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『左大臣家にもしばらく行っていないな』とお思いになるのですが、
紫の姫も可哀想ですので宥めておこうと二条院にいらっしゃいます。
愛敬があって利発な性質は他の女とはたいそう違い格別優れているので、
『この姫に思う存分、我が心のままに教え育てよう』との御心に、きっと叶うことでしょう。
されど男君のなさるご教育ですから、
人馴れした所があるかもしれぬと思う点が気掛かりです。
日ごろのお話しをなさり、御琴などを教えたりなさって出で給うのを、
姫は『やはりお出かけになるのね』と、残念にお思いになるのですが、
今ではたいそうよく馴らされて聞きわけもなく纏いつくようなことはなさいません。