2005/05/21
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昨日の続き。

障害者専門旅行代理店「ベルテンポ・トラベル・アンド・コンサルタンツ」の高萩社長の講演ビデオの感想を書こうと思ったのは、彼がやっているのが崇高なことだ、と声高に言いたかったわけではない。


旅行業界で大手がやっているような価格競争を、高萩さんの会社がやっても勝ち目はない。

大手は『旅行に行ける人』をターゲットにしている。

最近よく聞く富裕層なども入っているだろうし、とにかく旅行会社が企画したパッケージツアーなどに気軽に参加できる人。

高萩さんの会社のターゲットは、『旅行に行きたくても行けない人』或いは『最初から旅行に行くことを諦めている人』。

これだと大手は出来ないし、まずやろうともしない。


この発想は、後から聞いて『な~んだ弱者の戦略で、スキマを狙っただけ』と簡単に解説は出来ると思うが、なかなか思い浮かばないし、まず最初から諦めて実行しない。

だからこそ、競争相手が皆無だし、料金もサービスに見合った金額になっているようだ。



これに対して『障害者からそんな金を取るのか』というような、ちんぷんかんぷんな批判もあるらしいが、これは飽く迄もビジネスであって、ボランティアではない。

需要がなければ潰れるだけ。


これで思い出すのが、自分で自分の本性を思い知ったある出来事。

脊椎専門の病院に入院した時、病院内の体育館で車椅子の人たちがテニスをやっていました。

そして、外を見ると私には到底乗れそうもない高級車が数台。

『障害者がなんであんな車に乗れるんだ?』

こんなことが私の頭をよぎりました。

あ~~、なんと愚かなことか、当事自暴自棄になっていたとは言え、こんなことを考えた自分が今でも恥ずかしく、今でも信じられない。

我が貧困なる精神を思い知った次第でした。

いわゆる足を失った人は、自分の足の代わりに車に乗るわけです。

車に対する思い入れは、私などには計り知れないものがあるようです。



旅行も、これと同じことでしょう。

『行きたいところに気兼ねせずに行きたい』これもごく自然なことです。

この自然で単純な需要と供給がビジネスになることが、偏見と固定観念が邪魔して、なかなか思いつかない。


高萩さんが『旅行に行きたくても行けない人』或いは『最初から旅行に行くことを諦めている人』をターゲットにしたような発想が、全く業界が違う製造業で出来ないか、可能性はあるはずだ、と真剣に考えています。

価格競争は、自分で自分の首を絞めることになり、もはや限界。



うちと規模は変わらないではないか。

『できないことはない』と自分を叱咤して、気合を入れています。

売上、利益、会社の存続のためには、当然ながら不可欠ですが、それ以上に大切なものがある、と痛感した次第です。



それではまた。












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最終更新日  2005/05/21 08:27:12 PM
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