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北京の旅、最後は番外編。旅を通じて感じたことをあれこれ記します。 ◆世界最悪の交通渋滞と守られない交通ルール 一昨年訪問した上海もそうだったが、北京も交通ルール、運転マナーは滅茶苦茶である。車はすれすれ、ぎりぎりまで突っ込んでくるし、割り込みは当たり前。 横断歩道の信号もあってないようなもの。歩行者は青であっても、左右から突っ込んでくる車を常に注意しながら渡らなければならない。 長期滞在者も、慣れるまでは車の運転は命がけだろう。車がなくても過ごせなくはないが、地下鉄は駅の間隔が長く、そう便利でない。料金の安いバスは市民で常にぎゅうぎゅう詰めで、外国人が割り込むのは至難の業である。 乗車時の整列乗車のマナーも昔に比べてましになったようだが、バスの停留所ごとに制服を着た整列マナー指導員が立っている現状からみると、やはりまだマナーはそうは良くはないのだろう。 加えてひどいのは中心部の交通渋滞で、世界最悪とも言われる。幹線道路は結構広く、車線も多いのだが、常に車がひしめき合っている。 15~20分で行ける場所に常に1時間もかかる。今回の観光ではほとんど車で移動したが、時間が読めないので、常に早め早めに行動した。 もちろん政府も手をこまねいているわけではない。市郊外に環状に高速道路をどんどん建設し、渋滞の緩和につとめている。中心部に乗り入れる車も、ナンバーで規制している。 しかし、それでもこれだけ渋滞が続くというのは、マイカーの急増に対策が追い付いていないことの表れだろう(写真左=景山公園の山頂から見た北京の空はかすんでいた)。 地下鉄等の公共交通機関をもっと整備して、利用を促進しない限り、北京はいつまで経っても、国際的な近代都市とは呼べないのではないか(写真右=天壇公園の一角で麻雀に興じる市民)。 ◆見た目はそうひどくなかった大気汚染 訪れていた四日間、北京の空気は見た目はそうひどくはなかった。ひどいと言われていたので、覚悟はしていたが、マスクをする必要はなかった。 毎日短時間だが青空も見えたし、市民でもマスクをしている人は、驚くほど少なくなった。ただ、わずかの滞在だったので、僕らには北京の大気汚染は改善されているのかは、よく分からない。 北京市当局は毎日PM2.5の値を発表しているが、市民はそんな数字を信じていない。「在北京の米国大使館が発表する値の方(当局発表よりいつも1ポイント高いという)が実態に合っている」という市民もいる。 今後、本格的な冬を迎えると、工場や市内外の一般家庭は、ほとんど石炭などの化石燃料を暖房に使うので、汚染は悪化することはあっても改善することはないと言われている。 GNPは日本を抜き、世界第2の経済大国になった中国だが、前段で書いた交通対策、環境対策は、他の先進国に大きく遅れている(写真左=市場の干物店では、干し松茸が売られていた)。 ご承知のように共産党の一党独裁国家である。政府が号令をかければ、対策は一気に進むはずだが、そこはさまざまな利権が絡んで、対策を足踏みさせているのだろう。 しかし、大気汚染は一般市民も政府(共産党)幹部も平等に被害を及ぼす。いずれ中央政府も対策に本腰を入れざるを得ない時期が来るに違いない。 ◆長期滞在者と反日ムード 北京には現在、長期滞在の外国人は5万人とも10万人とも言われ、このうち日本人は約1万2千人という。北京の友人は普通の賃貸マンションや借家ではなく、ホテルに併設された長期滞在者用のマンションに住んでいた。 部屋の掃除もしてくれるし、ホテルを通じて日本情報や北京市内の情報などが手軽に得られるし、なによりも安全という。 買い物や移動も比較的便利なので、民間企業だけでなく、外交官でも今ではこういうマンションに住む人が多いという(写真右=三里屯のショッピングセンター。偽ブランド品も含めあらゆるものを売っている)。 友人は日本の現地合弁メーカーに勤めている。中国では、外国人資本だけでの会社設立は認められておらず、必ず現地の中国人のビジネス・パートナーが必要となる。 この法的ルールは大きな会社から小さな飲食店まですべてに適用される。