私訳・源氏物語

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May 9, 2010
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カテゴリ: 源氏物語

そこへお勤めを終えられた僧都がおいでになりましたので、
『話してしまったからにはもう、待つより仕方がない』と、屏風をお閉めになりました。

 明け方になりましたので、法華三昧堂から法華経を読誦する声が、
山から吹き下ろす風と共に聞こえてくるのもたいそう尊く、滝の音と響き合っています。

「吹きまよふ 深山おろしに夢さめて 涙もよほす 瀧の音かな

(吹き迷う深山下ろしの風の凄さに、すっかり夢がさめてしまいました。
それに瀧の音には、涙が誘われる心地がします)」

すると僧都が、

「さしくみに 袖ぬらしける山水に すめる心は騒ぎやはする

(あなたさまは山水に思わず涙して袖を濡らしたとおっしゃるが、
ここに長く住み、行い澄ましている心は、動くことなどないのです)

 聞き慣れているせいでしょうか」

と申し上げるのです。






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最終更新日  March 7, 2017 06:31:23 PM
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