老父のつぶやき

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2025年12月03日

一堂に会して

テーマ：コーラス(2832)

カテゴリ：視・紙・誌面から

男声合唱団のOBが「近ごろは”一堂に会して”と言う言葉が死語になってしまった。そんなご時世に仲間が集まって共通の目的のために行動するのは貴重な事だ」と挨拶した。確かに近ごろは、特にコロナ後と感じるが、直接顔を突き合わせて討論したり、歌ったりする機会が著しく減り、会議もリモートが珍しくなくなってきた。場の雰囲気とか、熱量みたいなものが全く体験できなくなっていると私も思う。

ディスカッションとかディベートとかが減り、ツイート回数の多いものが正しいような雰囲気になるのはあまり望ましい姿ではないように思う。行き着く先は分断と利己主義ではなかろうか。いわゆる高市発言で中国がとった行動はそれに近いものではないか。専制主義に陥るならば（既にその嫌いはあるが）共和制と相容れるものではないと思う。

それはともかくとして、同じ趣味を持つものが集団を作るのは、人に迷惑をかけるものでない限り楽しいものである。合唱と言うものは１人では絶対に出来ない。複数の声が必要だからだ。複数の声を使うから,出来るだけ質の似た音を必要とする。かつて胸声とか頭声とか言う言葉で表現されたり,「地声をやめろ！」と指導されたものである。

悪声を矯正して行けば「混じり合う声」になってゆき,いいハーモニーが作れる瞬間に出あう。この気持ちよさを知ると「沼にはまる」ので、自分の声と言う生まれた時から持つ楽器を生かして行く機会を求めて「一堂に会する」ようになる。知らない人は「アホとちゃうか」と言うに違いないのだが。尤も,そういう人を窘める人もいないはず。人の声も考え方も千差万別,それをお互いに貴重なものとして認めあうのも合唱である。

「人」という字をして,「互いに支え合って生きるからこの字なのだ」とはよく言われる言葉だが,排除とか分断とかと対極にある気がする。今,SNSやらネットが大はやりで「炎上」もあるが,自分の主張をするとともに「聞く耳を持つ」のも大事で,「緩いつながり」の方が楽に生きられそうな気がする。

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