと私も思います。
が、例えば、大きな事故や脳梗塞、心筋梗塞のような病気で救急搬送されて、集中治療室に何日も入っていたら、医療費はいくらかかるでしょうか。1ヶ月だけで1000万円くらいは簡単にかかってしまいます。それが2ヶ月か3ヶ月続いたら、いったいいくらになるのか。しかも、基本的に、生活保護を受けている人には、そういう重篤な病気が世の中の平均よりはるかに多いことは、容易に想像がつきます。


働ける人間は働け、まったくそのとおりだと私も思います。が、外見上病気も障害もなくて、普通に働けるように見えて、実際は、という例もあるように聞きます。以前に書いた、人格障害系とか、依存症系の人などには、「無給でも来てくれるな」と思われるような例も少なくないのではないでしょうか。そういう、社会生活能力がご臨終を迎えているような人を救うことは、いわば末期ガンの人を救うのと同様、不可能なことなのかもしれません。少なくともお金を出せば助かる、というものではない。でも、だからそういう人は死んでよい、というわけにもいかないことは言うまでもないでしょう。

そういうわけで、生活保護という制度は、かなり複雑な精度で、そうそう単純に全部を「高い」とか「低い」とか断定できるようなものでもないし、こうすれば解決、というような簡単な話でもない、というのが実際のところであるようです。





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最終更新日  2014.09.12 07:50:46
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