反日ムードが漂う中国で、ビジネスをするのは苦労も多い(写真左=日系スーパーで売っていた見たこともない魚)。 尖閣国有化問題が起きた時は、北京でも反日デモが繰り広げられた。デモ参加者の多くは地方出身者と聞くが、北京市民でも共感する人は少なくないという。 反日デモが激しかった頃は、さすがに友人や家族も外出を控えたという。彼の会社にも当然、現地採用の中国人社員がいる。秋には社内運動会を開いたりして家族的な会社づくりに努めている。 日本が嫌いだからと言って、退職するような現地社員は皆無だ。友人は「本音ではどう思っているのかは分からないが」とも言う。現地社員たちも「そこは仕事だ、雇用が大切だ」と割り切っているという。 中国各地で日系スーパーや日系企業が略奪や焼き討ちに遭っていた頃、友人の妻は、いつも行く市場の馴染みである店でも、いっさい口を聞いてもらえなかったこともあった。 しかし、「どんなに日本バッシングがひどい時でも、いつも通り温かく接してくれた店主もいた」とも話す(写真右=三里屯のユニクロ)。 政治が、国家がどんなにいがみ合って対立しても、最後はやはり、個人対個人で理解し合えるはずだ。草の根の信頼関係をこつこつと築きあげていくことが、何よりも大切だと僕も信じている。 ◆芸術やスポーツ、科学は一流だが 政治体制は決して一流とは言えないが、ご存じのように、中国は昔から偉大で、天才的な芸術家、スポーツ選手、科学者は数多く輩出している。 ただし芸術や科学の分野では、中国国内の“息苦しさ”を嫌って、欧米の国に帰化したり、市民権を取ったりして活躍する人が多い(写真左=日系スーパーでは日本のおでんも売っていた)。 今回の旅でも、中国のすぐれた作品に数多く出合った。アート作品ではないが、今なお開発が続く北京市内には、風変りで、独創的な建築が数多く建てられ、日本ではあまり考えられないような、フォルムの建物が目立つ。 例えば、中国中央電視台(CCTV)=中国のNHKみたいな放送局=の新ビル(写真右)は、なぜこの形にする必要があったのか、よくわからない。 「“つなぎ”の部分で働いている人はどう感じているのか」という奇妙な建物。耐震性や使い勝手はよく分からないが、確かに斬新で、個性的ではある。 芸術作品も数多く見たが、僕は現代アート作品にも、中華民族の多様な可能性を感じた。とくに印象的だったのが、「Spin」という上海発の陶芸家集団。 直売ショップを北京市内にも展開(写真下左)しているが、「現代の景徳鎮」を目指し、とてもモダンでおしゃれな器ばかり。ひと目見て気に入ったので、Bar・UKで水差しに使えそうな器を衝動買いした。 13億人を超す人口を抱える中国には、潜在的な才能が溢れている。しかしそれが政治の分野で育たないのは、実に残念というしかない。経済は、もう完全に自由主義経済に組み込まれており、グローバル枠組みからは孤立して生きてはいけない。 次は、政治が近代化する番であろう。やがては人治ではなく法治の国にならざるを得ないし、一党独裁が未来永劫続くとは、とても思えない。それは中国の長い歴史が教えてくれている。 ◆お土産に何を買ったか 家族や友人、そして自分たちへのお土産に何を買おうか、あれこれ考えた。結果、僕らが購入したのは、以下のようなもの。いわゆる有名観光地(故宮や万里の長城など)では結局、絵葉書1枚も買わなかった。 ・シルク製品(小物入れ、シューズ入れ、ボトルカバー、ランチョン・マット等々=いずれも驚くほど安く買える)(写真右=シルク製品を買った店)。 ・中国茶(そこらの土産物の店は残留農薬が不安だったので、まだましかと思って日本人が経営するお茶専門店で買った)/月餅(季節柄、いちおう定番だったし)/干し貝柱(日本でも中華街で買えるけれど) ・ニンニク風味の緑豆(友人が「これは安くて旨い酒のアテ」と教えてくれたもの。やみつきになる味!)/バイオゴールド・パール・ジェル(真珠の粉を丸めたものがジェルの中に入ったもの。知人からの依頼。効果の程は?) ・貴石や真珠を使ったネックレス。好きな石を選べば、その場で30分程度でつくってくれる店がある(これが信じられないくらい安い。連れ合いはまとめ買いした)/中国伝統切り絵(小さな額に入れて飾る、伝統的な花をモチーフにしたものを買った) ・スコッチモルト・ウイスキー(老酒はあまり好みではないので、結局免税店で「グレンリベットの18年」を購入(笑))
