成定 竜一~高速バス新時代~
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事故から間もなく1ヶ月。前回【ご報告】として振り返った以降のメディアでの私の発言を備忘録的に振り返っておくと■1月25日(月)・TBSニュースバード『ニュースの視点』スタジオ出演・『東京交通新聞』に寄稿■2月1日(月)・テレビ朝日系『ワイド!スクランブル』スタジオ生出演■2月6日(土)・『観光経済新聞』に寄稿である。いわゆる「足の長い」媒体からはまだ取材が続いている。今回の事故の報道には、被害者に大学生が多かったこともありSNS上の写真や情報が繰り返し伝えられそれがリアリティを高めたという特徴があって、そういった報道が静まった今、亡くなった方のご遺族や、重い怪我をした若者たちのことをあらためて思うと胸が痛い。一方、業界としても私個人としても、一部の悪質な事業者が惹起した一件の事故にだけとどまっているわけにもいかない。再発防止策策定は当局を中心に着実に進んでいるし、私も必要に応じお手伝いはさせていただくとして、さりとて本業で手を抜くわけにもいかない。先月は、もともと月の半分くらいが、東北から九州まで各地への出張の予定で埋まっており、そこに報道対応ラッシュが割り込んだので本来業務がかなり「遅延」した。「回復運転」に努め、締切が決まっている仕事については(一部、お願いして延期してもらったりしながら)済ませたところだ。その分、作業が遅れているのが4月に照準を当てた取組である。このブログで何度もご説明してきたように、我が国の高速バスの歴史を振り返ると【第1フェーズ(1964年~)】参入が国鉄バスなどに限定され、販売力を持ちえずに苦戦【第2フェーズ(1980年代半ば~)】共同運行制が定着し、地方部における既存乗合事業者の存在感により「地方→大都市」市場を開拓【第3フェーズ(2000年代半ば~)】ウェブマーケティングを活用し高速ツアーバスらが「大都市←→大都市」市場を開拓という経過を辿っている。私個人は第2フェーズの現場(学生バイト)で高速バスと出会い、一度バス業界を離れたうえに第3フェーズ化を自ら旗を振って実現した立場だ。その流れの中で、私(または当社)の今のミッションは大きく二つある。一つ目は、第3フェーズ化の完成である。第3フェーズの果実の一つであるレベニューマネジメント(運賃を細かく変動させるなどして収益性を向上させる手法)は、主に大都市間の夜行路線でこそ定着したが、「高速バス市場の本丸」である地方向けの高頻度昼行路線では手つかずのままだ。当局が制度改正(幅運賃制度の導入)まで行ない支援してくれている以上、高頻度昼行路線でもRMの定着を目指すべきだ。限られた乗客数でも適切に収益を上げ、その収益をサービス向上や維持(ここで言うサービスには安全性確保も含まれる)に回せる「筋肉質」な高速バス事業を作らねば、移動人口が確実に減少する中で高速バス事業は「骨粗しょう症」に陥ってしまう。また、RMが定着したとみられる大都市間路線でも、一部の事業者が閑散日の投げ売りを行なっているが、これはRMの趣旨を理解しない愚行である。第3フェーズ化を完成させるための積み残しを早く処理してしまいたい。もう一つのミッションが、高速バスの「その次」の市場だ。既に「地方→大都市」と「大都市←→大都市」市場の開拓が終わった以上、次なるは「大都市→地方」市場だ。私自身は国内の個人観光客に大きく期待しているものの、説得力を持つのがインバウンド、特にFIT(海外からの「個人」観光客)である。初訪日では団体ツアーで「ゴールデンルート」を駆け抜けたアジアからの観光客も、リピート化とともに「より深い日本」を求めて全国津々浦々へと向かい始める。従来、ゴールデンルート上の、それも免税店など一部の業種だけが実感していた観光立国への流れを、全国のあらゆる立場の人たちが実感するはずである。バス業界で言えば、主役は貸切バス事業者から高速バス、乗合バスの事業者へと移る。添乗員が必ず同行していて、バス乗務員は日本語でコミュニケーション可能であった「爆買いツアー」が、個人単位での旅行へバラけて行き、ウェブ上での情報提供や予約決済から現場での乗務員の片言の会話まで、通訳役の添乗員不在を前提にしたサービスが求められるのだ。それは大きなチャンスでもある。年間2000万人のインバウンドの、仮に2割が1往復(つまり2回)高速バスを利用してくれたら年間800万人。「既存組」があれだけ大騒ぎした高速ツアーバス全社合計の輸送人員が年間600万人(最大時750万人)だったから、相当な規模の新市場が生まれることになる。そのお手伝いができるなら私としては本望である。新宿の新BT(「バスタ新宿」という愛称が発表されているが、タクシーや一般車乗降場を含む交通結節点全体の愛称であり、必ずしもBTそのものを指すものではない。しかもビルの名称はまた別なので話がややっこしいが)の開業が4月4日(月)と発表された。当日は、全国から乗入事業者も視察に集まるし、そのままご参加いただけるよう、同日の午後にはRMの、5日(火)にはFIT対策の、それぞれ無料セミナーの準備を進めている。事故の件で準備が遅れているが、完了しだい全国のバス事業者にご案内をお送りするのでお待ちいただきたい。もう一度、自分のミッションとそれがもたらす未来を頭に描きつつ、一進一退を重ねながらも着実に春が近づく季節の歩みのように、一歩ずつ前に進んでまいりたい。
2016.02.13
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