木の葉を隠すなら、森の中・・・名言です。
おっさんを隠すなら、酒場へ・・・迷言です。
逃亡者には、猥雑な街が似合う。
似たようなおっさんが多いからだろう。
初めて訪れた大宮市は、大きな駅を降りてみたら、なんとも雑然とした小汚ねえ街だった。
ふっ、逃亡者にはお似合いな街だぜ。と、自嘲ぎみな笑みを唇の端に浮かべる。
日曜日のせいか、日雇いの手配師らしき男が見つからないので、そんな日雇いが集りそうな居酒屋に入って、それとなく片腕の男の情報を集めよう。
いづみや本店、朝からやってる飲み屋だ。
終戦間際からの大衆居酒屋っぽい。
店の奥の、入り口が見渡せる席に、壁を背にして、腰を下ろす。
こんな丸椅子と、細長い合板のテーブルが規則正しく並んで、40人くらいは入れるだろう。
360円の鮪のブツ切りと、600円の生ビールを頼み、辺りを伺う。
あのオヤジ、俺と同じ匂いがするゼ。
荷物は常に肩からかけ、隣の椅子に置こうとしない。
逃亡生活に慣れているようだ。
煙草は吸わないが、灰皿をそばに置いているのは、銃撃が始まったら、内ポケットに仕舞い、心臓を守る為だ。
壁際に、黄昏流星群のような、中年男女が座った。
甲斐甲斐しく男に、料理を取り分けてやっている。
安ホテルのボディーシャンプーの匂いがしやがる。
まあ、せいぜい楽しみな。
薄っすらと唇に紅を引いた70くらいのおばちゃんが、カキと、イカと、鯵と串カツのミックスフライ600円をテーブルに置くと、「あんた、馬券を買いに来たにしちゃあ、ナリが違うね。」と、チャーチのバックスキンのモンクストラップから、ゆっくり値踏みするように視線を上げると、俺の目をじっと見つめながら、呟いた。
「長居は、危ぶねぇってことかい?」と、視線をそらしながら、おばちゃんにしか聞こえないよう呟くと、「最近は、公安がうるさいからね~。」と、お盆を抱えて厨房に消えて行った。
「おばちゃん、ありがとよ、そろそろセミナーに戻るわ。」
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