Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2006/11/26
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カテゴリ: 各地のBAR巡り
先週末、久しぶりの東京出張。お江戸のBAR巡りも半年以上、間があいている。だから、いろいろ行きたい酒場がウェイティング・リストにたまっている。気持ちもぐつぐつと燃えたぎっている。

 金曜、土曜の夜の2日間、都内のあちこちでBARを巡ったが、面倒くさいのでまとめて書く。店の数の多いのに驚くことなかれ。あくまで2日間での店の数である。あるぷ

 まず、お邪魔したのが銀座8丁目の知る人ぞ知る老舗「あるぷ」( 写真左 )。ここはなぜかBARではなく「居酒屋」と名乗る。以前から行きたかった店の1軒。**年越しの夢の実現である。

 1階のカウンターは7人ほどはいればいっぱい。2階にはソファ席があるという。バック・バーは半世紀近い歴史の重みを感じさせる。店主はジャズと山登りが好きらしい。店名の由来もおそらくはアルプスから来ているのだろう。

 分かりにくい路地裏にあるのがまたいい。一見には入りにくいが入ってしまえば、接客は実に親しみやすい。値段も普通。安心してくつろげる酒場だ。また来ることにしよう。

 次にお邪魔したのは、新橋駅近くにある、これも老舗の「ジョン・ベッグ」。作家の故・山口瞳氏が愛したBARというのは全国あちこちにあるが、ここもそのうちの1軒。ジョン・ベッグ

 昭和24年(1949)の開業。おそらく当時は、まだ新橋界隈も焼け野原だったろう。当然、「客は進駐軍(米軍)関係者が多かった」という。そんな時代に店を立ち上げた先代に感謝!

 店名は、先代が好きだったスコッチの銘柄に由来する。マイナーな銘柄だが、愛すべき旨い酒である。店内は一等船室のような、風変わりな雰囲気。バック・バーを見ると、ジョン・ベッグの陶器瓶(オールド・ボトル)を使った電気スタンドが一つ( 写真右

 「昔は、鎌倉に住む作家の皆さんもよく来てくれました。うちで飲んで、終電で帰る方も多かった」とママは遠い時代を懐かしそうに語った。ここには「古き良き昭和」が残っている。ですぺら

 さて3軒目。場所は赤坂見附に変わる。久しぶりの「ですぺら」。シングルモルトにこだわる店である。神戸出身のマスターと西宮出身のママ。阪神間に住む僕にとってはいつも、東京でもより親近感が沸く酒場である。

 2千本近いボトラーズのシングルモルトが、6段のバック・バーに並ぶ様は壮観( 写真左 )。嬉しいことに、すべてのボトルがハーフ・ショットでいただける。だから、ここではいつもたくさんの種類が味わえる。

 酒呑みが何を喜ぶかを知っている店主は、実に心にくい。この店のおかげで、東京出張の際はいつも宿も、会社から離れた赤坂にとってしまう。そして、いつも美味しいモルトを痛飲してしまう。銀座サンボア

 4軒目。再び銀座に戻る。移転のお知らせを受け取りながら、まだお邪魔できていなかった「銀座サンボア」( 写真右 )へ。以前の7丁目の店から歩いて数分、5丁目のソニー・ビルの裏。

 コンクリートの打ちっぱなしのビルの側面から、地下へ降りる。スタンド式の案内板がおしゃれだ。あいにくマスターの新谷さんは、「きのうから北新地サンボアの方に行ってるんですわ。2週間ほどはそっち(大阪)にいます」という。あぁ、なんたる皮肉。

 「じゃぁ、帰ったら、月曜日にでも訪ねてみるよ」と苦笑いする僕。気を取り直して、名物のハイボールをいただく。移転した店の内装は、基本的には前の店を踏襲しており、英国のパブのような落ち着いた空間。

 望んだ移転ではなかったかもしれぬが、数寄屋橋交差点から徒歩数分というロケーションもいい。移転は「さらなる発展」へのステップだと僕は思う。頑張れ!銀座サンボア。関西発祥のサンボア文化の良さを、お江戸にもっと広めておくれ。しぇりークラブ

 5軒目。お腹がすいたので、銀座サンボアからも近い「しぇりークラブ」へ。美味しいタパスを食べたかったこともあるが、店長の益子さんの顔も久しぶりに見たかった(益子さんは関西人で、大阪の有名なシェリーBAR「アルテミス」の出身)。

写真左 )でも大きく紹介されたという。

 30年も前からシェリーを日本に紹介してきた「しぇりークラブ」のオーナー(女性です)の努力がようやく実って、シェリーは日本でもしっかり根付きつつある( 写真右 =この夜いただいたシェリーの1本。素晴らしい味わいでした)。シェリー