2013/11/26
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大阪・北新地のギャラリー・カフェ&バー「PAVONI」さんで見せてもらった、来年1月開催の「成田一徹」展のDMはがきの見本(試作品)です。 発送は12月に入ってからになりますが、今回は、初公開作品も含むBarの切り絵原画が数多く出展されます。開催期間は1月7日~31日です。どうかお楽しみに! 【ギャラリー・カフェ&バーPAVONI】大阪市北区堂島1丁目3-19 前川ビル1F 電話06-6345-7746 営業時間は午前11時~午後2時(月曜は休み)、午後6時~午前0時 土日祝休
2013/11/23
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来年1月に故・成田一徹さんの個展が開催される大阪・北新地のギャラリー・カフェ&バー「PAVONI」で、「すてきなクリエーターによるアート・クリスマス」という催しが始まりました(12月28日まで)。PAVONIでこの1年間に個展を開催したアーチストがそれぞれ作品を寄せた合同展です。 一徹さんはまだ個展はしていませんが、来年に入ってすぐということで、オーナーから特別に招待され、切り絵原画1点(「雪の英国館」)が展示されています。お近くにお越しの折りは、ぜひご覧ください。PAVONIは、大阪市北区堂島1丁目3-19 前川ビル1F(電話06-6345-7746)です。
2013/11/22
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切り絵作家・成田一徹さんの母校、大阪経済大学(大阪市東淀川区)の新校舎(ND館)1階ロビーにこのほど、一徹さんの原画の代表作10点が飾られました。 今回の10点は母校への寄贈です。「公的施設で末永く保管展示してもらい、多くの人に見てもらいたい」という「オフィス一徹」の夢への第一歩が実現しました。 同大学のギャラリーには、今後さらに多くの作品を寄託し、保管展示してもらえる方向です。皆さまも、大学の近くまでお越しになる機会がありましたら、素晴らしい原画の数々を、ぜひ生でご覧ください。
2013/11/15
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北京の旅も終りに近づいてきた。今回の旅の主な目的は3つあった。まずは北京在住の友人を訪ね、旧交を温めること。それから4000年の歴史都市・北京の世界遺産をこの目で見ること。そして、最後に北京でBarを開くオーナー・バーテンダーを訪ねることだった。 ようやく3日目の夜に、最後の目的を果たせる機会が巡ってきた。北京市内中心部の東のエリア、あのSMAPも公演したという工人体育館のそばに、目的のBarはあった。 「Glen Classic」。ホテル(複合ビル?)の中庭を通り抜けた奥という、謎めいたロケーション。ドアを開けると意外に広い空間が広がり、雰囲気はまるで日本のオーセンティックBarそのもの(写真左=Glen Classicへ向かう道の最初のゲート)。 ネットでの紹介記事には「北京に誕生した初めてのオーセンティックBar」とあった(それまで北京には、カラオケBarかカジュアルなCafe Bar、あるいはClubのようなBarしか存在しなかったらしい)。 オーナーのKさん=写真右=は、まだ30代半ば。銀座の名だたるバー2軒で、8年半ほど修業した。そして国際派の二人の師匠(Kさん、Uさん)の背中を追って、独立と同時にアジアへ飛び出した。「日本人が今さらヨーロッパやアメリカへ行くより、アジアで活躍の場を探したい」と。 縁あって、北京の物件で誘いがあり、中国人の共同オーナー(中国では外国人単独ではビジネスができないという法的ルールがある)と一緒に、Bar「Glen」を開いた。 Kさんが数年前からバーを営んでいることは、大阪のとあるBarのマスターからも聞いて知っていた。