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难寻 Hard To Find第12話「つかの間の平穏」鳳鳶(フォンユエン)は花娥(ホワオー)を懐柔しようとしたが失敗、逆に脅されて思わずかんざしを首に突きつけた。「南枝(ナンシ)苑の者に手を出したら許さない」「ふっ、公主、私を殺すのですか?まさか退路を残していないとでも?」花娥は自分が死んだら永照(エイショウ)王と王后も生きてはいないと不敵な笑みを浮かべた。「はお、他にも方法はある…例えば舌を引き抜いたり、目をえぐるのはどう? あなたの望みは遠ざかるわね?」これには花娥も動揺を隠せない。すると鳳鳶は花娥を解放、今後は許可なく部屋に入るなと命じて追い出した。一方、赫連曦(ホーリエンシー)は椿(チュン)婆やから鳳鳶を迎えに行った時の様子を聞いていた。椿婆やの話では見送りに出たのは王后と長子だけで永照王の姿がなかったという。「一国の公主が嫁ぐというのに永照には公主を気遣う様子が全く見られませんでした」赫連曦は鳳鳶を憂うつにさせている原因が鳳氏内の問題ではないかと考えた。そこへ慌てた様子で腹心・鶩青(ウーチン)がやって来る。実は短剣の件で警戒していた鶩青は少夫人が文を出したと知って独断で差し押さえていた。「鳳氏で異変が起きています」永照では長子の鳳垠(フォンイン)が父である永照王を軟禁し、妹を脅して霖川(リンセン)少主を殺すよう命じていた。赫連曦は面識のない鳳垠がなぜ自分を狙うのか分からなかったが、ともかく鳳鳶の心を軽くしてやりたいという。「雨季になれば文は遅れるだろう、私自ら烏韭(ウージウ)将軍を訪ねるしかないようだ」赫連曦は鳳鳶の文を直ちに送るよう命じ、南枝苑に向かった。するとちょうど鳳鳶が部屋から慌てて飛び出してくる。「文が宿場から送られるのを見届けたくて…」「私は明日から出かける、では宿場まで私が案内しよう」しかし鳳鳶は文が無事に宿場を出るのを確認しても、まだ不安を拭えなかった。「もし雨に降られたら?遅れるでしょう?」「約束する、あの運び屋は雨風でも休まず、何があっても届けると… だから安心して、少し歩かないか?」「…はお」鳳鳶は川沿いの市場で苗を抱えて立っている青年を見かけた。てっきり売り物だと思って見に行こうとしたが、咄嗟に赫連曦が手をつかんで引き止める。ふいに手を握られ、恥ずかしそうに手を離す鳳鳶。すると赫連曦は青年が立っている理由を教えた。「売り物ではない、あれは石榴だ、霖川では石榴は幸せな生活と子宝の象徴だ あの者は共に木を植え、花を咲かせ、実を成す女子を待っている…ほら」青年のもとに若い娘がやって来た。娘は青年の求婚を受け入れたのか、2人で幸せそうに帰って行く。その時、まだ黄昏だというのに皆が店じまいして引き上げ始めた。「ここでは黄昏になれば1日の仕事が終わり、夜が始まる…皆と行ってみるかい?」霖川の人々は皆で集まることを好み、夜は焚き火を囲んで賑やかに過ごした。「永照の夜には何か特別なことが?」「夜市はあるけれど、外出禁止になることもあって…」鳳鳶は騎馬遊びで盛り上がる皆の様子を嬉しそうに眺めていた。そこで赫連曦は加わりたいかと尋ねたが、鳳鳶は星を見られるだけで十分だと遠慮する。「永照にはない特別な星がある、見に行こう」夜の神樹は光っていた。よく見ると青い蛍が飛び回っている。鳳鳶はその神秘的な光景に胸を躍らせた。「あれは夜蛍(イエイン)という、蛍と似ているが神樹から生まれる一種の樹虫なんだ」その時、一匹の夜蛍が鳳鳶の鼻の頭に止まった。すると鳳鳶は急に意識を失い、そのまま赫連曦の腕の中に倒れ込んでしまう。…すまない、ゆっくり寝て欲しいだけだ…翌日、鳳鳶は久しぶりにぐっすり眠ったせいか寝坊した。「昨夜はいつ戻ったのかしら?」すると枕元に赫連曦からの文があった。【我が妻 鳳鳶へ】阿鳶、故郷を離れ、霖川に馴染めぬゆえ、よく眠れていないのであろう夜蛍の粉には安眠の効果があり、悪夢も見ずに済むただ吸いすぎると昏睡状態に陥るので注意してくれ庭に石榴の木を植えた、留守の間、世話を頼む私が戻る頃には開花し、悪夢が去っていることを願う花娥は少主が急に出かけたと知った。侍女・銀翹(インチャオ)の話では水害の対処ためで、2ヶ月は戻らないという。…絶好の機会が巡って来たわ…鳳垠は閨(ネヤ)でのむつ言で花娥にある任務を与えていた。父王はどうやら霖川と親交があるようで、″霖川逸話″という本を持っていたという。『霖川には一族を守る神樹がある もし少主が非業の死を遂げれば神樹は枯れ、上古の力を秘めた樹心が現れるそうだ 私が樹心を手に入れれば東陸だけでなく、天下も手に入る』『私はあなたの永照国で皇后になれる?』『天下で最も高貴な女子になるだろう… お前も一緒に霖川へ行き、赫連曦を殺して樹心を持ち帰るのだ』赫連曦は南枝苑の庭に石榴の木を植え出かけて行った。銀翹には自分が留守の間も妻に花束を届けるよう頼んである。鳳鳶は赫連曦の深い愛情にほだされ、霖川の地を鳳垠から守ろうと決意した。…赫連曦が戻ったら全てを話し、霖川を出よう両親を助けなくては、最悪の場合は生死を共にしよう…すると待ちに待った烏韭将軍から返信が届いた。…公主、兵を率いて王宮に戻りました…鳳鳶は心配事が片づいてすっかり明るくなった。その様子を垣間見た花娥は自分が不利になったと焦り、ある暴挙に出る。一方、鳳鳶は銀翹から花娥の話を聞いた。「霖川から出る方法を聞かれました、だから順路を教えたんですが、急に怒り出して…」「私に叱られたから帰りたいのかも」「あ〜それで…実は部屋に大量の酒甕があったんです、やけ酒だったんですね」しかし花娥が一口も飲めないことを鳳鳶は知っていた。今日は上巳節。その夜、花娥は皆が祭祀に出かける隙を狙い、神樹に酒をまいて火をつけた。…燃え尽きれば私は永照に帰れる…しかし花娥を怪しんでいた鳳鳶が駆けつけた。「何てことするの?!」鳳鳶は咄嗟に上着を脱いで火を消そうとしたが、酒のせいで火の回りが早く手に負えない。…椿婆婆ooooooooo!…すると椿婆やの特別な能力が鳳鳶の悲痛な叫びに反応する。つづく( ๑≧ꇴ≦)ヒャーッ!伏線回収してますね〜
2025.03.31
