能登の手染め日記

能登の手染め日記

May 24, 2010
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カテゴリ: 絵・美術について
「写真を、そのまま絵に描いてはいけない」と絵画教室の生徒さんに話すことが多い。

以前にも書いたことがあるが、写真はカメラのレンズの性質に依存した光学画像なので人間が眼で見た画像とは違うことを踏まえなければならない。

カメラのレンズは短焦点(ワイド・広角)では近距離を大きく写し遠近感が強調されるし、縦横のラインが歪んでしまう。一方、望遠(ロング・長距離焦点)では距離感がなくなり「立ち上がり現象」によって遠くのものが上下関係のようになる。

また、光学機器なので光の影響で実物の色を変えてしまう。同じ色のものを(例えば葉では)光の階調によってハイライト部分は緑色ではなく白っぽく写すし、影が当たった部分は黒く写して細部がつぶれてしまう。こうしたカメラの特性をそのまま絵に描くと「写真をそのまま描いた絵」ということがバレてしまう(^^;

下にアップした写真は数年前に写した中能登町の雨の風景。上がカメラで普通に撮った写真。下が実際の雰囲気の感じに近づけるために補正し彩度と明度を落とした写真。この風景では望遠レンズによる「立ち上がり現象」で、山が迫って見えている。(意図的に険しい山の圧迫感を出すには効果的だが)まるで家の真上に樹木があるように見えて、家から山までの遠近感がない。

0524-01

0524-02

雨で煙った左側の山は距離を感じるが(濃淡による水墨画的距離感)、画面の右側は平面のようだ。

そして、何よりカメラを写した一方向からしか見てない絵になる。

写実的な絵では、普通は立体を平面に置き換えるのだけど、作者が描くものの立体感や量感を把握して描く場合と、写真という平面だけを基準にして描くのでは描くものの存在感が違ってくる。

人の肌の感触や(質感)物質の重さ(重量感)、奥行き(距離感や空間意識)、という眼で観ただけでは判断しきれない感覚は、実際に触れたり手に持ったり後ろへ廻ったりして確かめることによって実感を得ることができる。

写実的な絵では、眼に見える部分だけを描くのではなく、眼に見えない部分を感じさせたり、作者の意識や感覚も描かれているほうが訴える力は大きくなる。

そういう私も時間が足りなくて、気に入ったものは写真を撮って後で描くための参考にする。草花のスケッチも多いが、竹の葉やアヤメ・ショウブの花の類は短時間で丸まってしまうから、途中で描けなくなる。そうした植物の状態を補うための資料として写真を参考にする。

但し私の場合は、花を横から撮ったり裏向けたり、果ては分解してバラバラに解剖したりするが(^^ゞ

絵を描くときに自分の実際の感触や感覚を大切にするのならば、写真に頼って描いてはいけないということになる。

正確には「写真だけを見て絵を描いてはいけない」「実体験の感覚や感触を大切にして描きましょう」ということになる。

あぁ、これは私の実体験による感覚からくる言葉ね。・・・早い話、私が、写真をよりどころにした失敗をたくさん経験しているということ(笑

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Last updated  May 25, 2010 09:06:59 AM
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