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第1回 「人生の目的」・A.S.ニイル(1883-1973)「人生の目的は無い」→人生は自分で考えるものだ・実存主義におけるダーザイン(Dasein)…ふと気付いたらそこに生きていた!☆自分で、人生の目的・意味を設定していくのだ!☆人の自由を奪わない限り、自由に生きよ!・人の為に役立つ=GIVE & 自分の欲を満たしていく=TAKE☆人生はギブアンドテイクである。☆自分の出来る範囲内で、与える人生を実行しよう。アウシュビッツで地獄を見た人でも、最後まで人間の尊厳を保ち続けた人たちがいたように。☆生きる意味を見出し、日々を大切に生きよう。そのために→「有難う」と死んでいける人間は、人に与えてきた人間。臨終の間際でも人に貢献する人間である。カウンセリングは死に方を教える学問である。そして、良い死に方を考えることは、良い生き方へとつながる。第2回 人生の幸・不幸・人生の不幸=欲求が充足されていない事・人生をぼやきながら生きる人の傾向とは?①自分の願望が現実的でない為、慢性的にフラストレーションを溜めてしまう。例)全ての人に好かれたい!→自分だって嫌いな人がいる、という事実を無視。例)完全な夫婦であらねばならない!→夫婦喧嘩で生活に張りがあったから、長生きできた。②簡単に不幸と言ってしまう。 本当はただ単に快適でないか、不便であるぐらいではないのか?大げさに考えるな。☆人生に八方塞はない!(Nothing Is Awful!)byアルバート・エリス③快適な方向に向かって動こうとしない例)無職で困っている人へ助言。電話帳を片っ端から電話しまくれ!→1週間で仕事を得られた。☆自己中心的な姿勢=誰かがやってくれるだろう… から脱却せよ!第3回 プロセス主義☆結果に向かい一生懸命に生きる流れ(プロセス)が大事(具体例)夏目漱石氏が療養の為に東京に向かった時の俳句「見つつ往け 旅に病むとも 秋の富士」が意味する事。療養に向かう途中の旅路ですらも、富士の景色を楽しもう、という事。・国分先生はプロセス主義をアルバート・エリスさん(1913~2007 米)に教わった。立派な本を書かないといけない!死後残る本を!→なかなか執筆がすすまない。→エリス氏を見習い、書きたい事を、書きたい時に、書きたいように書くスタイルだと、次々と本を執筆できた。☆結果がどうあろうと、経過をもう楽しんでいる。禁欲主義=結果主義。目標達成の為に我慢。結果が大事だ!快楽主義=プロセス主義。楽しむ事は良い事だ。☆結果主義よりもプロセス主義の方がいいのではないか?第4回 おかげさま☆人の縁を得て生きている=「おかげさまで」の精神・In-Der-Welt-Sein「世界内存在」☆人は一人で生きているのではない。他との関係においてのみ生きている・自分ひとりで必死に生きてきたという感覚=幼い精神性。「幼くて愛を知らず」?では成熟するにはどうするか?①内観法人生に深く関わった人(母親、父親、親族や親友、職場の上司などの順)について1)してもらったこと2)して返したこと3)迷惑をかけたこと 以上の3つをじっくり思い出し、味わう方法。②人をケアする事人の面倒を見る事で、自分も色々してもらってきたなぁ・・・という気持ちと、人との繋がりを共に実感できる。第5回 リフレーミング☆リフレーミング(Reframing)とは、同じ事でも違う観点から見れば、違う意味がある事である。(具体例)半分あるウイスキー 「もう半分しかない」? 「まだ半分ある」?前者は否定的。後者は肯定的な観点を持っている。☆複数の意味づけをできる人=リフレーミングできる人である。リフレーミングは、人生の幸・不幸を変える事ができる。(具体例)斉藤義重先生の生徒評価 「君の絵は批評のしようが無い。但し、既存のルールに縛られていない良さがある!」(具体例)国分先生の実体験 日本では民間学者を研究するはみ出し者。ところがアメリカでは、日本人として数少ない民間学者の学問研究者だ!との評価。☆不幸にいる場合は、自らリフレーミングせよ?自らリフレーミングできるようになる為にはどうすればいいのか?①複数の価値観に触れる事。文化人類学を学べ。②レッテル貼りをしない事。例えば、「バラは赤い!」本当に真実か?枯れたバラは無いのか?つまり「今のところは~である。だが、将来は違うかもしれない」のだ。③常識に縛られないようにする。例えば、親に反抗する子供への評価。常識に縛られなければ、子供の自我の発達を認められるようになる。☆同じ事象を見ても、意味づけによって気持ちが変わってくる。第6回 人の心・78年間生きた國分先生でさえ、人のこころはわからない事が多い。従って何気なく言った事が、相手を傷つけるのも止むを得ない。?どうしたら人の心をわかるようになれるのか?①人の体験する事は自分も体験しておいた方が、察しの良い人間になれる。金、愛情、勉強、仕事、嫁姑、上司、友人の裏切り、などに苦労すると良い。但し一人で全てを体験する事は困難。そういう時は、経験者の体験談を聞くのだ。これを「耳学問」という。②「ねばならない」に自分をがんじがらめにしない事。相手を断定的に決め付ける事がある。従って、「~であるに越した事はない」へシフトさせる事。③心ならず、人を怒らしたり、悲しませたり、傷つけたりする事はある。「私が人を許すように、人も私を許してくれるに越した事はない」と考えよう。第7回 人生の事実・クラーク・ムスターカス(実存主義的心理療法家)のプレイセラピー(遊戯療法)時のエピソード。(國分先生)「もしも対象者の子供が人に見られてカウンセリングをしたくない!と駄々をこねたら?」(クラーク先生)「世の中の人はそれぞれの想いと目的をもって生きている事を説明しただろう。」☆あるがままの状況(人生の事実)を受容する事が大切である。?どんな人生の事実がありえるのか?①「如何ともし難い人生の事実」の中で、どう生きていくかを考える②愛するものとの別れ。人生は「分離」の連続である。その中でどうやって生きていくか?③嫌な人、苦手な人と共存せざるを得ない。世の中は自分の為に作られていないのだ。④人はいつか死ぬ。それを科学だけでは割り切れない。生きている時は、生きる事を楽しもう。死ぬ事はあがくことなく、正面から受け入れよう。☆つまり、自身の人生哲学を持っておく必要があるのだ。☆ナーシシズム(Narcissism 自己中心性、自惚れ、万能感)が強く残る人は、「いかんともし難い人生をどうにかしていく気概」を持ちにくくなる。☆ナーシシズムから脱却し、「人の目で、自分を見られる人」、つまり大人へと成長していこう。第8回 自己を打ち出す・従来の日本は「出る杭は打たれる」など、ややネガティブであった。しかし、これからは、自分はこうして欲しい!と主張できる面も必要だ。☆人に「~して欲しい」とためらわずに言う方が良い。・自分を打ち出す=喧嘩とは限らない! つまり☆「相手にも自分にも自己主張する権利があるのだ」・自己主張が苦手な人の理由。人から悪く思われると思う「失愛恐怖」を持つから。☆人生には「人に悪く思われてもいいから言わねば・せねばならない事がある。しょっちゅうは無いはずだが、「引くには引けない線」をハッキリイメージしておく事。(具体例)杉原千畝(外交官)… 第二次世界大戦において、ナチスドイツの迫害から逃れようとするユダヤ人たちに、多くのサインを行った人。当時同盟関係の都合、国よりサインの禁止を通達されても、失職の恐怖より人道を優先した。☆自己主張には、自分自身の哲学が必要。自己哲学があるなら自己主張訓練が有効になる。第9回 自己を開く(自己を語れ!)・霜田静志(1890-1973)先生への相談体験より「有名学者〇〇はこう言っているが、僕は~と思う」という自己を語れるスタイルになる必要性を、國分先生は感じた。・自己を語るメリット①自己を語る事によって自己を発見していく②人が近付きやすくなる(自分が何者かわかるから)③自己開示する人に触れると、その人も自己開示できるように影響を受ける。④若い人にとって、人生の問題解決のヒントとなる。具体例:桐村普次(法大教授)の研究内容:30代に良い上司とめぐりあった人は、大体重役になれていた。良い上司とは、自分の体験を惜しげもなく語ってくれる上司の事である。☆自己受容(あるがままの自分を認める事が)できている人は自己開示しやすい。但し、全ての事を受容できていない事は当たり前である。【筆者補足】『自己開示の危険性について』 私は自己開示の概念に、大学時代に出会いました。親から教わることができず、ゼロから試行錯誤で学び始めたので、苦労を重ねましたが、その分十分に実践的な研究もできたと考えています。 先生の教えを真に受けると 「誰に対しても自己開示を試みて、更なる自己受容などにつなげるべきである」という姿勢になりうるリスクを感じました。その修正案として、☆自己開示は信頼関係を結べそう(結ぶべき)な相手にたいして、信頼度が高まるにつれて次第に自己開示度を高めた方がよい。方が無難かもしれません。では信頼度を次第に高める為にはどのようにすればいいのでしょうか? <最初> 自己紹介を行う。表面的な内容を開示する。(年齢、好きな食べ物など) <その次> 相手がコミュニケーションを続けてきているとか、好意的に見えるなどの場合。ちょっとした失敗の自己エピソードや、自分の個性に関わること(例:動物の〇〇はかわいいですよね)を開示してみる。 <その次> そうしたやり取りを相手が受容してくれたり、また相手も自己開示をある程度してくれている場合、次第に自己開示の質(深さ)と量を高めてみる。 ☆要は相手を観察しながら、信頼できそうかを感じつつ行うことが大切です。不用意に相手と敵対しないうえでは大切な面となります。相手と感情豊かに話すには、この意識が邪魔をするときなどもありますので、 ☆自分の相手はどんな個性の人なのか?立場・役割のひとなのか?=友達として交流できる余地があるのか? という観点も、感情交流を豊かにしてもよいのか?という不安を感じる場合、有効な判断基準となるかと思います。最後に、そんな計算通りに人間関係など結べない!という気持ちがわくのは当然だと思います。その通りです。実際上記のように気を付けていても、上手にいかない場合もあれば、信頼関係を結べてしまう場合もあります。人間関係はお互いで作り上げるものです。☆ふれあうことのできる人生は確かに心を豊かにしてくれるが、そういう人間関係を結べればそれにこしたことはない。自分にも相手にも相手を拒否したり、認めなたくない自由がある。ぐらいに考えておく方が、気持ちが落ち着く上、失愛恐怖に陥ることなく、人間関係に過度に過敏にならないですむことでしょう。第10回 行動を起こす☆世の中、口先だけでは渡れない。行動で示せないとダメな時も多い。・「心頭滅却すれば火もまた涼し」の格言は、代表的な心理主義を表す言葉である。すなわち、心さえ変えれば問題は解決できる主義である。