 ちなみに、「しぇりークラブ」は227種類と世界でもっとも数多くのシェリーを置いているBARとしてギネスブックに認定されている。たかがシェリー、されどシェリー。知れば知るほど奥が深い。

 益子さんらは、現地でヴェネンシア(口ではうまく説明できないけれど、金属製の専用柄杓を使ってシェリーをグラスに注ぐ技です)も披露し、日本人のヴェネンシアドール(ヴェネンシアをする認定資格を持った人のことです)の技に、現地の人たちも驚きの表情で拍手を贈ったという(その場で見てみたかったなぁ…同じ日本人として誇らしい!)。

写真左 )と美味しい料理とパンですっかり腹ごしらえも完了して、再びBAR巡りへ。カラスミ3種盛り

 6軒目。少し気分を変えようと。同じ銀座6丁目の老舗「S」(この店だけはイニシャルにする。御免!)へ。ここは20年ほど前に一度お邪魔したのだが、どんな店かあまり記憶がない。で、記憶を呼び起こしたくて、ちょっと1杯だけのつもりの訪問。

 昭和45年(1970)のオープン。店は結構広い。カウンター席とグランドピアノを囲むテーブル。ピアノのそばに座った。ジャズの生演奏もあり、お店にはゆったりとした時間が流れる。

 しかし、何となく居心地がしっくりこない、落ち着かないのだ。よく考えてみてその理由がわかった。店内の照明が少し明るすぎること、そして複数の従業員が客のそばに、ただつっ立っていること。店内の雰囲気をどう演出するか、サービスとは何か、「老舗であっても失敗はある」という例かもしれぬ。Maeda Bar

 7軒目。銀座にさよならして、タクシーで麻布へ。運転手さんに地図を見せて、「オーストリア大使館のそばだからね」と言ったのに、連れて行かれたのはオーストラリア大使館の前。「(地図を見て)分かります」というから信用したのに…。仕方がないから、麻布十番の駅前で降ろしてもらった。

 麻布十番の駅から歩くこと5、6分。お目当ての酒場にたどり着くはずだったのに、少し道に迷ったあげく、マスターに電話するはめに。確かに分かりにくいロケーション。でも、その謎めいた雰囲気がまた、この酒場の良さでもある。

 その名は「Maeda Bar」( 写真右上 )。店のオープンは2年前だが、マスターの前田さんは銀座や青山で修業したベテランである。聞けば、そのうちの1軒は僕もお邪魔したことのある店(昔、会っていたかもしれないなぁ…)。Quater Deck

 落ち着いた接客とトーク。店は、程良いオーセンティックさとスノブさがうまく調和したおしゃれな造り。ライティングも最高。で、場所が麻布十番だから、もうこれ以上何を望むというのか。

 「なぜ、麻布十番で?」との僕の問いかけに、「ここは実際に住んでおられる方も多いんです。ご近所の方にも来てほしくて…」と前田マスター。なるほど、大阪・天満橋で、僕が行きつけのBar「C」のようなコンセプト(ネイバーフッド・バー)だ。

 「お店のウリはなんですか?」と同行者が尋ねる。しばらく考えて、マスターは少し照れたような表情を見せながら、「カクテルですかね」と答える。で、僕がお任せでつくってもらったのは、「クォーター・デッキ」( 写真左 )というカクテル。

 ラム・ベースにドライ・シェリー、ライム・ジュース。きりっと辛口で、美味しい。「クォ-ター・デッキ」とは高級船員(士官)の意とか。麻布十番の高級船員か…なんとなく気分もいい。Argyll

 都心の喧噪から離れた落ち着いた雰囲気。あまり人に教えたくないようなBAR。名前を出したことを少し後悔したくらい、心地よいひとときをもらった。マスターほんとに有難う。

 さて、8軒目。締めのBARは新宿である。ここも前から一度来たかった「Argyll(アーガイル)」( 写真右 )。小さなモルトBARだが、週末、駅近とあって、ほぼ満員。換気がやや悪いのか、店内は紫煙でけむっぽい。

 一人で切り回すマスターは忙しさを楽しんでいるかのように、ニコニコ顔で接客する。気さくな雰囲気が気持ちいい。酔いも結構回っていて、ここではモルトとレッド・アイ(ビールのトマトジュース割り)を飲んだことしか覚えていない。

 かくして、久々の東京BAR巡りは終了。地下鉄の終電にかろうじて滑り込み、ホテルに帰った僕は心地よい眠りについた。「メガロポリス・東京」には、行きたいBARはまだ数多くある。夢の中で、僕は一足早くその店にお邪魔してみようか。

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Last updated  2023/10/25 11:34:28 AM
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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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