私訳・源氏物語

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August 31, 2018
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カテゴリ: 源氏物語
こんなふうに、按察使大納言が三人の姫君を大切にご養育していらっしゃる
との評判が立ちますと、大姫君から中姫君と次々に求婚なさる人が多く、
内裏や春宮からも御所望の気配があるのですが、
内裏には明石中宮がおわしますので、とても並び立つことはできません。

とはいえ中宮に気圧され卑下していては宮仕えの甲斐もありません。

春宮には右大臣殿の女御が並ぶもののないご威勢でいらっしゃいますので
競うのは難しいとはいえ、卑下してばかりはいられません。按察使大納言は、



とお思いたちになり、大姫君を春宮にお上げになります。

御年は十七・八ほどで、可愛らしく
つやつやと匂いたつような感じの姫君でいらっしゃいます。

中姫君も、上品で優雅で落ち着いたところは
大姫君にまさってお綺麗でいらっしゃいますので、
臣下と結婚させるのはもったいなく、
『兵部卿の宮の思し召しがあれば』などとお思いでいらっしゃいます。

兵部卿の宮は、按察使大納言の若君を内裏などでお見つけになりますと、
お呼び寄せになって、御遊び相手にしていらっしゃいます。

若君は才気があって、将来が期待されそうな顔つきをしています。

「そなたと会っているだけでは不満だと、父の大納言に申せよ」

など、宮が仰せになりますので、若君はその通りを父・大納言に申し上げます。

大納言はにっこりなすって『願ってもないこと』と思っていらっしゃいます。

「人に引け目を感じる宮仕えよりは、
この宮さまにこそ見目麗しい我が娘を差し上げたいと思います。
心ゆくまで宮さまを大切にお世話申したなら、
わが命も延びるような気がしますよ」

と北の方の真木柱にお話になりながら、
先ずは大姫君を春宮にたてまつる準備を急ぎ給いて、

『故・父大臣の女御が、斎宮の女御に圧されて中宮にはなれず、
それを無念にお思いになったまま亡くなられたが、その慰めとしても、
私の代には春日明神のご託宣が実現してほしいものだ』

と、心のうちで祈りながら春宮に差し出されます。

大姫君はたいそうご寵愛を受けていらっしゃると女房たちが噂しています。
北の方・真木柱が、

「内裏でのお付き合いには馴れていらっしゃらないでしょうから、
頼りがいのあるおん後見なしではいかがなものでしょう」

とて、大姫君に付き添って参内なさいまして、
ほんに限りなく大切にお世話申していらっしゃいます。





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最終更新日  August 31, 2018 11:21:18 PM
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