(カウンセリングの世界で多くみられる)だが…☆折衷主義(特定の考えに固執しない主義)から言うと、火そのものを消してしまう方が良い時もあるといえる。☆行動を起こす判断は、自分の人生哲学による。☆自分の人生の中で、価値のランキングをつけること。すなわち、「引くに引けない最後の線」を明確にしておく事。第11回 表情・美男美女でも異性にもてない人がいる。それは、表情が貧困だと人は寄ってこないのである。☆表情は心の表現である。・攻撃を受けるのではないか?と緊張している人は、表情を豊かにできない。また、恐怖が続きすぎると、本来の表情を失ってしまうのだ。・いつもニコニコしている人は失愛主義が強い人間である。相手から何かしらの愛情を欲しいと思い続けている人である。つまり、相手から奪い続けようとしている人(ギブアンドテイクの人ではなく、テイクアンドテイクの人)と言えるのだ。☆アイアン・D.サティ(英)の理論を応用して言えるのは、「いい顔とは、人に与える顔である」?どうすれば与える表情の人になれるのか?①母親の心を持っている人(柔和な顔 人をいたわる顔 共感している顔)②毅然とした、凛とした、決意を秘めた顔つき 人の不安を消し、勇気と希望を与える力がある。③無邪気な顔 お互いに安心して子供心を出せる顔・リンカーンの言葉「40歳になったら、自分の顔に自身を持て」?表情を与える上での要点は?①相手の子供心に触れる事②相手の子供心にコンタクトしていく事・道元の言葉「人を慈しむ事は、相手を子供のように扱う事だ」第12回 勇怯の差・従来のカウンセリングの主流は治療。扱う題材も悩みや不安など。夢、勇気の養成などを扱うカウンセリングが増えてきている。これをポジティブ心理学という。☆震えながらでも良い。言うべき時に言うこと。やるべき時にやることだ。☆「勇怯の差は小なり。責任感の差は大なり」である。(意味)殆どの人にとって、怖い時はみな怖い。逃げたくなることもある。だが、大事なのは、役割に従った責務を果たせるかどうか?である。(具体例)1989年のベルリンの壁崩壊時…患者を見捨てなかった医師と看護師の話。?どうやったら責務を果たせるのか?☆アイデンティティーを定めておくと良い!?では、どうやったらアイデンティティーを定められるのか?①それぞれに応じた扱いをする事で、アイデンティティーを定めていく。(具体例)九州男児として育てられた幼年期 幼くして父親を亡くした長男が、遺影をもって先頭を歩く話 →☆あたかも~の様に毎日を送る事である!②ある役割を演じている人には、責任をきちんと持たせる(具体例)鍵係となった学生の話 幼児を対象にした知能テストのやりとりの話 ☆責任と対峙して克服する事で、アイデンティティーは定まりやすいのだ。第13回 暗記のすすめ暗記のすすめ → 覚える事を活用しよう暗記は教育ではない?考える教育をしろと言うが…☆「暗記したものを全部活用して解いて行く」のだ。☆記憶が無ければ、思考はない。(言葉を知る事ではじめて認知ができる、と小林秀夫氏も指摘している)☆たくさんの知識を組み合わせる思考により、創造性が生まれる。中国の古典より「学びて思わざれば、すなわちくらし。≒頭でっかち 思いて学ばざれば、すなわちあやうし≒危険」?何を覚えていけば良いのか?①概念②概念をまとめあげたもの。すなわち理論③使い道のある事実 (例:他人の失敗、成功談など)?では覚えやすくなる技術はあるのか?①覚えたものを口に出そう②覚えたものを使ってみよう③人に教えてみよう 1~3=アウトプットしよう!④復習しよう(人は2日で半分、40日でほぼ全てを忘れる)☆何から何まで全てを覚えなくてもいい。自分の当面の問題さえクリアできればそれでいいのだ。第14回 敵のいる人☆敵から頭を下げてもらえる人になれ! 敵とは?→ 自分を否定してくる人①大槻憲二先生の教え(文学部出身で、心理学会や意思から拒否されることの多かった学者。フロイド全集を書き上げる)・敵がいる=有能だとみなされる裏返しと思え(参考:D・カーネギー 死んだ犬を蹴飛ばすものはいない)・敵が頭をさげて仕事を頼みに来るようにすればよい②霜田静志先生の教え・柳に雪折れ無し・負けて勝つ③国分先生の教え・いくら敵でも、仁義は捨てるな。・なぜ相手はこちらを拒否するのか理解する(他者理解)・敵がいる事は、自分にとってどんな意味があるのかを発見する。自己成長につながるからだ。・発奮すること。策を練って、一心不乱に努力せよ。☆敵がいる事は絶望ではない。☆敵がいるから成長できる。第15回 先を見て生きる☆先を見て今を生きる必要もあるアウシュビッツ収容所の話(ブルーノ・ベテルハイムさん(1903-1990)による)時間を教えられない状況下では、次々と発狂者が現れていった…☆時間の流れの中で今を生きることが大切☆先が見えなくなったら、我慢する力が減ってしまう☆先が見えると、今は何をすればよいのか決断がしやすい?どうしたら先の見える人間になれるのか?①年長者と多く接する (仙崎武 文教大名誉教授の体験談 勉強をしない高校生たちに、アルバイトをすすめた。彼らは喜んでバイトに行ったが、現場で中卒以下の50代労働者の低待遇を見た。学歴の有用性を肌身で感じ、勉強へのやる気がUPした。) ②過去の歴史から、推論を立てる。③自分は何がしたいのか?「志」(キャリアアンカー、自分のテーマ)をハッキリとさせている☆先も見ながら、今を精一杯生きろ。NOW & FUTURE第16回 自己肯定感☆自己肯定感、すなわちありのままの自分を肯定している事が大切人間は生きていく上で、客観的な事実だけにさらされて生きるわけではない。自分の感じ方が大切になる時がある。自己肯定感を持とう。ただし、ハッタリではダメだ。嘘は自分が心の底で感じてしまうものだ。?どうすれば自己肯定感は高まるのか?①自力で違う価値観に触れていく。自分で人や良書に出会っていく。②泥棒と人殺し以外はなんでもやってみる挑戦心を持て。つまり、ダメだと思っていた事が、意外とできることが往々にしてあるのだ。③ものの考え方が変わると、自己肯定感が高まる。(具体例)母親として失格だ→育児の仕方がダメだっただけだ。 例:自分は喘息児で甘ったれだ→普通の人より病弱の人に共感できる素質を持っている!☆自分のはたらきかけ方次第で自己肯定感は高まっていく☆自己肯定感が高まると、状況が同じでも違う人生が展開していく第17回 人生の転機☆人生の転機とは、ある偶然の為に生き方が変化する瞬間を指す。具体例…失恋、落第、日干し、離婚、死別など。つまりマイナスのイベント。☆このマイナスイベントを糧にできる人と、できない人に分かれていく。糧にするためには、四つのSが重要である。①Self(志):自分の人生における大義、すなわち志があれば、状況に流されずにマイナスイベントをバネとして成長していける。②Situation(状況):自分の近未来の状況を予測しておき、現実として面した時の失望を軽減する。③Support(人脈):人脈がある人間の方が、苦難に耐えやすい。仮に人脈が無いとしても、周囲の人間にプラスの貢献を行う。交流のチャンスがあれば、感謝しながら交流を楽しむ。苦境を認め、マイベストを尽くし、機会を逃さないわけである。④Strategy(戦略):今後の方針を見据えると共に、現在置かれている環境に置いてマイベストを尽くす。☆自分は何をしたいのか、を意識して日々を送る。☆責任を持ち、自分の地位を育てる日々を送る。第18回 人生の転機☆気合は重要である。気合とは、意図的に自分を緊張状態に置くことを指す。そして、この状態を日常で時々作りだすのである。☆気合は、役割意識が生む。・気合負けしやすい時が二つある。①相手が年上の時 ②相手が自分よりも地位の高い時だが、自分の役割を、責任を持って果たすことで、これを乗り越える必要がある。(1を打破した具体例)山本五十六長官の真珠湾攻撃前の訓示。(兵学校の先輩にも言い放つ)(2を打破した具体例)某部長。非難し続ける専務に対し、各部長の報連相が今後途絶えることになることへの覚悟の有無を確認。相手にわびさせた。☆ただし、四六時中緊張させてはならない。(具体例)吉川英治氏の「弓のつるの話(常につるを張りっぱなしでは、弓として使えなくなる)」より、遊び(緊張の弛緩)も重要。☆気合をかける瞬間を間違えない。一方気合を抜く瞬間も間違えない。第19回 死に方・生き方・カウンセリング=死に方を教える事・自分の哲学として未確立なことは、一言で明確に言い表せない。☆良い生き方とは、死を忘れるほどにすることをたくさん持っている人生である。☆することとは、心からヤリタイコトのことである。そして、ヤリタイコトを行いながら、精一杯生きる生き方を目指せ。第20回 ABC理論アルバート・エリス先生提唱:Rational emotive behavior therapyの主軸を成す理論である。Accident → Brief → Consequence出来事 → 受け取り方 → 悩み☆ある出来事に対し、どのように受け取るかによって、悩みが発生してしまう。?健全な受け止め方にするためには?①事実に即しているか?(具体例)すべての人に好かれることに越したことはないが、実際はまず不可能である。②非論理的(非現実的)な因果の展開を防ぐ③どちらでも良いなら、少しでも幸せになれる方を選ぶ。例…どもりを逆手にとってトップセールスになった人の話。☆悩む人間は、考え方が足りていない。非現実的、非論理的、多様性の欠如がそこにあるのである。第21回 立居振舞・人間関係を築く上では、敢えて行動に表すことが有効なことがある。 相手が目上の場合。目下の場合。同僚の場合。 (その時代に合わせる必要はあるだろうが)適切だと思われる行動を示すことが望ましい。 適切とは、人間関係を構築しつつ、自分が担う役割を果たせるという意味である。第22回 アイデンティティアイデンティティ=自分は何者か?と定めている意識のこと・國分先生の体験。各種理論や実務経験を積んだ結果、自分が何者かわからずに留学地に赴いた。指導者より「それはアイデンティティの問題だ!」3か月程度で自分のアイデンティティを定めることができた。☆アイデンティティが定まらない。方針が定まらず、一貫性も持てない。まして40、50代になると問題が大きくなる。教育、育児、カウンセリングなど、自らのアイデンティティを定めないと、相手にも一貫性を持って対応できない。☆自分個人は何者なのか?=Personhood(究極の自分)を定めていこう!☆職業・国籍などのアイデンティティと、Personhoodの双方のアイデンティティを持っていこう!☆アイデンティティを自覚するということは、他と比較してどこが同じでどこが違うかを絶えず考え続けることだ。なぜなら、自分ならではの個性と、他人と同様(似ている)の点の双方をおさえておき、自分と他人のアイデンティティが共存できるように、共通性を発見しておくことが大切だからだ。第23回 知識と体験・『知識と体験』 知識だけ理解しているだけでは、本当に理解していること及び活用できることにつながらない。 