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「犬ヶ島」(原題:Isle of Dogs )は、2018年公開のアメリカ・ドイツ合作のストップモーション・アニメーション映画です。ウェス・アンダーソン監督、コーユー・ランキン、リーヴ・シュレイバー、ブライアン・クランストンら出演で、近未来の日本を舞台に犬インフルエンザの大流行で孤島に送られた愛犬を捜す少年と、それを助けるボス犬たちの冒険を描いています。第68回ベルリン国際映画祭で、アンダーソン監督が「グランド・ブタペスト・ホテル」(2014年)続き二作連続で銀熊賞を受賞した作品です。 「犬ヶ島」のDVD(Amazon) 【スタッフ・キャスト】監督:ウェス・アンダーソン脚本:ウェス・アンダーソン原案:ウェス・アンダーソン/ロマン・コッポラ/ジェイソン・シュワルツマン/野村訓市出演:コーユー・ランキン(小林アタリ) リーヴ・シュレイバー(スポッツ) ブライアン・クランストン(チーフ) エドワード・ノートン(レックス) ボブ・バラバン(キング) ビル・マーレイ(ボス) ジェフ・ゴールドブラム(デューク) スカーレット・ヨハンソン(ナツメグ) F・マーリー・エイブラハム(ジュピター) ティルダ・スウィントン(オラクル) 野村訓市(小林市長) 高山明(メイジャー・ドウモ) 伊藤晃(渡辺教授) オノ・ヨーコ(科学者助手ヨーコ・オノ) グレタ・ガーウィグ(トレイシー・ウォーカー) 村上虹郎(ヒロシ編集員) フランシス・マクドーマンド(通訳ネルソン) 野田洋次郎(ニュースキャスター) 渡辺謙(筆頭執刀医) 夏木マリ(おばさん) ハーヴェイ・カイテル(ゴンド) フィッシャー・スティーヴンス(スクラップ) コートニー・B・ヴァンス(ナレーター) ほか【あらすじ】「その昔、犬と犬嫌いの小林一族との間で戦争があった」と序幕で語られます。劣勢の犬に同情した少年侍は戦に参加し、小林一族の長を殺害しますが少年も亡き者になり、その魂が祀られます。しかし犬は結局、小林一族に勝てず、人間への服従を余儀なくされます。千年の時が流れ、今から20年後の日本。メガ崎市では犬の伝染病「ドッグ病」が蔓延し始め、社会問題となります。科学者である渡辺教授は「ドッグ病を治す血清がじきに完成する」と主張しますが、人間への感染を恐れた小林市長はそれを無視し、すべての犬をゴミ島である「犬ヶ島」に隔離することを宣言します。数か月後、犬ヶ島では怒りと悲しみと空腹を抱えた犬たちがさまよっています。その中に、5匹のボス犬のグループがいます。かつては快適な家の中で飼われていたレックス、22本のドッグフードのCMに出演したキング、高校野球で最強チームのマスコットだったボス、健康管理に気を使ってくれる飼い主の愛犬だったデューク、そんな元ペットの4匹に「強く生きろ」と喝を入れるノラ犬のチーフの5匹です。そんなある時、一人の少年が小型飛行機で島に不時着します。彼の名はアタリ、護衛犬だったスポッツを捜しに来た小林市長の養子です。事故で両親を亡くしてひとりぼっちになり、遠縁の小林市長に引き取られた12歳のアタリにとって、スポッツだけが心を許せる親友でした。ゴミ島へ送られたスポッツは鍵のかかったオリから出られずに死んでしまったと思われましたが、それは「犬」違いでした。スポッツを救い出すべく探索を決意したアタリに感動したレックスは、伝説の予言犬ジュピターとオラクルを訪ねて教えを請おうと提案、アタリと勇敢で心優しい5匹の犬たちの旅が始まります。一方、メガ崎市では、小林政権を批判し、ドッグ病の治療薬を研究していた渡辺教授が軟禁されます。メガ崎高校新聞部のヒロシ編集員と留学生のウォーカーは、背後に潜む陰謀をかぎつけ調査を始めます。アタリと5匹は、予言犬ジュピターとオラクルの「旅を続けよ」という言葉に従いますが、思わぬアクシデントから、アタリとチーフが仲間からはぐれてしまいます。一人と一匹は少しずつ心を通い合わせ始めます・・・。【レビュー・解説】近未来の日本を舞台に、被写体に正対するシンメトリーな構図、細部へのこだわりなど、ウェス・アンダーソン監督ならでは世界観とストーリー・テリングの魅力が濃縮されたストップモーション・アニメーション映画です。ウェス・アンダーソン監督の世界観が濃縮されたストップモーション・アニメ細部へのこだわり冒頭、神主が神社で祈りを捧げ、犬と犬嫌いの小林一族との戦の顛末が屏風絵風に語られます。神社も屏風絵も模写ではなく、本作のオリジナルなものですが、日本のアニメでもここまでやらないだろうという程、細部へのこだわりが感じられます。アメリカ人の監督によるオリジナル作品ですが、日本的な雰囲気な色濃く漂わせるオープニングです。神社、屏風絵など、プロローグから細部へのこだわりを見せる(YouTube)続いて流れる、動きの激しい和太鼓演奏をストップモーション・アニメで表現したオープニング・クレジットが圧巻です。動きの激しい和太鼓演奏をストップモーション・アニメで表現(YouTube)本編にも、寿司の調理シーンなど細部にこだわった映像が随所に見られます。細部にこだわった寿司の調理シーン(YouTube)純粋に撮りたい!という気持ちがこの場面を生み出しました。もっとも寿司を準備するシーンや日本の食卓を描いたシーンに深い意味は全くないのですが…。手間のかかるストップモーションアニメーションで、日本の食文化を細やかに再現しようなんて人は世界中で僕だけですよね。複雑で大変な作業でした。例えば、包丁さばきひとつや料理人の動きひとつとってみても現実と離れてしまうと、深みがなくなってしまってチープな印象を与えてしまうからです。制作は、フランス人、デンマーク人、スペイン人など世界中から集まった様々なバックグラウンドを持つアニメイターが携わっていました。その中で、日本食の正しい作法を知っている人を探すのは非常に困難で。たった1つのシーンを制作するのに、正しい知識を持ったアメリカにいるアニメイターを見つけ出し、ようやく完成させることができたんです。(ウェス・アンダーソン監督)https://www.fashion-press.net/news/29248本作は、黒澤明監督の「天国と地獄」、「野良犬」、「悪い奴ほどよく眠る」「醜聞」、「醉いどれ天使」などを参考にしています。「もし『犬ヶ島』が1960年代に作られた映画で、設定は2005年やその先の近未来のことを描いた作品だったらどうなるだろう」とイマジネーションを膨らませ、サウンドトラックには黒澤作品の曲も使われています。他に、宮崎駿監督の作品、北斎や広重の絵画、軍艦島、渋谷のハチ公像なども参考にしています。これらの日本に関する映像はリアリティだけを追求したものではなく、オリジナルな部分も含まれていますが、例えば畳の敷き方がおかしいといういったような間違いが製作中に毎日にように指摘され、そうした間違いの修正を地道に積み重ねることにより、非常に質の高いこだわりが実現されています。犬ヶ島は実在する?2005年に来日した際に、ウェス・アンダーソン監督は日本を舞台にした作品を撮りたいと思いました。その後、ロンドンで「ファンタスティック Mr.FOX」(2009年)を撮影している時に、「Isle of Dogs」という道標を見かけて面白いと思い、いろいろと想いを巡らせませした。「Isle of Dogs」は蛇行するテムズ川に突き出た半島状の地域の名前で、語源については、エドワード三世のグレイハウンドが置かれていた野生の鳥が生息しており Isle of Ducks が訛ったなどの説があるようですが、アンダーソン監督の監督の興味を惹いたのは、歴史でも景観でもなく、本作の原題にもなっているその名前です。ロンドンに実在する「Isle of Dogs」(グーグルマップ)その後、アンダーソン監督は、島のゴミ捨て場に住むチーフ、デューク、ボス、キングという名前のボス犬の群れと、そこへ飼い犬を探しに行く男の子というアイデアを思いつきました。「ファンタスティック Mr.FOX」の後にもう一度ストップモーションアニメを撮りたいと思ったアンダーソン監督は、盟友のジェイソン・シュワルツマンとローマン・コッポラに話をし、一緒にストーリーを書くことになりました。彼らとは「日本の何かをやりたいね」と以前から話しており、ふたつのアイディアがひとつになって本作が生まれました。因みに、このようにグループで脚本を書くのは、彼が敬愛する黒澤明監督のスタイルでもあります。豪華なキャスティング黒澤明監督同様、アンダーソン監督は同じ俳優を繰り返して起用する傾向がありますが、本作からの出演も含めてオスカー俳優が4人、オスカー候補が8人、さらにアメリカで最も稼ぐ女優と言われるスカーレット・ヨハンソン、日本からは渡辺謙、故ジョン・レノンのオノ・ヨーコ夫人といった、非常に豪華なキャスティングを実現しています。また、「ファンタスティック Mr.FOX」の制作に関わったスタッフのほとんどが本作制作の為に再び集結しており、アンダーソン監督の俳優やスタッフを惹きつけつる求心力の強さが感じられます。