私訳・源氏物語

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September 16, 2010
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カテゴリ: 源氏物語

翌朝、源氏の中将から藤壺の宮に、御文がありました。

「私の舞を、どのようにご覧いただけましたか。
私はかつてないほどの、悩ましい気持ちでしたが。

物思ふに 立ち舞ふべくもあらぬ身の 袖うちふりし 心知りきや

(狂おしい気持ちゆえに舞うことさえできぬ我が身でしたが、
あなたさまへの精一杯の心を籠めて袖を振りました。
私の気持ちを、おわかりいただけたでしょうか)

 畏れ多いことではございますが」

 と書いてあります。

 まばゆいほどのお姿やお顔立ちをしておいでだった上に、御文をご覧になって、
藤壺の宮は堪えることがおできにならなかったのでしょうか、

「唐人の 袖ふることは遠けれど 起ちゐにつけて あはれとは見き

(唐人が袖を振って舞ったというその謂われには疎うございますが、
あなたさまの舞姿には、胸に迫るものがございました)

とても感動いたしました」

と、お返事がありました。

 源氏の中将は、めったにないお返事がこの上なく嬉しく、

『舞楽の故事にまで詳しい人なのだ。
異国のことまでご存知でいらっしゃるとは、本当に后にふさわしいお言葉だ』

 と、にっこりなさって、持経のように大切に広げて見入っていらっしゃいます。






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最終更新日  March 7, 2017 04:28:30 PM
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