PR
カレンダー
キーワードサーチ
桐壺院の御弟宮でいらっしゃる
桃園式部卿の宮
は、
桟敷で源氏の大将のお通りをご覧になっていらっしゃいました。
「何と。年ごとに、まぶしいまでうつくしく成長する方ですな。
鬼神などが目をお留になるでしょうに」
と、恐ろしくお思いになります。
源氏の大将は宮の姫君へは、長い間にわたり御文を差し上げていらっしゃるのでした。
姫君はその源氏の君の御心持ちを、『世間の男にはないもの』とお思いで、
『平凡な男であっても、女は心惹かれるものだわ。
まして源氏の君はどうしてこんなにすばらしいのかしら』と、御心が留まるのでした。
けれども、今以上に近しい関係に、とまでは、お思いになりません。
それでも若い女房たちは聞き難いまで、源氏の大将を褒め合うのでした。