知識と体験が融合してこそ、はじめて実践的に言動できると言える。 ※ちなみに概念と体験が融合すると、自己理解が進んだり、揺るぎにくい自信があふれてくる。第24回 親孝行・他人が自分に興味を持ったり働きかけてくれるのは、普通にあることじゃないめずらしいこと=有り難いである。 親に甘やかされた人は、他人に感謝すること(例:他人の飯を食う)を実践していくことが重要である。 親に愛されなかった場合は、自分が大人になった上で、親を一人の不完全な人間だったと理解することである。 内観法を活用する方法も有効である。(私はこれで母親に対してはかなり感謝できるようになった)【新・國分康孝談話室要点集】【1ふれあいとは何か 要点】自己開示する勇気を持つ人生が、人とのふれあいを生みます。 自己開示とは、ひとりの人間として何を感じるか・考えるか、を相手に伝えることです。 役割・立場にとらわれずに、人として言動することが大切です。【2なぜふれあいが大事か 要点】 ふれあいにおいて相手を人として尊重することで、相手の自己肯定感を増す支援ができます。 また相手の孤独感をいやすことができます。(人を苦しめるのは、孤独・罪悪感・不安や恐怖) さらに相手に生きる上での教え(示唆)を与えることができます。 最後に以上の3つにより、自らを相手に与えることができ、自分自身(与える側)も喜びを感じることができます。【3ひとりの人間として生きるとは何か 要点】 人にもともと生きる目的はないといえます。生きる目的は自分で創るもの、発見するもの、選ぶもの、といえます。 正解は無いかもしれませんが、自分が納得できるものを手に入れることです。 人には選択・意味づけの自由があります。しかし、他人のせい・環境のせいにしていては、自らの自由を放棄することになります。【4ふれあいを縛る思想 要点】ニーチェは、間違ってもいいから自ら選択して人生の主人公になろうと提唱しています。しかし、多くの現代人は実行できてないようです。例えば「すべての人から愛されなければならない。評価されなければならない。できなければ自分はダメなんだ。」と思い込む人がいます。修正する為には「確かにそれに越したことはないが、達成できなくてもダメではない。自分も相手を嫌う自由があり、現実いろいろな人を嫌ってきた。お互い様だよね。」などと、とらえなおすとよいです。例示の偏った考え方を、イラショナルビリーフといいます。これを粉砕する勇気(courage to be)を持つことが大切です。イラショナルビリーフを自分に向けると、苦しみや欲求不満の多い人生となってしまいます。一方他人に向けると、相手を個性と尊厳のある人(person)として見られなくなる恐れが高まります。【5ふれあいを妨げるグループへの迎合 要点】 自分が人として言動するのを妨げる4要素に、1思想、2グループ、3役割、4組織があります。(今回はグループについての動画です) 他人と仲良くしていても、自他の境界を持つことです。そしていざとなれば他人に同調せずに自分を打ち出す勇気を持つことです。 周囲に同調せずに打ち出す場合は、自分の生きる意味に反しているかどうかが判断基準のカギとなります。一方やみくもに行わずに柔軟性を持たせることも大切です。どうしても打ち出すべきだ!=伝家の宝刀を抜く!という感覚が有効です。【6ふれあいをためらわせる役割 要約】「ひと(person)」同士の触れ合いを邪魔するものに、役割も挙げられます。真面目過ぎる人ほど、惑割から抜け出て、はみ出る勇気が必要なときがあります。すなわち、ひとりの人間とひとりの人間同士のコミュニケーションを目指すのです。【7組織のなかのふれあい 要約】「ひと」同士の触れ合いを邪魔するものに、組織もあり得えます。確かに組織にいる以上、組織の命を実行して貢献すべき(役割を果たすべき)です。しかし、ここぞと思える時は一人の人間として組織の役割から抜け出る勇気を持つ方が良いです。具体例として、外交官の杉原千畝さんの生きざまが参考になることでしょう。では杉原さんのような「ひと」としてふるまおうとする勇気はどこからくるのでしょうか?それは人生哲学なのではないでしょうか?【8Courage to be 要約】役割から抜け出て「ひと」として生きる為には、courage to beが有効です。courage to be とは、自分の生き方・あり方を打ち出す勇気をもつことです。ではどうすればcourage to beの勇気を持てるのでしょうか?第1にパッション(燃える想い)を持つことです。これは問題を抱える現場にいる人たちにかかわり、知り、問題の解決の必要性を感じることで高まっていくものです。第2に自己肯定感(I am OK)を持つことです。その為には、自分の弱さも認めてしまうことです。やることをやるならば、震えたり怖かったりしてもいい。自分にダメ出しをしないことです。また、多くの人をみたり、交流したりすることで、自分が過大視している人間像が、次第に変わっていきます。多くの人はみな、自分と同様に弱さや問題を抱えているのです。人とはそんなものだと安心できるわけです。そして自分自身もそんなひとの1人でいいんだ、と実感していくことも、自己肯定感を高める上で役立ちます。【9打てば響く人 要約】人とふれあうには自己開示が重要です。その為にはcourage to beの精神が大切です。自己開示は、する側と、される側の関係が成立しなければなりません。成立させる為には、どのようなコツがあるのでしょうか?第1に相手が(さりげなく)自己開示してくれている言動を察知することです。察知する為には相手と同様の経験を自分もしておくと有利です。人生においていろいろと試行錯誤することが有効です。第2に「ねばならない(べきだ)」という考え方から抜け出ることです。善悪の判断基準から抜け出ることとも言えます(不思善悪)。第3に強すぎる劣等感を上手に処理することです。劣等感をそのままにすると、相手を引き下げようとしてしまいます。(また、自己肯定感も持てないことでしょう。)【10Being is choosing 要約】ひととして生きる上で大切なのは、選び方です。Beeing is choosingです。(beeingは古い英語表現かもしれません)では何をえらんでいけばよいのでしょうか?第1に自分1人の世界をどのように運営していけばいいのか?についての選択です。第2に他者との縁をどのように生かしていくのか?それについての選択です。第3に人生の受け取り方をどのように選んでいくのか?(例:肯定的、否定的など)です。【11選び方を支える人生哲学 要約】自分が自分らしく何かを選ぶ時の原理は何か? それは人生哲学と相談することです。人生哲学にはいろいろな観点があり得ます。有用かどうか?意味があるかどうか?事実と論理に基づいているか?(論理実証主義)哲学は、自分、相手、皆さん(they)がそれぞれOKであるとよいです。 その為には、人生哲学も折衷主義が良いのではないでしょうか?その方が選択をした際に、納得しやすいのではないでしょうか?【12人生哲学の折衷主義 要約】人生ではいろいろな問題が起きます。その際、自分の哲学に根拠をおいて、生き方(対応の仕方)を選ぶことが有用です。その際、折衷主義が役立ちます。例えば、人生の苦境の時期を過ごしている場合は、その時期に対して意味づけすることで乗り越えやすくなります。自分の希望(目的)に近づく場合、意味づけよりも、有用なのかどうか?で選択することが望ましい場合もあります。自分の想像で悩んでしまっていたならば、実証主義的に問題を捉え直す方がよい場合があります。(例:悩むなら事実に基づいて悩め)つまり、人生で生じる問題は多種多様であり、問題ごとに効果的な対応の仕方(哲学の用い方)が違ってくるだろう(=折衷主義)、ということです。【13生き方・あり方のモデル 要約】生き方とは①思考 ②感情 ③行動 を選ぶことです。思考を選ぶ際は、自分の置かれている状況がどんな意味があるのかについて、選ぶとよいです。感情を選ぶ際は、よく見つめて表現する内容を定めることが大切です。行動する際は、いざというときにどんな言動ができるかが大切です。【14千万人といえども我行かん 要約】第1にふれあいはあるに越したことはないですが、ふれあいを絶ってでも行う方がよいことがあります。それは対決したくなる場面です。その際、次のようなパターンがありえます。対決のパターン1:相手のことばと言葉の矛盾を指摘する。対決のパターン2:ことばと行動の矛盾を指摘する。対決のパターン3:ことばと非言語(仕草など)の矛盾を指摘する。対決のパターン4:非言語と非言語の矛盾。対決のパターン5:行動と行動の矛盾。対決をする為には、強気が必要となります。そして強すぎるふれあいへの気持ちが障害になることがあります。第2に、自己開示が相手とのふれあいにつながらないこともありうる。それでも行おうと思えることがあります。第3に、相手に自己主張することで、相手とけんかになることがありえます。【15ふれあいのある生き方の留意点 要約】ふれあいのある生き方を目指す場合、留意点がいくつか存在します。ふれあいにはルールがあるのです。 第1に自己開示によって、相手が傷つくリスクがある点です。相手が受け入れ可能な状態かどうか?を考えることです。 第2に相手が自己開示したくない場合、それでも要求することは止めた方がよい点です。相手を苦しめてしまいます。相手には自己を開示しない権利があるのです。 第3にこちらが好意のつもりでかかわっても、相手が傷ついてしまう可能性がある点です。その際は、しっかりとフォローするようなヘルプをすることが望ましい点です。 ただし、相手を傷つけてはしまいか?といつもびくびくしていては、自己開示もふれあいも行えません。傷つけることがあることを自覚し、傷つけてしまったら修復する 努力を行い、できなければ同じ過ちを繰り返さないように考え行動することです。【16構成的グループエンカウンター 要約】ふれあいを持つために、どのような経験をすればよいのか?その方法の1つが構成的グループエンカウンターです。(構成的グループエンカウンターとは、プログラムにそってお互いがふれあい、本音で交流し、自分らしさに気づいていく活動です)現代人が抱える問題は大きく2つあるように思えます。1.当たり障りのない会話に終始してしまい、本当に自分が感じていることが何なのか?わからなくなってしまう。=自己疎外の状態になる。2.慢性の孤独感におかされている。この2つを解消する為に有効な方法だと言えます。ふれあいを取り戻して、お互いが元気になる良さがあります。すなわち「あるがままの自分自身になりきることで、(元の元気な状態に)治る」ことだと言えるのです。=to be cured is to be yourself.【17内観法 要約】 ふれあいの姿勢を養う方法の1つに内観法があります。内観法は母親(親などの大切な人)との間で1.してもらったこと2.