名古屋B食倶楽部

聞いてやってくれよ～、今朝よ、二日酔いの寝ぼけ眼で起きてみたら、なんだ、かかあが、「おまいさん、ゆんべ、大家さんが、どこぞの美味しいお寿司屋さんに行ったからって、おみやにお寿司を届けてもらってさ、でね、おまいさんが居なかったから、みんな食ってやろうと思ったけど、一口も食わせないんじゃ、バレた時にアレだろ、だからさ、鉄火、とっといたから、食べとくれ。」って、朝っぱらから、鉄火巻きだしやがんだよ。」

何処の世界に、師走の寒みい朝っぱらから、つべたくなった寿司を食う奴が居るかってんだよ。

しかもだよ、あったけえ味噌汁も無いんだよ？

つべてえ寿司だけ食わせて、おまいさんにも、寿司を食わせてやったんだって、恩を着せようって算段だ、こんちきしょうだよ、そうは桑名の焼き蛤だってぇんだ、え～、見てろよ。

だからよ、かかあに炭ぃ熾せって言ってやって、火鉢に網をしいてね、こう、鉄火を炙ってやるわけさ。

ついでに、徳利も、灰の中に埋めてよ、ゆっくり待つって寸法さ。

どうだ、つべてえ寿司が「乙」になってきたろ？

おじさんは、昨夜、忘年会で居ませんでしたが、次男が東京から帰って来て、家族で寿司を出前したようです。

で、かかあが、じゃなかった奥さんから、今朝、赤身が残ってるから食べてねって言われて・・・

日曜日の朝から、火鉢に炭入れて、一本つけて、炙った寿司を食うのも、「おつ」ですが、残念ながら、九時から仕事の身

フライパンに、油を敷いて、寿司を焼くんです。

まさかと思うでしょ？

これがいけんですよ、だんな

海苔が焼けて香ばしくてね、酢飯の焦げたんもイイ香なんです

女郎屋で、一晩過ごすじゃないですか、で、朝、目ぇさますてっと、やりて婆が火ぃ熾した火鉢を持って来てくれるわけ。

そうすっと、はだけた寝間に真っ赤な半纏羽織った色がね、火鉢で、ゆんべの食べ残しの寿司を炙ってくれるんですよ。

頃合いに、燗酒と焼けた寿司をお盆に乗せて、また、布団に潜り込んできやがるんだ。

焼けた鉄火食いながら、おれっちも、酒で肌が鉄火に成った女に巻かれちまうって算段よ