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June 10, 2005
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カテゴリ: 教授の追悼記
我が家でとっている新聞では月に一回「追悼抄」というコーナーが設けられ、最近亡くなった著名人を悼む追悼文が載せられるのですが、今月分のこのコーナーでは、岡田史子という漫画家についての追悼文が載っていました。今年の4月3日に心不全で亡くなったのだそうです。享年55歳。

実を言うと私は子供の頃、漫画雑誌を読む習慣がまったくなかったので、漫画の世界にはかなり疎い方だと思います。そういうこともあって、私はこの岡田史子という人について今まで何の知識もありませんでした。しかし、新聞に載っていた記事を読むと、この人の人生はなかなかに劇的で、妙に気を惹かれるところがあります。

その追悼文によると、岡田史子が漫画の世界にデビューしたのは彼女が17歳の時。デビュー作は手塚治虫主催のマンガ誌「COM」に掲載された「太陽と骸骨のような少年」という作品で、「当時の感受性の強いマンガ少年・少女に与えた衝撃は、今なお伝説」となっているのだそうです。ムンクを思わせるタッチ、難解な詩のような会話、作品を覆う憂鬱と狂気など、文学的感性をマンガの世界に持ち込み、後の萩尾望都、大島弓子、山岸涼子など、少女マンガの革新に大きな役割を果たした漫画家たちに大きな影響を与えたのだとか。

ところがその鬼才・岡田史子は、人気の絶頂にあった21歳の時に自殺を試み、幸か不幸かそれは未遂に終わったものの、その後の彼女の漫画からは以前のようなオーラが失われてしまった、というのです。結局、わずか4年という短い期間にその才能と情熱を燃やし尽くして、後の人生は余生として過ごしたようなのですね。語るものを失った漫画家にふさわしくと言うべきか、彼女の最期は何だかもの寂しいもので、風呂場で発作を起こして亡くなっていたのを、息子さんが発見したのだそうです。

そんな岡田史子の生涯を聞かされると、この人はその若さで何を表現したかったのか、またその後の人生をどういう気持ちで過ごしていたのか、とても気になります。新聞の記事によると、飛鳥新社というところから、初期の作品が刊行されているようなので、いずれ買って読んでみようかと思っている次第。


ただそんな私にとって一つ気になるのは、この人が手塚治虫主催の漫画誌からデビューしたということです。というのも、私はどういうわけか手塚治虫の漫画が嫌いで、しかも手塚治虫の息の掛かった漫画家、要するにトキワ荘系の漫画家の作品が皆苦手だからです。ま、実際に読んでみないと分かりませんが、ひょっとして私は岡田史子の書く漫画も苦手かも知れません。

冒頭で言いましたように、私は子供の頃、漫画雑誌はほとんど読んだことがないのですが、テレビのアニメはよく見ました。で、その中で嫌いだったアニメのことを思いだすと、不思議なことにすべてが手塚漫画なのです。私は『ジャングル大帝』が嫌いで、『ワンダースリー』が嫌いで、『リボンの騎士』が嫌いでした。それから『サイボーグ009』が嫌い、『秘密のアッコちゃん』が嫌い、『ドラえもん』が嫌い・・・ですから、藤子不二雄・石ノ森正太郎・赤塚富士雄といったトキワ荘系の漫画家も全滅。逆に好きだったのは『妖怪人間ベム』『魔法使いサリーちゃん』『鉄人28号』『ルパン三世』(ただし第1シリーズのみ。後は論外)『サスケ』『宇宙戦艦ヤマト』といったところで、どれも皆、非手塚系、非トキワ荘系の漫画家ばかりです(でしょ?)。これは一体どういうことなんでしょうか。

私はこのことに気付いてから、色々な知人にこの謎を投げかけたのですが、今のところ納得できる答えを得ていません。それどころか、そもそも会話自体が成り立たないことが多い。というのも、漫画というのは年代によって読んでいるもの(見ているもの)がまるで違うので、同年代の人でないと会話のスタート地点に立てないのです。一方、私と同年代の友人・知人の中で、私のように手塚系漫画・アニメがほとんど駄目、という人間にはいまだ会った事がない。ですから、私の感じ方はなかなか理解されないのですね。

