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レイモンド・チャンドラーの作品を初めて読みましたが、村上春樹さんの訳が読み易くてストレスなく読めました。マーロウが巻き込まれた殺人事件の真相は悲しいものでしたが、何だか意味深なラストでしたね。チャンドラーの作品をこの機会に読んでみようと思います。
2017年05月31日
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ココナッツカレーの甘い風味と麺との相性が抜群で美味しかったです。
2017年05月22日
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タイムスリップを題材にした小説ですが、平成から来た主人公・孝史と、蒲生邸の女中として働くふきとの心温まる交流や、孝史を蒲生邸に連れて来た平田の秘密、そして蒲生家の人々の姿が細かく描かれていて、ページを捲る手が最後まで止まりませんでした。未来から来た人間にとって、戦争へと突き進んでゆく日本の歴史を何とか改変しようとするのは当たり前ですが、平田が言ったように、個人が死力を尽くしても歴史は変えられないものです。終章で、現代に戻った孝史とふきが約束の日に雷門で再会することは出来ませんでしたが、ふきの手紙を読んだ孝史の心の中には、いつまでもふきが生き続けているのだろうなと思いました。
2017年05月21日
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何だか最初から最後まで読み始めると止まらないミステリーでした。「バッテリー」は、青春小説として普通に楽しめましたが、この作品は青春ミステリーとして、「これからどうなるの?」と思いながら読みました。犯人の動機は判ったのですが、男の正体が誰なのかわからないまま終わってしまったのが少し不満ですかね・・まぁ、見当はつくのですが。
2017年05月21日
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シャロン・サラの「ハート」シリーズ三部作の二作目です。一作目は未読なので、ストーリーの全体像が掴みづらかったのですが、今回は同級生の嘘を信じたマックが、ヒロイン・メリッサを誤解して彼と別れ、メリッサが故郷の町に戻ってくるところから物語が始まり、メリッサのストーカーの正体が徐々に明かされていきます。ストーカーの正体と、マックの父親を殺害した犯人は別でしたが、35年前に町で起きた交通事故の真相が次回で明らかにされるということなので、これから最終巻が発売されるのが楽しみです。
2017年05月21日
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シンガポールで起きた一人の日本人男性・北山の転落死事故。その事故の真相が明らかになるにつれ、金融界や政財界の深い闇を垣間見た気がしました。最初から最後まで面白くて、ページを捲る手が止まりませんでした。経済サスペンス小説は、専門用語がわからなくて読んでいる時にイラッとすることがありますが、この作品は時折解説を入れてくれていたのでストレスなく物語を楽しめました。
2017年05月21日
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男女の愛憎が入り混じる中で起こった殺人事件。その犯人が誰なのか、文末の解説を読んだ後わかりましたが、被害者が何故か殺されて当然だと思ってしまいました。
2017年05月21日
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3年前にドラマ化された原作小説。親子で刑事という設定は面白いですが、主人公夏輝の父親・明村の言動がコミカル過ぎて読むたびに吹いてしまいました。一連の殺人事件の真相は判ったのですが、夏輝の母親の消息は依然として不明というところが少しスッキリしない終わり方でしたが、それ以外は面白かったです。
2017年05月17日
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最初から最後まで読んで、「なるほど、そういう仕掛けがあったのか!」と、思わず本を閉じた後うそう叫びそうになりました。「なるべく予備知識を持たずに読むことをお勧めします」と書かれた帯の意味がわかりました。これ以上書くとネタバレになるので、未読の方は是非お読みください。
2017年05月17日
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ベストセラー作品を映画化するーそのことで奔走する広告代理店の根本崇。相場英雄さんの作品は濃厚なミステリーが多かったので、今回のようなドタバタコメディータッチの小説は初めて読みました。ベストセラー小説を映像化するのは、かなり大変なのか・・と、本を閉じながらそう思いました。
