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源氏の大将殿は、六条御息所が姫君とともに伊勢へお下りになりますことを、強いてお止め申し上げることもなさいません。
そのくせ「私など数のうちに入らない身でしょうから、見るのもお嫌とお捨てになるのも道理でしょうが、今となっては不甲斐ない者であっても、一生連れ添うてくださいますのが、浅からぬ情愛の縁というものでしょう」などと、持って回った訳の分からないことをおっしゃいますので、御息所はますます決心がお付きにならないのです。
六条が源氏に振り回されているうえに、女としての矜持に欠けることが、私には実に口惜しく、腹立たしく思えるのです。