キャスティングの傾向 キャスト犬ヶ島グランド・ブダペスト・ホテルムーンライズ・キングダムオスカー歴2018年2014年2012年ビル・マーレイ◯◯◯候補エドワード・ノートン◯◯◯候補ハーヴェイ・カイテル◯◯◯候補ティルダ・スウィントン◯◯◯受賞ボブ・バラバン◯◯◯候補ジェイソン・シュワルツマン原案◯◯ F・マーリー・エイブラハム◯◯ 受賞ジェフ・ゴールドブラム◯◯ 候補野村訓市◯◯ フランシス・マクドーマンド◯ ◯受賞カーラ・ヘイワード◯ ◯ フィッシャー・スティーブンス◯ 受賞ブライン・クランストン◯ 候補グレタ・ガーウィグ◯ 候補ロマン・コッポラ◯ 候補コーユー・ランキン◯ スカーレット・ヨハンソン◯ リーブ・シュレイバー◯ アンジェリカ・ヒューストン◯ 渡辺謙◯ オノ・ヨーコ◯ 5匹のボス犬と少年左から、キング(ボブ・バラバン)、ボス(ビル・マーレイ)、レックス(エドワード・ノートン)、小林アタリ(コーユー・ランキン)、チーフ(ブライアン・クランストン)、デューク(ジェフ・ゴールドブラム)核となる5匹の犬は、アンダーソン監督作品の常連俳優で固められています。チーフが野良犬、他の4匹は元ペットという設定ですが、芸達者な俳優たちがこれらの犬たちに個性を与えています。この作品には、出演する犬たちがインタビューに答えるお茶目な特別映像が作られており、冒頭のフィルムのカウント・ダウンに続いてブライアン・クランストン演じるチーフが登場、カメラ目線で自身のことや本作の物語について語ります。その後も、ビル・マーレイ演じるボス、エドワード・ノートン演じるレックス、リーブ・シュレイバー演じるスポッツ、F・マーリー・エイブラハム演じるジュピター、ジェフ・ゴールドブラム演じるデューク、スカーレット・ヨハンソン演じるナツメグ、ボブ・バラバン演じるキング、ティルダ・スウィントン演じるオラクルと、ウェス・アンダーソン監督が創り上げた本作のセットの中で次々にインタビューに答えてきます。これらの映像は声の出演を務めた俳優陣のインタビュー音声に、それぞれのキャラクターのストップモーション・アニメを当て込んで作られたもので、こうした特別映像にもアンダーソン監督のこだわりが感じられます。 出演する犬たちがインタビューに答えるお茶目な特別映像アタリ少年が探す飼い犬のスポッツ(リーヴ・シュレイバー)ナツメグ(スカーレット・ヨハンソン)ちょっと驚いたのが、ミステリアスな美女犬ナツメグを演じたスカーレット・ヨハンソンです。声でミステリアスな美女の存在感を醸し出す、見事なパフォーマンスです。彼女は「her/世界でひとつの彼女」(2013年)で、やはり声だけで魅力的な AI を演じきり、声だけの出演で第8回ローマ映画祭最優秀女優賞を受賞するという、あまり例のない快挙を成し遂げています。アメリカではセクシー派女優として位置づけられているようですが、声だけでこれだけの存在感を表現できる彼女はなかなかのものです。ジュピター(F・マーリー・エイブラハム)オラクル(ティルダ・スウィントン)小林市長(野村訓市)メイジャー・ドウモ(高山明)渡辺教授(伊藤晃)トレイシー・ウォーカー(手前左、グレタ・ガーウィグ)【サウンドトラック】 「犬ヶ島」のサウンドトラックCD(楽天市場)1.神社 2.太鼓ドラミング 3.市営ドーム 4.シックス・マンス・レイター + ドッグ・ファイト 5.ヒーロー・パック 6.ファースト・クラッシュ・ランディング 7.勘兵衛と勝四郎~菊千代のマンボ (『七人の侍』より) 8.セカンド・クラッシュ・ランディング + バス・ハウス + ビーチ・アタック 9.ナツメグ 10.小雨の丘 (『酔いどれ天使』より)11.アイ・ウォント・ハート・ユー12.トシロー 13.ジュピター・アンド・オラクル + 土着の犬たち 14.すし・シーン 15.ミッドナイト・スレイライド 16.パゴダ・スライド 17.ファースト・バス・オブ・ア・ストレイ・ドッグ 18.TVドラミング 19.小林・犬テスト・研究室 20.東京シューシャインボーイ 21.再選挙の夜・パート1~3 22.エンド・タイトルズ【動画クリップ(YouTube)】パペットのメイキング映像作られた人形の数は1,097体。500体以上の人間と500体の犬。人形のサイズは各種あり、クローズアップの場合に使用する特大、大、中、小に分かれ、かなりのワイドショットの場合は極小サイズを使用。アタリの髪は手で植え込まれ、完成するまでに2日を要す。眉毛はピンセットを使い一つ一つ付けられている。各人形製作には約16週間かかった。完璧なナツメグの人形には6ヶ月を要した。人間のキャラクターは、様々な表情を表現するため53の顔が作られた。それぞれには、会話に合わせるために48の差し替え用の口が個別に作られ、色付けされた。顔と口だけでも3,000以上が作られた。トレイシーの顔には321のそばかすがある。メインの人形に描いたそばかすに照らし合わせて、様々な大きさの人形にそばかすを描き込む為、ペイントチームは合計40,000個のそばかすを描いた。 「犬ヶ島」のDVD(Amazon) 【関連作品】「犬ヶ島」のメイキング本(楽天市場) The Wes Anderson Collection: メイキングブック 犬ヶ島ウェス・アンダーソン監督・脚本作品のDVD(楽天市場) 「アンソニーのハッピー・モーテル」(1996年) 「天才マックスの世界」(1998年) 「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」(2001年) 「ファンタスティック Mr.FOX」(2009年) 「ムーンライズ・キングダム」(2012年) 「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)
2018年12月31日
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「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(原題: Maudie)は、2016年公開のアイルランド・カナダ合作の伝記ドラマ映画です。田舎の風景、動物、草花をモチーフに、明るい色彩とシンプルなタッチで温かく幸福感のある絵を描き、カナダで最も有名な画家と言われる女性モード・ルイスの実話に基づき、アシュリング・ウォルシュ監督、サリー・ホーキンス、イーサン・ホークら出演で、孤独だった男女が出会い、貧しいながらも夫婦の絆と幸せを手に入れる姿を描いています。ベルリン国際映画祭をはじめ、世界の名だたる映画祭で上映され、第6回カナダ・スクリーン・アワード(カナダのアカデミー賞)では、作品賞監督賞(アシュリング・ウォルシュ)主演女優賞(サリー・ホーキンス)助演男優賞(イーサン・ホーク)オリジナル脚本賞(シェリー・ホワイト)編集賞衣裳デザイン賞の7部門を受賞、第15回アイルランドのアカデミー賞(IFTA)では最優秀監督賞(アシュリング・ウォルシュ)最優秀美術賞最優秀インターナショナル男優賞(イーサン・ホーク)の3部門を受賞するなど、数多くの賞を受賞した作品です。 「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:アシュリング・ウォルシュ脚本:シェリー・ホワイト出演:サリー・ホーキンス(モード・ルイス) イーサン・ホーク(エベレット・ルイス) カリ・マチェット(サンドラ) ガブリエル・ローズ(アイダ) ほか【あらすじ】自由と絵を描くことを愛するモード(サリー・ホーキンス)は、カナダ東部の小さな町で厳格な叔母とともに暮らしています。ある日、町の雑貨屋で買い物をしていたモードは、家政婦募集の広告を貼り出した男に興味を持ちます。町はずれで暮らすその男は、魚の行商を営むエベレット(イーサン・ホーク)でした。叔母の束縛から逃れたいモードは、住み込みの家政婦になるべく、エベレットが1人で暮らす小屋を訪れます。モードは子供のころから重い関節炎を患い、一族から厄介者扱いされていました。一方、エベレットは孤児院で育ち、学もなく、生きるのに精いっぱいです。そんなはみだし者同士の同居生活は何かとトラブル続きでしたが、モードが作ったチキン・シチューを食べたエベレットは、心が温まるのを感じます。やがて二人はお互いを認め合い、結婚します。ある日、ニューヨークから避暑に来ていた顧客のサンドラが、エベレットを訪ねてきます。彼女はモードが壁に描いたニワトリの絵を見て気に入り、絵の制作を依頼します。モードは板、請求書の裏など、家庭内の物品、扉、雨戸、外壁、壁紙などに絵を描き続け、エベレットは不器用ながらそんなモードを応援します。やがてモードの絵は評判となり、アメリカのニクソン大統領から依頼が来ます・・・。【レビュー・解説】田舎の風景、動物、草花をモチーフに明るい色彩とシンプルなタッチで温かみと幸福感のある絵を描き、カナダで最も有名な画家と言われる女性モード・ルイスとその夫を、サリー・ホーキンスとイーサン・ホークが熱演、テレビもラジオもない人里離れた小さな家での二人の生活を通して、幸せの意味、芸術の意味を静かに問いかける秀作です。幸せの意味、芸術の意味を静かに問いかける秀作幸せとは?