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难寻 Hard To Find第11話「追い込まれた公主」椿(チュン)婆やが待つ神樹にやって来た赫連曦(ホーリエンシー)と鳳鳶(フォンユエン)。実は歴代の少主夫妻は成婚後、神樹と契りを結ぶのだという。すると神樹に触れた赫連曦の手のひらに連理の神樹との結印が現れた。鳳鳶も赫連曦と同じように幹に手を当てたが、なぜか何の反応もない。「後日もう一度、試してみましょう」すると椿婆やは先に帰って行った。少主夫妻には神樹と霖川(リンセン)を守る責務があった。結印することで守りの誓いが成立、神樹と互いに命を守り合うことになるという。伝説によれば神女と魔物が恋に落ち、天を追われた2人は霖川という神秘的な地を造って姿をくらましたとか。2人は幸せに暮らしたが、結局、天帝に見つかって罰を受け、2本の古木となって霖川を守っているという。そんな神秘の地に迷い込んだのが赫連曦の一族だった。「椿婆婆はもしや…」「神樹は一族で縁深き者を守護者にしている、今の守護者が椿婆婆だ」すると赫連曦は結印できずとも構わないと鳳鳶を安心させた。赫連曦は鳳鳶が新生活に慣れるまで寝所を別にすると決めた。すると夜食を運んできた花娥(ホワオー)が鳳鳶の身体に媚薬を振りまき、今夜こそ決行するよう強要して出て行ってしまう。鳳鳶は急いで洗い落としに行こうとしたが、ちょうどそこへ赫連曦がやって来た。「この匂いは何だ?」「ゥッ…そう言えば新婦は婚姻後3日間、沐浴できないと聞いたわ」「確かにそういう決まりだ、だがそれは床入り後の…ぁ…」赫連曦はうっかり口を滑らせ気まずくなったが、鳳鳶を湯殿へ案内することにした。「私が見張っているよ」↓思わず口をかむ少主w翌朝、鳳鳶は暗殺用の短剣がないことに気づき、部屋中を探し回っていた。そこへ花娥が現れ、またしても暗殺できなかった公主にある贈り物を差し出す。鳳鳶が小さな化粧箱のふたを開けると、母の爪が入っていた。「剥がされるのはさぞや痛いでしょうね~」「お黙りっ!」実は短剣は花娥が持っていた。「毒を塗っておきました、たった一太刀(ヒトタチ)で絶命させられます」赫連曦は鳳鳶に何か悩み事があると気づいていた。永照(エイショウ)から一緒に来た侍女もどこか怪しい。…永照の王宮からの足枷でもあるのだろうか?…そこで赫連曦は鳳鳶にある物を差し入れることにした。その夜、赫連曦は鳳鳶の居所を訪ねた。「(コンコン!)鳳鳶?」するとちょうど背を向けて書卓に座っていた鳳鳶がびくっとして何かを落としたのが見える。焦った鳳鳶はこっそり短剣を箱に戻し、何事もなかったかのように振り返った。「少主、どうかしましたか?」「退屈だと思って画材を持ってきた」「なぜ私が絵を描くことを?!」「それは…聞いたんだ、鳳鳶、私は夫だ、霖川での助けとなる、どんなことでも頼って欲しい」赫連曦は早く休むよう告げて帰ることにしたが、急に鳳鳶が引き止めた。「…お願いが、今夜はここにいて欲しいの」鳳鳶は幼い頃から乳母と寝ていたため、1人で寝るのが怖いと嘘をついた。追い詰められた鳳鳶は両親を救うため、赫連曦を殺そうと決めた。そこで衝立の向こうで寝ている赫連曦に忍び寄り、ついに短剣を振り上げる。しかし鳳鳶は脅されたとしても無関係の赫連曦を殺せないと思いとどまり、慌てて自分の寝台へ戻った。赫連曦は昨夜、鳳鳶が驚いて落としたものが短剣だと気づいていた。すると偶然、竹林で鳳鳶がその短剣を埋めている様子を見かける。「昨夜、何かあったのでは?」腹心の鶩青(ウーチン)は鳳鳶を警戒したが、赫連曦は別に何もないとはぐらかす。実は赫連曦は鳳鳶が自分を殺そうとしたことを知っていた。鳳鳶は赫連曦の暗殺を断念、ばれているとも知らず短剣を埋めた。あとは花娥の対処をどうするか。鳳鳶が絵を描きながら考え込んでいると、霖川の侍女・銀翹(インチャオ)が昼食を届けにやって来た。「少夫人、実家への文ですか?…墨をすりましょう」「いいえ、絵を描いて…え?文を送れるの?」「もちろんです、ただ外部との往来がとても少ないので、外に送る時は宿場に集めます」…今なら烏韭(ウージウ)将軍に文を送れる、文が届くまで花娥を牽制すればいいわ…鶩青は竹林から短剣を掘り出して少主に渡した。驚いたことに短剣には毒が塗られている。赫連曦は短剣を眺めながら、鳳鳶がなぜ自分に手を下さなかったのか、殺したいならなぜ短剣を土に埋めたのか、考えあぐねた。…近頃の浮かない様子は暗殺が本意ではないからか?何か事情が?…花娥はまたしても仕損じた公主に苛立ちを隠せなかった。しかし今日の公主は堂々としてどこか様子が違う。「私は永照の公主で霖川の少夫人、罪臣の娘という身分を免じて良い嫁ぎ先を選んであげる 嫁がなくても一生分の栄華と富を保証するわ」「″分かりました″…なんて答えるとでも?ふふ 私の望みは公主では叶えられない、でも殿下なら叶えられるかもしれません もし私が手を下さねばならないなら、死ぬのは赫連曦だけで済まないかも…」花娥の視線の先には回廊を歩く侍女たちの影が写っていた。驚いた鳳鳶は髪からかんざしを引き抜き、背後から花娥の首に突きつける。「決して皆に手出しさせない!」つづく
2025.03.30
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花间令 In Blossom第18話上官芷(シャングワンジー)の正体が楊采薇(ヤンツァイウェイ)だと確信した潘樾(パンユエ)。矢も盾もたまらず㬢園(ギエン)に駆けつけたが、やみくもに真実を追及することもできなかった。…今は上官芷なんだ、もし正体が明らかになれば危険が及ぶ…「潘大人(ダーレン)?何か問題でも?」楊采薇が困惑していると、ちょうど卓瀾江(ジュオランジアン)が訪ねて来た。「夜は雉を焼いて食べよう…ぁ、潘大人も一緒にどうですか?」「いや、私は…水紋につながる事案を見つけた、そなたが気になっていると思ってな 何か分ったらすぐに知らせる」県署に戻った潘樾は修復した絵を眺めていた。…楊采薇と上官芷の身体が入れ替わったのだとしたら、棺の中の遺体は上官芷上官芷は楊采薇となり、図らずも水紋の組織に殺されてしまった必ず黒幕を探し出して恨みを晴らしてやる…潘樾は楊采薇が水紋の糸口があると知れば必ず県署に戻ってくると考えた。すると期待通り、翌朝、采薇が現れる。そわそわしていた潘樾だったが、上官芷が来たと聞くやいなや書卓に腰掛け、冷静を装った。「大人…(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾ペコ」「どうした?」「手伝って欲しいから事案の話をしたのでは?」「考えすぎだ、だがそこまで熱心なら見せてもよい」「感謝します(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾ペコ」…そのよそよそしい態度は何だ?…潘樾は自分が上官芷を遠ざけたことも忘れ、それとなく気遣ってみせた。しかし潘樾に厄介払いされたと思い込んだ采薇は全て嫌味だと取ってしまう。「大人、いちいち難癖をつけないでください、仕事が終わったらすぐ帰りますから」「うぉ(我)…」潘樾は采薇の誤解に動揺したが、少なくとも元気な姿を見られるだけで満足だと思うと自然と笑顔になった。( ̄꒳ ̄)ふっ Σ(꒪꒫꒪ )ヒッ!ワロてるで…潘樾と楊采薇は新鄭(シンテイ)書院を訪ねた。陳(チェン)掌院は快く院内を案内してくれたが、昼間というのに黒い布で覆われた部屋がある。実はその部屋は陳賦(チェンフー)の居所だった。陳賦は失明してから意識が朦朧とし、光の方へ向かおうとするため、安全のため黒い布で覆っているという。