それでも私は私なりに、なぜ自分が手塚漫画が嫌いなのか考えるのですが、現段階での私の仮説はと言いますと、手塚漫画の世界では善玉と悪玉しか出て来ないのではないかと。つまり白黒のはっきりした2元論的発想があって、それが私には気に入らないのではないか、というものです。



なお付け加えると、こういう手塚的善悪2元論から大きく飛び出し、3元論、ないし4元論の世界を作りだしたのが宮崎駿ではないかと私は思っています。『カリオストロの城』以降、『ナウシカ』にしても『もののけ姫』にしても、善悪の2項対立では割り切れない第3の立場、第4の立場の人たちが出てきて、それらが複雑に絡み合うわけですが、こういうポリフォニックな世界を明確に打ち出したのが宮崎アニメだろうと思うのです。

ま、世に手塚ファンは多いですから、私が手塚漫画の世界を2元論の単純な世界だなどと批判的なことを言うと、いや、そんな事はないと反論される方が大勢居ると思います。でも、たとえ少数派でもいいですけど、どこかに私のように感じる方はいらっしゃらないでしょうか。同方向の考え方を持った方と話し合わないことには、自分の考え方をさらに深く検討し、批判に対して理論武装することができません。

ということで、岡田史子さんの漫画のことをよくご存じの方、そして手塚漫画が嫌いな方、いらっしゃいましたら、色々とご教示下さい。よろしくお願いいたします。





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Last updated  June 10, 2005 02:53:15 AM
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手塚マンガの善悪二元論  
Rokku  さん
釈迦楽さん、

岡田史子さんについてはまったく知らないので、反応できませんが、手塚マンガの二元論的単純さについては、いささか異論があるので首を突っ込みます。

確かに、ほとんどの手塚マンガにその傾向があるのは認めますが、それはいわばディズニー漫画のそれと同根であって、手塚がその位置にずっと止まっていたとは Rokku には思えません。

たとえば、「史上最強のロボット」という一連のストーリーがありますが、あれを読んだときの小六だった私の衝撃は、今でも新鮮です。

もちろん、すでに言いましたように、彼のものの大半が善悪の二元価値であることは事実ですが、あのストーリーにはそれに対する疑義が発せられている。

それはただし、いわばオープン・クエスチョンみたいなもので、そこに疑義としてだけ提出されていて、それ以上踏み込んではいないのですが、その一歩がかなり大事なことだったのではないかと、Rokku は思っています。

と言うのも、その一歩あればこそ、たとえば宮崎駿が登場しうるという言い方は、比喩的には言えるのではないかと Rokku は思うからです。

言われてみて気づいたのですが、私は手塚漫画世代で、釈迦楽さんが嫌いなものが好きであったものの、何某か違和感を感じていたのも事実でした。それは絵の線かもしれません。

ただし、しつこいようですが、史上最強のロボットで見せた、やられていくロボットへの愛情に満ちた視線は子供心に衝撃的で、そういう漫画を描く人は他にいなかったように思うのですが、いかがでしょうか。 (June 10, 2005 07:14:48 AM)

わたしの好きだったマンガ  
マイクはずっとお勉強が好きで、少年サンデーとか少年画報にのめりこむことはありませんでしたが、永井豪の「ハレンチ学園」とか、さいとうたかをの「ゴルゴ13」、ジョージ秋山の「銭ゲバ」が興味ありました。「巨人の星」や「あしたのジョー」はあんまりね。最近では、浮浪雲や山上たつひこは好きです。「アサーっ」と叫んで下品なニワトリが出てくるあの人も好きでした。誰だっけ? 牛と麦わら帽子の農夫さんが必ず出てきたね。 (June 10, 2005 11:00:21 AM)

Re:わたしの好きだったマンガ(06/10)  
釈迦楽  さん
Mike23さん
「アサーー」は谷岡ヤスジでしょう。彼の漫画はそのナンセンスさが革新的だった、と聞いていますが、子供だった私には少し、大人の漫画過ぎましたね。 (June 10, 2005 11:13:58 AM)

Re[1]:わたしの好きだったマンガ(06/10)  
釈迦楽さん
そうそう、鼻血ブーですからね。お子ちゃまには刺激が強すぎたかも。彼も若くして亡くなりました。-----
(June 10, 2005 05:55:05 PM)

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釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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