いつまでも健康でいたい家族に愛されたい自由でいたい便利で快適な生活をしたい娯楽を楽しみたいお金がたくさん欲しい・・・いずれもありふれた願いですが、人間の欲望には際限がなく、少しずつエスカレートしていきます。そして、エスカレートした欲望が満たされなくなると、ついつい自分は不幸であると感じてしまいます。これは、ある意味、幸せを追い求めれば追い求めるほど、不幸になるというパラドックスでもあります。本作の主人公、モード・ルイスは、子供の頃から関節炎を患い、身体が不自由です。両親を亡くし、兄は頼りにならず、厳格な叔母の家に預けられて、自由のない生活を強いられます。耐えかねた彼女は叔母の家を飛び出し、偏屈で口汚い魚の行商人のエベレットの家に住み込みの家政婦として転がり込みます。彼の家は人里離れた野原の真っ只中にある、ラジオもテレビもない小さな家です。モードはエベレットとともに、この小さな家に40年も住むことになります。メインの撮影を終えたときに雪深いシーンを撮ることができず、大雪のときに役者なしで再びカメラマンと撮影に向かったときのことです。そのときにハッとしたことがあって、モードたちが住んでいた場所がいかに人里から離れ非常に孤独なものであったか、ということです。物音もしないような場所で40年間同じような日々が過ぎていく暮らしなど想像もできなくて、私なんて1週間くらいしか住めないと思いました。たぶん朝起きて最初にすることは火を起こすことで、火がなければ食事も作ることができないし何もすることができません。そんなエベレットの生活ぶりというのも同じように捉えたいと思いましたし、それが彼らの関係であり置かれた環境だったのです。(アシュリング・ウォルシュ監督)https://cinema.ne.jp/recommend/shiawase-enogu2018030306/人々のありふれた願いとは縁遠い、娯楽もない辺地の小さな家で偏屈な男と二人きりで暮らす生活は、現代の日本では考えられないような選択肢です。重い関節炎を患う彼女にとって身体的にも経済的にも厳しい生活であるにもかかわらず、何故、彼女は40年もの間、幸せに暮らすことが出来たのか、とても興味深いです。芸術とは?モードは子供の頃、母と一緒に絵を描いた以外は、美術の教育を受けたことも、絵画の描き方を学んだ事もありません。彼女は30マイル(48km)の圏内で生活しており、他の画家の作品を見て刺激を受けるようなこともなければ、展覧会にも行ったことがありません。後に彼女の作品が売れるようになっても、一つの作品の売値は5ドルから10ドル程度で、彼女は決して欲張ることがありませんでした。絵を描くことに対するこうした彼女の姿勢にも、興味深いものがあります。私はフリーダ・カーロが大好きなんですが、男女問わずアーティストというのは、自分自身と葛藤している方が多いんです。それは自分の身体的なハンディキャップである場合もあれば、単純に女性だからということもあるのか、生活のなかでものを作る時間があまりないとか、そうやって葛藤しているのですが、作品はものすごく素晴らしいものだったりするんです。そういうところがすごくおもしろいと思うし、映画作りにも似ていると思います。我々には映画を作り続けなければいけないような脅迫観念がありますし、小説家でも同じですよね。書き続けなければいけないとか、何かやっぱり生まれつき「やらなければ!」という気持ちを持っている人が、アーティストなんじゃないかと思います。モードのことを考えると、毎日絵を描いていて幸せだったのかは、もちろん誰にもわからないですよね。恐らく向上したいという気持ちはアーティストとしてあったと思います。でも、売らなければとか、売りたいみたいな気持ちは、きっと彼女にはなくて、稼いだお金は薪や生活で最低限必要なものを揃えるために使っていただけで、それくらい遠隔地に彼らは住んでいたんです。モードってすごくおもしろいなと思うのが、30マイル(48km)圏内でしか生活をしていなくて、その外には足を踏み出したことがないんです。ほかのアーティストの作品は、新聞の記事で見る以外は目にしたことがないし、当然展覧会などにも行ったことがないんです。そんななかであんな作品を作っていたと思うと、すごいと思いませんか?(中略)多くのアーティストの場合は、自分自身の葛藤を経験すると思うのですが、モードの場合はあの小さな家で絵を描くということに、平穏を見つけることができたんだと思います。置かれている環境を受け入れて、華氏マイナス25度(=摂氏マイナス約32度)とかなり厳しい冬に、火もないなかでこれだけのものを作っていたのがすごいと思います。(アシュリング・ウォルシュ監督)https://www.tst-movie.jp/worker_lady/wk_lady49_180228001.html格差社会から見たモード・ルイスの生き方かつて、一億総中流社会と言われた日本ですが、その後、経済のグローバル化に晒され、着実に格差社会に向かっているように思われます。幸せの尺度を経済的な豊かさとすれば、格差社会では例えば10人にひとりと言った、限られた人しか幸せになることができません。芸術の世界もまた、二極化が進んでいるように見えます。ヒエラルキーが陳腐化し、フラット化の波に晒され、芸術でそこそこ食える人が減り、巨万の富を稼ぐ人と、全く食えない人に二極化しつつあるようです。誰にでもチャンスがあるとは言え、豊かさを手に入れたり、芸術の領域で成功を収めるのは、宝くじを当てるほど難しく、不幸な人々がどんどん増えかねない状況です。そんな日本の今から観ると、清貧の中で創作し、金銭面での報酬を深追いしないモード・ルイスの生き方には、非常に興味深いものがあります。過酷な環境の中で、彼女は何故、幸せな人生を過ごすことが出来たのか?敢えて何十年も前の時代に逆戻りしたり、不自由な身体になったり、身寄りをなくしたり、見知らぬ偏屈な男(女)と僻地に住んで不便な生活をしたりする必要はないかと思いますが、過酷な格差社会を生きる我々が幸せになれる秘密が、ひょっとしたら彼女の人生に隠されているかもしれません。モードは元来かなり立派な中産階級の良い家庭の出身でした。でも、そこで彼女は幸せではなかった。エベレットに会うまで彼女の人生は大変で、学校ではいじめられ、通りではやじられ、母親がホームスクールし、孤立していました。だからこそ、エベレットとの住まいが周囲から孤絶していていても、あの家で絵が描ける以上は彼女にとって問題なかったのではないでしょうか。もちろん、冬は凍えただろうし、年をとってもあの家に住み続けるのは大変だっただろうと思います。でも、彼女はトライし続け、それが人を引きつけました。人生で幸せになったり何かを達成したりするには、多くは必要でないということなのです。彼女は、自分から家政婦という仕事を得ようと動きました。自分の人生をちょっとずつ変えるためには自分から動かないといけないことを彼女は分かっていて、それが成功に繋がったのです。(アシュリング・ウォルシュ監督)https://cinema.ne.jp/recommend/shiawase-enogu2018030306/サリー・ホーキンスのパフォーマンス脚本を読むやいなや、アシュリング・ウォルシュ監督はサリー・ホーキンスを主役の第一選択にしました。サリー・ホーキンスは小柄で控えめな印象の女優で、とびきりの美人というわけでもないのですが、彼女が初めて主役を演じたマイク・リー監督の「ハッピー・ゴー・ラッキー」(2008年)が強く印象に残っています。彼女はこの作品で前向きで楽天的な女性教師を演じていますが、マイク・リー監督は最初から彼女の主演を想定して脚本を書いています。そういう意味ではもともと楽天性がよく似合う女優だったのでしょうが、非常に濃い役柄を自然に演じる彼女の演技力にとても感心しました。彼女はイギリス国内を中心に活動する女優でしたが、世界に通用する実力を兼ね備えており、「ハッピー・ゴー・ラッキー」ではベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞、「ブルージャスミン」(2013年)ではアカデミー助演女優賞に、「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017年)では同主演女優賞にノミネートされています。本作では、彼女は関節炎で身体が不自由なモード・ルイスを渾身のパフォーマンスで表現しており、「ハッピー・ゴー・ラッキー」ほどの楽天性を前面に押し出していませんが、モード・ルイス本人は中流家庭出身の上品で笑顔の素敵な女性で、明るく前向きな女性像を得意とするホーキンスにはまったくもっての適役と言えます。(モードとエベレットの)2人は断熱材のない小さな家で、厳しい冬の寒さをうまくやり過ごしていた。彼らは常に前を向いて物事と戦っていたの。その精神があるからこそ、人生を肯定することができる。モードは、あの時代に障害や困難を乗り越え力強く生き抜いた。だから私たちも何だってできる。(サリー・ホーキンス)https://eiga.com/news/20180301/12/サリー・ホーキンス(モード・ルイス)サリー・ホーキンス(1976年〜)は、ロンドン出身のイギリスの女優。