そこで潘樾は上官芷が巫術に詳しいため診せてはどうかと提案、采薇は陳賦を脈診させてもらったが、特におかしな点はなかった。陳掌院は何度か牢を訪ねて沈慈(シェンツー)に息子を解放して欲しいと懇願したが無駄だったという。潘樾と楊采薇は書院を後にした。それにしても書院はどこかおかしい。采薇は偶然、通りかかった書生に声をかけたが、″沈慈″と聞いた途端に逃げられたという。すると潘樾は恐らく口止めされているせいだと言った。あの書生たちの整然とした様子はまるで事前に練習したかのよう。しかも書生たちが音読していた″過秦論″と言えば、天下の士は聞くだけで口を閉ざすという内容だった。一方、銀雨楼(ギンウロウ)では阿福(アフウ)が脱獄者を発見、少主を現場に案内していた。実は例の間者だった男は阿福より一歩早く着いた男が殺してしまったという。「顔は見えませんでしたが、右肩に異常がありました」銀雨楼に戻った卓瀾江は大堂主・孫震(スンジェン)を呼んだ。孫震はかつて剣術の稽古で師匠に叱られて右肩を打たれ、それ以来、右肩をすくめる癖がある。「残党が脱獄した経緯は分かったか?」「看守と顔見知りの間者が油断させ、鍵を奪ったようです、すでに禾陽の外まで追わせています」「つまり銀雨楼は役立たずばかりか…」孫震は拝跪して謝罪したが、卓瀾江は色恋に気を取られて組織をおろそかにした自分の責任だと言った。「もういい、下がれ」孫震は楼主の養子であり、命懸けで少主を金水幇(キンスイホウ)から守った功労者だった。阿福は大堂主が間者とは到底、信じられなかったが、卓瀾江はいつも孫震が自分を水紋の件から遠ざけて来たという。「まだ分からぬ、だが先ほどの揺さぶりで必ず動くはず… 目を離すな、俺に隠れて何をしているのか暴いてやる」潘樾と楊采薇は幽霊がいるという書院の裏山にやって来た。「いつもは哥を口実に私を連れ出さないのに、今日は違いますね?」「…過去の話だ、これからはどんな道でもそなたを連れて行く」采薇は潘樾の変化に戸惑いながら、念のため近くの木に目印を刻んだ。「それ、楊采薇の検視用の小刀に似ているな?」「気のせいですよ!(⌒-⌒; )」するとやはり2人は同じ場所を回っただけで、目印の木に戻ってしまう。潘樾はわざと山道を外れて歩くことにした。その時、ついに幽霊が現れる。潘樾は咄嗟に上官芷の髪を結んでいた赤い紐を解くと、はぐれないよう2人の手首をしばった。「これでもう離れぬ」楊采薇は潘樾がなぜ急に優しくなったのか分からないまま、ついて行くしかなかった。楊采薇は水の音が聞こえると言った。しかし潘樾は近くに川も渓流もないという。すると背後から接近したつたが采薇の首を捉えて後ろに引きずった。潘樾も一緒に引きずられたが、やがて手首をつないでいた紐が切れ、采薇だけ木に吊り下げられてしまう。驚いた潘樾は剣を投げてつたを切ると、落下してきた上官芷を抱き留めた。↓ギューッ!からの(꒪ꇴ꒪)グエーッ!楊采薇の首にはなぜか染料が残っていた。そこで潘樾が切れたつたを拾ってみると、実は植物ではなく色を塗った麻縄だと分かる。すると再び幽霊が現れた。潘樾が瞬時に放った剣は見事、幽霊に命中、ただの作り物だと判明する。「幽霊など人が作った仕掛けに過ぎぬ」潘樾と楊采薇はようやく山道へ出た。その時、楊采薇は視線の先に花が咲いている場所を見つける。「どうしてあそこだけ花が咲いているの?…大人、土地の肥え方がここだけおかしいわ」潘樾はさすが楊采薇だとほくそ笑みながら、掘ってみようと言った。すると驚いたことに腐乱した遺体が現れる。遺体の腰には新鄭書院の院章があった。潘樾は遺体を県署に運び込み、陳三(チェンサン)に検視を頼んだ。しかし遺体は1〜2年前のもの、焦った陳三は検視には時間がかかると言い訳し、祖師の助言に期待する。「今日は早めにお出ましくださいますように…(>人<;)」一方、楊采薇は遺体の書生が誰なのか考えあぐねていた。すると潘樾が恐らく繆荘(ミャオジュアン)という書生だと教える。実は潘樾は書院からこっそり書生名簿を手に入れていた。「ふっ…見くびっていました」「どうも」楊采薇は早速、名簿を開くと、事案で死亡した2人の他に繆荘に印がついていた。楊采薇は口実を作って検視へ行こうと決めた。するとその気持ちを察した潘樾が用事を思い出したと嘘をついて出かけてくれる。采薇はこっそり検視を始めたが、まさか潘樾が中庭で嬉しそうにその様子を見ているとは知らなかった。潘樾は楊采薇のため夜食を準備して待っていた。しかし卓瀾江が凌児(リンアル)の作った夜食を差し入れ、そのまま一緒に帰ってしまう。物陰から少主と一緒に馬車に乗る采薇の姿を寂しそうに見つめる潘樾。一方、卓瀾江は役所に戻った采薇を心配していた。「嫌なことはされなかったか?…今度お前を泣かせたら殺す」「オイオイ~何もされてないわ、ただ私の粗探しをしていただけよ、でも…」采薇は何か言いかけたが、ちょうどそこで㬢園に到着してしまう。「続きは?」「何でもない、疲れたから早く寝るわ」卓瀾江は酒屋の前で月を眺めながら酒を飲んでいた。そこへ偶然、白小笙(バイシャオション)が現れる。「ちょうどいい、一緒に飲もう」「まさか楊姐姐に振られてやけ酒?」「振られるより怖いのはあいつの心に別の男がいることだ…お前にも想い人が?」焦った少笙は適当に客の話を持ち出してごまかした。「そうだ、何か食べる?美味しい団子があるから買ってくるね」しかし露店に向かった少笙の悲鳴が聞こえてくる。卓瀾江は少笙に絡んでいた男に激怒。激情に駆られて男の首を締め上げたが、少笙に殺さないで欲しいと懇願され見逃した。白少笙に絡んでいたのはかつての奉公先の主だった。少笙の父は幼い頃に亡くなり、母は博徒だったという。そのせいで借金取りに囲まれる日々を送っていたが、ある日、母から禾陽を離れて金持ちの従兄を頼ると聞いた。少笙は母と馬車に揺られながら、これで新しい生活を送れると心から喜んだという。しかし到着したのは従兄の屋敷ではなかった。母は少笙を10両で売り渡し、そのまま2度と戻らなかったという。「まだ10歳だった、隙を見て逃げ出し、生きるためなら何でもやった 蓄えができたら商売を始め、10倍の値段で身売り証文を買い戻したの」「金に執着するのはそのためか…」「実の母より頼りになるのは銀子だけよ」すると卓瀾江は少笙に飴を渡した。「辛い時は甘いものを食べろ、これからは甘い味が辛いことを忘れさせてくれる」「子供扱いね」「10歳のお前が食べたと思えばいい」楊采薇は以前のように陳三の部屋に手がかりを置いておいた。すると翌朝、祖師のお告げを手に入れた陳三が意気揚々と検視結果を報告する。実は遺体の臼歯が黒ずんでいることに気づき、内部を調べてみるとスズと銀箔と水銀の合成物だったという。つまり遺体は生前に虫歯の治療を受けており、摩擦の程度から使用した期間は1~2年だと分かった。遺体の虫歯を治療した医者が見つかった。医者は確かに自分だと認め、禾陽で水銀を混ぜる手法は自分だけだという。そこで診療記録を調べてみると、2年半前に治療していると分かった。「患者の名前は…沈慈」その頃、地下牢では食事が配られていた。すると沈慈は壁に寄りかかって座ったまま、饅頭(マントウ)の皿を自分の元まで引き寄せる。つづく※過秦論=秦が6国を滅ぼして中国統一を果たしながら、わずか二代で滅亡に至った原因を分析した論説( ๑≧ꇴ≦)あははは〜!ツンデレ設定が外れたパンだーれん、面白いwそう言えば最後のお皿もしや皿の下にはネズミーってオチだったりして…それってなんてディズ◯ーw
