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2020.09.26
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カテゴリ: 政治
菅首相のブレーン・竹中平蔵氏、「生活保護&年金廃止」「一律7万円支給」提言が物議


竹中氏はインタビュー記事で、以下のように語っていた。
「これまでは偏差値の高い大学を出て、大企業に入って管理職になれば安泰だったが、今はそういう人生の海図が描けなくなっている。チャレンジし続けなくてはならないが、チャレンジにはリスクがつきもので、『究極のセーフティーネット』が不可欠だ」
「(財源の)基になるのはミルトン・フリードマンの『負の所得税』の考え方だ。一定の所得がある人は税金を払い、それ以下の場合は現金を支給する。また、BIを導入することで、生活保護が不要となり、年金も要らなくなる。それらを財源にすることで、大きな財政負担なしに制度を作れる。生活保護をなくすのは強者の論理だと反論する人がいるが、それは違う。BIは事前に全員が最低限の生活ができるよう保証するので、現在のような生活保護制度はいらなくなる、ということだ」
 つまり、自身がこれまで推し進めてきた労働市場の規制緩和の一層の促進を合わせ、財源を新たに捻出せず、既存のセーフティーを簡略化し、しかも政府支出も抑えるということだ。(以下略)

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ゴリゴリの競争原理主義者の考えそうなことです。

全国民(所得が一定以上の人は後で返すとはいうものの)に月7万円を支給という、その事実だけを見れば、いい話のように思えますが、もちろん美味しい話には裏があります。全国民に月7万円を支給するには膨大な予算を要します。無制限に支出を増やせるならよいのですが、現実にはそうはいきません。この制度の導入には、代わりに何かを削る必要があります。
その財源は既存の「生活保護や厚生年金を廃止にすることで捻出」というのだから、これは大問題です。

「チャレンジにはリスクがつきもので、『究極のセーフティーネット』が不可欠」「BIは事前に全員が最低限の生活ができるよう保証する」という、言葉はもっともらしく聞こえますが、月7万円では、セーフティーネット、最低限の生活の保証にはとてもなりません。

ちなみに、単身世帯の生活保護基準は、級地区分と年齢によって異なりますが、生活扶助だけで6万から8万程度です。それ以外に住宅扶助(家賃)や住宅修繕料、医療扶助、介護扶助などがあります。
つまり、月7万円というのは、持ち家で家賃がかからず、医者も介護も不要で、しかも家が損傷したりしない、という極めて限られた条件下で一部の地域(保護基準の低い2級地、3級地)、年齢(保護基準が少し低い高齢者)で「生活保護並み」になる場合がある、という程度の金額です。賃貸住宅だったり医療費や介護費がかかれば、この金額は生活保護水準よりはるかに低い水準になります。とうてい健康で文化的な最低限度の生活を送れるような金額ではありません。
逆に、ちゃんと働いて一定以上の収入を得て生活できている人にとっては、別に月7万円のベーシックインカムは、「あれば助かる」としても「なければ困る」というものではないでしょう。
つまり、「帯に短し襷に長し」ということです。



引用記事の後段の方(引用範囲外)に竹中がぶち上げたベーシックインカム構想と、フィンランドが2017~18年に実施した社会実験としてのベーシックインカム制度の違いを指摘しています。フィンランドの例は、対象は25歳から58歳までの失業手当受給者のうち無作為抽出で選ばれた2000名に、失業手当とほぼ同額のベーシックインカムを支給するという内容です(再就職しても期間内は支給が止まらず、求職状況の報告も不要という点が失業手当との違い)。フィンランドの実験も失業者に対象を絞って行われているわけです。

結局、竹中が会長を務めるパソナなど派遣業界が、人を安くこき使って給料の足りない分はベーシックインカムで補填させよう、それ以外の人たちがどうなろうが知ったこっちゃない、という損得勘定からきているようにしか思えないのです。

しかも、ベーシックインカムを全国民に支給するには、実のところ「生活保護や厚生年金を廃止にする」だけでは全然足りないのです。
現在、日本の社会保障給付費は年間120兆円ほどです。内訳は、年金が55兆円くらい、医療が40兆円弱、介護が10兆円、生活保護4兆円弱、児童手当その他が10兆円くらいです。
それに対して、全国民に月7万円のベーシックインカムを支給するのに要する予算は110兆円にもなります。所得制限がどのラインで引かれるのかで、実際の必要額は変わりますが、年金+生活保護の60兆だけを原資にした場合、対象者は7000万人にしかなりません。1億2600万人にベーシックインカムを支給して、あとから5千万人に返還させるのは、手間も経費も壮大な無駄(その分の振込手数料だけでも何百億円にもなる)なので、もっと高いラインを想定しているはずです。
そうすると、介護も児童手当も比率から言えば社会保障給付費全体の1割にもなりませんから、介護保険も児童手当も廃止して更に医療にも手を付けないと、とてもまかないきれない、ということになります。

年金を廃止して、生活保護も介護保険も廃止して、医療保険制度も大幅に後退させて、月7万円のベーシックインカムだけというのでは、ほとんどの高齢者あるいは長期間の無収入状態が続いた人は、手持ち金が尽きたところで野垂れ死にするしかなくなります。

私自身、1X年後に厚生年金がもらえる、はずです。その時65歳から支給開始かどうかは分かりませんが、支給開始年齢が引き上げられていたとしても、20年後にまではならないはずです。その時に、厚生年金を月7万のベーシックインカムに替えられていたら、と思うとゾッとします。

まったく恐ろしい提言と言うしかありません。





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最終更新日  2020.09.26 17:10:58
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