王立演劇学校を卒業、主にイギリス国内の舞台・テレビ・映画で活躍する。マイク・リー監督の「ハッピー・ゴー・ラッキー」(2008年)でベルリン国際映画祭銀熊賞やゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞、ウディ・アレン監督の「ブルージャスミン」(2013年)でアカデミー助演女優賞に、ギレルモ・デル・トロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」で同主演女優賞にノミネートされており、世界的に知られた演技派の女優である。イーサン・ホーク(エベレット・ルイス)イーサン・ホーク(1970年〜)は、テキサス出身のアメリカの俳優、作家、小説家、映画監督。1985年に映画でデビューするが、活動を一時中断し、「いまを生きる」(1989年)で復帰、「ホワイト・ファング」(1991年)で初主演、「リアリティ・バイツ」(1994年)、リチャード・リンクレイター監督の「恋人までの距離」(1995年)、「ガタカ」(1997年)と、着実にキャリアを重ねる。「トレーニング デイ」(2001年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。「恋人までの距離」の続編の「ビフォア・サンセット」(2004年)、「ビフォア・ミッドナイト」(2013年)ではリンクレイター監督、共演のジュリー・デルピーと共に脚本を手がけ、いずれもアカデミー脚色賞にノミネートされる。リンクレイター監督の「6才のボクが、大人になるまで。」(2014年)で、2度目のアカデミー助演男優賞にノミネートされている。カリ・マチェット(サンドラ)カリ・マチェット(1970年〜 )は、テレビ、映画で活躍するカナダの女優。ガブリエル・ローズ(アイダ)ガブリエル・ローズ(1954年〜)はカナダの女優。「W/ダブル」(1987年)、「スウィート ヒアアフター」(1997年)などに出演している。【動画クリップ(YouTube)】モード・ルイスのドキュメンタリー1965年に制作されたカナダのCBCによるドキュメンタリー。【撮影地(グーグルマップ)】モードとエベレットが暮らした場所この先500メートルほどの場所に、二人の家のセットが建てられた。劇中、繰り返して登場する海を渡る道 「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」のDVD(楽天市場)【関連作品】モード・ルイスの伝記絵本(楽天市場) "Capturing Joy: The Story of Maud Lewis" by Jo Ellen Bogartアシュリング・ウォルシュ監督 x サリー・ホーキンスのコラボ作品のDVD(楽天市場) 「荊の城」(2005年):テレビ映画サリー・ホーキンス出演作品のDVD(楽天市場) 「人生は、時々晴れ」(2002年) 「ヴェラ・ドレイク」(2004年) 「レイヤー・ケーキ」(2004年) 「ハッピー・ゴー・ラッキー」(2008年) 「17歳の肖像」(2009年) 「ファクトリー・ウーマン」(2010年) 「ジェーン・エア」(2011年) 「サブマリン」(2011年) 「ブルージャスミン」(2013年) 「パディントン」(2014年) 「僕と世界の方程式」(2014年) 「パディントン 2 」(2017年) 「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017年) 「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(2017年)イーサン・ホーク出演作品のDVD(楽天市場)「恋人までの距離(ディスタンス)」(1995年) 「ガタカ」(1997年) 「ウェイキング・ライフ」(2001年) 「ビフォア・サンセット」(2004年) 「その土曜日、7時58分」(2007年) 「ビフォア・ミッドナイト」(2013年) 「6才のボクが、大人になるまで。」(2014年) 「プリデスティネーション」(2015年) 「シーモアさんと、大人のための人生入門」(2014年) 「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」(2015年) 「ブルーに生まれついて」(2015年)
2018年12月27日
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「ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜」(原題: Stronger)は、2017年公開のアメリカの伝記映画です。2013年4月15日に起きたボストン・マラソンの会場で爆破テロに遭い、両脚を切断する悲劇に見舞われたジェフ・ボーマンとブレット・ウィッターによる回顧録「Stronger」を原作に、デヴィッド・ゴードン・グリーン監督、ジェイク・ジレンホール、 タチアナ・マスラニーら出演で、家族や恋人、友人らに支えられながら、両足を失った主人公が自分を取り戻していく姿をリアルに描いています。 「ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン脚本:ジョン・ポローノ原作:ジェフ・ボーマン/ブレット・ウィッター著「Stronger」出演:ジェイク・ジレンホール(ジェフ・ボーマン、ボストン・マラソン爆破テロで両足を失う) タチアナ・マスラニー(エリン・ハーリー、ジェフの恋人) ミランダ・リチャードソン(パティ・ボーマン、ジェフの母) クランシー・ブラウン(ジェフ・ボーマン・シニア(ビッグ・ジェフ)、ジェフの父) カルロス・サンス(カルロス) リチャード・レイン・Jr(サリー) フランキー・ショウ(ゲイル・ハーリー、エリンの妹) ジミー・レブランク(ラリー) パティ・オニール(ジェンおばさん) ダニー・マッカーシー(ケヴィン) ほか【あらすじ】2013年4月、ボストンで暮らすジェフ・ボーマン(ジェイク・ジレンホール)は、元カノのエリン(タチアナ・マスラニー)の愛情を取り戻すため、彼女が出場するマラソン会場に応援に駆け付けます。挙動不審な男を目撃したその直後に、ジェフは爆発に巻き込まれ、両足を失う重傷を負います。意識を取り戻した彼は、意思の疎通が困難な状況にあったにもかかわらず、テロリストの風貌を警察に伝えます。4日後にテロ事件の犯人は逮捕され、全米がジェフの勇気を称賛しますが、ジェフは両足を失ったという現実に直面にしていました。やがて彼はリハビリを開始しますが、それは義足を使って歩き方を一から学び直す、長い道のりの始まりでした・・・。【レビュー・解説】爆破テロで両足を失った被害者の自伝に基づき、テロに負けない強いボストンの象徴という新たな役割をトラウマと戦いながら受け入れていく主人公とその家族を生々しく描いた、感動的なヒューマン・ドラマ映画です。爆破テロで両足を失った被害者の自伝に基づく感動的ヒューマン・ドラマテロ事件の枠を超えて普遍的な共感を誘う後日談テロ事件の被害者が障害を克服する過程を描いた英雄伝かと思いきや、なかなか深い味わいのある感動的なヒューマン・ドラマでした。同じくボストン・マラソン爆破テロ事件を暑かった作品に「パトリオット・デイ」(2016年)がありますが、もし事件そのものを追いたいのであるならば、そちらの方を観た方が良いでしょう。多くの日本人にとってテロは日常から縁遠い存在ですが、テロに限らず、病気、事故など、様々な不運や不幸は誰にとっても身近なもので、例え、今は順風満帆でも、いつどんな不運や不幸に遭遇するかわからないのが我々の人生でもあります。爆破テロ事件そのものというよりはその後日談を扱う本作は、事件に巻き込まれた、どこにでもいそうな市井の人々をヴィヴィドに描きながら、他の様々な不運・不幸に見舞われた人々と緩く関連づけることにより裾野を広げ、深みのある、テロ事件の枠を超えて普遍的な共感を誘う作品に仕上がっています。受け身な主人公と二人の強い女性によるユニークな構成原題はシンプルな「Stronger」ですが、邦題は「ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜」と非常にサービス精神が旺盛です。「ダメな僕」と言い切ってしまうのもどうかと思うのですが、主人公のジェフはどちらかと言うと受動的な人間で、ヒロイックな性格でもありません。ストーリーもジェフの母親のパティと恋人のエリンという、二人の強い女性がぐいぐいとジェフを引っ張っていくという、英雄伝にはありえないようなユニークな展開です。ジェイク・ジレンホールというと濃い役を演じることが多いのですが、本作では受け身のジェフというやや薄口な役を演じながらも、じわりと感動を生む渋いパフォーマンスを見せています。