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2013/10/22
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 2日目の午前中、故宮(紫禁城)と景山公園を見学した僕らは、午後から、いよいよもう一つの世界遺産、万里の長城へ向かった。
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 中国大陸の北部を東西に貫く長城を観光するには、別に北京からでなくともいいのだが、やはり北京郊外の長城が一番保存状態がよく、アクセスもいいので観光スポットとして人気だ。


 もちろん、近いとは言っても一番有名な「八達嶺(パーダーリン)長城」まででも、車で高速道路を飛ばして1時間半ほどかかる(鉄道でも行けるが、時間は同じくらいかかるという)。


 北京郊外にはもう一つ、観光用として「慕田峪長城」という名所もあるが、我々は初めての訪問なので、やはり一番有名な「八達嶺」を選んだ( 写真左 =「八達嶺」長城に登るにはまずこの門をくぐる)。


 「八達嶺」へ向かう高速道路で、目に付いたのはモンゴルへ向かうトラック。そのどれもが、過積載間違いないというほどいっぱいに建築資材等を積んでいる。おまけにスピードが遅いので、高速なのに渋滞に拍車をかける。運転手さんの話だと、モンゴルは今建築ブームなんだとか。かつてはこのルートを騎馬の兵士が行き交ったのだろうか。
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 長城の起源は春秋戦国時代(紀元前770~)にさかのぼるという。北方の匈奴の侵入を阻止するために造られた。そして、最初に本格的な長城を築いたのが秦の始皇帝と言われる。


 この長城建築プロジェクトは、漢代にも引き継がれたが、宋や元などもともと北方民族である王朝では、その必要性が乏しく整備されなかった( 写真右 =視野に見える長城はごく一部。山の向こうまで延々と続く)。



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 ようやく「八達嶺」の駐車場に着く。平日でも中国各地や海外からの観光客が数多く訪れるので、いつも凄い混雑ぶりだと聞いていたが、我々が訪れた日はなぜか比較的すいていた。


 入場門に向う坂道の途中、毛沢東の筆になる石碑があった。「不到長城非好漢(長城に到らざれば好漢に非ず)」の文字= 写真左 。凄い達筆。詩の一節らしいが、どういう意図でこれを書いたのかは聞きそびれた。


 入場門でチケットを買って、いよいよ長城を登り始める。チケット代は大人45元(約680円)。入場口からは2つのコースがある、右へ行けばやや傾斜のゆるい「女坂」、左へ行けば「男坂」。我々は当然傾斜の緩い方を選んだ(笑)。
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 だが、緩いとは言っても、路面は石が敷き詰められた坂道。ところどころが階段となっており、延々と歩くと足にくる。途中200~300mくらいおきに砦があり、そこでは日差しから逃れて小休止も可能だが、そう広くない砦の中で、長く留まることはできない。


 さらに尾根の長城を上へ、上へと登る。当たり前だが、北京市中心部から北西へ約50kmも離れ、標高も高いこの辺りは気温も5~10度ほど低く、風も強い。帽子は飛ばされそうになるので被れない( 写真右 =長城観光には寒さと風への対策が必要)。


 長城に登って、遥か向こうの山々にまでつながる長城を眺めていると、改めて、そのスケールの大きさに圧倒される。よくもまぁ、皇帝はこんな馬鹿げた建築物をこんな場所に造ったものだと。


 そして、長城が初めて築かれた戦乱の時代のことを思う。広い国土に群雄が割拠し、争いを繰り返し、この長城を挟んでどれほどの血が流されたのだろうかと。
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 現在残る長城は、ほぼ明代に築かれたものである。石造りの城壁は、高さは7~8mはあろうか。砦も部分さらに数m高い。それが尾根に延々と、何百キロという長さで築かれている( 写真左 =長城にはこのような砦があちこちに。ここから迫り来る北方の騎馬隊を眺めたのだろうか)。




 ピラミッドも、アルハンブラも、ベルサイユなど、世界遺産として現在観光名所になっている多くの建造物は、結局のところ、名もなき職人と庶民の血と汗の労苦の結晶である。そのことを僕らはいつも忘れないようにしたい。
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 さて、言うまでもないことだが、この長城見物。どこまでも歩いていけるから、終点がないというか、行っても行ってもきりがない。しかし、帰りはまだ入場口まで戻らなければならない。


 1時間歩けば、帰りは同じだけ時間がかかる。帰りは下り坂だが、下りは下りでまた結構きつい。きりがないので、我々は砦3つほど行った辺りで引き返すことにする( 写真右 =路面のところどころにこのような地下の部屋に下りる階段もある)。


 長城でもやはり、日本人にはまったく出会わなかった。中国各地からのおのぼりさんか西洋人ばかりだった。日中関係の悪化は、確実に観光に影を落としている。こういう時こそ、市民レベルの交流が必要だと僕は思う。





 再び北京への帰路につく。車からは再び、山の頂きに連なる長城が見えた。情報過多の現代、観光地に行って、心から感動することは、最近は少なくなったが、万里の長城は間違いなく、その壮大さがゆえ心底の感動をもたらす場所だった。

<次回へ続く>


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Last updated  2013/10/23 01:05:48 PM
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