して返したこと3.迷惑をかけたこと以上3つを丁寧に振り返っていく作業です。あくまで事実を思い出していくことがポイントです。その結果、母親などの大切な人に対する見方が自然と変わってくる効果があります。【18グループ活動・年中行事 要約】ふれあいやすい姿勢を養成する方法の1つに、グループ活動・年中行事も有効です。集団体験をすることで、役割=他人とかかわることを担う経験ができます。(とりわけ幼い時は効果が高い)集団は学校などに限定しなくても、家庭などでもよいです。家庭で時間を共有することで、孤独感を減らせます。【19論理療法のすすめ 要約】ふれあいを邪魔する非現実的な(非自己支援的な)考え方があります。論理療法(非現実的・非支援的考え方を持ってしまった結果、自分を苦しめるので、考え方を修正して苦しみに対応する心理療法)の観点から言うと、3つ挙げられます。第1に「すべての人に好かれなければならない」があります。言いたいことを言えないし、自己開示もできなくなります。現実的にすべての人の気持ち・欲求を察知して満たすことは不可能です。考え方を修正して「すべての人に好かれたらそれにこしたことはない(けれど、実際は難しい)」ぐらいに考えるとよいです。第2に「人のこころを傷つけてはならない」があります。悪意がなくても、相手を傷つけてしまうことはありえます。私たちは全知全能ではないのです。同じ過ちを繰り返さないように努力しながら、考え方を修正して「人のこころを傷つけないにこしたことはない(けれど、実際は難しい)」ぐらいに考えるとよいです。第3に「失敗すべきではない」があります。イエス・ノーすら言えないぐらいに、行動ができなくなります。私たちは全知全能ではありません。今の自分が良かれと思ってマイベストを尽くす(言動する)のです。「失敗しないにこしたことはない(けれど、実際は難しい)」ぐらいに考えるとよいです。<具体例>素晴らしい本を書こうと思わずに気楽に書くから、たくさん本を書けるのです。(Eフロム先生談 なお、これは國分先生も引き継いでおっしゃっておられました)【20ふれあいのある生き方・あり方の三大課題 要約】「ふれあい」のある生き方には原理があります。それは自己開示をする際に、人間としての生き方を語るようにするとよいと思うのです。第1に「死を意識して生きる」です。明日死んでも悔いがないように生きる。精一杯生きる。つまり生きることを充実させられるわけです。第2に「自由」です。どのように生きるか自由なので、精一杯自分が納得できる考え方、感情を味わっていく。自分の哲学に基づいて、選んでいく生き方です。第3に「責任性」です。自分の人生の結果は、自分自身で受け止めるという意識を持つ。つまり、自分が人生の主人公だと正々堂々意識して、生きるわけです。 (補足)現在では論理療法よりも、認知(行動)療法の方が有名になっています。内容は論理療法も認知療法も本質的には同じなので、どちらを学んでみてもよいかと思います。
2025.11.26
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【クライエント像】・40代女性 独身 転職3か月目・転職希望先は、異業種(未経験)の事務職・従来複数の職業を経験してきた。一箇所に所属し続けるのが好きではない。・正社員就労2社 派遣での勤務7社を経験。合計職歴23年。・将来は自分の興味・適性を感じている国家資格を取得して、マイペースで仕事をしたい。【仮想相談文】40代女性です。独身です。転職活動3ヶ月目です。私はあまり一箇所にとどまるのが好きではありません。仕事よりも力をいれたいことが生まれてもきました。ですから、正社員としての就労が2件。派遣としては7件。合計で23年程働いてきました。しかし私も年齢が高くなってきて、最近自分が柔軟でなくなってきたり、新しいことに取り組むのが苦手になってきていることを自覚するようになりました。ですからしばらくは落ち着いて仕事をしたいと考えており、退社して就職活動に集中しています。私は安定して仕事を務める一方、行政書士の資格を取得したいと思っています。将来は行政書士の資格を活用して、マイペースで仕事できるようになればいいと感じています。ですので、今までの業界・職種とはちがった新しい職種(行政書士業務に関連する)を目指すことにしました。その上で、転職活動を支援してくれるキャリアコンサルタントにも相談しながら、転職活動を始めたのですが、採用にまでいたりません。それどころか、面接行くたびに面接官から色々突っ込まれた質問をされます。腹がたったり、がっかりしています。(普通のがっかりじゃありません。すごくです…)どんなことを言われるか?というと「40代で未経験職種に応募なので、何故リスクある道をあえて選ぶのか?」「この歳で職種転換への転職は難しいと思う。40代で新人はちょっとねぇ、30代だと良いけどね。」などです。セクハラですよね?これって。とはいえ、採用してもらう立場なので、面接に行く度に心折れてしまいます。何度も続くので、「どうせ採用するつもりないのに厳しい言葉投げかけるなら、書類選考の段階で落として欲しい!」とも思っています。ずっと落ち続けているので、実務経験として行政書士に関連する経験を得るのはやめることにして、今までの職種で仕事を続けた方がよいのではないか?とも弱気になっています。今までの職種に戻っても、資格の勉強はできるので…とはいえ、次の会社では長く働きたいから、今回が最後の転職活動のつもりです。焦って妥協したくないけど、生活があるので悠長に探してる暇もありません。でも面接に行くたびに、ババア扱いされていて、面接に受かる自信がまったくありません。どうすれば合格できるでしょうか?【回答】こんにちは。転職活動を3カ月もされているのですね。転職活動単体でも、エネルギーをとても使いますし、生まれるストレスも強いはずです。その上、退職した上での転職活動ですから、いろいろと生活不安へのストレスもあることでしょう。そうしたいろいろな逆境の中、それでも何件も応募された上で面接に進んでおられるのは、相当な行動力をお持ちの方だと強く感じました。その行動力を活かしながら、効果的な方法や、今後の進路の方針などを適切に定めていって、新たな職を得て頂きたいと思います。まずは相談者様の現状を再確認しておきたいと思います。他の回答者様とのやりとりも拝見しました。・40代の女性で、退職後に転職活動に集中されている。・未経験の職種に挑戦されている。・今後は行政書士の資格取得を目指していきたい。・正社員としての就労はあきらめようとも考えている。次に企業反応からみる、相談者様の選択にたいする強み・弱みを考えて参ります。(強み)1:面接に何度も進んでいる為、従来形成されてきた職歴(以後「キャリア」と呼びます。キャリアは単に仕事のスキル・経験だけでなく、私生活で培った能力・スキル・マインド等も含めた総合的な指標と考えてください)が、即戦力性と関連のある面、実務能力の高さを感じさせる魅力なども有している可能性がある。2:通常20社ほど応募して、面接に進めなかった場合、その業界・職種における自分のニーズが無い(微少)であることの裏返しと考える方が、現実的であるというハローワークでの1つの裏指針があります。ですが、相談者様は面接に進めているので、応募書類に何かしらの魅力がある可能性がある。(弱み)3:応募書類と面接の関係性は、応募書類が自分の性能の説明書のようなもので、面接はその性能・説明書を証明するためのコミュニケーションと位置付けられます。しかし、複数の応募書類の選考が通っているのに、面接で落とされつ続けています。つまり、応募書類と面接の場でのコミュニケーションが、しっかりとつながっていない状態にあることが考えられます。※後に詳述4:年齢が高いのに新人と言うことは、戦力になってからの稼働期間が短いという圧倒的に不利な負の条件が発生します。この点はどの業界を選ぼうが、新人として入る=即戦力性を活用しない選択肢を選ぶと、必ず発生します。5:他の回答者様への返答から推察したのですが、相談者様は次の転職やキャリアアップを考えている上、それが採用側に伝わっている可能性があります。元々稼働期間が短くなりがちな環境の上、本人の特性・志向から更に稼働期間が短くなりそうだと、相手側に感じられている可能性があります。これらをまとめると、相談者様は応募書類で自分を効果的に訴求できている。また訴求力の源になるキャリアの内容自体を持っておられる。しかし、キャリア証明の方法としてのコミュニケーションでは、上手に訴求できていない。加えて稼働時間が短くなる基本的条件、更には相談者様の個性・志向で、なおのこと短くなるかもしれないと思われていいそうなわけです。ここからは私の私見になりますが、私が先ほど指摘した問題点。すなわち「応募書類と面接での訴求が上手につながっていない」という問題点を解消することが、状況の打開に向けて大切なのではないか?と感じられます。簡単に言うと、現在の応募書類が、相手の好みに合わせすぎて作ってしまっていないか?ということです。もちろん面接に進めないと、コミュニケーションの機会が設けられません。ですから、履歴書では性格かつ簡潔に自分の職歴等を提示します。そして職務経歴書において、相手のニーズを自分(が持つキャリア)が充足させますよ。満足させますよ。というメッセージを送る為に、相手のニーズをとらえた内容で作成するように指導されたのではないでしょうか? キャリアコンサルタントから助言をもらえた機会もあったようなので、そうした工夫を既にされているか、仮に指示が無くても、それをする能力をお持ちなのではないか?とは感じられます。しかし、その姿勢は「書類と本人の訴求内容とのギャップが大きくなる」という傾向を高めるリスクを持っています。これは相談者様だけではありません。多くの応募者の方々が通過するジレンマです。書類選考は通りたい。でも本当のことを書きすぎれば、マイナスポイントも相手に把握され、何より書類選考が通らないことになる。このジレンマは、本当につらいことでしょう。ですが、これは実は採用側も同じなのです。応募書類を事前に把握し、期待を感じ、いざ面接してみたら「思ったよりも応募書類とは違うキャリアを持っているようだ、人物像のようだ」と感じて落胆することが、たくさんあるわけです。だから場合によっては、その気持ちを応募者にぶつけてくるような企業も少なくありません。(企業側が高望みするのも、自業自得だとは思いますが…)ですから、このジレンマの解消として、以下の案をご提案申し上げます。提案1:再度応募書類を作成し直す。基本的には応募先の業界・業種の研究を十分に行い、ターゲットたちが求めるニーズを探り当てます。そしてそのニーズを充足するキャリアが自分にはある、ということを訴求します。ですから履歴書では、正確かつ簡潔な経歴を列挙します。そしてニーズへの対応として、職務経歴書の内容で勝負します。職務経歴書を作成する為には、自分の今までの職歴を棚卸する必要があります。