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2015/10/13
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 チェコ人は国家や民族間の勢力争いに長く翻弄されてきました。19世紀初めまでハプスブルグ家が支配する神聖ローマ帝国(962~1806)、それに続くオーストリア・ハンガリー帝国の支配下(領域内)でした。従って、チェコは良くも悪くもドイツ文化の影響を色濃く受けています。法律や行政、学問等の言葉は長くドイツ語が使われ、チェコ語はもっぱら家庭内で話す言葉として受け継がれてきました。チェコ語が公用語になったのは、第一次大戦後、チェコスロバキアが独立宣言をした1918年のことです(第二次大戦中は再び、一時ナチスの占領下に置かれます)。

 そして戦後、ソビエトの影響下で共産主義国家になると、今度はロシア語が義務教育化されました。従って、中高年以上のチェコ人には今もドイツ語やロシア語を理解できる人が多いとも聞きました。1989年の「無血革命」後に学校教育を受けた若い世代は、かなり流暢に英語を話します。1990年代以降、チェコは西側陣営の一員として急速に発展し、変化を続けています。

 他民族・他国の支配下に置かれるという経験を、日本人は(戦後の米軍占領下以外)ほとんど知りません。チェコ人たちを見ていて感じるのは、国家や民族の思惑に翻弄されながらも、自分たちの文化とアイデンティティを守りながら、したたかに生き抜こうという力と意志です。EUやNATOには入っても、あえてユーロ圏には入らず、コルナという独自通貨を維持するのもそうした反骨心・愛国心の現れにも見えます。独立国でありながら、事実上米国の支配下に置かれている日本の現状を見ると、チェコ人のしたたかさに学ぶことも多いような気がしました。

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 さてプラハ滞在も3日目となり、最終日です。この日はまず、プラハ城のそばにある観光名所の「ロレッタ教会」へ。1626年創建のこの教会は、パレスチナにある聖母マリアの家が「天使によってイタリアのロレッタ村に運ばれた」という伝説に基づいて建てられたものです。同じような教会は欧州各地にあるそうですが、なかでもこの教会は最も古く、美しいと言われています。ただし、訪れてみるとあいにく修復工事中でした。

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 工事中でしたが、内部には入れました。二階建ての回廊に囲まれた中庭に、聖母マリアの家「サンタ・カーサ」があります。早い時間なのでまだ観光客もまばらでした。

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 「サンタ・カーサ」の内部。壁や天井の装飾や壁画が、他の西欧の名立たる教会もそうですが、ここも手が込んでいてとても立派です(宗教的な意味合いは、僕にはよく分かりませんが…)。

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 回廊の2階に「財宝展示室」という部屋がありました。ここで最も有名なのが、6222個のダイヤモンドを埋め込んだ聖体顕示台です(カトリックの権威を示すためには、ここまで贅沢な物が必要だったのでしょうか)。

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 ロレッタ教会を後にして、午前中、まだ時間もあるのでムハ(ミュシャ)美術館へ行こうということに。途中、道に迷って知らない大通りに出ました。ここはどこ? チケット売り場のおねえさんに「ムルヴィーテ アングリチュチナ?(英語が話せますか?)」と聞くと、「イエス!」との答えだったので、地図を見せて現在位置を尋ねました(写真の奥に見ええるのは国立博物館だそうです)。

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 これがたどり着いたムハ美術館。アルフォンス・ムハ(1860~1939)=日本では「ミュシャ」の名の方が通りがいいですが=は言うまでもなくアールヌーヴォーを代表する画家です。チェコのモラヴィア地方に生まれ、パリやウイーンのほか、米国でも活躍しました。

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 再び「旧市街広場」へ。何やら結婚式後の写真撮影をやっていました。毎日、何人かのこうした結婚式カップルを広場で見かけましたので、そういうビジネスがあるのかもしれません。

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 街角の広告ポストです。あの懐かしのSimply Red(今も解散はしていないみたいです)がプラハで近々コンサートをするという宣伝ポスターが貼ってありました。

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 午後からは、ヴルダヴァ川からプラハの街並みを眺めてみようと思い、約1時間半のクルーズに申し込みました(ガイドブックに書いてあった業者よりも、旧市街広場そばのチケットボックスの方が切符の値段が安かったのはラッキーでした)。

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 クルーズには僕らも含めて30人ほどの観光客が(国籍は実に様々みたいです)。船長兼ガイドさんが、同じ説明を4カ国語(英語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語)で順番に話していたのには、正直驚きました。

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 天気は快晴。船から眺めるカレル橋も素敵です。橋の上は歩行者天国になっているので、きょうも賑わっています。

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 プラハ城は何度見ても飽きません。まるで絵葉書のようです。ただし、両岸の景色や雰囲気はパリのセーヌ川クルーズの方に軍配が上がるかなぁ。

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 クルーズ・ツアーを終えて、今度はドヴォルザーク博物館に向かいます。今度は少し距離を歩きます。途中、デモ隊に遭遇しました。周囲には自動小銃を持った警官まで。プラカードに書いてある言葉を見ると、(シリア)難民受け入れ反対とあります。チェコには今のところ難民はさほど来ていませんが、やはり、欧州は地続きなので懸念は持っているようです。


<プラハ編(7)>へ続く。










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Last updated  2015/10/14 10:52:09 AM
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うらんかんろ

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Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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