Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2015/11/14
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 以前にもこの連載で一度書いたことですが、オーストリアは欧州の中でも独自の存在感がある国です。EUやユーロには加盟・参加していますが、NATO(北大西洋条約機構)には加盟せず、1955年の主権回復時には「永世中立」を宣言し、国連に加盟しています。

 従って、とくに外交分野では、国際間の問題(紛争等)の仲介役を果たしたり、2国間の秘密交渉の舞台を提供したりという役割を積極的に果たしています。国際法に基づく紛争解決や大量破壊兵器の不拡散、地雷・クラスター弾の禁止推進、文明間の対話、人権や少数民族の権利の保護は、オーストリアの重点政策となっています。

 国連平和維持活動にも積極的に取り組み、現在、レバノンなど5つのPKOに約200人を派遣しているのをはじめ、コソボやボスニアにも数百人単位の支援要員を送っています。大規模災害での救助・支援活動に迅速に取り組むことでも知られ、阪神大震災や東日本大震災でも、日本へいち早く様々な形で支援の手を差しのべてくれました。また2012年には、宗教・異文化間の対話を促進するために、オーストリア、スペイン、サウジアラビアが設立国となり、「キング・アブドッラー国際宗教・文化間対話センター」がウィーンに設立されました(この項、外務省HPを参考にしました)。

 首都ウイーンは、ニューヨーク、ジュネーブに次ぐ「第三の国連都市」として、国際原子力機関(IAEA)や国連工業開発機関(UNIDO)などの国連諸機関のほか、OPEC(石油輸出国機構)本部など数多くの重要な国際機関の本部も置かれています。冷戦期には、ケネディ・フルシチョフ会談(1961年)等、たびたび東西両陣営の交渉の舞台にもなりました。

 日本はいま安保法制の整備にばかり前のめりになっていて、国民からは批判的な声も多く聞かれます。軍事的な同盟国支援だけで国際的な存在感が増せると思っている浅はかな政治家や官僚、学者らは、オーストリアの独自外交路線に見習うべきだと僕は思っています。

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 さて、ウイーン滞在も残りあと2日(実質的には1日)となりました。きょうは、ウイーンが誇る「世界遺産・シェーンブルン宮殿」と、さらにはハプスブルグ王家の離宮で、クリムトのコレクションでも有名な「ベルヴェデーレ宮殿」を訪れる計画です。
 まずは、シェーンブルン宮殿へ。Uバーン(地下鉄)に乗って、シェーンブルン駅に向かいます。2線乗り換えで計7駅。乗り換える駅で行先を間違わないようにしないといけないので、少し緊張します。

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 地下鉄とは言っても、シェーンブルン駅は地上にありました。駅のホームからは空が見えます。ここから宮殿までは徒歩で約7、8分です。

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 朝早いので、まだ人も少ないですが、シェーンブルン駅で降りる人のほとんどは宮殿へ向かうので、まず道に迷うことはありません。

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 宮殿の外壁はとてもよく手入れされて、綺麗すぎるくらいです。歳月と歴史の重みを今に伝えるためには、もう少し薄汚れた雰囲気を残した方がいいなぁと思うのは僕だけでしょうか。

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 これはほぼ正面から見た宮殿本館。1762年、まだ6歳のモーツアルトがマリア・テレジアの前で“御前演奏”したのがこの宮殿内です。本館の裏側には、世界最古の動物園(1752年創立でいまも現役)と言われるシェーンブルン動物園(パンダもいます!)があります。

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 一つ前の写真を撮った場所から180度後ろを振り返ったら、こんな光景です。石畳の広がりや雰囲気は北京の紫禁城を思い起こさせます。宮殿内部は撮影禁止だったのでアップできませんが、まぁ、部屋数の多さと室内装飾の凄さにただ驚くばかり。王家の人々は、(おそらくは)たくさんの召使やお付きの人たちに監視される日々だったことでしょう。このような空間で生活することが果たして快適で、幸せだったのかどうか、できることなら尋ねてみたいです。

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 シェーンブルン宮殿の見学を終えた僕らは、今度は、ベルヴェデーレ宮殿へ。地下鉄でいったんオペラ座駅まで戻って、今度は路面電車でベルヴェデーレ駅まで向かいます。

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 オペラ座駅からベルヴェデーレ駅までは10分弱。あっという間に着いてしまいます。駅から宮殿までは徒歩数分です。もう午前11時頃になっているので、観光客も結構集まってきています。

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 正門のゲートを入ると、絵葉書のような宮殿の姿が目に飛び込んできます。建物の前には大きな池があります。

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 17世紀後半に建てられた宮殿の建物は、シェーンブルン宮殿に比べると、まだ当時の雰囲気をよく残しています。この宮殿は、19~20世紀のヨーロッパ絵画のコレクションでも有名です。とくに甘美で妖艶な作風で知られる画家・グスタフ・クリムト(Gustav Klimt 1862~1918)のコレクションは世界有数で、彼の著名な作品はほとんどここで見ることができます。

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 最も有名な作品「接吻」(1908年)。クリムトはウィーン郊外で生まれ、地元の工芸学校で絵やデッサンを学んだ後、劇場装飾を中心とした仕事を手掛けて各方面から注目されるようになり、次第に高い評価を受けるようになります。

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 女性の裸体などを官能的なタッチで描く作品を数多く残したクリムトは、生涯独身を貫き、数多くの女性や絵のモデルらと関係を持つなど、奔放な人生を送りました。これはその代表作でもある「ユディット」(1901年)。

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 ベルヴェデーレ宮殿本館前の庭。とても美しく手入れされています。ここも、なんとなくベルサイユ宮殿の庭を思い起こさせる雰囲気です。

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 ベルヴェデーレ宮殿は、ウイーン中央駅のすぐそばです。建物はとても近代的です。ザルツブルクへ行く際、本来ならここから出発するはずだったのですが、予告なくウイーン西駅出発に変更されたのでした。

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<ウイーン編(6)>へ続く。


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Last updated  2015/11/16 03:00:09 AM
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うらんかんろ

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汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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