一方、彼に強い影響を与えるジェフの母パティを演じるミランダ・リチャードソンは、無学だけれど前向きないかにも労働者階級のお母さんを巧みに演じ、同様、彼に強い影響を与える恋人エリンを演じるタチアナ・マスラニーは、いかにも隣のお姉さんといった庶民的な息づかいを感じさせる好演で、さらに女性同士のちょっとした軋轢もあったりと手の込んだ展開を見せます。不完全な登場人物たちが成長しながら自分を取り戻す深みのある展開アメリカや最近の日本では受動的な姿勢というのはあまり評価されないようですが、これが良くないことかと言うと、必ずしもそうではありません。事件の報道で有名人となったジェフはヒーローに祭り上げられますが、彼はそれを拒否したり、或いは天狗になったりすることがありません。事件のトラウマに苛まれながらも様々なイベントに対応していくうちに、彼は自分は単なる事件の被害者ではなく、様々な不運・不幸を背負う人々に勇気を与えるという役割を担っていることに気づき、それを受け入れていきます。受け身であるが故に新たな自分の社会的な役割を素直に受け入れていくことができたというのが、邦題のサブタイトルの「〜ダメな僕だから英雄になれた〜」が意味するところです(本当に「ダメな僕」なのかどうかは別としても)。背負った不幸を愛と勇気で乗り越えるのはありがちな話ですが、受け身な主人公や不完全な登場人物たちが他の不運・不幸な人々の存在に気づき、成長しながら自分を取り戻していくという深みのある展開が本作の特徴で、見る人に新鮮で普遍的な感動をもたらします。ボストンらしさを生かしたリアリティに溢れる作品本作の魅力のひとつが、ドキュメンタリーのようなリアリティです。ジェフ・ボーマン自身による自伝が原作で、さらにボストン魂の気骨と皮肉がわかるニューイングランド生まれのジョン・ポローノが労働者階級のライフスタイルを正しく脚本に反映、独特の雰囲気を、歪曲する表現しています。さらに、有名なボストンのコメディアン、レニー・クラーク、パティ・オニール、ダニー・マッカーシーなど地元俳優が多数出演、また、医師、看護師、理学療法士、義肢装具士には、実際にジェフを担当した本人に出演してもらい、彼らがいつも話すように話してもらっています。撮影もボストンで行われ、エキストラもほとんどを地元の人から起用しています。ジェフらが暮らす小さな部屋の撮影では、機材やスタッフが入り切らない為、多少、暗くても撮影できるARRI ALEXAを使用し、外から窓越しにライトを当てたりしながら、リアリティを出しています。また、中盤、ジェフがアイスホッケーの試合に応援に駆けつけるシーンでは、公式戦の後に5000人のファンにエキストラとして残ってもらい、臨場感溢れる撮影が行われています。ジェイク・ジレンホール(ジェフ・ボーマン、ボストン・マラソン爆破テロで両足を失う)ジェイク・ジレンホール(1980年〜)は、ロス・アンジェルス出身のアメリカの俳優。父親はスウェーデン系の映画監督、母親はユダヤ系の脚本家、姉は女優。1991年、子役として映画デビュー、「遠い空の向こうに」(1999年)で映画初主演を果たし、高い評価を得、「ドニー・ダーコ」(2001年)でも主人公ドニーを演じ、注目を浴びる。「ブロークバック・マウンテン」(2005年)で、アカデミー助演男優賞にノミネートされている。タチアナ・マスラニー(エリン・ハーリー、ジェフのガールフレンド)タチアナ・マスラニー(1985年〜)はカナダの女優。TVシリーズ「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」(2013〜2017年)の主役でもよく知られている。同じ顔をもつ人物が世界中に多数いるという設定で、彼女は母国語や階級階層等が異なる登場人物など多数の役を同時に演じ、2016年にエミー賞を受賞している。1995年、ミュージカル「オリバー!」で舞台デビュー、高校卒業後、即興演劇で頭角を現す。2004年に映画デビュー、「ウルフマン リターンズ」(2004年)、「イースタン・プロミス」(2007年)、「Picture Day」(2012年)、「ホワイト・ラバーズ」(2016年)などに出演している。ミランダ・リチャードソン(中央、パティ・ボーマン、ジェフの母)ミランダ・リチャードソン(1958年〜)は、イギリスの女優。「クライング・ゲーム」(1992年)、「スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする」(2002年)、「めぐりあう時間たち」(2002年)、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(2005年)、「パリ、ジュテーム」(2006年)、「ファクトリー・ウーマン 」(2010年)、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」(2011年)、「ベル~ある伯爵令嬢の恋~」(2013年)、「戦場からのラブレター」(2014年)などに出演している。カルロス・サンス(右、カルロス)カルロス・サンスは、アメリカの俳優。「アドレナリン」(2006年)の悪役で良く知られる。【サウンドトラック】 ・・・リンク先で視聴できます「ボストン ストロング〜ダメな僕だから英雄になれた」サウンドトラック(楽天市場)1. ジェフの日常 2. ゴールで待つよ 3. ボストンマラソン当日 4. 爆発 5. 時が止まった瞬間 6. 失われた両脚 7. “爆破犯を見た” 8. 脚の上に座ってる 9. 包帯の交換 10. 退院の日 11. 帰っていいよ 12. 義足13. 君なしでできる自信がない 14. アイスホッケーの試合 15. 痛む? 16. 寄りかかってほしい 17. リハビリテーション 18. 何処かへ 19. 再び立ち上がるために 20. カルロスとの再会 21. 始球式を終えて 22. コンセッション・コンフェッション 23. またね、パティ【撮影地(グーグル・マップ)】爆発のあったボストン・マラソンのゴール付近手前で1回目の爆発、1ブロックほど先で2回目の爆発があった。レナード・P・ザキム・バンカーヒル記念橋ボストンのシンボル的な橋で、「イコライザー」(2014年)などボストンを舞台にした映画にしばしば登場する。 ジェフが運び込まれた病院現在は閉鎖された病院の内部を使用して撮影された。ジェフが応援に駆り出されたスケートリンクジェフが通うリハビリセンター(内部)ジェフが応援に駆り出された球場(フェンウェイ・パーク)フェンウェイパーク球場。ボストンの代名詞レッドソックスのホームグランド。 「ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜」のDVD(楽天市場)【関連作品】「ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜」の原作本(楽天市場) Jeff Bauman「Stronger」ボストン・マラソン爆破テロ事件を題材にした映画のDVD(楽天市場) 「パトリオット・デイ」(2017年)デヴィッド・ゴードン・グリーン監督・脚本作品のDVD(楽天市場) 「George Washington」(2000年)監督・脚本・製作、輸入盤、日本語なし 「セルフィッシュ・サマー」(2013年)監督・脚本・製作 「グランド・ジョー」(2013年)監督・製作 「ハロウィン」(2018年)監督ジェイク・ジレンホール出演作品のDVD(楽天市場) 「遠い空の向こうに」(1999年) 「ドニー・ダーコ」(2001年) 「グッド・ガール」(2002年) 「ブロークバック・マウンテン」(2005年) 「ゾディアック」(2007年) 「ミッション:8ミニッツ」(2011年) 「エンド・オブ・ウォッチ」(2012年)「プリズナーズ」(2013年) 「ナイトクローラー」(2015年)タチアナ・マズラニー出演作品のDVD(楽天市場) 「ウルフマン リターンズ」(2004年) 「イースタン・プロミス」(2007年) 「Picture Day」(2012年)、輸入盤、日本語なし 「ホワイト・ラバーズ」(2016年)
2018年12月22日
