2004年08月18日
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「ああ、そうか」
『僕』は、やっと理解した。
「僕は…死んだんだったね。」
言った瞬間、目の前の景色は消えた。
別の場所が映っている。
ここは、そう、『僕』が死んだ、あの部屋。
6畳の畳部屋。
部屋にあるものといえば、本棚が2つとラジオ、後はノートパソコンくらい。
あまりにも殺風景な部屋に、何故カッターがあったのかは分からない。

『…』
「…?」
『行きましょう。』
「どこへ?」
『ついてくれば分かるわ』
「…」

『僕』は、おとなしく従うことにした。どうせ死んでしまったのだ。今更どこに行こうが、別に大した事ではない。
『何故後からついてくるの?』
「君がついてこいと言ったんじゃないか。」
『違う。私が聞きたいのは、何故私の後ろにいるのかって事よ。』
「僕は君がどこに行くつもりなのか知らない。ここは僕が今までいた場所じゃないから、どこに行っていいかも分からない。」

私の横に来て。一緒に歩きましょう。』
彼女はどういうつもりなのだろうか。言っている意味もわからないまま、とりあえず言われた通りに横に並ぶ。
『それでいいのよ。貴方は、そこにいるのが1番自然なの』
「自然?」
『そう。それが自然な形。パズルのピースは、違う場所にいることは許されない。

「僕は、死んでまで誰かに操られるということか。ふん、皮肉なもんだな。」
『でも、貴方は自分でその形を変える事ができる、数少ない人。
最後のピースをはめてみるまで、貴方というパズルの完成した形は、誰にも分からない。』
「つまり、額縁の大きさは決まっていても、中に何のパズルが入るかは僕の自由って事か。」
『そういうこと。貴方は頭の悪い人ではないから、これで分かるでしょう?』
「なんとなくはね。ただ、どこにいくのか、何をするのかはいまだにまったく分からないけどね。」


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最終更新日  2004年08月23日 23時07分22秒
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桜紫OKEI @ Re:夢幻回廊:6(08/28) ★前に歩き出すしかない。 そう、ひとりで…
桜紫OKEI @ Re:夢幻回廊:5(08/25) ★わかった。 元気でいること!   …
桜紫OKEI @ Re:夢幻回廊:4(08/23) ★きちんと情景が読んでとれますよ。 今…
唯音☆ @ おひさしぶりです♪ 届いてほしい願いって届かないですよね。…

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