2025.03.29
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花间令 In Blossom第17話白小笙(バイシャオション)が騒ぎを起こした。よりによって銀雨楼(ギンウロウ)の船頭を買収、船荷を横流ししたことがばれてしまう。埠頭で捕まった少笙は朱(シュ)堂主たちから海に飛び込めと迫られたが、そこへ知らせを聞いたが楊采薇(ヤンツァイウェイ)と卓瀾江(ジュオランジアン)が現れた。すると卓瀾江は采薇の手を握りしめ、実は上官芷(シャングワンジー)が未来の少主夫人だと告げる。「上官小姐の言葉は俺の言葉、つまり銀雨楼の掟だ」驚いた朱堂主と配下はその場で拝跪、少夫人に挨拶した。白小笙の面倒ごとが解決し、卓瀾江は一緒に飲もうと誘った。しかし少笙は仲睦まじい2人を見ることに耐えられず、口実をつけて引き上げてしまう。「あとで㬢園に行くね」すると楊采薇は2度と自分を″少夫人″と呼ばないよう頼んだ。卓瀾江は偽装ではなく本気だと告白したが、采薇にこれまでもこれからも親友だと言われてしまう。「見事なまでに率直だな」「ぬか喜びは失望より傷つく、1番の親友にそんな思いはさせたくないから」顧雍(グーヨン)が暗殺され、済善堂(サイゼンドウ)も解体。しかし潘樾(パンユエ)は都にいる黒幕が商売のために禾陽(カヨウ)で刺客を育てたとは思えなかった。「四大宗族の中にまだ勢力が残っているのでは…」何か見逃しているような気がしてならない潘樾。その頃、百花宮(ヒャッカグウ)では宮主・青帝(チンディー)が思い出の手巾を眺めていた。「9年経ったわ…」潘樾がわずか2ヶ月でここまで調査を進めるとは想像以上だったが、さすがに顧雍の背後の勢力までつかむのは難しいだろう。「一押しする時が来たようね」阿澤(アーヅー)は主と上官芷の仲を取り持とうと考え、遠乗りに誘い出した。そこで帰りに㬢園の前を通りかかり、上官芷の様子を見に行こうと提案する。しかし潘樾に凌児(リンアル)を恋しがっていると見抜かれ、浮ついていると叱られてしまう。(๑・᷄ὢ・᷅๑)<頑固なんだから…ボソッ結局、㬢園に寄らずに県署へ戻った2人、すると地下牢で思わぬ騒ぎが起こっていた。「大人(ダーレン)!死刑囚がつけ火を!」劉(リウ)捕吏の案内で現場へ駆けつけた潘樾。聞けば無人の独房で燭台が倒れ、藁が湿っていたおかげで煙が充満しただけで済んだという。潘樾は放火の目的が煙を出して自分たちの注意を引くためだと分った。すると一番奥の突き当たりの牢に見るからに怪しげな囚人の姿が見える。驚いたことにその房の壁には水紋が描かれていた。…ここに導くためだったか…「大人、恐ろしい奴です、近づかぬように…」劉捕吏は潘樾に″鬼火事案″の犯人だと教えた。潘樾は保管庫で鬼火事案の記録を探した。大量の記録の中から見つけ出すのは一苦労、思えば上官芷は必要な資料をすぐ見つけてくれた。「実は簡単なことではなかったのだな」しかし検視人の師匠と役所に出入りしていた楊采薇にとって記録を見つけ出すことは大した問題ではなかった。…鬼火事案禾陽の新鄭(シンテイ)書院は山と川のほとりに建つ裏山に幽霊の噂があり、度々、人が消えている当事者によると1年前、新鄭書院の同窓である陳賦(チェンフー)・周歌(ジョウゴー)・柳史(リウシー)・沈慈(シェンツー)の4人が肝試しをしようと山に入った書院に陳賦たち3人が血相を変えて戻って来た『沈慈が幽霊に捕らわれた!』書生たちは裏山を捜索したが沈慈は見つからず、もはや命はないと思われたしかしある日、激しい雷雨の中、視力を失った沈慈が帰ってくる『林を引きずられ、地下に落とされたようだ、必死にもがいてようやく逃げ出した だが林は瘴気が強く、何も見えなくなった』幽霊騒ぎはこれで終わったかに見えたしかし再び信じられない事件が起こる講義に出ていた陳賦・周歌・柳史の3人が突然、視力を失い、意識まで朦朧となったのだ掌院である陳賦の父が名医を招いたが原因は分からず、林の幽霊の所業だとにわかにささやかれるするとある夜、1人の書生が偶然、書院をふらふらと出て行く陳賦・周歌・柳史を見かけた後をつけてみると、3人は鬼火に導かれるように崖に向かい、そのまま飛び降りてしまう知らせを聞いた掌院は崖下で倒れた息子を発見、陳賦は″沈慈″と言い残して意識を失った激怒した掌院は沈慈を県署に突き出し、妖術で息子を害し、2人の命を奪ったと告発するしかし沈慈は事件当夜、書院にいたと反論、自分が妖術を使えるという証拠もないと訴えた…白少笙は楊采薇が意地になって㬢園に戻ったと分かった。しかし采薇はけじめをつけるためだと言い訳する。「もうあの人に関わらない!」「本当?…まあそれもいいわ、卓少主もいい人だしね」少笙は鎌をかけたが、采薇の表情から何かあったと気づいた。「まさか告白されたの?…当たりなのね、少主はいつも姐姐を見てるもん」「私は水紋を調べて楊采薇に戻りたいだけ」一方、潘樾は独房の沈慈を訪ねていた。沈慈はネズミに2つしかない自分の饅頭(マントウ)を与え、何やら話しかけている。そこで潘樾が理由を尋ねると、沈慈は地下牢でも虫やネズミを相手に日々を過ごし、思いを語れると言った。「私にとっては古い友なのです」潘樾は牢に入り、壁にある紋様が何か聞いた。すると沈慈はこの事案を解決したらおのずと分かるという。潘樾は気分転換に自分で修復を頼んだ絵を取りに行った。その帰り道、霜霜(シュアンシュアン)に呼び止められ、氷を食べて行くことにする。霜霜は孤児の子供たちの協力で今も氷屋を続けていた。しかしそこで卓瀾江と上官芷の慶次が近いと埠頭で噂になっていると知る。落胆した潘樾は歯が痛くなったと嘘をついて帰ったが、途中で絵を置き忘れたことに気づいた。潘樾は氷屋に引き返した。すると霜霜たちが転んで泣いている仲間に童謡を聞かせている。その歌は忘れもしない、幼い頃に楊采薇にだけ教えた童謡だった。「霜霜、この歌を教えてくれたのは誰だ?」「上官小姐です」…なぜだ、どういうことだ?…潘樾は矢も盾もたまらず走り出した。確かに上官芷の正体が楊采薇なら急に人柄が変わったことも、検視に手慣れていることも全て合点が行く。どうりで上官芷が自分の求婚の言葉を正確に知っていたはずだ。潘樾の予想は確信に変わり、やがて笑顔で㬢園に到着する。するとちょうど上官芷が庭にいた。「大人?どうかしましたか?」「私は…」つづく( ๑≧ꇴ≦)パンだーれんの♪あはは~♪うふふ~がwwwこれじゃない感ハンパない
