もいっか★フィンランド

もいっか★フィンランド

2007.07.05
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小話から始めます。よく知られた例かもしれませんが。有能な通訳者とは?と問われたとします。とある国際パーティで、自己紹介がはじまりました。


「はじめまして。○○です。こちらは私の愚妻です」

彼の通訳者は、ほとんど間を置くことなく英語に訳します。

「Nice to meet you. My name is ○○. And this is my excellent wife .」


愚妻の訳はstupid wifeではない、というオチです。フェミニストの方からは、「そもそも『愚妻』という表現が時代遅れ、男根主義!」とお叱りを受けるを承知で紹介させていただきました。僕はこの小話で腑に落ちることが多いのです。通訳、翻訳は言語の置き換えだけでは不完全で、そこにある文化背景、状況も考慮しなければいけません。


さてこれは僕自身の例です。地元の人材コンサル会社にインターンで勤務したのですが、そこでの主な仕事はソフトウェアの日本語翻訳、ローカライゼーションでした。その会社はクライアント、求職者向けのソフトを開発しており、それの多言語化を目指していたのです。煙に巻いた書き方ですが、要は顧客データーベースと検索ソフトが一緒になったものです。


そのソフトを日本語に置き換える作業を進めていたのですが、ほどなく、「こりゃ、そのまま使えない」と気づきます。まずデーターの入力スペースが足らないのです。←ピンと来た方はいるでしょう。そう、日本語はパソコンのビット数が半英数字より余分に要るということです。例えば備考欄で、「自己紹介を100字以内でお願いします」とした場合、実際は25文字でほとんど何も書けないわけです(ここを俳句で表すという粋な手もありそうですが・笑)


さらに見逃せないのは、日本語は住所氏名で余分に枠が必要なこと。 振り仮名の存在です


以上の問題点を社内会議で指摘したのですが、「日本語の住所氏名はなぜ2つも枠が要るんだよ!」みたいに反応されて、説明に窮しました。これ、説得するのは思いのほか難儀でした。考えてみると他の言語にない条件ですよね(一方、ビット数の違いは割りとすぐ理解してもらえました。日本語のほか、中国語、ハングルなども似た条件だったのです)。枠を余分に増やすというのは、ソフト開発者側にとって大変な作業のようでした。実務翻訳はこれまでも経験しており、「愚妻」の例も、そつなく訳す自信はありましたが、このケースの対処には骨を折りました。つまり日本語を訳すのは簡単ですが、 「日本」を訳すのは難しい 。ああ、これが異文化問題なんだ、とも実感しました。


その会社ですが、日本語版の発行は少し延期だそうです(笑)。





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Last updated  2007.07.06 03:21:48
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