ボランティアキャリアコンサルティング
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<はじめに>現代社会を生きる私たちは強いストレスにさらされています。強いストレスは私たちの心身に悪影響を与えます。しかし私たちには強いストレスをやわらげたり、(一部を)無くしたりする技・スキルがあります。その中の1つが「コーピング」と呼ばれる技なのです。<ストレスを感じる仕組み>ストレスの原因は「ストレッサー因子」と呼ばれます。そして「ストレッサー因子」には次の5種類があります。・物理的なもの 例:せまい部屋・科学的なもの 例:排気ガス・生物的なもの 例:蚊にさされる・社会的なもの 例:共産主義国で言論の自由が無い・心理的なもの 例:親が常にけんかしていて、心が休まらないそれらは「ストレッサー因子」として、あなたにいろいろな「悪い反応」を起こします。悪い反応には・心理的反応(例:恐いと思う)・身体的反応(例:頭痛が起きる)・行動的反応(例:過食する)などがあります。つまり、あなたの身の回りにはストレスになりそうなものがたくさんあり、それらをストレスだと感じてしまうと、あなたの心身に悪い影響が出てしまうのです。ストレスが長い間続くほど、影響の悪さも悪化してしまうのです。そして先ほどお伝えした通り、「コーピング」を使って、みなさんにはストレスと向き合い、対処してもらいたいのです。コーピングの種類はいろいろとあります。1.問題焦点解決型2.社会的支援探索型3.情動焦点解決型(認知的再評価型)4.気晴らし型5.否定型6.回避型でも、あわてたり、ひるんだりしないで大丈夫です。1~6をあなたの性格・環境に合わせて、できる範囲で組み合わせて実行すればよいからです。では1から順番に詳しく説明していきましょう。1.問題焦点解決型これはストレッサー要因に直接働きかけて解決していこうという方法です。つまり「ストレスの原因を消してしまおう!」という発想です。問題を根本から解決できるというメリットがあります。しかし、計画を立てて実行したり、頑張らないといけない大変さもあります。ですから、協力してくれる人たちがいると、ぐっと成功しやすくなります。環境に問題があるならば、環境自体を変えることがとても有効です。(例:とある愛煙家社員の社内が禁煙になった際、喫煙ブースを作ってもらった。)2.社会的支援探索型簡単に言うと、カウンセラーや保健所のソーシャルワーカーなどに相談したり、助けてもらうという方法です。質の高い支援を受けられる反面、いつでもすぐに助けてもらいにくい、頼りすぎてしまう、お金がかかる場合がある等のデメリットがあります。3.情動焦点解消型(認知的再評価型)ストレッサー因子はそのままにして、自分の感じ方を変化させる方法です。変化させる方法としては、認知のゆがみを修正する認知行動療法がとても有効です。4.気晴らし型とりあえずストレッサー因子をそのままにしておいて、自分の好きなことをしたりして気分を晴れやかにします。小休憩、ストレッチや運動でも効果があります。一番有名なコーピングかもしれません。5.否定型取り越し苦労を止めてしまう方法です。絶対に変えられないし、その問題を考えても仕方の無いとき(例:地球に巨大隕石が衝突する可能性が0ではないが、考えてもどうしようもない)などで有効です。6.回避型ストレッサー因子から逃げるという方法です。危険が非常に大きい場合(例:ひどいいじめにあっていて、命の危険がある場合に不登校を選択する)に有効です。また、対人関係のストレッサーにおいては有効度がかなり高い傾向があります。ただし、回避し続けると問題が更に悪化したり、大きくなる可能性も残ります。<コーピングを実行しやすくする為のポイント>・自分が苦しくなっていると、本当の問題は何なのか?自分はどう感じているのか?それ自体がわかっていない場合が多くなります。まずは問題があることを認めることが基本姿勢となります(その上でしたら、回避型の実行もとても有効です)・なるべく多く気晴らしの方法をリストアップしてみましょう。思いつかないときは、ネットで関連した記事を参照するとよいです。お金をあまり使わない、他人に迷惑をかけすぎない、時間をかけない、具体的にすると毎日気楽に行いやすくなります。例えば×:音楽を聴く○:嫌いな人の写真などを壁にはって、Adoの『うっせーわ』を聞きまくる!こんな感じです。・コーピングした結果、ある程度効果が出たら、それを有効だとみなします。・とにかく試しにやってみることです。いろいろと試すと、だんだん自分にとても効果がある方法が見えてくるものです。(私の場合は「ユーロビートを聞きながらの安全運転ドライブ」もコーピングの1つです。これは50歳位で発見しました)・時間がたつと「あれ?コーピングって具体的にはなんだっけ?」となりがちです。また「もっと良い方法があればなぁ」とも思ったりします。ですので、たまに自分のコーピングの知識を復習したり、新しく学んでみることも有効です。・「こんな大問題、コーピングできるわけねーよぉ!」と思えるときは、「小さく分けて、少しずつ解決していく」という姿勢が有効です。例えば寝る時間も少ないほど忙しい場合。会社を辞めることはできなくても、疲れの酷い日に、最寄り駅から自宅までタクシーで帰るなどです。<自分の怒りのパターンを知っておきましょう>自分の怒りのパターンを知っておくこともコーピングの手助けとなります。日本アンガーマネジメント協会が、あなたの怒りパターンを知るための簡単なテストを公開していますから、ためしにやってみてもいいでしょう。(私はうぬぼれが強い、他人への依存心が高い、白黒はっきりつけたがる、理屈っぽい、など)なお、怒りをコントロールする為の方法としては、・6秒我慢してみる。・その場をいったん離れる・今後をイメージしてみる。今怒ったら損だと思いとどまる。・過去の良い思い出を味わう。(例:目の前の反抗期の息子も昔は赤ちゃんだった)・前向きなセルフトークをとなえる。(例:また上司のかんしゃくがはじまったが、彼を変えることはできない。しかし私は冷静に対処することができる。)・怒りを数字化して、冷静さを取り戻す。(例:上司がかんしゃくを起こした瞬間は8ぐらい。セルフトークを言ったら5になったな...)・深呼吸する。3秒吸って6秒はき続ける。4秒吸って8秒でも可能。などがあげられます。<おわりに>私(著者)は最初、自分が期待するほど上手にコーピングできませんでした。なぜならコーピングは技・スキルだからです。つまり、いろいろと実行していくほど、だんだん上手になっていきます。また一度上手になっても、使わないでいたり、学ぶことを長い間止めたりすると、以前より下手になってしまいます。つまり実行することで、だんだんとあなたの役に立ちやすくなる技なのです。いかがでしょうか?今日からはじめてみませんか?
2025.03.13
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