そして重要なのが、「ご自身の人間力に大きく関わる部分=ベテランとしての人間力対応、応用力の発揮、役職にいなくても発揮するリーダーシップ等の訴求、につながる自分の個性などのふりかえりも大切になってきます。恐らくですが、この後者の人間力の振り返りが不十分なのではないか? それによって、応募書類と実際に面接で観られる姿が違ってしまうのではないか?という可能性を感じます。(これは、採用者側の多くが、嫌味を言ったりしてきているという反応を示していることを証拠に考えています)ですので、例えばですが楽天ブログ ボランティアキャリアコンサルティングサイトの就職活動編を読んで頂き、時間をかけてもう一度自己理解の作業をおこなってみるのは、おすすめです。その内容を、従来のキャリア(これは事実ベースで訴求できていれば、相手が評価している可能性があります)とかけわせて、書類上でも、面接上でもPRできるとよいかと思います。チャプター0と1(できれば2も)に取り組んでみて下さい。https://plaza.rakuten.co.jp/kendochourai/diary/201707250000/提案2:面接内容の反省をPDCAで科学的に行っているか?私も多くの面接の場において、削られてきた経験を持っています。この痛みがあるからこそ、他の方に経験させまいとしてキャリアコンサルタントを取得しました。本当に辛いはずですよね。でもそのつらさを「成功のための糧」にできてしまうと、流れは大幅にかわってきます。筋トレのようなものです。きついし、痛みもある。でも乗り越えると、体力がついているなどの自分に好ましい結果がついてきます。面接も同じです。相手がどのような点を質問してきたのか?批判してきたのか?くりかえし、確認してきたのか?嫌味をいってきたのか?それらを頭の中で覚えて置き、面接終了後に直ちにメモなので記録します。その後、ご飯をたべたり、休んだりします。鋭気を養った後に、それらの採用側スタッフの発言の意図を、分析するのです。1.私に求められたニーズは何だったのか?2.何が本心・本音にこめられていたのか?特に批判、嫌味は、表面的なことを踏まえても効果がうすいのです。例えば「今から新人じゃあねぇ。年くってるしねぇ~」と言われたら、その意図を考えてみます。・自分の覚悟を試された・自分の向上心を試された・自分の更なるキャリアアップの気持ちがばれた?最後の就職先でないと感じて、活躍期間が少ないって思われた?こういう分析、気づきを、1:応募書類にある程度盛り込む(1社ごとに内容を大幅に変えるのは大変なのである程度)2:面接の場でのコミュニケーション内容においては、(大幅に)十分に盛り込みながら、対応する。という作業を行うわけです。☆ベテランがPDCAを使いこなすとは、たとえばこのような対応なのではないでしょうか? 私には相談者様が必ずこれをできる力がある!と強く感じております。またこうした姿勢・能力は、かりに相談者様が40代の新人だとしても、新人ながら即戦力性もあるという存在をPRする材料にもなるのです。提案3:自分の活力を維持できているか?ストレスへの対応は、就業に成功した後も重要ですよね。就職活動期間で多大なストレスを受けていた。そして新しく入った企業でも数か月はストレスが大きい状況が続くわけです。この期間を乗り越えて、安定して仕事をできることが、相談者様の真の目標なのではないでしょうか?とすれば、現在から就職後の数か月間も見越したストレス対処方法を学んでおいて、それを明日からでも実行することがよいと思います。実行力のある相談者様には、活用しやすい方法だと思われます。詳しくは「コーピング」「レジリエンス向上」について、先ほど紹介したサイトの記事をご覧ください。(まとめ)私は相談者様のキャリアには魅力があるはずだと感じています。一方、書類と面接の場での振る舞いの連動が不十分である。その為に必要な自己理解・仕事理解が不十分である。就活に限定して発生する問題解消法としての具体策(例:PDCA)があまりなされていないことを感じました。それらは相談者様の能力・行動力の発揮によって、十分に対応可能と強く感じます。応援しています。(^^)【ポイント】1:クライエントの主訴を把握する。今回は面接に受かる方法を教えて欲しい。また自信を失っているので、支持して欲しいとも感じているはずです。2:主訴に応える具体的な案を複数提案します。クライエントが主体的に選択できる状況を作ります。もちろん、クライエントのニーズを反映させた提案内容にします。キャリアコンサルタントの価値観で、良いと思われる方法を提案することは控えます。【流れ】1:クライエントの頑張り、苦労をいたわる。2:現状を客観的に再確認する。3:(ニーズを把握しておいて)現状の強みと弱みを提示。強みはクライエントの自信を回復させる。弱みは問題の解消を狙う為に提示する。4:キャリアコンサルティング、就職活動におけるノウハウという専門スキルをベースとして、今回のクライエントが抱える問題を解消しうる対策を複数提示する。5:クライエントをエンパワメントし、勇気づけて終了。
2025.11.17
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確かに老親を自らが介護することは、本来であれば親孝行になりますし、望ましいことなのかもしれません。しかし世の中にはいろいろな事情があります。その結果、老親たちに自立した生活を自主的に送ってもらい、自分は同居せずにキャリアを形成していく(≒生活していく)ことがどうしても避けられないことも多くあります。今回は読者の方に介護・支援の必要性のある老親がいた場合、どのような助言内容を相手に提示すると効果的なのか?例示しつつ考えてみたいと思います。老親たちは自分たちだけで生活することに不安を感じるかもしれません。また今まで家族や親族などに依存して生活していた場合、自分たちだけで自立した生活を送ることに抵抗感を感じることもあることでしょう。ですので、もしも老親たち(夫婦)だけで暮らすメリットがある場合は、そのメリットを相手に伝えることが大切になります。たとえば、本人たちがプライドが高い場合。「目下の存在である別居の息子・娘にお願いごとをするなど、嫌なことをしないで済む」などを訴求できることでしょう。実際に老親だけで生活する場合、どのような問題が発生しうるのでしょうか?もちろん経済的な問題は、最優先して考える必要があります。しかし後期高齢者などの場合、生活保護を受給するという方法があります。老親の経済的支援が困難の場合は、活用することを検討してください。老親たちが住んでいる地区の福祉事務所に相談してみましょう。今回の記事で焦点を当てたいのは、よく話題に上る「経済的問題への支援以外の諸問題」についてです。諸問題とは、具体的にはどのような問題がありえるのでしょうか?以下に例示して列挙してみます。①通院などで必要な外出をどうするか?②買い物・食事をどうするのか?③健康習慣の維持をどうするか?④心配や悩み事を聞いてくれる人が少ない⑤居室内での転倒・転落を防ぐには?⑥浴室での事故を防ぐには?⑦要介護・要支援認定を受けらえるようにする。⑧同居する相手への満足度が低くなる。⑨知らない場所にいくのが不安・おっくうになる。⑩(特に将来に対する)不安を感じるようになる。⑪住環境が合わなくなってくる。⑫別居の家族・親族たちとの連絡が取れない。取りづらい。⑬受診しやすい医療機関を探せていなかった場合は?⑭ちょっとした雑用の困りごとに対応してもらえない。⑮社会的に孤立してしまうのではないか?という不安⑯病気や認知症の発見が遅れてしまう。⑰悪化させない為の方法がわからない。⑱詐欺にあう不安がつきまとう。⑲強盗などの被害にあう可能性がある。では各問題の具体的な対応方法について、具体的に考えていきましょう。①通院などで必要な外出をどうするか?・タクシーを最大限に活用する。・介護タクシーを利用すれば、車いすなどでも病院に行くことが可能になる。介護タクシーの利用方法は、いざというときにはケアマネに連絡すれば教えてくれる。しかし夜間などに発生することもありえる。事前に自分たちで調べておく方が安全と言える。・買い物の代行など、自分で外出することにこだわらないで、代行してくれるサービスを利用するという発想を持つ。 ②買い物・食事をどうするか?・要介護者に対する介護サービス(生活介護)として、買い物に行ってきてもらう。・ネットスーパーのサービスを利用する。ネットスーパーを利用できるようになるように、事前に息子・娘などのわかる人間にやり方を教わっておく。・冷凍食品を活用する。通販の冷凍食品を活用する。・宅配弁当サービスを利用する。・買い物や食事に限らず、スマホで依頼できるサービス内容は今後増える可能性がある。スマホへの切り替えと、単純な操作に慣れておく必要があると思われる。③健康習慣の維持をどうするか?・デイサービス、訪問リハビリなどの介護サービスを利用する。・痛みとつきあいながら、家事をなるべく多く行う。・移動の際は、てすりなどにつかまることを非常に意識する。・無理のない範囲での筋トレを行ってみる。テレビの情報番組などでやっている程度でよい。④心配や悩み事を聞いてくれる人が少ない・地域包括支援センターの相談員などに相談してみる。そして交流先を紹介してもらう。・医療のことなら医者、介護のことなら介護サービス先スタッフ又はケアマネジャー、に質問すると良い。・「チャットGPT」などのAIの進化が急速に進んでいる。本当に多くの質問に答えてくれるので、パソコンでチャットGPTに質問できるようにしておくと良い。・スマホを活用して、声で質問すると答えてくれるという機能がある。それを活用しても良い。⑤居室内での転倒・転落しないためには?・支援が困難な場合、すぐにケアマネに連絡する。または119番通報する。・緊急通報システムを利用できるようにしておく。※(居住地区の緊急通報システムをネットで調べた上で紹介すると良い)⑥浴室での事故の防ぎ方・高齢者男性は従来通り、介護サービスを利用し続ける。・脱衣所の整理をいつもしっかりとしておき、ちょっとしたことでつまずかないようにしておく。⑦要介護・要支援認定を受けらえるようにする。・「地域包括支援センター」に連絡すれば、紹介してくれたり、連絡先を教えてくれるので心配する必要はない。⑧同居する相手(配偶者)への満足度が低くなる。・夫婦間のコミュニケーションの質・量を十分に確保する。・場合によっては、アサーションスキルを学んでみるのも有効。・別居の家族・親族たちに対して、事前にアポイントを入れた上で、電話等で相談に乗ってもらう。・夫婦で一緒に過ごす時間を減らし、自分だけの時間を増やすようにする。・自分が好きだと思えることを、それぞれに楽しむようにする。⑨知らない場所にいくのが不安・おっくうになる。・代わりの人に頼めるのであれば、代行するのも1つの方法。・介護タクシーを利用し、半日利用などの応用的な方法を活用する。