Laub🍃

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2012.11.02
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 A.Iって映画を見たことはあるか?
 名作だ、妹はクソだっつってたけど、俺は好きだ。

ユニークでありたいと願う。それは多分、多くの人にとっての醜いエゴで、そして美しい願いだと思うから。



……そう、4人に「分裂」しても、俺達はなお 「ユニーク」 でありたい。
だからこそ、積極的に――「些細な違い」で違う道を行くんだ。






 俺は田中翔太。良くいる名前だ。子供の頃は苗字でも名前でもクラスの誰かと被っていて、うっかり他の奴が呼ばれている時に反応してしまったり、逆に俺が呼ばれている時にそいつが反応してしまった時はお互いにちょっと気まずかった、そんな名前だ。

 最近俺とそっくりの奴が3人出来て―まあその3人も同じことを思っているんだろうがー更にその困惑は増す、かと思われたが。

「なあ、リーダー田中知らねーか」
「偵察だと」

「お前もな」
「お前もだ」

 微妙に役割分担、性格分担が為されているからか、互いの見分けはつくし、最近知り合ったばかりの木鈴達もある程度俺達の見分けがつくようだ。

 数年前みたいに、まともに学生生活送ってて、たまに怪物が出現していた時期だったらいざ知らず、今みたいに人間の方が少ない地域まで出来ちまってる日本では……デメリットよりもメリットの方がでかい。

 最初に分裂させられた時も次に分裂した時もついでにこの間分裂した時も痛くて痛くて、普通の人だったら一回で痛みと現世にサヨナラバイバイできるとこなのになーと思わないこともなかったが、まあ喉元過ぎりゃあ熱さ忘れる、俺はなんだかんだでこんな体にしやがった佐藤に恩を感じていなくもない。

 ……だが、リーダー田中は最近そんな俺に妙な目を向けてきやがる。




『リア充ばっかじゃねーか』

 幼女に懐かれ、また幼女を真っ先に守りに行く青年、少女と寝食を共にしている青年を見てぽつりとリーダー田中が漏らしたのは昨日のこと。

『いや、俺とお前、あと佐藤は違うからばっかというほどでもねえだろ』

 仲間の過半数がリア充だから、俺達のほうが少数派ではあるのだが。

『…………そうだな』



 何なんだ本当に。

 10以上の年の差の木鈴とそのsecom田中、人に短時間は擬態できるものの本来の姿は大蛇なワタとその通訳田中以上にありえないだろ、俺とクソマッドサイエンティスト野郎のそんな関係。

 俺と分裂した癖して何考えてるんだかよく分からん観察田中よりも、いつも高見の見物してるけどみんなの事をちゃんと見ているリーダー田中に言われるのは、妙に腹が立つ。


 だから、


「俺も偵察行ってくる」



「ええー、突っ込み田中君にそんな事できるー?猪突猛進気味な君がー」
「リーダーとも元は同じ田中だっつーの!」

つくづく佐藤がうるさいことを実感しつつも、俺は地下室から這い出た。
あいつはどうしてよく俺に絡んで来るんだ。木鈴や観察やまとめで忙しいあいつらと違って俺なら暇だろうってか?ふざけんなよ全く、あいつの思考はわけわからん……



「うわああああああああああああああああああ!!!」

「ククク……わが名はタカハシ!愚かな人間どもよ、このワレが支配してくれるわ!!!」




何だアレ、わけわからん。





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最終更新日  2015.06.13 02:56:54
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