地を這う虫

2023/08/06
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カテゴリ: 新聞記事
「名作コンシェルジュ  Music」のポピュラー音楽の最近の執筆者は編集委員の吉田俊宏氏です。我が家では10数年前から日経新聞を購読していますが、「名作コンシェルジュ」というコラムの掲載がいつ頃から始まったか全くわかりません(苦笑

オーディオ・システムを結線せず、ただ単に保管している状況だった2年ほど前までは、音楽全般にあまり興味がなかったので、このコラムを気に止めてなかったからなのかもしれません。とはいえ、ジャズの名盤紹介であれば目に入らないはずはありません。特に私好みのmusicianのアルバム紹介であれば記憶に残ってるはずですな。
ネットでちょっと調べただけではこのコラムの掲載開始時期がいつ頃か判りません。音楽ではポピュラー音楽(Jazz、Rock、J-Pops等色々)とクラシック音楽が扱われ、映画も題材にされます。多分、音楽と映画のみを扱ってるはずです。

以前読んだもので記憶にあるのは、帝王Miles Davisのライブ盤「My Funny Valentine」や有名なRock GuitaristのJeff Beckのアルバムです。Milesに関するコラムは

今日聴いたレコード Miles Davis / My Funny Valentine (Columbia US輸入盤 CS9106)

で一部引用させてもらってます。Jeff Beckは今年の1月に78歳で亡くなっているので、その後の追悼記事の意味合いがあったのだと思います。

今日、吉田俊宏氏が取り上げた「ゲッツ/ジルベルト」については、私も先日

追悼 Astrud Gilberto (その4) // Stan Getz, Joao Gilberto Getz / Gilberto(Verve 日本盤 UCCU-6003)

で記事にしています。

「名作コンシェルジュ」は日経電子版には載っていません。全文手打ち(笑)してもいいのですが、著作権侵害が著しいので、Astrud Gilbertoに関係する文章だけを引用させてもらいませう。Astrud Gilbertoに直接関係する文章は全体の1/3程度です。前半には全く出てきません。





------------------- 引用開始 -----------------------
(前略)

本作が名盤になった理由は・・・・・・・・でもあるが、最大の要因は「イパネマの娘」の大ヒットにある。作者は・・・・・・・。二人がリオデジェネイロのイパネマ海岸近くのバーで飲んでいると背の高い美女が通りがかり、海岸の方に歩いていった。そのイメージに触発されて作った曲だ。
 ジルベルトがポルトガル語で歌い始めるのだが、途中で女性の声に切り替わる。英語で歌っている。声の主はジルベルトの当時の妻、アストラッド・ジルベルト(40~2023年)。プロの歌手ではなかったが、彼女に英語で歌わせることになったようだ。
 アストラッドはジョビンによる風変わりで甘美なメロディーを淡々と歌う。海岸通りを歩く女性の幻影が浮かんでくる。素朴だが、不思議な官能性と幻想性を秘めた声。「イパネマの娘」にぴったりのボーカルではないか。
 素人同然の女性の活躍で世紀の名盤になったともいえるが、本作の魅力はもちろんそれだけではない。

(後略)



吉田氏の文章に基本的には異論はありません。私はアストラッドの追悼記事を過去に三編書いてるので念のために読み返してから書いてますが(笑)、私は彼女の歌声に「幻想性」を感じますが「官能性」はあまり感じない。まぁ、彼女の歌声に惹かれるのは無意識に「官能性」を感じ取っているからなのかもしれませんけど(苦笑)。私が書くなら「叙情性と幻想性」だが、叙情性を「不思議な官能性」と言い換えることにそれほど違和感はありません。どっちやねん(笑

それと私の所有盤の解説文やネット情報によれば、彼女は素人同然というより素人ですな。勿論、メジャーなレーベルが販売するレコードで歌ってる人を素人とは言えないので、「素人同然」という表現の方が適当なのかもしれませんね。プロデューサーのCreed Taylorが「何かキャッチーな曲を録音したい」という動機からアスラッド・ジルベルトが歌うことになった経緯については先日も紹介した「古書ベリッシマ」さんのブログ

あの日、アストラッド・ジルベルトが歌わなかったら

に書かれているので、一部引用させてもらいませう。

------------------- 引用開始 -----------------------
(前略)

ここで、プロデューサー、クリード・テイラーが提案する。そう、自らがプロデューサーであることを、あったことを思い出すように。
「このアルバムからのシングル用の曲のために、なにかキャッチーな曲を録音したいのですが・・・、」(数行想像によるもの)

ここで、この物語は、スタン・ゲッツが、アストラッドに歌で参加することを提案する、ということになる。

この提案にブラジル勢、ジョアン・ジルベルトとアントニオ・カルロス・ジョビンは当初反対したとされている。そりゃそうだと思うわぜるえない。ブラジルからわざわざ、ボサノヴァ三聖人の二人を呼んでおいて、歌唱の訓練を受けたこともない素人のアストラッドを参加させる・・・。何よりこの伝統的なサンバとジャズとの邂逅というべきセッションの質、ランク、価値そのものをさげてしまわないかと。

(後略)

------------------- 引用終了 -----------------------
引用元: あの日、アストラッド・ジルベルトが歌わなかったら


吉田俊宏編集委員は上記の経緯を承知されている可能性も十分あるでしょう。新聞の一般読者向けの音楽コラムにそこまでの詳細情報は全く不要なので、短い文章にしたのかもしれません。

あ~~~、忘れてた。吉田氏が今日このアルバムを話題にしたのは、アストラッド・ジルベルトの追悼の意味合い、クソ暑い夏にボサノバを聴いて少しでも涼気を感じましょう、リラックスしましょう、アストラッドの「不思議な官能性」を含む歌声を聴いて穏やかだけど少しセクシーな気持になりましょう、てな意味合いなんでしょうね。私の憶測に過ぎませんが・・・





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Last updated  2023/08/07 12:22:40 AM
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