2025.03.27
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花间令 In Blossom第16話卓瀾江(ジュオランジアン)は顧雍(グーヨン)を狙った刺客が金水幇(キンスイホウ)だと気づいた。そこで急ぎ銀雨楼(ギンウロウ)へ連行した残党を尋問することにしたが、地下牢から全て逃げてしまったと知る。「まだ間者がいるようだな…」一方、氷屋の霜霜(シュアンシュアン)は姉の正体が顧杉(グーシャン)だと知られたせいで窮地に追い込まれていた。長屋の住民たちは霜霜を殺人鬼の妹と罵倒、棺と一緒に追い出そうとする。その時、騒ぎを知った楊采薇(ヤンツァイウェイ)と潘樾(パンユエ)が駆けつけた。事態を重くみた潘樾は今日からここを県署の氷庫にすると宣言し、また騒ぎを起こせば罰すると一喝してくれる。「霜霜を頼んだぞ、先に帰る」天涯孤独となった霜霜は悲しみに暮れた。楊采薇は自分も幼い頃に両親を亡くしたと明かし、思いきり泣いた後は前を向いて歩くよう励ます。「いい童謡があるわ、大切な人から教わった歌よ、怖い時に歌うと安心するの」采薇が霜霜に童謡を聞かせていると、孤児たちが歌声に気づいて集まってきた。「いらっしゃい!」すると霜霜は采薇や孤児たちと一緒に童謡を歌っているうち、いつの間にか涙も乾いて笑顔になった。役所へ戻った潘樾は顧雍と面会した。済善堂(サイゼンドウ)は営利目的で人殺しを請け負ってきたが、例の水紋の組織のための口封じも担ってきたのだろう。「10年前の楊済安(ヤンジーアン)一家殺害もそなたの仕業か?」「…その通り、盗賊を装って一家を襲った、娘には逃げられたがな」「そこで私の婚儀の日、楊采薇を殺し、刺客を生死坊(セイシボウ)へ逃した?」「私の手下ではない」「黒幕が手配したのか…そなたの令牌は″4″、つまり上にはあと3人いるな?」潘樾は白状しなければ命はないと脅したが、顧雍はこの期に及んでなお頑に令牌の謎を明かそうとしなかった。黒幕は配下から顧雍の暗殺に失敗したと聞いた。しかし何としてでも顧雍の口を封じなければならない。するとその夜、ある男の元に鳥文が届いた。…顧雍を殺害せよ…潘樾は顧雍の暗殺を警戒し、地下牢に厳戒態勢を敷いた。毎日、記録を取っている主簿は当たり前のように牢へ入ろうとしたが、捕吏たちに止められてしまう。その様子を物陰から劉(リウ)捕吏が見ていた。翌朝、潘樾と楊采薇は書斎で済善堂の帳簿類を調べていた。書卓に並んだ押収品の中には、身代わりがつけていた顧雍の仮面もある。采薇は相変わらずよそよそしい潘樾に困惑していたが、そこへ阿澤(アーヅー)が駆けつけた。「公子、顧雍が面会したいと…」顧雍は協力する代わりに禾陽(カヨウ)の外の安全な場所にかくまって欲しいと頼んだ。身の安全が確認できたら全て話すという。そこで潘樾は都の郡主に手配を頼み、護送には顧雍の影武者を使って敵の目を欺くことにした。牢から出た顧雍は劉捕吏に促され書面に押印、護衛に囲まれ久しぶりに外へ出た。すると書斎の前を通りかかった時、潘樾の声が聞こえる。「待て、顧雍を中へ、話がある」捕吏たちはその場で待っていたが、書斎へ入った阿澤と顧雍はすぐ出てきた。潘樾と楊采薇は顧雍と影武者を取り替え、本物の顧雍を裏口からこっそり護送することにした。しかし顧雍が急に苦しみだし、黒い血を吐いて倒れてしまう。「水紋…あの模様は…楊…ヤン…ヤ…」顧雍は謎の言葉を残して事切れた。その頃、卓瀾江は父の廟にいた。「爹(ディエ)、もう逝って丸2年…会いたいよ、組織に間者がいる」卓瀾江は必ず間者を捕らえ、父が築いた組織を必ず守ってみせると誓って献杯した。「爹…好きな女子ができた、いつか紹介するよ」しかし銀雨楼(ギンウロウ)へ戻ると思いがけない知らせが届く。「少主!大変です!顧雍が殺されました!」顧雍が死んだ元凶は猛毒が塗られた朱肉だった。潘樾は阿澤に役人全員を調べるよう指示したが、憤懣やるかたない。一方、楊采薇も回廊で独り悶々としていた。再び糸口が断たれた潘樾はこれからどうするつもりなのか。その時、偶然、潘樾が灯会で着た衣を抱えた捕吏が通りかかった。「洗濯するの?」「いえ、潘大人が捨てて良いと…」すると采薇は衣の背中についた血の手形に気づいた。あの時、必死に石で縄を切り、手のひらが血だらけになった采薇。確か意識を失う前、思わず恩人の背中に手を回した記憶があった。楊采薇は顧杉から救ってくれたのが卓瀾江ではなく潘樾だと知った。そこで書斎へ駆けつけ、潘樾に自分を助けてくれたのかと確認する。「…そうだ」「なぜ言ってくれなかったの?」「必要ない、配下を救うのは公務、大げさに考えるな」潘樾は上官芷(シャングワンジー)を冷たく突き放し、都へ届け物を頼んだ阿福と一緒に帰京するよう命じた。「水紋の調査は時間がかかる、まさかずっと役所にいるつもりか? 次はそなたを救えるか分からぬ、その時、兄君にどう説明を?」「それは口実でしょう?私が邪魔になるから?」「今は違うと?」その時、ちょうど顧雍が暗殺されたと聞いた卓瀾江が現れた。「出て行くなら銀雨楼へ来ればいい」潘樾は確かに銀雨楼の庇護があれば安心だと嫌味を言ったが、采薇は自分を物のように扱うなと呆れた。「水紋の件は調べ抜く、でもここに居座ったりしないわ」結局、楊采薇は凌児(リンアル)を連れて㬢園(ギエン)へ戻るしかなかった。卓瀾江は楊采薇を㬢園まで送り届け、一杯ご馳走になることにした。しかし悪酔いした采薇から思わぬ本音を聞いてしまう。「2度も同じ穴に落ちるなんて愚かよね…分かってる、潘樾には郡主がいるって 今の私には何もない、この名もこの顔も他人の物 穴は遠くにあったのに、まさかまた落ちるなんて… でも何が辛いって、あの人を恨む立場になく、愛する資格もないってこと 告げることもできない、私の正体が他人の殻に住まう盗人だなんて 私って本当に愚かよね」…お前だけじゃない…卓瀾江は自分も同じ穴の狢だと実感しながら、潘樾のことなど早く忘れるようなだめた。すると采薇はそのまま酔い潰れて眠ってしまう。凌児と離れ難い阿澤はわざと㬢園から卓瀾江が出てこないと潘樾に報告した。内心では気が気でない潘樾、しかし、そこまでの報告はいらないと強がってしまう。翌朝、潘樾は久しぶりに鬼市で描いてもらった楊采薇との姿絵を広げた。…そなたは私に失望せぬか?…そこへちょうど阿澤がやってきた。「阿澤、この絵の修復と額装を手配してくれ」「はい、それで公子、顧杉が今日、埋葬されます」顧杉の埋葬は銀雨楼が手配した。上官芷と卓瀾江は顧杉を弔い、霜霜を励まして先に引き上げることにしたが、ちょうど到着した潘樾とすれ違う。潘樾は上官芷を見たが、楊采薇は視線を合わせず、黙って通り過ぎた。つづく(  ̄꒳ ̄)うむ…県署の間者がNo.5?劉捕吏か主簿か陳検視人か?