2017年05月17日
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大手自動車メーカーの工場に勤めていた仲野という男が殺害され、田川と木幡は事件の真相を追う内に、日本の歪な社会構造を知るーというミステリーです。「震える牛」では、某大手スーパーの食品偽装に関連する殺人事件でしたが、今回の事件の背景にあるのは、非正規社員ーパートやアルバイト、派遣社員を取り巻く厳しい労働環境と、正社員雇用への高いハードル。仲野と同じ環境で働いていた工藤の話が強烈でした。人間扱いされない環境下で、仲野は会社の不正を告発したせいで殺された。事件の黒幕は何の罰も受けない理不尽な結末を迎えましたが、エピローグの、仲野が三線を奏でながら歌い、亡き祖父と再会するシーンを読んだ後涙が出そうになりました。今の日本は殺伐としており、明るい未来や希望などなく、あるのは効率化・利便化を求め、弱者を痛めつける社会。こんな社会に一体誰がしたんだろうと思いながら本を閉じました。
2017年05月17日
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ホラー映画は苦手なのですが、この映画は少し前に最後らへんだけ観て、気になっていました。最初は豪華客船で開かれる舞踏会のシーンで、ワイヤーが乗客の上半身と下半身が真っ二つにされますが、そのシーンがグロい。ホラーだけどサスペンス要素があって、とても面白かったのですが、酒場でヒロインに話し掛けてきたイケメンの正体が悪魔で、ヒロインの仲間は全員死亡、悪魔はあの爆発で死んだと思っていたのに生きていて、別の豪華客船の乗客の魂を集めに例の金塊を積み込んだヒロインが叫んで終わりというバッドエンド。豪華客船と金塊の真相が判るシーンは、何だかミュージック・ビデオを観ているようでした。少女と仲が良かった船員が殺されるシーンも、少女が犯人グループに部屋で殺されるシーンも観ていて辛かったです。あの豪華客船で殺された少女の霊が可愛かったし、ちゃんと彼女と乗客達の霊が成仏出来て良かったんだけど、あのラスト以外は面白かった作品でした。邦画ホラーは底無しの怖さだけなのですが、洋画ホラーはサスペンス要素あり、アクション要素ありで面白いですね。今度は機会があったら「ペット・セメタリー」を観てみようかな。この映画、ちょっと怖そうだなあと思いながらネットで検索してみたら、結構グロい部分があるようで・・最後らへんしか観ていないのですが、怖いシーンの連続でおしっこチビリそうになりました(←下品ですいません)原作小説も読んでみたいですね。
2017年05月17日
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バスジャック事件から始まり、その真相を解明する三郎。事件の犯人であった老人の素顔と、その裏で暗躍していた詐欺師達ー何だか「闇」を抱えていた人々の叫びを読んでいる間聞いているような気がしました。バスジャック事件の真相解明と同時進行するかのように、三郎の家庭にも問題が発生します。菜穂子の言い分が理解出来ないし、一番の被害者は桃子かな。森夫妻の事も後味悪い結末を迎えました。690ページもある作品でしたが、三郎と共に事件の真相を解明するかのように一気に読みました。宮部みゆきの作品は、最初から読み始めたら止まらない面白い作品ばかりですね。
2017年05月16日
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元刑事が絞殺される。その死の真相を追う兎沢の前に公安が立ちはだかり―というサスペンスなのですが、兎沢の娘の事や、彼と敵対する志水の妻・仁美とある人物との不倫の事など、事件の裏には様々なドラマが展開されており、全ての真相が明らかになった時、何だかハッピーエンドでは終わらなかったですね。国民を公安が監視するという事は、何だか実際にあり得そうです。この本を読み終えた後、何だかウィル・スミス主演の映画「エネミー・オブ・アメリカ」を思い出してしまいました。こちらは1999年に制作され、まだインターネットが現在の様に発達していない時代に於ける米国の監視社会を描いていますが、今観ると何だか他人事とは思えません。
2017年05月14日
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最近スランプ中で、一次・二次でも小説の構想が全然浮かびません。そんな時には読書やネットサーフィンをしたりして休みます。ファンタのキウイフルーツ味。炭酸特有のジュワッとした味と、キウイフルーツのほのかな甘味が美味しかったです。
