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どの帝の御代でしたか。
あまたの女御・更衣がお仕えなさいます中に、
それほど位が高く勝れた身分ではありませんのに、
際立ってご寵愛を受けていらっしゃる方がありました。
入内のはじめから「わたくしこそ帝のご寵愛を」と、
志を高く持っていらした、家柄も容姿も優れた御方々は、心外な者として、
この更衣を貶めたり妬んだりなさいます。
まして同じ更衣や、より身分の低い更衣たちは、心安かろうはずがありません。
朝夕の宮仕えにつけても
女御や更衣たちの嫉妬心を動かし、恨み事が積もったせいでしょうか、
更衣は病気がちとなり、それがたいそう重くなってしまいました。