そして、いつか機会があれば訪ねてみたいと願ってきた。 ちなみに、僕はKさんとはまったく面識がないものとばかり、ずっと思っていた。だが、今回改めて話をしているうちに、意外な接点がいくつか分かった。 10年ほど前、NBA(日本バーテンダー協会)の全国バーテンダー・コンクールが神戸で開催された際、Kさんは出場していた。僕もその大会を見に行っていた。 また、Kさんがかつて勤めていた銀座のSというバーには、成田一徹さんと二度ほどお邪魔したことがあるが、ちょうどその頃、Kさんはそのバーで働いていたという。すなわち、僕はそこで出会っていたのだ(もちろん、その時は挨拶はできなかったが)。 さらに驚いたことが一つ。僕が8年ほど前にブログで知り合って、先般のスペイン旅行の際も現地のとっておき情報をいろいろと教えてもらうなど、ずっと交友があるHさんという女性がいる。 そのHさんとKさんは、なんと知り合いでスペイン・アンダルシア地方のシェリーのボデガ(醸造所)を一緒に見学したことがあるというのだ(Hさんは当時現地に短期留学中だった。Kさんは現地でシェリーの専門資格、ベネンシアドールを取得したという)。 Hさんはスペイン好きが高じて会社を辞め、現在は、スペイン・ワインやシェリーのインポーターをしている。先般は難関のベネンシアドール資格試験にも合格したバイタリティあふれる女性だ。 僕のBar・UK計画も後押ししてくれているHさんとKさんが知り合いだったとは! 世の中は狭いというが、北京で共通の知人が見つかるとはまさか思っていなかった。 さて、店(Glen Classic)の話に戻る。北京の友人夫婦が事前に下見を兼ねて訪れてくれ、この夜の僕の訪問を伝えておいてくれたおがげで、Kさんは笑顔でもって、僕らを歓待してくれた。 北京最後の夜に何を飲むか、しばし迷ったが、やはり、ベネンシアドールでもあるKさんに敬意を表して、ショート・カクテルのバンブーを頼んだ。すると、Kさんは、ボトルを3本用意した=写真上から3枚目。 通常、バンブーはドライ・シェリーとドライ・ベルモットだけを使う。しかしこの日、Kさんはシェリーをフィノと長期熟成のオロロソという違うタイプの2種を用い、オロロソは隠し味的に使った。なんと心憎いパフォーマンス!(写真左=Kさんとの2ショット)。 Kさんは現在、北京でもう1店、お店を営む(そちらは中国人店長に任せている)。そして、なんと近々、シンガポールにも3店目を出す計画という。「4年後くらいにはロンドンにも店を出したいという夢があるんです」と語るKさん。夢もグローバルで、スケールが大きい。 日本人バーテンダーは昨今、その技術や丁寧な仕事ぶりで、国際的にも高い評価を受けている。日本人バーテンダーは、Kさんのように、もっと世界へ目を向ける時なのかもしれない。 この夜は僕らは4人で訪れ、他にもフルーツ・カクテルも何種類か頂いた。僕にはさらにKさんからのサービスで、台湾のウイスキー蒸留所が造ったという珍しいモルト=写真右=もいただいた(味わいやクオリティの高さは、日本やスコットランドにも引けを取らないと感じた)。 楽しい時間はあっという間に過ぎた。心地よく、しっかりと酔いしれた。でも、もうお別れしなければならない時間だ。まだまだ何度もここに来られる友人夫婦が羨ましい。 僕は最後に、Kさんと店の前で一緒に記念写真を撮り、再会を約束した。ちなみにKさんは神戸出身なので、日本に帰れば神戸にもよく立ち寄るという。今度は神戸で会えれば嬉しいと思う。Kさん、心温まるおもてなしを本当に有難う! 今度は僕がBar・UKでおもてなしする番ですね(笑)。ぜひお越しくださいませ! <次回10回目は番外編>こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2013/11/13