2017年05月14日
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「美祢、お前・・」「あんな子、わたくしにとって目障りな存在でしかありません!旦那様、わたくしはあの子を女郎屋へと売り飛ばすことは諦めませんわ!」 美祢はそう夫に叫んで彼を睨みつけると、奥の自室へと消えていった。その日を境に、美祢は千尋を以前にもまして邪険に扱うようになり、彼女は些細な事で千尋を怒っては彼に対して折檻を加えるようになった。「千尋、その痣はどうした?」「これは・・少し転んだだけです。」「転んだ?脇腹や背中にも痣があるのに?」そう言って痣だらけの上半身を見つめる正義の視線に耐え切れず、千尋はそのまま道着を着込んで道場の中へと戻った。「最近、千尋の様子がおかしいとは思わないか、耀次郎?」「はい兄上。何だかあいつ、わたし達に何かを隠しているような・・」耀次郎とそんな事を正義が話していると、突然美祢の部屋から千尋の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。「どうしてお前はこんなにも愚図なのかしらね!花をまともに活けることすら出来ないなんて!」「申し訳ありません、義母上・・」「お前に母と呼ばれる筋合いなどありません!泣いている暇があったら、すぐにここを片付けなさい!」「はい・・」 美祢が怒りで顔を歪ませながら部屋から出て行くのを確認した正義と耀次郎は、部屋の中に散らばった花を黙々と片付ける千尋の姿を見た。「千尋、わたし達も手伝おう。」「兄上、この事は父上には・・」「あの痣、全て母上にやられたんだな?」異母兄の問いに、千尋は静かに頷いた。「わたしがいけないのです。わたしが、この家になんか来たから・・」「もういい、自分を責めなくてもいい。」正義は小さな千尋の身体を抱き締め、涙を流した。 彼から抱き締められた時、千尋の脳裏にまだ京で暮らしていた頃に、養母の奈津江から抱き締められた日の事が蘇った。 近所の子供から容姿の事を揶揄(からか)われ、千尋がその子供に手を上げて怪我をさせてしまったことがあった。激怒した相手の子供の親に平謝りした後、奈津江は千尋から暴力を振るった理由を聞き、正義の様に涙を流しながら抱き締めてくれた。『よう堪忍したなぁ、千尋ちゃん。よう堪忍したなぁ。』あの時感じた奈津江の優しい温もりと声を思い出し、千尋は自然と正義の胸に顔を埋めながら泣いていた。 1862(文久2)年、数えで14となった千尋は美しく成長し、その美しさ故に同性から恋文を貰う事が多くなった。「千尋、またお前に恋文を渡したいと言って来た輩が居たぞ。」「ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありません、正義兄上。」「謝るな。それよりも母上はどちらへ?」「母上なら、先程義姉上様と芝居を観に行かれました。」「そうか。」 二年前に武家の妻女・美津を娶った正義は、自分の妻と母親の関係が良好である事を知り、安堵の表情を浮かべていた。 美津は千尋の事を実の弟のように可愛がり、千尋もまた年が近い義姉を慕っていた。そんな穏やかな日々は、美津が正義との子を妊娠した事から一変した。「千尋、話があります。」「何でしょうか、奥様?」「もう正義から聞いたのでしょうけれど、美津が身籠りました。そこで居候の貴方にはここから出て行って頂きます。」「わかりました。」 こうして千尋は荻野の家から出て、浪士隊に加わり彼らと共に上洛したのだった。この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年05月12日
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美術界を舞台にしたサスペンスですが、ヒロイン・ジュディスが犯罪に手を染めながらも男達を次々と手玉に取り、成功した姿をかつて自分をクビにしたと職場の元上司に見せつけるまでのストーリーが面白くて一気に読了しました。映画化されるということですが、今からどんな映画になるのか楽しみです。
2017年05月09日
