仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2024.04.13
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カテゴリ: 東北

4月11日のニュースで、浪江町大堀地区で 大堀相馬焼 の登り窯に実に14年ぶりに火が入ったという報道があった。以下は、NHKの報道内容のポイントだ。


・浪江町に伝わる国指定伝統的工芸品の大堀相馬焼の産地で、原発事故の影響で途絶えていた伝統的な登り窯による作品を焼く作業が、14年ぶりに行われた。
・大堀相馬焼は、大堀地区に300年以上前から伝わる。繊細なひびの模様や馬をあしらった絵柄などが特徴。
・避難先で活動するなどしている窯元の組合は、昨年、事故前の恒例行事登り窯まつりを来月3月に復活させることを決め、まつりで展示する作品を伝統的な登り窯で焼く作業を11日から始めた。
・地震で壊れ昨年再建した窯に、11日朝6時に窯元2人が火を入れ、薪をくべた。
・焼くのは地元の子などの作品約800点。13日昼まで7人の窯元とボランティアが交替で温度を調整する。
・「休閑窯」の半谷秀辰さん(談話)。
・大堀相馬焼協同組合理事長で「半谷窯」の半谷貞辰さん(談話)。



このニュース映像をTVで見ていて、アッと声をあげそうになった。湯呑かカップが映し出されたのだが、深い青緑色の器の上半分には細かいひび割れのような模様が見え、濃く彩られた下半分は内外の二重構造で外側に小さな窓がいくつか開いている。これが、子どものころ家にあった記憶の中の湯吞みと一致したからだ。祖父が使っていたような気がする。

なお、河北新報の記事(12日)もあり、ポイントは以下。


・大堀相馬焼協同組合の半谷貞辰理事長が展示施設「陶芸の杜おおぼり」の登り窯に火を入れた。
・窯の中には町内の児童や住民が作った品や、大堀相馬焼職人の作品を入れた。
・焼いた作品は、5月3日-5日に同施設で開催される「大せとまつり」で展示する。
・大堀相馬焼は300年を超える伝統を有する。
・浪江町によると、大堀地区を中心に26軒の窯元があった。原発事故で全員避難。その後、県内外の避難先で12軒が再開。昨年3月の避難指示解除で1軒が大堀地区に帰還した。




福島県には、国指定の伝統的工芸品が5品目ある。( 福島県サイト
・会津塗
・会津本郷焼
大堀相馬焼 (昭和53年国指定、平成9年3月31日福島県伝統的工芸品指定)
・奥会津編み組細工
・奥会津昭和からむし織(会津郷からむし織)

大堀(おおぼり)相馬焼は、相馬藩士半谷休閑(はんがいきゅうかん)の下僕の左馬(さま)によって創始されたという。佐馬が中村で陶器の学び方を学んで帰ると、さっそく井手村〔おだずま註;明治町村制で大堀、井手など8か村が合併して標葉郡大堀村が発足〕の美森(うつくしがもり)で土を発見し、小さな窯をつくり陶器制作に成功。主人の休閑がこの技術を村人に伝える。技術は近隣に広がり、相馬藩の特産物として保護育成され、江戸末期には窯元の数は100戸を超え、北海道から関東関西にまで販路が広がる。明治になり藩の援助がなくなると産地は次第に衰退。大堀相馬焼の特徴は、 「青ひび」が器全体の地模様 になっていること。青ひびは青磁釉によるもので、主原料となる砥山石は大堀焼産地ただ1カ所にのみ産出する原料だ。また、珍しい特徴として 「二重焼」の構造 があり、お湯が冷めにくく持ちやすい。
・東北経済産業局サイト 東北の伝統的工芸品
・うつくしま電子事典  半谷休閑



私は、大堀(浪江)は双葉郡なので、相馬中村藩領から外れているのではと一瞬思ったのだが、大堀も相馬藩領だった。明治に発足した双葉郡の名は、標葉と楢葉の2郡を統合したものだが、北部の旧標葉郡は藩政時代に相馬藩の領地である(南部の旧楢葉郡は磐城平藩)。

ちなみに、相馬郡も明治の発足で、宇多郡(現相馬市、新地町)と行方郡(現南相馬市、飯舘村)が統合されたものだった。なお、旧宇多郡でも、今の新地町(駒ヶ嶺以北)は仙台藩領であった。

福島県浜通りの歴史は、よく勉強しておきたい。浪江は磐城寄りのようにも感じるが、地図では茨城県境よりむしろ宮城県境に寄っている。





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最終更新日  2024.04.14 08:27:53
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