有朋自遠方来、不亦楽乎!
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先日、ようやく『モンテ・クリスト伯』を読み終える。1巻はもういつ買ったか覚えていない。ずっと放っておいて居たのだが、こちらに来てからようやく少しずつ読書の習慣が戻り始め、娯楽小説、息抜きという意味で読んだ。内容はたいていの人は知っていると思うが整理のために少々叙述する。昔の方には『岩窟王』と言ったほうが親しみ深いかもしれない。主人公はダンテス。物語は大まかに分けると3部。事件編、牢獄編、復讐編。■事件編:若き青年ダンテスは、船乗りをやっている。性格が善く、仕事も出来て周囲から信頼されている。父と二人暮らしで、生活は貧しいが若いダンテスには未来がある。雇い主から信頼されて船長に抜擢され、美しい婚約者メルセデスと結婚式を挙げることになっている。しかし彼を妬んだ同僚(タングラール)、メルセデスへ求婚するも拒絶されダンテスを逆恨みする恋敵(フェルナン)、借金取りの小悪党(カドルッス)が結託し、ダンテスを陥れるため、無実の罪で告発する。ダンテスの裁きを担当した検事(ヴィルフォール)はその案件が明るみに出れば自分の身の破滅を招く内容を発見し、彼を重大政治犯として、無期懲役として永遠に葬る。■牢獄編無実を主張するも、そのせいで牢獄においてますます立場が悪くなり、地下の独房に放りこまれる。絶望から死を思うが、その時部屋の壁からかすかな音が聞こえる。ダンテスもその音に向けて、穴を掘り、ファリア司祭と出会う。老人は万般の学問を習得した天才で、彼からあらゆる知識を伝授される。二人は脱獄の計画を立てていたが、司祭が持病の発作で亡くなってしまう。ダンテスは脱獄に成功し、司祭が残した莫大な遺産を掘り起こし、尽きない富を得る。そして自身の冤罪事件を調べ上げ敵たちの証拠、その存在を突き止める。■復讐編モンテ・クリスト伯と名乗ったダンテスは、綿密な計画のもとに敵の悪事を暴き、完膚なきまで叩き潰す。以上が大体の内容。感想:当時初の新聞小説だったらしい。当然、毎回読者を惹きつけなければならない。イタリアの説明などになるとうんざりするくどさだが、後半に入るとほぼすべてに山場があり、続きが気になる仕組みになっている。特に復讐の場面はどのように相手を追い詰めていくのかが気になる部分が多く、スピードが加速する。素人ながら『復讐』についての所感を:『復讐』というのはキリスト教文化の中では許されていないことになる。 「右の頬を打たれたら、左の頬も差し出せ」 「汝の隣人を愛せ」復讐は西洋ではタブーということになる。だからだろうか。モンテ・クリストの復讐は大蛇が獲物を締め付けて、じわじわといたぶりながら殺すように、綿密で回りくどさにあふれている。sky氏にこの感想を話すと、このように返してくれた。「復讐される側の人間ってどんな立場の人?当時そういった時代に似たような、一般民衆が仕返ししたい対象がいたんじゃないの?」まさにその通りかもしれない。まず、司法の番人とされている検事総長。『レ・ミゼラブル』のジャベールとの共通点を想起させるものがある。四角でしか物事を運べず、面白みのない冷たい人間。仕事はでき周囲からの信頼、尊敬は厚いが、実際は自分の身の保身、出世が第一で、そのためには他人を犠牲にしても仕方ないと考えている。犯罪者を裁くとき、相手の罪をみて、汚れているのは自分だけじゃない、世の中すべての人間がなんらかの罪を犯しているという定義を再確認してホッとするような小さい人物。次に銀行家。以前は船乗りをしていたが、成り上がり銀行家になっている。実際は裏情報を入手して一財産を築いる投資家。度量がせまく、お金を儲けることしか考えていない守銭奴。国会議員にまでなっている。3番目は元軍人。現国会議員。信頼してくれていたギリシア地方を支配していたある有力者を裏切り、富と地位を手に入れた男。恋敵がいなくなった後、メルセデスを支え続け、結婚している。4番目は小悪党。仲間の二人は出世するも自身は才能もなく、怠惰で貪欲、裁く必要もないと思ったのか彼には逆に生活できるだけのお金を与えている。しかし独り占めしたい欲望から妻を殺し、無期懲役になる。脱獄するが、食べるあてはなく昔の詐欺師仲間をゆすって生活している。しかし詐欺師仲間に逆にはめられて殺される。たしかに復讐される側は「あんな奴やっちゃえ」ぐらいに描かれている。しかも、復讐される側はモンテ・クリストに何の抵抗も出来ず、圧倒的な力でこてんぱんにやられっぱなし。いいとこ一つもなしだ。まさにこれを読んでいるときは読者はモンテ・クリストとなって彼らを逆に圧倒的力で痛めつける爽快感をあじわっていたのかもしれない。それから時代も場所も違う自分が読んでどう感じたか。基本的には引き込まれた。読んでる間は続きが気になり、ドキドキしながら読んだ。特に復讐の場面は。序盤と中盤の展開は知っていたので、その感情はなかったが、詰めがきっちりなされているいることに感心を覚えながら読んだ。娯楽小説であろうと手を抜かない。そんな感じがした。ただ自分の経験を重ねることはなかった。それは自分が恵まれているのかな。ただ、司祭との師弟関係は美しく、自身でも小さいと反省したいが、うらやましかった。そんな事を感じた。
2009/07/25
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