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今回は北京3日目の昼、夜の食事について書く。旅行中の食事はずっと中華だが、不思議と飽きることはない。 昼は、北京に来て初めて飲茶の店を選んだ(正確に言えば、北京在住の友人夫婦が選んでくれた店というのが本当だが)。その名は「衡山小館」という=写真左。 元々は上海発祥の店らしいが、北京市内でも2軒の支店がある。ランチタイムにはいつも満席になり、行列ができる人気店だという。結論から言えば、僕がこれまでの人生で食べた飲茶の店でも、間違いなく五指に入る美味しい店だった。 文章であれこれと説明するよりは、食べた飲茶の数々を見てもらうのが一番いいと思う。写真の1枚目(左上)は、「赤カブの酢漬のキュウリ巻き」。きゅうりの皮を薄くむいたもので巻いた、この店の名物とのことだが、酸味がさわやかでビールにとても合った。 さて、北京最後の夜は、やはり、これを食べずして北京を去れないということで、北京ダックの専門店へ。当たり前だが、北京には北京ダック専門の料理店がたくさんある。 清の時代から続く老舗があると思えば、スタイリッシュな雰囲気の人気店も次々と生まれているという。その中で、友人夫婦が選んだのは、比較的最近にできた新しい、おしゃれな店。友人自身も、「噂には聞いて一度行ってみようと思っていた」が、まだ未訪問という店。 店名も「Duck De Chine 1949 The Hidden City 三里屯」=写真左=という長い、風変わりな名。店の外観も、入り口に兵馬庸が立っていたりして何やらミステリアス。内装も目茶おしゃれで、客層はほとんどが北京在住?の外国人。いやでも期待が高まる。 ここでも説明するより食べた料理を写真で紹介しようと思うが、最初の1枚(左上)は、従業員が目の前でつくって用意してくれた北京ダック用のタレ。何とアーティスティックなタレ! 小皿に2色(種類)のタレを入れ、その皿をテーブルの上で回す。すると、こんな文様に。このパフォーマンスを見るだけでも、この店に来た甲斐があったと思った(なんてちょっとオーバー?)。 <次回へ続く>こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2013/11/11
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北京3日目の観光は、映画「ラスト・エンペラー」にも登場した皇帝の祭祀の場、「天壇」と、皇帝の庭園兼離宮、「頤和園(いわえん)」へ行く予定だった。 ともに世界遺産に認定されている北京を代表する観光スポット。しかし、この日はあいにく朝から雨、加えて、北京名物の交通渋滞がとくにひどい。頤和園は市内中心部から車でスムースに行っても1時間ほどかかる。 この渋滞では「往復の移動だけで4時間はかかりそうだ」と運転手さん。日本の家族や友人へのお土産も買いに回る時間も見ておかなければならない(写真左=天壇公園への入り口)。 北京の友人夫婦とも相談した結果、大変残念だけれども、今回は頤和園は次回の楽しみにとっておいて、手頃なロケーションにある天壇へ向かうことにする。 天壇のある天壇公園は、天安門広場から南へ約2km。英語では「Temple Of Heaven」と表記されることからも分かるように、皇帝が天に対して祭祀を行った宗教的な場所である。 1420年、明の永楽帝が建立したとされ、明とそれに続く清王朝でも、皇帝はここで天を祭り、五穀豊穣を祈る儀式を行ってきた(写真右=天に向かって大きく開けた「圓丘檀」。最上段の中央に立つと、霊気を感じるような気持になる)。 北京の有名な観光名所は、どこもそのスケールの大きさ、広さで度肝を抜かれるが、この天壇公園も例外ではない。面積は約273万平方mというから、甲子園球場(約3万8500平方m)72個分の広さである。 入場門である南門から出口である北東の門まで、普通に歩いても、たっぷり1時間はかかる。広い公園のほとんどは緑地で、その中に伽藍のように建物が配置されている。 南のエリアに「圓丘檀」、「圓丘檀」の北側の、中央のエリアには「皇穹宇」という建物、最も北のエリアには、最も有名な建物「祈年殿」という象徴的な施設(建物)がある。 「圓丘檀」は豪華な大理石をふんだんに使って造られ、欄干や階段の数はすべて皇帝を表す「九」の倍数となっているという。 南北2つのエリアは石の広い通路で南北に一直線に結ばれ、周囲には建物もあり、大阪の四天王寺の伽藍配置に似ているような気もする(写真左=左側の建物が「皇穹宇」。