2025.03.26
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花间令 In Blossom第15話楊采薇(ヤンツァイウェイ)に義理立てし、上官芷(シャングワンジー)との距離を取る潘樾(パンユエ)。しかし独りになると、かえって上官芷のことを考えてしまう。一方、楊采薇は白小笙(バイシャオション)と灯会を楽しみながら昔を懐かしんでいた。あれは10年前、まだ幼い2人が初めて灯会に来た時のこと。売れ残った灯籠を2つもらった少笙は皆と同じように何か願い事を書こうと誘った。采薇は想い人に書くものだと教えたが、少笙はならば理想の想い人を書けばいいという。そこで少笙は灯籠にびっしりと″気高く清らかで才気あふれる美男子、武力も強くて敵に囲まれても私を守ってくれる人″と書いた。『楊姐姐は何て書いたの?…ふふ、姐姐らしいや』楊采薇は″潘樾以外なら誰でもいい″と書いていた。白少笙は当時の理想の人と卓瀾江(ジュオランジアン)の姿が重なった。楊采薇は少笙にお目当ての相手がいると気づいたが、少笙は自分に必要なのは男より銀子だと笑ってごまかす。その時、ちょうど氷を売っている三姑娘(サングーニャン)と霜霜(シュアンシュアン)姉妹の屋台を見つけた。三姑娘は2人に氷をご馳走すると声をかけ、甘いものが好きな上官芷には蜂蜜をたっぷりかけてくれる。その様子を孤児の子供たちが羨ましそうに見ていた。すると三姑娘と霜霜は灯会だから特別にと子供たちに氷を振る舞う。采薇は嬉しそうな孤児の笑顔を見ながら、やっと父の言葉の意味が分かった。「なぜ危険を冒してまで調査するのか爹(ディエ)に聞いたの 彼は言ったわ、夜の街を歩く人々の無邪気な笑顔が好きだからって」楊采薇は卓瀾江の灯籠がある橋に到着した。しかし白少笙は采薇だけで見に行って欲しいと頼む。仕方なく采薇は独り橋を登り始めたが、その様子を近くの楼閣から卓瀾江が嬉しそうに見ていた。その時、娘たちが一斉に潘樾が灯籠を上げたと騒ぎ始める。( ˙꒳˙ )<あれよ!あれが潘大人(ダーレン)の灯籠よ!(* ゚ェ゚)<なぜ無地の灯籠なのかしら?字も絵もないわすると采薇は潘樾の様子が気になり、橋の途中で引き返してしまう。少笙は急いでどこかへ向かう采薇の後ろ姿を見つけ、慌てて橋を駆け上った。そこで見たのは想い人が掲げた楊采薇の影絵の灯籠。少笙は複雑な心境だったが、ふと振り返ると気まずそうな卓瀾江と目が合ってしまう。一方、潘樾は顧杉(グーシャン)を連行した花寿堂(カショウドウ)に到着していた。阿澤(アーヅー)の報告では意識が戻った顧杉がすでに自供、顧雍(グーヨン)が動く様子はないという。しかし潘樾は顧杉が持っていた血剣では被害者に青紫色の傷を付けられないと気づいていた。「あの地下牢へ行ったよ、お前の境遇には同情する、あの経験が全ての元凶だろう? 母君が脱走の手助けを?」すると鎌をかけられてた顧杉は気まずそうに口をつぐんでしまう。潘樾は顧雍が自分たちを惑わして先に顧杉を見つけるため、身代わりを立てたと気づいた。「しまった!上官芷が危ない!」楊采薇は潘樾を探していたが、急な腹痛と吐き気に襲われた。そこで町外れの川辺に向かい、一息つく。しかしふいに自分が灯会の被害者と同じ状況に置かれていることに気づいた。…灯会、川辺、人けのない場所に独り…嫌な予感は的中、黒衣の刺客が現れた。その時、思いがけず三姑娘が現れ、見事な武功で刺客に応戦、止めを刺す。采薇は呆気に取られていたが、ふと三姑娘の手にある武器を見て全てを悟った。「三姑娘、まさか…あなたが顧杉だったの?!」「ああ、そうさ、驚いただろう?顧雍の一人息子が実は娘だったとは」(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン!←驚いた管理人w潘樾たちが上官芷を探していると、ちょうど卓瀾江たちに出くわした。「捕らえたのは偽の顧杉だった、上官芷が危ない、手分けして探してくれ」すると潘樾は独りで店番している霜霜を見つけた。霜霜の話では上官芷が少し前に氷を食べていったという。その時、潘樾は被害者の青紫の傷口が氷と関係していることに気づいた。…まさか…「霜霜、姐姐はどこだ?」「姐姐なら用事で先に帰りました」 上官芷は灯会の巨大天灯を縛り付けている大木に気づいた。そこで咄嗟に石を拾って大木まで逃げると、時間稼ぎのため顧杉を揺さぶることにする。「あなたも結局、父親と同じね、地下牢で辛い目に遭ったのに、なぜ他人を罰するの?」「お黙り!何も知らないくせに!」顧雍は一人娘に済善堂(サイゼンドウ)を継承させるため、男装を強要して息子同然に育てた。しかし娘として生きたかった顧杉は反発、ついに我慢の限界を超えてしまう。顧杉は美しく着飾り、本来の娘の姿で初めて灯会へ出かけた。これが顧雍の知るところとなり、連れ戻された顧杉は地下牢に監禁されてしまう。見かねた夫人は父に謝るよう訴えたが、顧杉は決して謝ろうとしなかった。『私は何ら法を犯していない、私は悪くない!』『この私が法だ!』結局、顧杉は脱走したが、母が心配で禾陽(カヨウ)に留まった。そんな中、強叔(チアンシュー)に引き取られ、実の父親に折檻されて傷だらけの霜霜と出会ったという。楊采薇は後ろ手で必死に縄を切りながら顧杉の告白を聞いていた。「だから灯会の日、強叔の水に下剤を混ぜ、川辺に誘き出したのね その氷の血剣で天突に一撃すれば鮮血が喉に流れ込み窒息死する 氷の冷たさで傷口周辺は青紫色になり、発見された時には氷が溶けて凶器は見つからない その後も夏になると辛い記憶が蘇り、同じように弱者をいじめる者を殺したのね? …でもなぜ憎い父親の令牌を取り戻してあげたの?」「今から死ぬ人間には関係ないね」顧杉はついに上官芷に襲いかかったが、その時、縄が切れて天灯が川辺に倒れ込んだ。川辺で天灯が激しく燃えた。その隙に楊采薇は逃げ出したが、顧杉に追いつかれてしまう。もはやこれまでかと覚悟したその時、潘樾が現れ、子杉を蹴り飛ばした。しかし意識が朦朧としていた楊采薇は誰が自分を助けてくれたのか分からないまま意識を失ってしまう。楊采薇が目を覚ますと卓瀾江の腕の中だった。