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「育児と受験」をテーマにした、5人のママ友達の歪んだ危うい関係を描いたこの作品、独身未婚のわたしでも何故か共感しながら最後まで一気に読んでしまいました。容子が最初は良い人かなと思いながら読んでいましたが、何だか中盤以降から陰湿な人だなと思ったり、繭子は図々しいし、かおりは完璧主義の所為で娘がストレスを抱えている事に気づかなかったし、瞳は色々と精神的に不安定だし・・と、5人それぞれ悩みを抱えながら生きていて、些細な事で仲が良かったママ友たちとの関係に亀裂が入って・・という所が、何だか4年くらい前に読んだ桐野夏生の「ハピネス」を彷彿とさせました。「彼女」が、ママ友の娘の首をトイレの個室で絞めるシーンは怖くもあり、「彼女」が抱えた切なさが伝わって来ました。「彼女達」は結局幸せになったのかというのは解らずじまいで物語は終わりましたが、容子が抱えていた孤独の深さというものは、彼女だけが抱えているものじゃないだろうなと思いました。「八日目の蝉」もそうでしたが、この作品にも懸命に育児をしている母親の姿を描いており、ママ友という、切っても切れない社会に生き続けなければならない母親達に角田さんが作品を通してエールを送っているように感じました。余談ですが、この作品は20年以上前にワイドショーで取り上げ話題となった「お受験殺人事件」をモデルに書いています。同じ事件をモデルに描いている新堂冬樹さんの「砂漠の薔薇」も大学時代に読みましたが、こちらはかなりハードで暗かったです。
2017年05月09日
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「ウンヌ」とその世界を統べる「ミド様」の正体と真実が明らかになりましたが、恐怖で民を支配するのかな世界は、誰も幸せになれません。トオルの亡くなった父親と、祖母に関する秘密も明らかに。自らの欲望の為に恐怖で民を支配しようとしたトオルの祖母ー彼女は悲しい末路を迎えましたが、何だか悲しいですね。トオルはウンヌで体験した出来事を通して成長し、自分が住む世界の問題に立ち向かう決意をしていました。ハギと別れるのは辛いですが、二人がまた違う形で再会して欲しいですね。
2017年05月09日
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ハギが暮らすウンヌでトオルが見つけた真実。どこの世界にも、理不尽かつ不公平な社会がありますが、それを統べる者がどうしても北●鮮の某氏と姿を重ねてしまいます。ハギとトオルの繋がりが、ちょっと解ってきましたね。トオルはこれからどうするのか、気になります。
2017年05月09日
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異世界「ウンヌ」と、現代にそれぞれ生きる二人の少年・ハギとトオル。ハギは活発でありながらも頭の回転が速い子だなぁと思いました。トオルは、母親が有名人であることが原因で学校でいじめに遭い、不登校になりますが、母親の対応が酷い。自分の世間体だけを取り繕おうとしている母親の姿に、トオルが絶望するのは当然でしょうね。互いを想い合っているハギと彼の母親・トモの関係とは雲泥の差ですね。しかし、まだ謎が残る部分があり、これからその謎が徐々に解けていくのかなぁと思うと、これからの展開が楽しみです。
2017年05月09日
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偶然ブックオフで見つけて購入しました。何だか原田いずみという女の存在が最初から最後まで強烈すぎて、怖かったです。この作品にはシックハウス症候群の原因となる「見える毒」と、心の闇という「見えない毒」を取り上げていますが、後者の方が恐ろしく、深く蔓延っています。老人を毒殺した犯人は中盤でわかりますが、彼の身の上を考えると、何だか可哀想になってきました。序盤で登場した黒井次長の話が、終盤近くになってこの作品の伏線だという事に気づきました。今回の事件を通して、三郎は北見一郎という元刑事に出会うのですが、彼は癌に冒されてしんでしまいます。北見さんのような、人々の心に巣食う毒を中和する存在が多く居てくれれば、この世の中は生きやすくなるのでしょうね。最近原田いずみタイプの人間が多くなり、殺伐とした事件が増えてきています。名もなき毒が、いつか世界中を侵食してしまうのではーそんな事を思いながら、本を閉じました。
2017年05月09日
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完全な密室で、何者かに撲殺された介護サーズス会社の社長。第一部は主人公の純子が相棒の榎本と犯人捜しに奔走する姿が描かれており、第二部ではその犯人の生い立ちや被害者殺害に至るまでの経緯、そして事件の結末などが描かれています。犯人の青年の生い立ちには同情しますし、彼を追い詰め、友人を殺したチンピラの男の執念さが怖くてなりませんでした。青年が刑務所から出所した後、どうなるのかを想像すると何だかスッキリしない終わり方でした。
2017年05月09日
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近所のスーパーでハーゲンダッツのトリプルショコラを見つけました。濃厚な味わいで美味しかったです。
2017年05月06日
