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2019.12.07
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​フレデリック・ワイズマン 「パナマ運河地帯」元町映画館​ ​​​​​​ ​​​

​​​​  元町映画館 で見始めた ワイズマン特集 二日目です。。 1977年 に撮った映画だからほぼ40年前の作品です。撮影は ウィリアム・ブレイン というカメラマンで、 モノクロ です。​​​​
​ 双眼鏡で海上の船を確認し、何か運行上の支持を無線で伝えています。船長が明るい声で返答して、船が動き始めました。そんなシーンで映画は始まりました。​
​​​ 運河 に船が入っていって 閘門 が閉まります。水面が上昇し始めて船が浮き上がっていくのです。 パナマ運河 の構造がナレーションされて、ニュース映画のノリで画面に見入っているボクがいます。​​​

​​「これで、3時間持つのかな?」​
​​  それが、最初の感想でした。なにしろ、ドキュメンタリーなんだから、そういう実況中継だってありなわけで、その映像が、何にも知らないボクにはそこそこ面白いのですが、それにしても、と思っていると、映像は次第に、ボクが知っているというか、そういう映画の人だと思っている ワイズマン になっていきました。映像に映っている人々がしゃべりはじめるのです。 ​​​​ ​​
​​ ​そうか、やっぱり、この映画は 「運河」 の構造を解説する科学ドキュメンタリーなんかじゃないんだ。​ ​​
 ​​ そういう納得がわいてきて眠気が消えました。​​​​​​
​​ 運河の運営会社の社長が誰かを相手にしゃべりはじめます。無線士が、遠くの誰かとやりとりしています。戦没者の慰霊祭のスピーチが映されます。映像は次々と語る人を映し出し始めました。それぞれの会話が 「パナマ運河地帯」 を、ひいては 「アメリカ」 を語っているかのようです。 で、そこに、 「運河」 を航行する巨大な船のシーが挿入されます。トヨタの自動車を運ぶ貨物船が出てきて、​ ワイズマン
​の映画に 「日本」 が出てきたことにでしょうかか?微妙に嬉しい自分にあきれながら見入っています。
​​​ ともあれ、映画は 「運河地帯」 Canal Zone ​​」 ​​​と​​​​題された通り、そこに暮らしていたり、働いていたりする人間たち、とりわけ 「アメリカ人」 の姿を撮ったドキュメンタリーでした。​​​​​ ​​​​ ​​​
​​​​ 学生だった頃、アメリカの大統領だった カーター が、なんとなく好きだったのですが、事実上の植民地であり、軍事的にも商業的にも、昨今流行りの言葉を使えば、所謂、地政学的な要衝というべき 「パナマ運河」 パナマ に返還するという決断を下していたことは知らなかったし、今日にいたるまで 「パナマ運河」 をめぐる政治状況なんて、全く何の関心もありませんでした。​​​​
​​ しかし、今、映像が映し出している植民地の 「アメリカ人」たち の、いかにも 「アメリカ人」 であること、そして、それを執拗に映し出している映画そのものに、あるいは、ワイズマンという映画監督に唸りました。​​
​ 今では、 89歳 になっているはずの監督が、なぜ 「ニューヨーク公共図書館」 ​のような(表題をクリックしてください)、ビビッドな映画を撮ることができるのか、それが、ぼくにとって謎でした。しかし、​​​​​その謎の解答の一つが、 1977年 に撮られた この映画 にあるように感じました。 人間 、とりわけ 「アメリカ人」 に対するあくなき関心、きっと、それが答えなのです。​​​​
​ 歴史的な構造物や施設、場所があります。で、そこで生きる人間は、多かれ少なかれ、その歴史性や政治性の影響から逃れられません。しかし、だからこそ、生身の「人間」が露出するはずなのです。その人間に対する、あくなき関心が ワイズマン を支えているに違いありません。なるほど、いくら長くても飽きないはずだ、そんなふうに感じた作品でした。​
​「さあ、次は​ 『ボクシング・ジム』 ​やな!?」​
​​​​​​​​​​​​​  監督 フレデリック・ワイズマン​​​
 製作 フレデリック・ワイズマン
 脚本 フレデリック・ワイズマン
 撮影 ウィリアム・ブレイン
 編集 フレデリック・ワイズマン
 録音 ステファニー・テッパー
 原題「 Canal Zone 1977 年  アメリカ  174 分   2019 12 04元町映画館no30

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最終更新日  2023.12.22 21:59:16
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