(料金は事前に確認しておく)⑩(特に将来に対する)不安を感じるようになる。・健康上、介護上の具体的な悩みについては、医師、介護士などに相談する。・役所にて、多くの住民サービスが提供できるようになっている。電話で代表にかければ、相談の概要を聞いた上で、担当部署にまわしてくれる。※それがやっかいだと思えるならば、パソコンで役所のページをインターネットで調べられるようにしておくと良い。・アポをとった上で、別居の家族・親族たちに相談にのってもらう。⑪住環境が自分たちの体の調子・生活リズムに合わなくなってくる。・ケアマネに具体的に相談する。・寝室を1階に異動させる。その為の具体的な支援は、ケアマネに相談する。・介護により適したベッドなどを、福祉用具のレンタルとしてサービス利用する。(詳しくはケアマネに相談する)⑫別居の家族・親族たちとの連絡が取れない。取りづらい。・別居の家族・親族たちにはそれぞれに自立した生活がある。その前提を意識する。・アポをとって、連絡する、相談にのる、支援にきてもらうなどの、マナーを守ったかかわりをし続ける。そうすれば別居の家族・親族たちもかかわりを嫌がりにくくなると思われる。・別居の家族・親族たちにこだわらない。緊急通報システムを活用したり、別の相談者に急ぎではない場合は、相談・連絡する。⑬受診しやすい医療機関を探せていなかった・大学病院以外に、通いやすい開業医も探しておく。・開業医の情報については『かかりつけマップ』等を手元に用意しておく。⑭ちょっとした雑用の困りごとに対応してもらえない・アポを取った上で、別居の家族・親族たちに依頼。・シルバー人材センターを利用する。この施設は、登録している高齢者を活用する制度である。家事援助、草取り、庭木の剪定、軽作業、書類整理など、様々な「信頼できる高齢者による作業」依頼が可能。 ・高齢者自立生活支援事業を利用する。行っている市区町村がある。・介護予防・日常生活支援総合事業(訪問型サービス)を利用する。掃除・洗濯・食事準備・買い物など、生活支援全般を訪問サービスとして提供してもらえる。⑮社会的に孤立してしまうのではないか?という不安がある・通所型の介護サービスを利用し、交流も行う。・アポをとって、別居の家族・親族たちに相談する。・地域包括支援センターなどに地域コミュニティを紹介してもらい、親交を深める。⑯病気や認知症の発見が遅れてしまう・物忘れ外来に定期的に受診する。・長谷川式認知症スケールを月に1回程度、お互いで確認し合う。・従来通りに定期的に病院を受診し続ける。(長谷川式認知症スケールのやり方)※引用先がわからなくなりました…◆用意するものテストを実施する際は、筆記用具とテストの評価用紙を用意します。また、テストで使用する品物を5つ用意します。例えば、時計やハサミ、皿、鍵など、互いに関連性がなければ身近なもので構いません。テストには年齢を確認する設問があるため、事前に年齢を確認できるものも用意しておきましょう。なお、テストの開始前に本人に確認することのないように注意してください。◆内容実施するテストの設問は、以下のような内容です。1. 年齢はいくつですか?2. 今日の年月日、曜日は?3. 今いる場所はどこですか?4. 今から言う3つの言葉を覚えておいてください。5. 100から7を順番に引いてください。6. 今から言う数字を逆から順に言ってください。7. 先ほど覚えてもらった言葉を言ってください。8. 今から5つのものを見せます。それを隠すので何があったか答えてください。9. 知っている野菜の名前をできるだけ多く答えてください。テストは30点満点で構成されており、20点以下の場合は認知症の疑いがあるとされています。◆認知症テスト「長谷川式スケール」を行う際のポイント前述したように、長谷川式スケールは自宅で実施することも可能です。ただし、自宅で実施する際には、正しい結果を出すために注意すべきことがあります。ここでは、自宅で行う際のポイントを解説するので、実施前に確認しておきましょう。◆テストの実施に適した環境を整える周囲に人がいる場所や人の出入りが多い環境では、設問に集中できない可能性があります。また、テレビの音なども、気が散ってしまう原因になるでしょう。正しい結果を導き出すためには、リラックスした状態でテストを受けられる環境が必要です。また、検査を受けること自体が、本人にとって大きなストレスになる可能性があります。そのため、強制されるような印象を与えないことも大切です。◆体調が万全な状態で実施する耳の聞こえが悪い状況でテストを実施すると、設問を聞き間違えたり内容を勘違いしたりする可能性があります。そのため、設問をゆっくり読むなど、耳の状況に合わせて実施することが大事です。また、認知機能は精神状態に左右される可能性があります。正しい評価を得るためには、精神が安定している状態で実施することが大切です。うつ状態などが疑われる際は、早めに医療機関を受診しましょう。⑰膝や腰の悪化させない為の方法がわからない。・理学療法士(PT)がリハビリを行ってくれる整形外科に通う。⑱詐欺にあう不安がつきまとう。・訪問してのビジネスの話は一切契約しない。話も聞かない。・先方から電話してきてのビジネスの話は一切契約しない。・警察や弁護士等を名乗る人間の話も、1分間程度で相手が話したい話題を確認し、それについて別居の家族・親族たちに確認を行う。・インターネットのサービスを利用する場合は、サービス契約時に別居の家族・親族たちに見守ってもらう状況で契約を交わす。それを継続する。⑲強盗などの被害にあう可能性がある。・訪問介護の人間の出入りを継続させておく。・別居の家族・親族たちに家に来訪してもらうように働きかける。・何かしらの業者を家にあげる場合は、関係ない部屋の扉を全て閉じておく。また、なじみの業者しか利用しないようにする。・新規に業者を使わざるをえない場合は、役所などが紹介する業者を利用するようにする。・たまに民生委員の人に玄関でよいので、立ち寄ってもらう。※民生委員連絡先も調べて教えてあげると親切と言える。老親たちが老いてから自立的な生活を送ることが必要になった場合、衣食住をはじめ、彼らが感じる不安、生きづらさは間違いなく発生すると思います。問題の内容は多岐にわたり、しかも現実的なものが多いことでしょう。しかし、それらを公共・福祉サービスを最大限に利用し、事前の準備をしっかりと行い、最小限かつ最大限の支援を親族・家族が行うことで、十分に乗り越えていくことが可能です。その結果、皆様も老親の方々も共に幸せになれることを願っています。
2025.11.15
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【衝撃的経験によるトラウマ受傷と被害者(当事者)の回復】トラウマが発生する場合、その後の経過として3パターンが考えられる。①損傷から立ち直れず、ずっと機能が低下した状態が継続する。②時間がかかるが徐々に回復していき、なんとか以前の機能レベルに戻る。③時間がかかるが、それまでとは異なる適応変化を示し、結果的に以前とは異なる適応レベルを示せるようになる。つまり、むしろ成長してしまう。大半は①か③をたどると言われている。そして多くの専門家が③の状態=トラウマ体験後の回復と成長(post traumatic growth)として注目するようになった。【トラウマによって生じる非可逆的(戻れない)ダメージ】まず幼児期や児童期において長期間強いストレス状態にさらされると、生理学的なレベルでいつも警戒興奮している状態を強いられることになる。その結果、脳に破壊的なダメージが与えられてしまう。【トラウマによるとみられる過覚醒反応と不適応行動:発達性トラウマ障害】生理学的なトラウマのダメージは、複雑性PTSDや発達性トラウマ障害という形で現れる。とりわけ発達性トラウマ障害は、次のような診断基準が示されている。①強いストレスにさらされた経験(青年期までに1年以上)②過覚醒状態を調整する通常の発達的な能力が獲得されていない③注意や行動の調整がうまくいかない。④自分や他人との関係性の調整がうまくいかない。【トラウマによるとみられる子どもの過覚醒反応とその対応】過覚醒反応としての子どもの行動像(≒パターン)には、以下のような内容が含まれる。①イライラした攻撃的言動:死ね!殺すぞ!等②注意集中困難による言動:え? なに?等③過敏な警戒反応:なんでそうなるんだ? 誰が決めた?等④驚愕反応:信じられない! マジか!? ありえん!等⑤自己破壊性の高さ:自傷行為、敢えて危険すぎる行動を行う等⑥睡眠障害これらは指導者や支援者からの叱責、追及的姿勢、禁止、抑止、制圧などの姿勢によって、さらに悪化されてしまう特徴を持つ。見えない何かの理由によって、トラウマとなっており、その結果の「問題行動」なのである。その仕組みを今一度思い出し、当事者と支援者が一緒になって鎮静化を考える姿勢が重要となってくる。当事者は悪い人(子)ではない。悪い言動をしているが、それはトラウマがさせているのだ、という仕組みを意識して頂きたい。眼鏡をかけるのである。【性的虐待事例の緊急保護からの行動像】性的虐待のケースでは、特に初期対応における調査保護の実施が重要である。また調査は直後からしばらく継続されることも重要となる。性被害にさらされた当事者(子ども)は、特に無力感、否認、矮小化(自分がちっぽけな存在だとする)で、自分のこころをなんとか守ってくることが多い。ところが、当事者たちの子どもながらの懸命な防御態勢を、児童相談所などが行う被害調査の実施は、一気に吹き飛ばしてしまうのである。客観的には問題改善に進めるはずが、当事者にとっては今までの心をまもるバリアが消し飛んでしまったわけである。これがショックを生み、不穏な状態へと追いやる結果になる場合がある。そしてこの不穏な状態、対人暴力、対人トラブルもまた、性加害によってもたらされたトラウマが原因していることを忘れてはならない。【性加害された子どもへの中長期的支援】性加害された子どもは、障害にわたってトラウマ性の生きづらさに繰り返し悩むリスクを負ってしまう。それゆえ、支援者は常に当事者がそのリスクを背負っていることを意識し、関連する問題行動の出現に関心を向けておく必要がある。場合によっては支援者とのコンタクトが、トラウマのリマインダーになりかねないことにも留意すべきである。一見平穏に見える日常生活における当事者の言動から、支援者はトラウマの影響や不穏を察知することが望まれる。特に①睡眠状態 ②起床時の容易さ ③食事のおいしさの状態把握は、観察を助けてくれる。【トラウマ・インフォームド・ケアの観点からみた初期課題】当事者が子どもの場合、基本的に施設処遇でチームケアによって支援される。だがこのブログ記事は、成年がセルフケアの一環として読んでくださっている可能性がある。故に対象者を子どもに限定しない視点で説明したい。第1段階としては、生活全体において。