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「ローガン・ラッキー」(原題:Logan Lucky)は、2017年公開のアメリカのクライム・アクション&コメディ・ドラマ映画です。「サイド・エフェクト」(2013年)を最後に劇場映画から引退、テレビやネット配信の映画製作を手がけていたスティーブン・ソダーバーグ監督の劇場映画復帰作で、チャニング・テイタム、アダム・ドライヴァー、ダニエル・クレイグ、ヒラリー・スワンクら出演で、大胆な大金強奪計画に挑む男女の姿をスリリングに、コミカルに描いてます。 「ローガン・ラッキー」のDVD(楽天市場)【スタッフ・キャスト】監督:スティーブン・ソダーバーグ脚本:レベッカ・ブラント出演:チャニング・テイタム(ジミー・ローガン、ローガン家の長兄、右膝が悪い) アダム・ドライバー(クライド・ローガン、ローガン家の次兄、バーテン、片腕) ダニエル・クレイグ(ジョー・バング、凄腕の金庫破り、現在服役中) ライリー・キーオ(メリー・ローガン、ローガン兄弟の末妹、美容師、車に詳しい) ケイティ・ホームズ(ボビー・ジョー・チャップマン、ジミーの元妻) ファラ・マッケンジー(セイディ・ローガン、ジミーの娘、ミスコンに出場する) キャサリン・ウォーターストン(シルヴィア・ハリソン、女医、ジミーの後輩) ドワイト・ヨアカム(バーンズ所長、ジョーが服役している刑務所の所長) セス・マクファーレン(マックス・チルブレイン、 NASCARチームのオーナー) セバスチャン・スタン(デイトン・ホワイト、NASCARドライバー) ブライアン・グリーソン(サム・バング、ジョーの弟、間抜け) ジャック・クエイド(フィッシュ・バング、ジョーの弟、間抜け) ヒラリー・スワンク(サラ・グレイソン、 FBI特別捜査官) デヴィッド・デンマン(ムーディ・チャップマン、ボビー・ジョーの現在の夫) ジム・オヘア(カル、ジミーの元上司) メイコン・ブレア(ブラッド・ヌーナン、FBI特別捜査官) チャールズ・ハルフォード(アール、ローガン兄弟の友人) ほか【あらすじ】ジミー・ローガン(チャニング・テイタム)は、フットボール選手として輝かしい将来が約束されていたかに見えましたが、脚の怪我が原因でその道を諦め、妻にも逃げられて、失意のうちに暮らしています。建設作業員として働く彼は、シャーロット・モーター・スピードウェイでの作業中に突然、解雇されてしまいます。娘のセイディ(ファラ・マッケンジー)と仮装行列を見に行く為に元妻のボビー・ジョー(ケイティ・ホームズ)の家を訪れた彼は、ボビー・ジョーから近々リンチバーグへと引っ越すと聞かされ、娘に会うことが困難になることに落胆します。先の見えない状況に苛つくジミーは、弟のクライド(アダム・ドライバー)が経営する酒場に向かいます。クライドはイラク戦争で左腕を失い、義手を装着して日常生活を送っています。酒場にいた NASCARチームのオーナー、マックス(セス・マクファーレン)が義手をはめたクライドを嘲笑した為、憤慨したジミーは彼に殴りかかります。その間に酒場の外に出たクライドは、マックスの乗ってきた車に火炎瓶を投げつけます。ジミーは酒場を出て行くマックスの姿を見ながら、兄弟が子供の頃に悪戯をする際に使用した合い言葉、「カリフラワー」を叫びます。ジミーは翌日、シャーロット・モーター・スピードウェイでまもなく開催される全米最大のモーターカーイベントNASCARのレース中に、エア式紙幣搬送システムを利用して大金を盗み出す計画を、クライドに打ち明けます。ジミーの計画に同意したクライドはツキに見放されてきたローガン一家だけでは心もとないと仲間を集めようとしますが、優秀な人間をスカウトすることができず、結局、爆破のプロで現在服役中の変人ジョー・バング(ダニエル・クレイグ)と、その弟であるサム(ブライアン・グリーソン)とフィッシュ(ジャック・クエイド)、ジミーとクライドの妹であるメリー(ライリー・キーオ)のメンバーで計画に実行することにします。一行はジョーを刑務所から連れ出し、事が済み次第彼を刑務所に送り届けるという大胆な計画を立てており、ジョーの脱獄に誰も気付かないという前提でした。計画の脆さに誰も気が付かないまま、クライドは故意に微罪を犯して刑務所に潜入することに成功します。その頃、サムとフィッシュはサーキットの金庫室に大量のゴキブリを放ち、清掃員がやって来た隙を突いて部屋の寸法を測ります。強盗のための装備を調えていたジミーは、高校の後輩だったシルヴィアと再会します。彼女は医者として生計を立てていました。シルヴィアに破傷風のワクチンを打ってもらったジミーは、シルヴィアにも奪った金を分け与えることにします。サーキットの補修工事が早く終わりそうなことを知ったジミーは、当初予定していた人気のないレースでの犯行計画を1週間早めて、メモリアル・デイの週末に開催されるコカ・コーラ600の開催日に犯行を実行することにします・・・。【レビュー・解説】スティーブン・ソダーバーグ監督の劇場映画復帰作は、オールスター・キャスティング、捻りのきいたスリリングな展開と、彼らしさが溢れ、コミカルな味を出しながらも社会風刺のきいた、「ダメ人間版オーシャンズ11」とも言える娯楽作品です。ダメ人間版オーシャンズ11フットボールの花形選手だったが怪我で道を絶たれたバツイチのジミー、イラク戦争で左腕を失ったクライド、強盗の舞台となるのがNASCARレースと、非常にアメリカ的な背景のを持った本作は、オールスター・キャスティングに捻りの効いたスリリングな展開とソダーバーグ監督らしさが溢れ、クライム・アクション&ドラマを軸にしながらも、コミカルな味付けで、社会風刺の効かせた、ジャンルを超えた映画です。「オーシャンズ11」(2001年)を観た人には、ダメ人間版オーシャンズ11と言えばわかりやすいと思います。「オーシャンズ11」は、ソダーバーグ監督が最も興行的に成功した作品ですが、もちろん、本作はその焼き直しではなく、大きく異なる点があります。オーシャンズ・シリーズとの、大きな違いはいくつかある。1つは主人公たちが最初から泥棒ではないことだ。だから盗みを働く前に仕事の仕方を学ぶ必要がある。そして、それが本作の面白さでもある。強盗に何が必要か分からず失敗を繰り返す。もう1つは主人公たちの生活環境だ。彼らにはお金も技術もない。彼らは問題に直面するたびに、その場で臨機応変に解決策を練らねばならない。そこが面白い対比になっていると思ったんだ。ゴージャスでグラマラスな風格を持つオーシャンズ・シリーズとのね。オーシャンズには不可欠な部分だ。 私がこの物語を気に入ったのは、全員が完璧じゃないところだ。こんな質問を受けたことがあるんだ。「ウェストバージニアで暮らす主人公たちのような人は、自分たちの状況を政治的に主張するようになると思うか?」私はこう答えた。ウェストバージニアの人々には誰が大統領でも与党がどこでも関係ない。誰も彼らに手を差し伸べない。今までもそうだったし、これからも変わらない。彼らは社会から忘れ去られた、真のはみ出し者たちなんだ。だから彼らを描くのに必要なのは、目の前の状況と、それにどう対処するかだけだ。それが本作の脚本のもう1つの魅力だ。現実がフレームの外から染み出てくるが、物語の中心ではないんだ。(スティーブン・ソダーバーグ監督)http://www.webdice.jp/dice/detail/5515/自家薬籠中のオールスター・キャスティングソダーバーグ監督と言えば、「トラフィック」(2000年)「オーシャンズ」シリーズ(2001年〜2007年)「コンテイジョン」(2011年)「サイド・エフェクト」(2013年)など、主役級の俳優を多数起用したオールスター・キャスティングを得意としますが、本作でも、チャニング・テイタムアダム・ドライバーダニエル・クレイグケイティ・ホームズヒラリー・スワンクと、錚々たるキャスティングです。また、彼はジョージ・クルーニー(6回)、マット・デイモン(7回)など、同じ俳優を繰り返して起用する傾向があり、本作のチャニング・テイタムも4度目の起用になります。ローガン兄弟を演じるチャニング・テイタム、アダム・ドライバーは、期待を裏切らないパフォーマンスですが、入れ墨を入れた金髪角刈りの服役囚をコミカルに演じるダニエル・クレイグには、一瞬、誰かと思うほどの強烈なインパクトがあります。なんと言っても007シリーズのジャームス・ボンドのイメージが強い彼ですが、そのイメージを払拭しながら大スターの存在感をしっかりと漂わせており、実に幅広い技量を持った俳優であることを実感します。ダニエルとは非公式に仕事で会ったことがあった。私が製作を務めた『ジャケット』という映画で、監督のジョン・メイブリーを介して会った。わずかな時間だったが、その時に彼がユーモアのセンスの持ち主で、楽しい人だと知った。だが、彼のそうした一面を引き出している人が少ないことに気づいた。ジョー・バングという人物は、ローマ花火のように観客の目をくぎ付けにする。言うこと成すこと全て笑えるキャラクターだ。ダニエルは人柄的にもキャリア的にもこの役にピッタリだと思ったんだ。ただ勝手気ままに面白い言動をするだけ、見た目は気にしなくていい。気に入るかと思って脚本を送った。ダニエルが興味があると言うので、私はこう説明した。「カッコよさは求めてない。ジェームズ・ボンドとは真逆の役だ。君にとっては未知の役だが、いいか?」彼は「ありがたい」と答えた。しばらくして、彼からEメールが送られてきた。金髪角刈りの写真と一緒に「こんな感じでどう?」とね。入れ墨もあって、全てが完璧だった。彼は楽しんでやってたと思う。映画全体を背負わなくていいから気が楽なんだ。(スティーブン・ソダーバーグ監督)http://www.webdice.jp/dice/detail/5515/「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年)、「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)でアカデミー主演女優賞を二度受賞しているヒラリー・スワンクは、なんと映画開始から1時間半以上、経ってからの登場ですが、エンディングに向けて見事な存在感を見せ、わくわくさせます。