私訳・源氏物語

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July 20, 2018
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カテゴリ: 源氏物語
大将殿の大姫君は春宮に入内なさいました。

競い合う人がいらっしゃいませんので、一身にご寵愛を受けておいでです。

その次々の姫君たちも、
二宮や三宮とご結婚なさるであろうと世の人も噂し合い、
母宮・明石中宮も仰せになるのですが、
兵部卿の宮はそのようにお思いにはならず、
望んでもいない結婚には興味がないご様子でいらっしゃいます。

右大臣殿も『何も皆が同じ順序に結婚をしなくともいいではないか』と、
お気持ちを鎮めようとなさるのですが、
一方ではまた、宮たちから姫君を所望されるようなそぶりをお示しくだされば、
同意なさるような態度をおとりになって、
姫君達を大切に養育していらっしゃいます。

中でも籐内侍腹の六の姫君は、
「我こそは」と自負していらっしゃる親王や上達部の
憧れの姫君でいらっしゃいます。

院がお隠れになりましてから、
二条院や六条院のおん方々は、
泣く泣く終の棲家となるべきお住まいにお移りになりました。

花散里と申し上げたおん方は、
二条院の東の院をお形見分けのお住まいとしてお受けになり、
そちらにお移りになりました。

入道の宮は父・朱雀院から賜った三条の宮においでになります。

明石中宮は内裏にばかりおわしますので、六条院が寂しく、
人少なになっていきます。右大臣は、

「他人の身の上として昔の例を見聞きするにつけても、
存命中に心を尽くして造設した邸が、
その人の死後に名残もなく打ち捨てられる姿を見ることは、
世の無常を身に染みて感じさせられるものです。

されば私が世にあるかぎり、この六条院を荒らすことなく、
出入りの人が絶えないようにしたいものです」

と仰せになって、
六条院の丑寅の町に、かの一条の宮をお移し申し上げて、
三条にお住まいの北の方と夜ごとに十五日ずつ、
きっちりと通い棲み分けていらっしゃるのでした。





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最終更新日  July 20, 2018 10:06:46 PM
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