すなわち日常生活において、安心・安全が確保されている状態。これを確保することである。衣食住に(大きな)不安がない。そうした環境が今後継続しそうである状態。自分が安心できる居場所がある。こうした状態をベースにすることで、当事者のリマインダーを減らすことができる上、本来のレジリエンスの向上なども期待できる。コーピングする余力も増すことだろう。第2段階として、仮にトラウマが影響した問題行動が発生した場合、そのストレス反応が自然な反応であることを認めることである。自分を責めないことである。その問題行動はトラウマが原因しているのであり、大切なのは今と将来(今後)、問題行動をどう解消していくか? 改善していくか? それに向けて意識を向けて、実行へと移していくことである。第3段階としては、トラウマ・愛着上の問題に対して、専門的かつ具体的なケアを実践する段階である。①対人関係の問題、相手と自分の境界を区別する(=自我の確立を助ける)、という問題に対しては、心理教育的な記事を読んだり、認知行動療法のセルフワークを実践したり、ソーシャルスキルトレーニングを実施したり、カウンセリングを受けたりする。②リラクセーション能力を向上させる。具体的には自立訓練法を試す、マインドフルネスを実践してみる、初心者向けのヨガをやってみる、ストレッチを実践する、呼吸法を試してみるなどの対応が考えられる。③間違って習得した対人行動の修正を行う。これは一人だと難しい為、カウンセラー等の支援が特に有効になる。これにソーシャルスキルトレーニングを組み合わせるとなおよいと思われる。④トラウマ性の症状・行動の確認。心理教育として記事を読む、などが挙げられる。第4段階は、トラウマ体験後の回復・成長の段階である。第3段階までを実践した方々には、対人関係におけるレジリエンシーのある関係性を、従来の方法にとってかえて、新たに習得することができている。それは生活環境の安全確保の継続や、対人環境の安全確保を確保する環境調整などとあいまって、トラウマ体験からの回復だけでなく、成長をもたらすのである。もちろん成長した状態でも、トラウマが完全になくなったわけでもなければ、完璧になったわけでもない。当事者は必要なときに、いつでも専門家から支援をうけられるようにしておくことが大切である。セルフケアでやりきったあなたに対しては、いつでも必要な内容・教えを再学習できるツールを準備しておくとよい。(参照)『トラウマ体験後の回復・成長 ~トラウマ・インフォームド・ケアの考え方~厚生労働省「平成30年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業」
2025.11.09
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【トラウマを抱える当事者たち】トラウマを抱える者たち、とりわけ子供たち(以下「当事者」と表現)においては、成育過程での愛着の形成不全やトラウマの衝撃によって、情緒発達が未成熟であったり、恐怖や不安に圧倒されて感情全般が抑圧されるリスクを抱えてしまう。それでも感情を他者に適切に伝えられるようになる為には、①自分の状態に気づく。受け入れる。②自分の感情に気づく。そしてそれらを名付ける。③それを表現したり、調整したりするスキルを習得する。という3ステップを踏むことが望ましい。当事者にとって、生活の中での大きな音、怒鳴り声、緊張場面などは、過去のトラウマを思い出すリマインダー(≒きっかけ)になってしまう。リマインダーの影響により、当事者たちは不穏になったり、フラッシュバックを起こしたりする。やっかいなのは、何気ない視線やほめことばですら、ときにリマインダーになりうる点である。なぜなら「また裏切られてひどく傷つきたくない」という心の防御が働くからである。だから「ほめられた。嘘にちがいない!」とこころを守ろうとするわけである。当事者のこの特徴は、支援者を「怒っても、ほめても、いずれも通用しない状況」に陥らせる。その結果、支援者たちを疲弊させる大きな要因の1つになっている。【トラウマの「メガネ」で「見える化」を目指す】当事者の「問題行動にみえる言動」の背景(根底)には、過去の逆境やトラウマ、喪失による慢性的な過覚醒などがある。イメージとしては氷山にたとえることができる。氷山はごく一部の小さな部分だけ水面上に見えているが、その大部分(本体)は水面下に隠れていて見えない構造をしている。トラウマも同じである。問題行動に思える部分は、トラウマ全体から見ればごく一部分にすぎないのである。そこでトラウマをケアしていく為には、見えない背景(根底)の部分も明らかにしていくことが求められる。これを「見える化」という。そして見える化を達成する為の「メガネの役割」を果たすのが、トラウマ・インフォームド・ケアなのである。※但し支援者が一方的にトラウマの内容について問いただそうとすべきではないので、注意が必要である。トラウマ・インフォームド・ケアにおいて大切な点の1つは、当事者たち(家族等を含む)も、支援者も、双方ともにトラウマについてある程度知っているという状況にすることである。風邪を例に挙げよう。もしも風邪という病気の概要を知らなかったら、発熱してセキも出ているような得体のしれない具合の悪さの中、病院に連れていかれ治療されることに恐怖を感じるかもしれない。受診を拒否することもあるだろう。風邪だとわかるからこそ、安心して治療できるのである。つまりトラウマには生きづらさを生む特徴がある。そして当事者たちが何かしら、トラウマの影響を受けている可能性がある。それを当事者たち、関係者たち、支援者たちが知っていることが望ましいのである。【トラウマケアの3段階】TICには、多くの人に広く周知されていて、活用されうる状態になっていることが望ましい特徴がある。つまり予防も重要な目的としている技術である。TICの段階は3段階に分かれる。第1段階:一般的なトラウマの理解と基本的対応(Informed)全ての人を対象にする。トラウマ・逆境の理解と生活環境に及ぼす影響についての一般知識を持って関わる。第2段階:トラウマに対応したケア(Responsive)リスクを抱える人を対象にする。被害の影響を最小限に抑え、健全な成長と発達の機会を最大化する為の支援第3段階:トラウマの特化したケア(Specific)トラウマの影響を受けている人が対象。特定の介入(例:カウンセリング)により、人生を統合していく支援(一般の方々のトラウマケアのイメージはこれ)第1段階はトラウマの予防の目的を含んでおり、多くの人をトラウマの悪影響から守るという意味で、非常に重要である。トラウマによる生きづらさを抱えた人が、生活をしやすくする為の障壁(邪魔なもの)を無くしていくアプローチと言える。第2段階では、TICをベースにしながら、トラウマの影響を受けた人(リスクのある人)に対して、個別のケアが提供される。いわば早期発見・早期治療となり、二次予防的な性格を有している。被害の影響を最小限に抑え、成長と発達の機会を最大化することが狙いである。第3段階では、強い影響をトラウマから受けている人が対象となる。つまり特化したケアが提供される。例えば心理療法、薬物療法などが該当する。そして被害体験を人生に統合していく働きかけをする。TICを実践する上で大切な要素が4つある。英語の頭文字から取った「4つのR」である。①Realize:トラウマについての知識をもって「気づく」②Recognize:どんな影響を受けているのか「認識する」③Respond:適切な「対応をして」④Resist re-traumatization:再トラウマを「予防する」※「」内の英訳が各英単語となるつまり、トラウマの知識を持つことで、トラウマの影響を見過ごすことなく認識できる。その認識に戻づいて適切な対応をすれば、支援対象者を傷つけて、当事者に更なる心のけが(=トラウマ)を負わせることがなくなり、再トラウマを防ぐことができるという取り組みである。トラウマから悪影響を受けている当事者たちは、悪影響を受けている事実、その結果自分が抱えている生きづらさ。その双方に気づけていないことがとても多い。自責感、自己否定感が強い為である。それらは、トラウマからの回復を邪魔してしまう。そんな機会が日常生活で多く見られうるのである。だからこそ、支援者だけでなく、当事者たちや関わる人たち(家族等)も、トラウマの性質、影響、適切な対処方法を知っておくことが大切になってくる。これがTICを広く周知する必要性の高さの理由である。【トラウマ体験とその影響を理解する】トラウマになりうる経験は、非常に多くの人が実際経験している。しかし全てがトラウマになるわけではない。それはなぜだろうか?米国物質乱用精神保健サービス局はトラウマの概念について「3つのE」で説明している。①Events:どんな「出来事」があったのか②Experienced:どんなふうに「体験」したのか③Effects:どんな影響が起きているのか例えばとある兄弟が、空手家の父親から厳しく叱責されていたとする。これが出来事にあたる。そして高校生だった兄のAは、日本一の空手家になるという父の夢を達成する為の伝承者になるための特訓だという体験をしてきた。一方、小学生だった弟のBは、理不尽に自分の自由を奪われてしごかれているという体験をしてきた。その結果の影響として、Aは全国大会の上位入賞者の常連になるという影響を受けた。一方Bは、父を恨み、厳しく言動する人間には極端な反応を示すようになる影響を受けた。これは事実として起きた現象が、当事者の受け取り方に応じて、異なる影響を及ぼすというプロセスを生むわけである。とはいえトラウマを生み出す可能性がある事実について、当事者なりに体験してしまったわけである。思い出したくないと否認したり、思い出すことができないほどに抑圧している場合もある。その為、支援者側としては、まずは支援の初期段階で「こんな経験をする人は少なくない」という心理教育を実施しつつ、相手の生きづらさや苦労などを理解し、寄り添う姿勢が大切となる。幼少期に発生した事実ほど、当事者は客観的に理解することが困難である。事実を体験した時の年齢(幼さ)、状況、認知の特徴によっては、「圧倒される恐怖」「絶望」「支配される屈辱」などを感じるリスクがある。それらは事実が発生した後において、周囲が適切にサポートを提供しない場合、更に予後が悪くなる。つまり第3段階のトラウマに特化したケアが必要になってしまう。【逆境的小児期体験と発達への影響】いずれにせよ、幼少期の体験は、人生に大きな影響を与えるものである。そして不幸なことに、18歳までに虐待や家族の機能不全を数多く体験するほど、成人期以降の心身の疾患や社会適応の状態を悪化させ、暴力の連鎖や寿命の縮小につながることが児童期逆境体験に関する研究で明らかにされている。つまり安全でない環境だから、こどもはつねに危険に備えて、無理やり覚醒レベルを上げてこどもながらに懸命に生きざるを得ないのである。