祭祀の時、皇帝の位牌が置かれたという)。 広い街路の中央だけ特別な石が使われている。聞けばここは昔は、皇帝の馬車や籠しか通れなかった専用の通路という=写真右。 さて、「祈年殿」は映画「ラスト・エンペラー」にも登場したので、覚えておられる方も多いだろうが、高さ38mの円形の祭壇(建物)である=写真下左。 青色の瑠璃瓦がとても美しい特徴的な建物。そして、言うまでもなく天安門、紫禁城と並ぶ古い北京のシンボル的な建造物だ。 天壇か今の形に整備されたのは、清の乾隆年間(1736~1850)というが、王朝や民族が変わっても、先の王朝の建物を壊さず、大事に使い続けたことは特筆に値する。 そして、義和団事件(1900年)や日中戦争(1937~45年)、文化大革命(1966~77年)など数々の戦乱・動乱で破壊されなかったことを、我々は今、素直に喜びたい。 さて、天壇を後にした僕らは、古い歴史的な北京だけでなく新しい北京も見たいと思い、昼食の後、若者が多く集まる代表的なエリアである「三里屯(サンリートン)」へ移動した。 三里屯は東京で言えば、六本木、神宮前、青山と言った雰囲気の街であり、モダンなビルやブランド・ショップが並んでいる。 そして、そういうおしゃれな最新の流行が漂う街という一面だけなく、観光客向けのカジュアルな衣料品、ドラッグストア、土産物店が密集する雑居ビルもある。 そんな場所も訪れたが、シルク製品などはおそろしく安い。お土産にちょうどいい巾着袋や靴袋、ティー・マット、ワインのボトルカバーなどを購入したが、安くても品質は良い。 加えて、この雑居ビルには偽ブランド品を半ば公然と売る店もある。ここには商標権保護などという概念は存在しない。プラダやグッチ、ルイヴィトン等ありとあらゆるブランドの偽物が存在する。 「最近は当局の取り締まりも厳しくなり、公安による抜き打ち検査もある」と友人は言うが、現実には偽ブランド品がおおっぴらに販売され、繁盛している(偽物と言ってもとても丁寧な造りで、品質は遜色ない)。 値段は本物の3分の1~5分の1程度。取り締まっても、取り締まっても、買う人間がいる以上、抜け穴を探して商売をする人間も出てくる(写真右=三里屯周辺には近代的でモダンな建物が目立つ)。 中国人は、商標権や著作権等の保護を求める西欧諸国や日本による少々の圧力には屈しない。この世に欲しいと人がいる限り、彼らは「限りなく本物に近い偽物」を作り続ける。この不屈のエネルギーは、ある意味凄い。 この日最後にお邪魔したのは、僕らが旅行に行けば必ず訪れる市場。「三源里菜市場」と言い、場所は故宮から北東へ4kmほど行った辺り=写真左。 日本人も含めて在住の外国人もよく利用しているというが、観光客などが立ち寄るような場所ではないという。 ここでは肉、魚、野菜、果物、干物、お惣菜などありとあらゆる物を売っている。種類も多いし、値段も安い。友人もよくここで買い物をするという。 品質はよく分からない。新鮮なのは間違いないが、最近の中国の生産現場での現状をあれこれ聞いているだけに、安全性には若干の不安がぬぐいきれない。 友人はそんなことをいちいち気にしていたら、北京では生きてゆけないという。ただそんな友人もコメだけは日本のものが旨いと言い、一時帰国のたびに持ち帰るという。 残念ながら、食に関しては日本の方がはるかに安全で、信頼度も高い(最近のメニュー偽装の数々は論外だが…)。 だが、日本さえ良ければという考えに立つのは偏狭だ。中国の人たちにもぜひ安全な食品が食べられるように、日本人としてできることはないのかと思う(写真右=三源里菜市場内の様子)。 日本人の食が、今さら中国からの輸入品なしで成り立つとも思えない。中国各地の生産現場、飲食の現場に安全・衛生思想と技術を広め、環境対策などで技術的に支援できることはできる限り手助けしてあげることが必要不可欠だろう。我々は引っ越しできない隣人同士なのだから。 <次回へ続く> ※10回で終了の予定です。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2013/11/10
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