これも、ソダーバーグ流オールスター・キャスティングの魅力でしょう。他にも、ローガン兄弟のユニークなギークな妹に、エルヴィス・プレスリーの孫娘のライリー・キーオジミーの後輩の女医に、「スティーブ・ジョブズ」(2015年)、「ファンタスティック・ビースト」シリーズ(2016年〜)で注目を集めるキャサリン・ウォーターストンジョーの間抜けな弟に、ドーナル・グリーソンの弟のブライアン・グリーソンNASCARチームのオーナーに、俳優、声優、アニメーター、脚本家、コメディアン、プロデューサー、映画監督、歌手とマルチな才能を見せ、第85回アカデミー賞授賞式の司会を務めたセス・マクファーレン多数のNASCARドライバーが様々な役でカメオ出演と、話題性の高いキャスティングになっています。また、ほんの少ししか登場しませんが、FBI特別捜査官役のメイコン・ブレアも刺激的なキャスティングです。因みに、ソーダーバーグ監督がこのようにオールスター・キャストを集められるのは何故でしょうか?類まれなる才能を持つ監督の作品に出演したいという俳優が多い、オールスター・キャストの演出に定評があるといった理由に加えて、俳優に不要な負担をかけない撮影スタイルが俳優に好評なようです。この辺り、やはり俳優に人気があるウディ・アレン監督の撮影スタイルに似たところがあります。ある一定時間以上働くと、能率が落ちてくるように思うから、長時間の拘束はしない。不必要なフッテージも撮らない。 役者に関しては、現場に来た瞬間に撮影に入られるように、セットや照明の準備が終わった段階にしておく。そして撮影を始めたら、撮り終わるまで何かを直すなどでキャストがセットを離れることは一切ない。よくあるような、キャストがトレーラーに戻るようなことはね。継続して撮り続けられる、ちょっと舞台をやるような感じというのは、役者にとってはすごく楽しいことだと思うよ。(スティーブン・ソダーバーグ監督)https://eiga.com/news/20171117/16/配給会社の設立と劇場映画監督を休業した理由この作品は、ソダーバーグ監督が新たに設立したフィンガープリント・リリーシングとブリーカー・ストリートの合弁によって、アメリカ国内で配給されました。ハリウッドでは6大スタジオや配給会社がマーケティングに大きな力を持っており、映画監督のクリエイティブ・コントロールの障害になることが少なくありません。ハリウッド映画を採算に乗せる為には制作費の4倍の興行収入が必要で、リスクは製作側が負うのが一般的と言われます。破竹の勢いで興行成績が伸びていた頃ならいざ知らず、ソダーバーグ監督も近年は興行成績にバラツキが多く、採算が厳しい作品が少なくなかったようです。そんな中で、ソダーバーグ監督は、劇場映画の監督から退くことを考えました(テレビやネット配信用の映画製作は続けていた)。マーケティングはどうやって行われるのか、製作物はどのようなものが作られていくのか、そして資金がいつ、どのような形で使われるのかということを自分自身が確認できるかどうか。どういった風にさまざまな収益が集められて、関わった人々に配分されていくのか、自分できっちりと管理して透明性をもって見られること。実は、これらができなくなったのが、長編映画から身を引いた理由でもあったんだ。自分の作品が拡大公開されてしまうと、どうしてもコントロールできなくなってしまうからね。一旦映画から引退すると言ったのは、当時はそれしかないという苦渋の思いで行ったことなんだ。(スティーブン・ソダーバーグ監督)https://eiga.com/news/20171124/3/ 主なソーダバーグ監督作品の興行成績主な作品公開配給会社興行成績備考予算収入セックスと嘘とビデオテープ1989ミラマックス$120万$2500万アカデミー脚本賞候補アウト・オブ・サイト1998ユニバーサル$4800万$7800万 イギリスから来た男1999アライアンス・エンターテインメント$1000万$320万 エリン・ブロコビッチ2000ユニバーサル $5200万$2.6億アカデミー監督賞候補トラフィック2000USAフィルムズ$4800万$2.1億アカデミー監督賞受賞オーシャンズ112001 ワーナー・ブラザース$8500万$4.5億 ソラリス2002 20世紀フォックス$4700万$3000万 オーシャンズ122004ワーナー・ブラザース $1.1億$3.6億 さらば、ベルリン2006ワーナー・ブラザース $3200万$600万 オーシャンズ132007ワーナー・ブラザース $1億$3.1億 チェ2008フォーカス・フィーチャーズ$5800万$4100万 インフォーマント!2009ワーナー・ブラザース$2200万$4200万 コンテイジョン2011ワーナー・ブラザース$6000万$1.4億 エージェント・マロリー2012レラティビティ・メディア$2200万$3300万 マジック・マイク2012ワーナー・ブラザース $700万$1.7億 恋するリベラーチェ 2013HBO$2300万$4700万 サイド・エフェクト2013オープン・ロード・フィルムズ$3000万$6000万劇場映画監督引退ローガン・ラッキー2017フィンガープリント・リリーシング他$2900万$4700万劇場映画監督復帰アンセイン 〜狂気の真実〜2018フィンガープリント・リリーシング他$150万$600万 その後、ソダーバーグ監督は自ら配給会社のフィンガープリント・リリーシングを設立することにより、ファイナンスの問題とマーケティングの問題を同時に解決しました。80年代にオランダの銀行家フランズ・アフマンが開発、インディーズ・ブームの原動力となった「プリセールス・システム」に一部、似たところがありますが、ハリウッドの干渉を受けずに作品のクリエイティブ・コントロールを確保できるように、ソダーバーグ監督は事前に海外の配給権を売ることにより制作費を調達しました。このプリセールスで2,900万ドルを調達、さらにHBOやNetflixなどのチャンネル、VODやテレビ、飛行機での上映の権利といった「映画館での上映以外の全て」を売却することで、映画のP&A(プリント代と宣伝費)を確保するビジネスプランでした。マーケティングとファイナンシャル、この二つが長編映画から身を引いた理由でもあった。大規模公開された時には、それをコントロールできなかったから。映画を愛しているから本当は辞めたくなかったが、あの時はそれしか選択肢がなかった。今回、映画界に戻って来るにあたって、自分に合った映画ビジネスのバージョンを作ることができた。他の誰かがすでに形作ったビジネスの中でやるのではなくてね。今は自分の条件で映画を作ることができ、自分の映画ビジネスの中で仕事ができるから快適なんだ。実際、公開後にいろんな映画監督から電話がかかってきて『どうやったのか、何をやったのか詳細を教えてくれ』と聞かれたから、このアプローチを前進させるのは僕だけではないと思う。https://www.cinematoday.jp/news/N0096277これまでもさまざまな挑戦を積み重ねてきたソダーバーグ監督ですが、ビデオ・オン・デマンド市場が世界的に拡大する中、HBO、Netflix、アマゾンといったキープレイヤー、そして自ら設立した映画配給会社を通してどのような作品を作っていくのか、非常に興味深いところです。チャニング・テイタム(ジミー・ローガン、ローガン家の長兄、右膝が悪い)チャニング・テイタム(1980年〜)は、アラバマ州出身のアメリカの俳優。学生時代はアメリカン・フットボールや陸上競技、バスケットボールなど、様々なスポーツをし、高校を卒業後、ウェストバージニア州の大学に進学するが中退。建設関係やセールスマンの仕事をする傍ら、ストリップ・クラブでストリッパーとして働く。2000年、PVにダンサーとして出演、23歳でペプシコーラのCFの主役に抜擢され、マウンテンデューなど若者向けのCFに立て続けに出演する。2004年にテレビシリーズ「CSI:マイアミ」にゲスト出演、「ステップ・アップ」(2006年)で主役を演じる。スティーブン・ソダーバーグ監督の「マジック・マイク」(2112年)で主演のストリッパー・マイクを務め、人気を博する。アダム・ドライバー(クライド・ローガン、ローガン家の次兄、バーテン、片腕)アダム・ドライバー(1983年〜)は、サンディエゴ出身のアメリカの俳優。TVドラマシリーズ「GIRLS/ガールズ」に主人公の恋人役で出演、2013年〜2015年にエミー賞にノミネートをされる。「リンカーン」(2012年)、「フランシス・ハ」(2012年)、「奇跡の2000マイル」(2013年)、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」(2013年)、「ヤング・アダルト・ニューヨーク」(2014年)、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015年)、「沈黙 -サイレンス-」(2016年)、「ミッドナイト・スペシャル」(2016年)と高評価の映画に出演し続けている。