すると凌児(リンアル)が卓瀾江が助けてくれたと話し、主の様子を見にも来ない潘樾は非情だと責める。「…阿江が助けてくれたの?」しかし卓瀾江と白少笙はどこか歯切れが悪かった。潘樾たちは捕縛した顧杉を県署へ連行することにした。人々は氷屋の三姑娘が灯会事案の犯人だったと知って騒然。すると血剣を持った顧雍が現れ、一行を阻む。「私の娘が捕まったと聞いて見に来た」顧堂主の一人息子なら死んだはず、人々は娘がいたとは初耳だと噂する。その時、開き直った顧杉が自ら父の闇を暴いた。「そうさ、顧家の血を絶やさぬよう、私は地下牢に幽閉されていた! 毎日めった打ちにされてね!私が男らしくならない限り生きる価値はないんだろう?」「役立たずは要らぬ」潘樾は父親でありながら娘を骨肉と認めず、監禁して私刑を与えた顧雍を非難した。「そなたに娘を諭す資格などない」しかし顧杉は父が自分を諭すために来たのではないと知っている。「あの令牌の秘密を口止めに来たんだろ?潘大人、全て話すよ」その時、顧夫人を連れた家職が現れた。驚いた顧杉は母を解放するなら父に従うと約束したが、娘の足枷になりたくない夫人は自ら短剣で自害しまう。「娘nnnnnnnnnnnnng!」顧杉は激情に駆られ、隣にいた劉(リゥ)捕吏の帯刀を奪って顧雍に襲いかかった。父と娘の激しい戦い、しかし例え利き腕ではなくとも父の武功には敵わない。そこで顧杉は父が突きつけてきた血剣を握って自分の首を刺し、顧雍が怯んだ隙に腹を刺して一矢を報いた。卓瀾江は負傷して動けなくなった顧雍を取り押さえた。ちょうどそこへ楊采薇が現れ、瀕死の顧杉に気づいて駆け寄る。すると顧杉はこっそり上官芷に令牌を託した。その時、霜霜が駆けつけ、姉にすがりついて号泣してしまう。顧杉は霜霜だけが心残りだったが、采薇は自分が面倒を見ると伝えた。潘樾は悲劇の結末に胸を痛め、令牌の意味を白状するよう顧雍に迫った。その時、顧雍めがけて暗器が飛んでくる。瞬時に気づいた潘樾が暗器を阻止、黒い影を追いかけたが逃げられてしまう。一方、卓瀾江は刺客が投げた暗器を拾っていた。すると竹林で一網打尽にした刺客と同じ令牌だと気づく。…金水幇(キンスイホウ)がなぜ現れた?まさか水紋の組織と組んでいるのか?…「銀雨楼に戻るぞ!」青帝(チンディー)は百花宮(ヒャッカグウ)の露台から全てを見ていた。「顧雍に調査が及べば真相に近づける…風が出てきたわね」つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ?!あの巨大天灯の仕組みがイマイチ分からんwそれにしてもせっかく面白くなってきたのに、屋根を駆けるパンだーれんがががが…もう少し何とかならんかったのかw
2025.03.24
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花间令 In Blossom第14話潘樾(パンユエ)は顧杉(グーシャン)を誘き出すため、灯会で故意に暴力事案を起こすことにした。そこで阿澤(アーヅー)が凌児(リンアル)を虐待することになったが、予行演習を見た楊采薇(ヤンツァイウェイ)は頭を抱えてしまう。「駄目よ!全く感情がこもっていないわ!皆を震え上がらせなくちゃ!」「私にはできません…」楊采薇は仕方なく自分を容赦なく打ちつけた劉(リウ)捕吏に白羽の矢を立てたが…。一方、刺客に襲われた卓瀾江(ジュオランジアン)は白小笙(バイシャオション)を連れて銀雨楼(ギンウロウ)の隠れ家に逃げ込んだ。刺客の暗器や剣術から金水幇(キンスイホウ)の関与が疑われたが、大堂主・孫震(スンジェン)に調べさせたところ、やはり刺客の遺体には金尾魚龍(キンビギョリュウ)の紋様があったという。すると孫震が遺体から回収した書き付けを渡した。…銀雨楼を出て鬼市へ向かう…卓瀾江はやはり鬼市へ誘き出されたと知り、銀雨楼に間者がいると確信した。卓瀾江は孫震たちから安然のためしばらく戻らないよう嘆願され、このまま留まることになった。無関係の白少笙はここで帰ることにしたが、孫震に止められてしまう。「隠れ家を知られた以上は生きて出られぬ」しかし卓瀾江は少笙を信じているとかばって解放した。潘樾は上官芷(シャングワンジー)と顔を合わせないよう食事も居所で取るようにした。なぜ自分が避けられているのか分からない楊采薇、すると卓瀾江から文が届く。…このところ忙しくて抜け出せぬ、灯会の準備は任せた、明日は必ず手伝いに行く…白少笙は結局、卓瀾江に付き合って隠れ家に残ることにした。「なぜ私を信じるの?」「鬼市で脅した時、お前は友を売らなかっただろ?」その隠れ家は卓瀾江が子供の頃、父が自ら建てたものだった。あれは卓瀾江が太学に入学する日のこと。銀雨楼へ挨拶にやって来た金水幇は酒と見せかけ持ち込んだ油を正殿に投げつけ、火を放った。激しい炎は楼主の骨まで焼き尽くし、知らせを聞いた卓瀾江は筆を捨て剣を持つしかなかったという。実は突如、金水幇の残党が現れたのは2ヶ月前だった。糸口は江南(コウナン)を示していたが、卓瀾江が追うと残党は跡形もなく消えてしまったという。2ヶ月前と言えばちょうど楊采薇が襲われた頃だ。「奴らがいなければ俺は禾陽を離れず、楊采薇も無事だった この恨みはまとめて晴らす」灯会の夜。卓瀾江は腹心の阿福(アフウ)と示し合わせて守衛を遠ざけ、その間に白少笙を連れて隠れ家を脱出した。すると予想通り金水幇の刺客たちが現れる。黒い面を被った刺客たちは竹林にいた2人を包囲。しかし斬りかかろうとしたところで潜んでいた銀雨楼が一斉に矢を放った。金水幇は卓瀾江の罠にはまって全滅、銀雨楼に潜入していた間者も捕縛された。卓瀾江は鬼市に自分の偽物がいると知らせた守衛を疑い、見張らせていたという。予想通り自分が隠れ家を出た途端、金水幇が現れた。卓瀾江は裏切り者を見逃すつもりはなかったが、ふと白少笙の視線に気づき、ひとまず銀雨楼へ連行するよう命じる。「心配するな、身内すら守れずに禾陽で生きられるか?」「誰が身内よ…」少笙は憎まれ口を叩いたが、内心ではその言葉が嬉しかった。県署が蛟(ミズチ)を退治したと宣言し、華やかな催しもあって灯会は大盛況だった。