私訳・源氏物語

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佐久耶此花4989

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July 11, 2006
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カテゴリ: 最近のこと


 今日も今日とて「最近二箇所で不幸があって行ってきたけれど、悲しい思いをして、また物思いに沈んでいる」と言っては嘆きます。
 来るたびに嘆き悲しみ、まるで自ら悲しいことを求め、自己憐憫に浸ろうとしているように私には感じられ、彼女の話を聞くたびにとても憂鬱になるのでした。

 私はこれまでの彼女は、不幸とは縁遠い平穏で幸福な生活の中に生きていたのではないか、と思いました。求めても得られない哀しみ、喪失感や不安感、魂の次元で飢えるもの、そういったものにかつて出会ったことがないからこそ、こうした不幸になすすべもなく戸惑っているように感じたのです。

 区内で生活苦から餓死した人のニュースが報道されたことがありました。
 そのときNさんは親しい友人に「自殺の方法をひとつ覚えたよ」と言って、その友人を泣かせたことがあったそうです。

 本人の口からそれを聞いたとき、私は彼女の人間性を疑いました。
 「悪い冗談」というものです。いいえ、「卑劣なせりふ」といった方がいいでしょう。
 自分を心配してくれる心優しい友に対して言うべき言葉ではない、それはむしろ「裏切りに近い」と、思ったからです。

 いつまでも同じところを彷徨っていないで、少しでも光に向かって頭を上げよう、立ち直ろうとする健気さ、善良な人の誠意や親切に甘えてばかりいてはいけないという自立心・・・そんな前向きに生きようとする力のないことが、残念でなりません。

 「死」を悲しんでばかりいるのではなく、「死」を出発点として「生」を眺めることが大切なのではないでしょうかと言うと、Nさんは「そうなれるでしょうか」と力なく言いました。

 「なれるか」ではなく「なりたい」と、自分から求めていかなくては、決して与えられないのではないか・・・私はそう思いましたが、なにも応えませんでした。





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最終更新日  March 9, 2017 07:02:05 PM
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