サバイバルに殆どの要素をつぎこむ当事者たちが、身体的・社会的な成長に使うエネルギーを持てないことは容易に想像できよう。しかも生理的にも脳・神経系発達への深刻なダメージが発生する。こうした逆境やトラウマを経験すると、自然な反応としてトラウマ反応や症状が生じる。解離やフラッシュバックなどである。その際外部からは、当事者がぼーっとしている、あくびをしている、切れやすくなっている、というような様子に感じられる。当事者に話をきいても、彼らは無力感、絶望感を抱いていたり、自他を責めていたり、ときに自傷行為に走ることなども、ある意味自然な結果とも言える。しかもその際、当事者たちは苦しみ続けているのである。別の反応としては、無自覚にトラウマと類似した行動や関係性を繰り返すという「トラウマ関係の再演」も起きやすい。これもまた、当事者の心を守ろうとする反応の1つである。自分が受けた被害を、他者にやりかえすという行動。(例:性加害されたので、性加害し返す)被害時にできなかったことを、他の場面・他者に対してふるまおうとする行動。(例:安易な過剰暴力)再演に陥った当事者たちは、支配する-される(やる-やられる)という関係性に執着し、それを繰り返してしまい、健全な人間関係を構築できなくなってしまう。再演に陥った当事者たちの認知や対人関係パターンが上記のようにであると理解できれば、当然支援者たちもそれに巻き込まれるのは、容易に想像できるだろう。当事者は支援者を素直に信用できない。だから、いろいろと試して、揺さぶってくるのである。からかい、裏切り、攻撃、挑発など。それに感情的に、威圧的に支援者が反応すれば、当事者たちは「ほれみたことか。やはり支援者などと言っても、信用できないのだ!」という悪循環になってしまうのである。支援者側としては、再演の仕組みを知り、いかに巻き込まれないように対応するかが重要となる。【TICの実践】TICは、現在の問題行動を、トラウマの視点から理解するアプローチである。それは前述の氷山のたとえ通り、見えない部分を見える化して対応するアプローチである。ただし見える化するといっても、当事者のトラウマの記憶をやみくもに掘り起こすことを前提にする対応ではない。要はその問題行動はトラウマが関係しているかもしれないな?という視点をまず持つことである。当然ながら、トラウマを原因としないケースも多数ある。それが理解できていれば、例えば当事者たちに教育的なかかわりを行う際でも、指導力を発揮した言動の矯正・修正よりも、相手はなぜできないのだろうか?という理由を理解していくという姿勢につながることだろう。また相手がなぜそのように捉えてしまう(認知してしまう)のか?理解しようとする姿勢にもつながるはずである。そして「3つのE」を活用して、支援者は当事者と一緒にまず事実確認からスタートさせていくことが望ましい。その事実に対する認知(感じ方・捉え方)を話題にした段階になったときには、単に相手の感情に寄り添うだけでなく、感情の結果起こした言動を支持することも有用となってくる。たとえば支援対象の当事者が、親の非常に理不尽な言動があった為に、非常に怒り(感情)、口汚く親を批判して罵った(言動)場合。「それは親とはいえ、厳しく言い返しても仕方がないよ。言い返しても当然だよ」というような支持をすることで、本人の自信回復につながりうる。その上で「馬鹿にされた」「無価値扱いされた」などの認知に対して、より生きやすくなる考え方、行動の仕方を一緒に考えたり、心理教育したりすることが望ましい。具体的な対処法としては、リラクゼーションをはじめとするコーピングという概念を学び、実践することが望ましい。また認知(考え方)を変えていきやすくするには、認知行動療法も有効と言える。いずれにせよ、トラウマに関する問題は、当事者、当事者にかかわる家族等、支援者の三者がいずれも巻き込まれることになる。だからこそ、TICの骨子である「トラウマについて知っておく。トラウマがどのように悪い影響を当事者に与えて、その結果当事者たちはどんなことを問題行動として起こしがちなのか」を踏まえた支援が必要となるのである。(参照)『トラウマインフォームド・ケアを学ぶ~トラウマのメガネでみてみよう~』厚生労働省「平成30年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業」
2025.11.07
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前回の7章の2回に渡り、ペドフェリア治療・問題行動を止める為の対応を話題として解説させて頂きました。ペドフェリア傾向の思考、性嗜好を持ってしまうのは、その人が自動的に考えてしまうスキーマという認知を行ってしまうことが原因です。そしてそのスキーマが形成される上で、特に大きな影響を与える要素が2つあります。 第1に幼少期からの養育環境です。両親(養育者)たちにどのような育てられ方をしたか。その家族はどんな関係性をお互いにもてるシステムだったのか。家族としての機能はしっかりと発揮できていたのか。そうした面です。 なお家族がシステムとして機能するとは子どもの側の視点で確認すると、例えば次のようになります。①役割を分担できている為、子が親に適切に保護される。 ②良好なコミュニケーションをとれているため、絆が深まり、対立などの問題も解消しやすい。③互いに支援しあい、調和できている。精神的に安定しやすく、協調性も育みやすい。 第2に社会が持っている文化、メッセージなどです。例えば私が子どものころは、「男だったら泣くな」だとか、「男はだまってサッポロビール」だとか、そうしたメッセージが流行していました。もちろんそれらにも、強さを求めて向上する傾向が強まる等の利点はありますが、重要なのは人(特に幼児から青年にかけて)が社会から強く影響されるという点です。 榎本クリニックの斎藤氏によれば、全ての性暴力は、根底に男尊女卑の思考パターンが潜んでいるとのことです。小児性加害者たちの多くは、こどもを「かわいい」と評価するそうです。もちろん我々もそうですが、彼らはその傾向が顕著です。そこには「子ども(女児)は無力で逆らわない存在である」という考え方が反映しているわけです。この考え方は、男尊女卑と根っこを一部共有しているわけです。 なぜペドフェリア(傾向のある)方々は、そこまで子どもにこだわってしまうのでしょうか?それは心の根底に恐れがあるからだそうです。実は自分に対する自信など、全くないわけです。不安で仕方ない。それをごまかして毎日を必死に生きているのです。一見すると余裕をもって、真面目に生きていそうな人が患者には多いとのことですが、彼らの内面は不安・恐怖・自信喪失で荒涼しているのです。 ペドフェリア(傾向のある)方々は、絶対に自分をおびやかすことのない、かわいい存在が、異常なほどに大切になるわけです。事実、彼ら/彼女らには、虐待をはじめとする逆境経験を有する者が非常に多いとのことです。 彼らは自分を受け入れて欲しいのです。ですから性加害を行った者たちのが告白する際、子どもが「受け入れてくれた」「わかってくれた」「必要としてくれた」などと感想を言うそうです。自分の存在意義を認めてもらえたと思い込もうとしているわけです。 彼ら/彼女は、何を一体そんなに恐れているのでしょうか? その極度の恐れの対象は「成熟した異性」です。成熟した異性は十分な判断能力を持っていますし、その考えを実行に移す能力も持っています。ですから、彼ら/彼女らは、成熟した異性から「嫌だ・ダメだ・無価値だ」と判断され、その考えに基づいた言動をされてしまうリスクがあるわけです。それは、自尊感情などが極度に低い彼らにとっては、本当に耐えがたいことでしょう。 そして我々が気づかなければならないことがあります。それはこの問題の構造が、果たして一部のペドフェリア(傾向を持つ)方々にだけ当てはまるのか?ということです。そうではないようです。 日本は随分と改革されてきた面があるのも事実ですが、2025年現在、まだ男尊女卑の文化が根強く残っているように思います。男尊女卑の文化とは、女性に未熟さや力の無さや「かわいさ」を求め続ける社会です。社会全体が基本的にその風潮があるわけですから、自信を十分に養えていたり、自我がしっかりと確立できているなど、十分に精神的に成熟した以外の者たちは、全てペドフェリア患者の予備軍であるといっても、過言ではありません。実はペドフィリア(傾向を持つ)方々と、そうでないはずの大人たちの境界は、ないと言っても過言ではないのです。 相手を低い存在、ダメな存在だと決めつけて、自分の気持ちを安定させるという構図の防衛機制(適応規制)を「引き下げ」といいます。とても良く観られるもので、その場の効果はかなりある防衛機制です。しかし、これを続けることは、ペドフィリア傾向を持つ者たちを維持・増産し続けるようなものです。私たちは小児に限定せず、力の弱い方々も認めて大切にするという姿勢に変化していく必要があります。個人レベルでも、社会レベルでもです。 そうして社会を変えていくことは、多くの人が抱えている生きづらさの解消にもつながるはずです。これは私の推測ですが、恐らくペドフィリア傾向を持つ方々には、ペドフィリア傾向以外にも、生きづらさを抱えているのではないか? と強く感じられます。なぜなら、ペドフィリア傾向はあくまで、自分のこころの傷、不安、恐怖を癒すための方法の1つにすぎないからです。 たとえばアディクション問題(アルコール使用障害、買い物依存、摂食障害など)は、併発する主要な問題の1つとなりえます。それほどまでに、ペドフィリア(傾向を持つ)方々は、つらさを抱えながら、毎日を必死に生きているわけです。 繰り返しになりますが、彼ら/彼女らがペドフィリアになってしまったこと。その原因は(幼かった)彼ら/彼女らにはどうすることもできなかったはずです。つまりペドフィリアになってしまったことには、責任があるとは思えません。 しかし、ペドフィリア(傾向)がある以上、それを最低限行動に移さないようにする人としての責任は確実に存在します。私たちは、お互いの人権を尊重することが大切なのです。その為にどのような意図をもって、専門的かつ具体的に対応すべきか? 私はそれを今回の「ペドフィリア(小児性愛)」シリーズで語ってきました。(とりわけ7章で詳説しました) ペドフィリア問題の解決は、恐らく親(養育者)との関係性の改善や清算などが絡むなど、人生上の大きなテーマとなるはずです。当然簡単には解決しないことでしょう。しかしながら、長期戦を覚悟しながら、意図を持ち、効果的な方法を「実行し続ける」ことができれば、確実に改善へと向かえる問題です。私はみなさまの取り組みを、心底応援しています。そして、改善の効果が実感できるほどに、あなたの人生が開けていくことも切望しています。応援しています。
2025.11.01
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