私訳・源氏物語

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July 17, 2010
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カテゴリ: 源氏物語

源氏の君は、それが誰ともまだ見分けることがおできになりませんが、
ご自分の正体を知られたくありませんので、抜き足でその場を退き給うのです。

「私を置き去りになさった恨めしさに、ここまで御送りつかまつりました。

もろともに 大内山は出でつれど 入るかた見せぬ いさよひの月

(ご一緒に内裏を退出したしたはずですのに、入った場所はお教えくださらないのですね。
あなたはまるで、いつ入ったか知れぬ十六夜の月のようだ)」

 と、嫌味を言いますのもいまいましいのですが、『頭中将であったか』
ほっとなさいますと、少し可笑しくもお思いになります。

「人の後を付けるとは、思いもよらぬことをするのですね。

里わかぬ 影をば見れど 行く月の いるさの山を たれかたづぬる

(月はどの里も分け隔てなく照らすものですよ。
その月の後を付けて、入る山にまで尋ねて行く人などあるものですか)」

 癪に障るので、そうお返しになります。すると頭中将が、

「私がこのように御後を付け回したら、どうなさいますか」

 と、申し上げます。

「まさにこのような御忍び歩きには、随人が大事でありましょう。
お供しだいで事がうまく運ぶというものです。


ご身分を隠した御忍び歩きには、軽率な事も起こるでしょうから」

と、反対にお諫め申し上げるのです。






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最終更新日  March 7, 2017 04:50:31 PM
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