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ららぽーと和泉に両親と三人で久しぶりに出掛けました。ランチは気になっていたうちの食堂という店で、デミハンバーグ御膳を食べました。ハンバーグが柔らかくて美味しかったです。久しぶりにスイーツファクトリーでミントチョコをおやつに食べました。
2017年05月06日
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母が友人から貰った台湾土産のお菓子です。パイナップルの果肉がしっとりとしたパイ生地に包まれて美味しかったです。
2017年05月05日
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*幕末の千尋の幼少期の話です。まだ続きます*八重歯の男に気づかれぬよう、忍び足で正義と耀次郎は彼が嫌がる千尋を連れて女郎屋の女将の部屋に入るのを見た。「おやおや、今日は何の用だい?金を貸せとかいう話なら聞かないよ。」煙管の中に溜まっていた灰を火鉢の中へと捨てた老女は、そう言って八重歯の男を睨みつけていた。「女将さん、今日はそんな話をしに来たんじゃありませんや。今日は、女将さんが喜ぶ話を持って来たんでさぁ。」「あたしが喜ぶ話ねぇ・・ちょっと聞いてやろうじゃないか。」狐の様な目をした女将は、そう言うと八重歯の男の背に隠れている千尋の方を見た。「その子かい、あたしが喜ぶ話ってのは?」「へぇ。この子は異人とのあいの子ですが、まだ餓鬼でさぁ。女将さんにいっぺん見て貰いたくてこちらへ連れて来たんでぇ。」「そうかい。そこの子、こっちへ来な。なぁに、取って食いなしないから。」 猫なで声で女将がそう千尋に呼び掛けると、彼は小さな身体を震わせながら彼女の前に立った。「肌はきめ細かいし、髪の色も金色で縁起が良いし、何よりも瞳の色が綺麗だねぇ。今はまだ小さいけれど、成長したらすぐに花魁になれそうな顔をしているねぇ。」「そうでしょう?ただ、この子は男なんで、花魁にはなれやせんや。」「あらぁ、そりゃぁ残念だねぇ。でもまぁ、いい子を拾って来てくれたじゃないか。」「拾って来たんじゃありやせん、さるお武家の奥方様から頼まれたんでさぁ。うちに厄介な穀潰しが居るから、厄介払いのついでにこちらへ売ってくれないかってねえ。」「可哀想にねぇ。なぁに、心配することないさ。あんたの事は大事にしてやるよ。」女将はそう言って千尋に微笑むと、彼の頬を撫でた。 廊下で二人の話を聞いていた正義と耀次郎は、千尋を女郎屋に売ったのが自分達の母親である事を知り、驚きのあまりそこから動けなかった。「あんた達、そこで何してんだい?」「耀次郎、逃げるぞ!」 正義はそう叫ぶと乱暴に襖を開け放ち、千尋の手を掴んで耀次郎と共に女郎屋から飛び出した。「てめぇら、待ちやがれ!」「待てと言われて止まる馬鹿が居るもんか!」正義は自分達を追ってくる男と女将に向かって舌を突きだすと、そのまま千尋と耀次郎と共に自宅へと逃げ帰った。「若様、一体どうなさったのです?」「母上はどちらに?」「何ですか正義、耀次郎、そんなにたくさん汗を掻いて・・」 美祢がそう言って息子達を見ると、二人の背後に女郎屋へと売った筈の千尋の姿が見え、彼女は激しく狼狽した。「何故、お前がここに・・」「母上、何故千尋を女郎屋へと売ろうとしたのですか?そこまで、千尋の事が憎いのですか?」「お黙りなさい、大人の事情に子供が口を挟むものではありません!」「・・今の話はまことか、美祢?」 背後から夫の冷たい声が聞こえ、美祢が恐る恐る背後を振り向くと、そこには憤怒の表情を浮かべた夫が立っていた。「旦那様・・」「正義、千尋を連れて耀次郎と部屋へ行っていなさい。」「はい、わかりました。」 両親の間に流れる険悪な空気を敏感に感じ取った正義は、弟達と共に母屋の奥にある自分達の部屋へと向かった。「詳しい話を聞かせて貰おうか、美祢?何故千尋を女郎屋へと売ろうとした?」「その理由は旦那様が一番ご存知なのではなくて?」 美祢はその場で失神してしまいそうな恐怖に負けぬよう、そう声を張り上げると夫を睨みつけた。「旦那様が・・貴方が悪いのですわ、あんな女との間に出来た子供を我が家に引き取るから、わたしが惨めな思いをするのです!」この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2017年05月05日
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男社会の警察組織の中で生きる貴子と、そんな彼女を疎ましく思う老刑事・滝沢のコンビは、深夜のファミリーレストランで発生した人体発火事件を捜査することに。何度か読み返した作品ですが、この作品は主人公・貴子と、一匹の狼犬・疾風と心を通わせるまでの過程を描いています。そして、一連の事件の犯人と、その真相も終盤近くになってわかりますが、被害者遺族、犯罪被害者だけが泣き寝入りし、加害者が何の罰も受けずに生きているという理不尽な社会に一石を投じたような、読み応えのある復讐譚でした。終盤近くに描かれた、貴子と疾風との追走劇は、読みながら頭の中で映像が浮かんできました。
