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初夢の 思いしことを 見ざりける 南伸坊 という面白いおじさんがいるのをご存じだろうか。イラストレイターで編集者。なんと説明したらわかるのか、わからないからまあいいやという態度で説明すると、昔、 「ガロ」 っていうマンガ雑誌があって、そこで編集者をしていた時に「面白主義」という考え方を提唱、実践して以来、「面白いでしょこれ」的な表現の世界を作ってきた人なんだけど、当然、面白い人には面白いけど、面白くない人には面白くないわけ。
人間というのは都合のいい生きもので、日ごろの所業を棚に上げ、初夢はめでたいやつをぜひひとつ、なんて都合のいいことを神頼みする。が、そうは問屋がおろさない、反対にひどい夢を見たりするもんだ。するとこんどは「夢は逆夢」なんて勝手に解釈する始末で。
なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな 現代語で書くと「 長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな」 となるんだろうけれど、江戸時代くらいの短歌で、前から読んでも後ろから読んでもおんなじという、 回文歌 。 七福神 の 「宝船」 の有名な歌らしい。初夢を見る夜に枕の下に敷いて寝ると縁起がいいはずだというやつね。
行水や美人住みける裏長屋 《落語の妾馬じゃないが、昔から美人は裏長屋に住んでるもんだ。ま、そうでない場合もあるけどな。》 とか。
睾丸の大きな人の昼寝かな 《なぜか度胸のすわった男はアレが大きいと思われている。が、もちろんアレの大小と人間の大小はまったく関係がない。それにしても、褌からハミだしているあの人のアレは大きいなあ。》 とかね。
柿食えば鐘がなるなり法隆寺 《柿を食ったら鐘が鳴った。なんの関係もない関係のおもしろさ。ズレの裂け目からおかしみが顔を出す。》 があるくらいですね。
いちめんの ねこじゃらしなり われひとり ネコであってこそのリアルが追及されていて、 迷句ぞろい ですが、イラストと一緒でないと面白くありませんね。
たづくりは はにくっついて たべにくい
せみなくな くちがこそばい やかましい
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