私訳・源氏物語

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佐久耶此花4989

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January 27, 2018
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カテゴリ: 源氏物語つれづれ
己の病気が分かってからじっとしていられず、
昨年、源氏物語関係のカルチャーに二つほど入会してみた。

カルチャーはこりごりと思っていたのだが、
辛いときこそ気持ちを晴らすことに熱中したくなるのは、
生物部でプレパラート作りに熱中していた高校生のころからの性癖かもしれない。

それに加えて、単なる趣味というだけではよくわからないことが多々あって、
どこかでご教示願いたいと思うようにもなり、
ネットであれこれ調べた結果二つに絞ってみた。

一つはお試し時間 30 分があったのだが、
もう一方は入会しなくては受講さえできない。

それでとりあえずトライアルの 30 分を受講してみた。

のんびりした講義内容でなかなか進まないようだったが、
原文をみんなで音読するのが楽しかった。

全員(私を含めて 7 ~8人ほど)で読むと、
まるで教科書を読んでいるように抑揚がなく面白味がないのだが、
それでも私には新鮮に感じた。

最初の講座の後先生にご挨拶したところ、
先生も受講生が少ないことを気にしていられるようだったが、
「まあ私としては受講料さえ払ってもらえれば、それで充分なんですけどね」
と、強がりとも冗談ともつかぬことを言われて戸惑ったことがある。

昨年末、私の体調が悪くて二回ほどお休みしたのだが、
それを気遣ってくださったあとにもまた、上記文言がでた。

つまり「お金さえ払ってくれれば休んでも構わない」ということになろうか。
受講生からは笑いが起こったが……。
ところでもう一方の教室のキャッチフレーズ
「先入観を排し、私たち自身と本文との対話を通して読み取る」
という文言に惹かれたのだが、残念ながら私の期待した内容ではなかった。

「先入観」は「作者は女性ではない」だったし、
「本文との対話」は「自分の感受性を排して、原文のままを読む」ということで、
作者男性説はもとより、自分の感受性を排して小説を読むとはどういうことやら、
浅学の私には理解できなかった。

しかしせっかく入会したのだから、心外な「作者男性説」も前向きにとらえて、
積極的に学ぼうと努力してみた。

毎回講師が力説する作者男性説にはうんざりしたのだが、
その根拠を質問してみたところ、
「桐壺の巻での源氏の元服シーンなどは、
宮中に仕える女房たちに必要なことではなく、興味もなかったものだったろう。
また男でなくては分かり得ないような儀式に関して詳しいから」
というのが応えだった。

私は楽しみの少ないあの時代に、
宮中での儀式や管弦の遊び事は女房たちにも大きな楽しみだったにちがいない
と思うし、お目当ての殿方の衣装や楽の音、舞を
密かに楽しんだだろうと想像する。

儀式に関してなどは決まり事なわけだから、
道長から聞かされていたかもしれないではないか、
と思うのだが私見を述べることはしなかった。

それで「作者はどんな立場の男性で、どういう目的で書いたのか」
を尋ねたところ、
「どんな立場だったかは、分かりません」ときた。

一番がっかりしたのは源氏物語の書かれた目的は「血筋にある」
といわれたことだった。しかも桐壺の更衣の血筋なのだそうだ。

私は返す言葉がなかった。

単なる血筋ならわざわざ長編小説なんぞ書くまでもなく系図ですむわけだし、
よりにもよってなぜ直接登場してもいない
「按察使大納言」がトップなのか理解できない。

「作者が紫式部であろうとなかろうと構わないにしても、
女性でなくては吐露できない懊悩を、現実感のない男性に書けるわけがない」
というと、
「だから、源氏物語を感受性で読んではいけないのですよ」
とくる。私はもうこの講師との対話に疲れてしまった。

帰宅して家人に話したところ、
「男を見限るのが早くなったか?そんなところ、やめてしまえ」
と笑われた。

入会金も受講料も払い込み済みだったが、
参加する意味を感じられずやめてしまった。

やめた理由にはもう一つあって、
こちらが質問したことに対して詳しく教えてもらえないこともあった。

例えば「御」の読み方の違いについて。
源氏物語では基本的に「おほん」と読み、中世では「おん」、
「ご」や「み」は慣習であるという。

私は、トライアル期間を経て入会した講座の講師に同じ質問をしてみた。

意地が悪いかなと思ったが、
受講料さえ払ってもらえれば結構とおっしゃるご仁だから、
払う身として試してもいいだろうと思ったのだ。
すると思いがけず詳しく教えていただいた。

源氏物語は原則的にやまとことばなので「おほん」と読むが、
マ行音の特殊なもの(御座・おまし、御物・おもの)などは「お」と発音する。
神仏、天皇、皇族、調度品に関する時は「み」と読む。
特殊な例としては「御髪・みぐし」。宮というのは「御屋・みや」、
つまり神・仏のすまいという意味だ、などなどとても興味深い内容だった。

ところで今回は「琴」の知識について、
私の間違いが分かったので、お詫びして訂正させていただきたい。

私は琴の琴も筝の琴も同じ七絃だとどこかで書いたのだが、
前者は七絃だが後者は十三絃なのだそうだ。

だから、いわゆるカルテットにはならないと教わった。

毎回参考になることばかりではないが、
少人数な上に質問も自由にできるので、
今のところ楽しく受講させていただいている。





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最終更新日  January 27, 2018 11:32:41 PM
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