2017年05月04日
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12歳の時に未知の病に罹り、意識があるのに他人とのコミュニケーションが取れなくなってしまったマーティンさん。パソコンの電子音声を使ってコミュニケーションが取れるようになり、結婚するまでの険しく壮絶な彼の半生に感動し、マーティンさんの未来が幸せに満ちればいいなと思いながら本を閉じました。奇跡体験アンビリバボーでマーティンさんの事が取り上げられ、彼の手記を読みましたが、意識があるのに他人とのコミュニケーションが取れなくなってしまう事は、辛い事ですね。色々と障がいについて考えさせられた本でした。
2017年05月04日
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連続殺人犯・ハサミ男の正体が一体誰なのか気になってページをめくる手が止まりませんでした。主人公が男性だと思い込んでいて、最後に女性であるところに驚きましたが、ラストシーンが何だか不穏な空気を醸し出していて読み終わった後モヤっとしました。
2017年05月04日
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私立探偵フィリップ・マーロウの元に若い女を尾行せよという依頼の電話が来た。しかし、その女を謎の男が尾行している事に気づき・・というストーリーなのですが、女の正体と、彼女が犯した殺人事件の真相が明らかになり、最初から最後まで面白くてページを捲る手が止まりませんでした。レイモンド・チャンドラーの作品を読むのは初めてでしたが、余り訳が読みづらくなかったですし、マーロウの魅力が充分に伝わってきました。今度は、近所の書店で購入した「ロング・グッドバイ」を読もうと思っています。
2017年05月04日
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13歳で母と姉と共に脱北したパク・ヨンミさんの手記。北朝鮮という謎のベールに覆い隠された世界の真実とその実態、そして脱北して中国で待ち受けていた過酷な生活・・ページをめくるたびに、パク・ヨンミさんの壮絶な半生から目が離せず、ページをめくる手が止まりませんでした。姉と無事再会し、母と三人で暮らすようになったパク・ヨンミさんがこれから幸せになれるように祈りながら、本を閉じました。
2017年05月04日
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八咫烏シリーズ第五巻目。今回は人間社会と八咫烏の世界が繋がっているという事実が浮上し、大神に仕える玉依姫に選ばれた志帆と、彼女が椿と名付けた大神との絆を描いています。何だかパズルのピースをひとつずつ合せていくように、謎が徐々に解けていきますね。これからどんな展開になるのか、今から続きを読むのが楽しみです。
2017年05月04日
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作者の両親の新婚時代のお話なのですが、破天荒な夫婦の、フロリダまでの珍道中が最初から最後まで面白くて、あっという間に読了しました。エピローグの、エルシーの最期を迎えるアルバートの声が、わたしにも聞こえたような気がします。家族の絆と愛に溢れた作品でした。
2017年05月04日
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アウシュビッツの図書係として、8冊の本を管理することになったユダヤの少女・ディタことエディタ。アウシュビッツで行われる非道な人体実験、そして人権を完全に剥奪されたユダヤ人達。最愛の父親を失っても、ディタには物語の世界に救われる。アンネとマルゴーをはじめとする多くのユダヤ人達の命が失われた後、ディタと母親が居た収容所は連合国軍によって解放される。家族を失ったディタのその後の人生も描かれていますが、あの悪夢のような時代を生き抜いたディタのそばには、本がありました。本は時として、希望を与えてくれるものなのだと本を閉じてそう思いました。現在、世界があの狂気に満ちた時代へと逆戻りしつつあるような気がします。ユダヤだからといって、財産や人権を剥奪され、虐殺された多くの人達の、平和を願う声がこの作品から聞こえて来るような気がしました。
2017年05月04日
