PR
カレンダー
キーワードサーチ
源氏の君は内裏に五・六日参内なさって、
左大臣邸には二・三日程度をとぎれとぎれにお帰りになるのですが、
左大臣は、今はまだ幼いのだから何事も罪のないことと思して、
源氏の君にかしづいていらっしゃいます。
源氏の君と姫、お二方それぞれにお付きの女房たちを、
世に並びない人々から選び調えてお仕えさせになり、
源氏の君がお喜びになりそうな御遊びをし、思いつく精一杯のおもてなしをなさいます。
帝はもとの淑景舎(桐壺)を、内裏での源氏の君のお部屋として、
母・御息所にお仕えしていた人々をそのままお傍にお置きになります。
里のお邸は修理職や内匠寮(たくみづかさ)に宣旨をお下しになり、
改築をおさせになりました。
もともと木立や山の佇まいなどの風情のある所でしたが、
池を広くして立派に増築なさいます。
源氏の君はため息をつきながら、
『このような所に、恋しく思うような人を据えて、一緒に暮らせるなら』
とばかりお思いです。
『光る君』とは、高麗の人相見がおほめ申し上げて、
付けたてまつる名であったと言い伝えがありますとか。