Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/11/22
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カテゴリ: 言葉
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 かなり久しぶりに言葉(方言)の話題。和歌山と言えば、関西にあって、大阪、京都、神戸というビッグ・ネームに隠れ、全国的な知名度はいまいちだ。同じ関西人の間でも、和歌山は残念ながら存在感が薄い(和歌山出身の人、ごめんなさーい)。和歌山城

 僕は京都生まれの大阪育ち。そして現在は兵庫県に住んでいる。同じ関西だけれど、あまり和歌山へ出かけることは少ない。ただ、親戚筋にも会社の友人にも、和歌山出身の人はいる( 写真左 =和歌山は紀州徳川家55万石の城下町。八代将軍・吉宗は紀州徳川家出身です)。

 関西以外の方は、和歌山と言えば、何を思う浮かべるだろうか? 黒潮、クジラ、温州みかん、南高梅、熊野古道、高野山、保守的な土地柄、それともそれ以外? ステラビアさんや、na_geanna_mさんら関東の方に一度聞いてみたいなー。温州みかん

 さて、本題の言葉の話。同じ関西弁でも、和歌山弁はかなり独特の色合いを持っている。和歌山と言っても広いので、一応ここでは紀ノ川筋、主に和歌山市周辺を中心とする表現について記す( 写真右 =温暖な気候が美味しい温州みかんを産む)。熊野古道

 和歌山弁の最大の特徴でもあり、しばしばギャグのネタにもされるのは、「ざ行」の発音が「だ行」になること。和歌山弁に、「ざじずぜぞ」は必要ない。ほとんどが「だぢづでど」になる( 写真左 =先ごろ、「世界遺産」に認定された熊野古道)。

 よく典型的な和歌山弁のたとえ話で紹介される話。和歌山の子どもたちが動物園に訪れた。鼻の長い動物の前に行って、子どもたちは叫んだ。「あっ、どうさんがいる!」。かように、和歌山では、座布団は「だぶとん」、雑巾は「どうきん」、安全は「あんでん」になる。南高梅

 笑い話で、和歌山出身の元阪神・プロ野球選手、藤田平氏がラジオの野球解説していたときのこと。本人は「絶対絶命のピンチですね」と言ったつもりだったのだが、僕には「でったいでつめいの…」としか聞こえなかった( 写真右 =美味しい梅干しでも有名。とりわけ「南高梅」は最高の品質!)クジラ料理

 もっとも、それでは若い人が「ざ行」の発音ができないのかと言えばそうではない。和歌山出身の人でも、大阪や神戸に来たら、ちゃんと「ざ行言葉」を話しているから、やはり、言葉は風土・文化が創るということなのか( 写真左 =江戸の頃から、「黒潮の恵み」であるクジラを食する和歌山県人)。白浜の円月島

 僕の親戚筋で和歌山出身のおじさん(和歌山弁では「おいやん」となる)は、和歌山でも南部の湯浅というところの出身(湯浅は醤油の産地で有名)。だから、結構きつい和歌山弁を喋っていた。同じ関西人の僕でも、おじさんに意味を確かめないと分からない言葉や言い回しもたくさんあった( 写真右 =「和歌山のシンボル」は数あれど、白浜の円月島も有名)。

 和歌山弁では、自分のことをよく「あが」とか「わが」と言う。現在70代のおじさんは10代後半で大阪に出てきたので、今ではすっかり大阪弁に馴染んでいるが、酒が進むとやはり、時々「わががー」なんて口に出る。ついでに言うと、あなたのことは「おまん」と言う。「おまん、よう聞けよ」なんて…。高野山・奥の院

 語尾が「です、ます」が「~じょぉ」となるのも特徴(例:「おまんの言う通りじょぉ」)だが、これは阿波(徳島)弁にも似ている。現在進行形は「~ちゃぁる」(例:車が走っちゃぁる)( 写真左 =真言密教の聖地「高野山」。奥の院には弘法大師・空海が眠る)那智の滝

 質問や疑問の「~ですか?」は「~かえ?」となることが多い(例:「この料理好きかえ?」)。接続詞も面白い。僕の「おいやん」はいつも、「ほやけど(標準語=しかし、大阪弁なら「そやけど」かな)」「ほやさけ(同=つまり)」「ほいたら(同=そしたら)」だった( 写真右 =日本一の大滝「那智の滝」)。

 そして、とにかく和歌山弁では語尾に「~よー」をやたら付ける。「このあいだよー、あそこの店いったんよー、安くてよー、味もええんしょよー」なんて、出てくる文節ごとに語尾が「よー」のオンパレードなんてこともある。クエなべ
写真左 =和歌山の最高の海の幸、クエなべ。やや高価だけれど旨ーい!)。

 とにかく書ききれないくらい和歌山弁は魅力的。なかでも、僕が一番好きな和歌山弁は「連れもって、いこらー」(一緒に行こうよー)。何となくとても親しみを感じる表現だと思わない? でも残念ながら、僕でもなかなか普段は聞く機会はない。今度、機会を見つけて「生の和歌山弁」を聞きに行ってみようかなー。アドベンチャー・ワールド

 最後に、和歌山出身の有名人は誰だろうとちょっと調べてみた。もう亡くなった人もいるけれど、華岡青洲、南方熊楠、松下幸之助、坂本冬美、東尾修、有吉佐和子、楳図かずお、小林稔侍、デューク更家、ラル・カンシェルのhyde…。う~ん、多彩だなぁ…( 写真右 =アドベンチャー・ワールドのパンダも和歌山の“有名人”?!)。

 和歌山出身の人って、自分のことを「和歌山出身です」とはあまり言わずに、「関西出身」と言う人が多い(コンプレックスがあるのだろうか?)。確かに、「個性に乏しい」とか「田舎で、考え方が保守的」とか、若い世代には引け目もあるようだ。

 でも、これからは変わる可能性だってある。自分が保守的にならなければ確実に世の中は変わる。和歌山には何よりも、京阪神にはない、自然と温暖な気候と美味しい海・山の幸がある。そんな故郷・和歌山を、もっと自慢に思ってもいいと僕は思うのだが…。

【注】 タイトルの「おもしゃいじょぉー」は和歌山弁で「面白いよー」の意。


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うらんかんろ

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汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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