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人々の様々な人生模様を描いている短編集。どのお話も読み応えがあり、一番面白かったのは、「煉瓦を運ぶ」でした。些細なきっかけで乱闘騒ぎが始まった原因は、トムが喧嘩相手を挑発したからですが、そのせいで命を落とすことになるなんて、本人は思いもしなかったでしょうね。
2017年05月04日
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両親がミスドのドーナツを買ってきたので、久しぶりにコーヒータイムにミスドのドーナツを食べました。クロナッツのチーズクリームのブルーベリー。上品な味わいでした。ブリュレ。サクッとして美味しかったのですが、ちょっとしつこかったです。
2017年05月04日
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この作品、第一部から第四部は三年前に読んだのですが、すっかり読むのを忘れてしまい、購入するのも嫌なので図書館で借りました。家族狩りというタイトル通り、一連の無理心中事件の犯人があの夫婦である事が判り、最後まで何だか暗く重い物語でした。家族というものは、それぞれ問題を抱えていて、それを解決するのはあの夫婦の様なやり方では間違っているのではないかと思いましたが、彼らのように他人の家庭問題に対して必死に取り組むことが出来るのだろうかと考えてしまいました。家族とは、人間とは何かを考えさせられる作品でした。
2017年05月01日
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輸血を拒む少年・アダムと、人生に疲れている女性裁判官・フィオーナ。アダムは結局亡くなってしまうのですが、信仰と治療との狭間に揺れた彼の心を描いているのと同時に、フィオーナが夫との間に生じた深い溝をどう埋めようと悩む姿も繊細に描いており、二人の結末が知りたくてページをめくる手が止まりませんでした。人生とは何かを、読者に問題提起させるような作品でした。
2017年05月01日
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幕末の動乱を嵐のように駆け抜けた土方歳三。上巻は池田屋事件まで、下巻は鳥羽伏見の戦いから五稜郭まで。土方さんは格好いいです。武士になるという夢に向かって生き、五稜郭で死んだ彼の凜とした生き様に胸を打ちました。
2017年05月01日
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太宰治の「晩年」の初版本を巡り、栞子と文香姉妹の家族と、久我山家との因縁が明らかになってきました。栞子に危害を加えた田中敏雄と大輔との因縁も明らかに…そして、「晩年」を盗んだ犯人とその黒幕も。最後に栞子の母親の出生の秘密が明らかになるところで終わりましたが、次巻で完結ということで、何だか寂しいような気がしますが、久しぶりにこのシリーズを読んだけれど、面白くてあっという間に読了しました。この作品をきっかけに、作品で紹介された本を読みたいと思いました。
2017年05月01日
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何度か読み返している作品ですが、子供嫌いの湯川と恭平の交流は何度読んでも心が温まります。元刑事の死の真相は、ある家族が抱えた秘密にあったのですが、まさかその死に恭平が絡んでいるとは思いませんでした。最後に湯川が恭平に言った言葉が、恭平の心を励ましているかのようでした。
2017年05月01日
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4作目を読み終わってから随分間が空いてしまったのですが、前作のあらすじが主人公に語らせているのでわかりやすかったです。栞子と大輔との間に事件が色々と起こりますが、古書を巡って人間ドラマが繰り広げられるストーリーは相変わらず面白いです。物語のラストで、栞子を階段から突き落とした男の影がチラつきますが・・彼女の母親も登場していますし、何だか目が離せない展開になってきました。
2017年05月01日
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こちらに掲載している小説「双つの鏡」の更新について、お知らせがあります。毎週月曜・金曜に更新予定です。幕末に生きる千尋の過去についての話が思っていたよりも長くなってしまいそうなので、第一部はまだ終わりません。最近眼精疲労のせいで目蓋のけいれんと頭痛があり、目を労わりながら読書と並行しつつ小説を書いているので更新が遅くなるかもしれません。
2017年05月01日
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