観察力、対応力に優れ、役になりきって演じるが、自分が出演した映画を観ることはないと言う、分析よりも直感を重視する俳優。本作では片腕のバーテンダーという役で、片手でシェイクする技を習得している。ダニエル・クレイグ(ジョー・バング、凄腕の金庫破り、現在服役中)ダニエル・クレイグ(1968年〜)は、イングランド出身のイギリスの俳優。シェイクスピア劇で舞台デビュー、1992年に映画デビュー。「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」(1998年)で好評を博し、「トゥームレイダー」(2001年)や「ロード・トゥ・パーディション」(2002年)などのアメリカ映画にも出演するようになる。2005年、第6代目ジェームズ・ボンド役への抜擢が発表され、「007 カジノ・ロワイヤル」(2006年)ではシリーズ最高記録の興業収入を記録、さらに「007 スカイフォール」(2012年)で、その記録を塗り替えた。2012年のロンドンオリンピック開会式では、エリザベス2世をエスコートするボンド役を演じた。ライリー・キーオ(右、メリー・ローガン、ローガン兄弟の末妹、美容師、車に詳しい)ライリー・キーオ(1989年〜)は、ロサンゼルス出身のアメリカの女優、モデル。エルヴィス・プレスリーの最初の孫。14歳の時、イタリアのミランで行われたドルチェ&ガッバーナのファッションショーでファッションモデルとしてデビュー、ヴォーグの表紙にも登場する。「ランナウェイズ」(2010年)で役者としてデビュー、ダコタ・ファニングと姉妹を演じた。「グッド・ドクター 禁断のカルテ」(2011年)でオーランド・ブルームの相手役を演じ、スティーブン・ソダーバーグ監督の「マジック・マイク」(2012年)、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015年)などに出演している。ケイティ・ホームズ(ボビー・ジョー・チャップマン、ジミーの元妻、ローガン兄弟を嫌悪)ケイティ・ホームズ(1978年〜)は、オハイオ州出身のアメリカの女優。高校生の頃から演劇を始め、モデルとしても働く。アン・リー監督の「アイス・ストーム」(1997年)で映画デビュー。翌年にはテレビシリーズにも出演し、ティーンの人気を得る。「洗脳」(1999年)で好評を博し、その後も着実にキャリアを重ねる。2008年にはブロードウェイ・デビューを果たす。2005年からトム・クルーズと交際、結婚、一女をもうけるが、2012年に離婚。ファラ・マッケンジー(中央、セイディ・ローガン、ジミーの娘、ミスコンに出場する)ファラ・マッケンジー(2005年〜)は、アメリカの女優。両親が俳優、祖父がTVディレクター。5歳から演技を始め、数多くの映画、テレビ、短編映画に出演している。キャサリン・ウォーターストン(左、シルヴィア・ハリソン、移動診療所の医師、ジミーの後輩) キャサリン・ウォーターストン(1980年 )は、ロンドン出身のアメリカの女優。父は「華麗なるギャツビー」(1974年)でニック・キャラウェイを演じたサム・ウォーターストンで、異母兄、実姉も俳優。ニューヨーク大学で演技を学んだ後、2004年にテレビ映画デビュー、「フィクサー」(2007年)で劇場映画デビューする。「インヒアレント・ヴァイス」(2014年)で一躍注目を浴び、「スティーブ・ジョブズ」(2015年)、「ファンタスティック・ビースト」シリーズ(2016年〜)などの大作に出演するようになる。ドワイト・ヨアカム(バーンズ所長、ジョーが服役している刑務所の所長)ドワイト・ヨーカム(1956年〜)は、ケンタッキー州出身のカントリー歌手、俳優。カントリー歌手としてグラミー賞を二度受賞、21回もノミネートされているつ実力派。歌手だけでなく俳優として映画出演もしており、暴力的な飲んだくれを演じたりしている。本作では、独裁的な刑務所長を演じているが、興味深いキャスティングである。セス・マクファーレン(マックス・チルブレイン、 NASCARチームのオーナー)セス・マクファーレン(1973年〜)は、コネチカット州出身のアメリカの俳優、声優、アニメーター、脚本家、コメディアン、プロデューサー、映画監督、歌手。テレビアニメの作者として知られ、またそれらの番組で多数のキャラクターを演じている。第85回アカデミー賞授賞式では司会を務め、高視聴率を稼いだが、人種や性をネタにしたジョークが一般向けにはややきつく、様々な方面から批判された。本作には、鼻髭に挑発と、一瞬、彼とはわからぬ出で立ちで出演している。ブライアン・グリーソン(中央、サム・バング、ジョーの弟、間抜け)ブライアン・グリーソンは、ダブリン出身のアイルランドの俳優。父が俳優のブレンダン・グリーソン、兄が俳優のドーナル・グリーソン。「スノーホワイト」(2012年)、「アサシン クリード」(2016年)、「ファントム・スレッド (2017年)、「マザー!」(2017年)などに出演している。ヒラリー・スワンク(サラ・グレイソン、 FBI特別捜査官)ヒラリー・アン・スワンク(1974年〜)は、ネブラスカ州出身のアメリカの女優。幼い頃は一時期トレーラーハウスの中で暮らしていた。スポーツ万能で競泳のジュニアオリンピック地元選考会に出場したことがある。「バッフィ/ザ・バンパイア・キラー」(1992年)の端役で映画デビュー、「ベスト・キッド4」(1995年)の主演に選ばれるが映画は不入り、1997年にはテレビドラマ「ビバリーヒルズ青春白書」に出演するが後に降板させられる。低予算映画「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年)の主役に抜擢され、アカデミー主演女優賞を受賞する。「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)で二度目のアカデミー主演女優賞を受賞している。本作では映画開始から1時間半以上、経ってからの登場だが、エンディングに向けて見事な存在感を示すのは、さすがオスカー女優である。メイコン・ブレア(ブラッド・ヌーナン、FBI特別捜査官)メイコン・ブレア(1974年〜)は、ヴァージニア州出身のアメリカの俳優、脚本家、映画監督、プロデューサー。 「この世に私の居場所なんてない」(2017年)で監督デビューし、脚本、出演、プロデュースの4役をこなしている。本作でも、短い出演ながら、独特の存在感を醸し出している。【撮影地(グーグルマップ)】シャーロット・モーター・スピードウェイ 「ローガン・ラッキー」のDVD(楽天市場)【関連作品】スティーブン・ソダーバーグ監督xチャニング・テイタムのコラボ作品(楽天市場) 「エージェント・マロリー」(2011年) 「マジック・マイク」(2012年) 「サイド・エフェクト」(2013年)スティーブン・ソダーバーグ監督作品のDVD(楽天市場) 「セックスと嘘とビデオテープ」(1989年) 「アウト・オブ・サイト」(1998年) 「イギリスから来た男」(1999年) 「エリン・ブロコビッチ」(2000年) 「トラフィック」(2000年) 「オーシャンズ11」(2001年) 「ソラリス」(2002年) 「オーシャンズ12」(2004年) 「さらば、ベルリン」(2006年) 「オーシャンズ13」(2007年) 「チェ」(2008年) 「コンテイジョン」(2011年) 「恋するリベラーチェ」(2013年) 「アンセイン 〜狂気の真実〜」(2018年)チャニング・テイタム出演作品のDVD(楽天市場) 「21 ジャンプストリート」(2012年) 「ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」(2013年) 「22ジャンプストリート」(2014年) 「フォックスキャッチャー」(2014年) 「ヘイル、シーザー!」(2016年)アダム・ドライバー出演作品のDVD(楽天市場) 「リンカーン」(2012年) 「フランシス・ハ」(2012年) 「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」(2013年) 「奇跡の2000マイル」(2013年) 「ヤング・アダルト・ニューヨーク」(2014年) 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015年) 「沈黙 -サイレンス-」(2016年) 「ミッドナイト・スペシャル」(2016年) 「パターソン Paterson」(2016年)「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」(2017年) 「ブラック・クランズマン」(2018年)ダニエル・クレイグの出演作品のDVD(楽天市場) 「エリザベス」(1998年) 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2018年12月13日
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