百花宮(ヒャッカグウ)では宮主・青帝(チンディー)と生死坊(セイシボウ)坊主・蔡昇(ツァイション)がようやく本物の済善堂(サイゼンドウ)堂主・顧雍(グーヨン)と対面する。しかし顧雍がただ灯籠を見るために正体を現したとは到底、思えなかった。上官芷に担ぎ上げられられ、彩球投げを任された潘樾。憧れの潘大人と共に天灯を点せるとあって多くの娘たちが押し寄せる中、百花宮の露台から顧雍がその様子を眺めていた。やがて潘樾は彩球を受け取った娘と天灯に火を入れることになったが、肝心な暴漢役の劉捕吏の姿がない。実は劉捕吏は急に腹を壊し、仕方なく楊采薇は県署へ帰らせていた。その時、上官芷が現れ、嫉妬から娘に向かって鞭を振り回す。「潘樾!私がいるのにどういうこと?!」困惑する潘樾だったが、上官芷の目配せで咄嗟に対応し娘をかばった。「潘樾、今後は2度と関わらない、私には卓少主がいるわ 誰を殴ろうが殺そうが怖いものはない!」楊采薇は上官芷の悪名を利用、見事にわがままで横暴な千金を演じ切って去って行った。上官芷はわざと人目のない横道へ入った。すると後をつけていた顧杉が現れ、襲いかかって来る。しかし危ないところで卓瀾江が現れ、顧杉を殴り倒して楊采薇を救った。顧杉の武器は確かに先端の両端2本が細く長くなっていた。遅れて到着した白少笙は楊采薇の無事を確認して安堵、すると点灯を済ませた潘樾たちも到着する。潘樾は顧雍が口封じしないよう顧杉を阿澤に任せ、上官芷が脅した娘には事情を説明しておいたと教えた。事件は無事に解決、潘樾は楊采薇たちと灯籠見物に出かけた。しかし上官芷と卓瀾江の仲睦まじい姿を見て居たたまれなくなり、先に引き上げてしまう。すると卓瀾江も急に帰ると言い出した。「今夜、想いを伝えたい人がいる」「そんな人がいたの?」楊采薇は驚いたが、白少笙はその相手を知っていた。「…灯籠を真ん中にかけるから後で見に来てくれるか」「いいわ」つづく(  ̄꒳ ̄)ここにきて四角関係?いやどうでもいいwそれより予想通りパパは生きていそう
2025.03.23
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花间令 In Blossom第13話幼い頃の恐ろしい体験が蘇り、激しい発作を起こした潘樾(パンユエ)。その理由を知っている楊采薇(ヤンツァイウェイ)は当時と同じように怖い時に安心する童謡を歌って聞かせた。すると潘樾は次第に発作が治り、正気を取り戻す。「そばにいたのはそなたか?」「私以外に誰がいたと?」「ありがとう」…幼い頃の心の傷をまだ抱えていたなんて、あなたも苦しみながら生きて来たのね…一方、卓瀾江(ジュオランジアン)は亡き父の話で顧雍(グーヨン)を足止めしていた。生前の父と顧雍は親しかったが、今や両家の交流はほとんどない。「ずっと疑問だった」「…父君には知られたくない事情があったのだろう、掘り返さぬほうが良い秘密もある」「分かった、では失礼する」卓瀾江は十分、時間を稼いだと考え、そこで引き上げた。予定外に地下牢で長居してしまった潘樾と楊采薇。そこで急いで出ることにしたが、足音が聞こえて慌てて物陰に隠れた。すると夫人が差し入れを持ってやって来る。「出て来て、いるんでしょう?…あなたの好物を持って来たわ、杉(シャン)児?」しかしすぐ侍女が駆けつけ、夫人を連れて帰った。卓瀾江は待ち合わせ場所の酒屋にやって来た。まだ楊采薇は到着していなかったが、白小笙(バイシャオション)の姿がある。「なんだ、たかりに来たのか?」「ふん!姐姐におごってもらうのよ」すると少笙は楊采薇を一途に想う少主を利用しようと思いついた。「少主、取り引きしない?楊姐姐が好きなんでしょう?力になるよ!」「条件はなんだ?」「これが欲しい」潘樾と楊采薇は夫人の話から地下牢に監禁されていたのが一人息子・顧杉(グーシャン)だと分かった。恐らく灯会の犯人は血剣を使える顧杉だろう。「息子を殺そうとしたから夫人は″顧雍が犯人″と言ったのね、顧杉は何をしたのかしら?」「もしや水紋の令牌と関わりがあるのかも…長居は無用だ」2人は急いで出て行くことにしたが、すでに扉の鍵が閉まっていた。どうやら顧雍に気づかれたらしい。その時、地下牢に毒煙が放たれた。楊采薇は毒煙を吸い込み、意識が朦朧となった。しかし潘樾は上官芷(シャングワンジー)の髪が風に揺れていることに気づき、どこかに隙間があると確信する。「はっ!この石板に隙間がある!」潘樾は力の限り石板を殴りつけ、やがて壁を壊すことに成功した。卓瀾江と白少笙はなかなか現れない楊采薇を心配し、県署に駆けつけた。しかし2人がまだ戻っていないと知る。卓瀾江は済善堂(サイゼンドウ)で何かあったと気づき、慌てて出かけることにした。その時、潘樾が上官芷を抱きかかえて帰ってくる。卓瀾江は楊采薇を危険に晒した潘樾に激怒したが、下ろしてもらった采薇は潘樾に責任はないとかばった。阿澤(アーヅー)は潘樾が地下牢で発作を起こしたと聞いた。しかし思いがけず上官芷が主の心を静めて助けてくれたと知り、驚きを隠せない。「少し疲れた…独りにしてくれ」潘樾は上官芷が気になって居所へ向かったが、結局、声をかけずに楊采薇の廟へ出掛けてしまう。楊采薇の霊位を眺めながら独り酒をあおる潘樾。するとふとあの時のことを思い出した…民を無理やり娶って死に追いやったと弾劾され、収監された潘樾抵抗して腹を刺されたものの命に別状はなかったが、すっかり憔悴していたすると潘樾の牢に長楽郡主・劉菁(リウチン)が現れる『もし私との婚姻に応じていればこんな目に遭わなかった、でも今からでも間に合う』郡主は潘樾が楊采薇を殺していないと確信していたそもそも楊一家が移送中に襲われたのも偶然ではなかったという潘樾は確かに父から朝廷の権力者が禾陽(カヨウ)で反逆勢力を育てていると聞いたと明かした『楊姑娘殺しの犯人から朝廷内の後ろ盾までたどり着けるというわけね あなたをここから出す条件は事案を解決すること 皇上のことは私に任せて、あなたは逆賊を早急に突き止めるのよ』『潘樾、必ずやご期待に応えて見せます』…潘樾は亡き妻に献杯しながら、一瞬でも上官芷に惹かれた自分を恥じた。未だ真相をつかめず、これでは楊采薇にはもちろん、力になってくれる郡主や友人、そして己自身にも顔向けできない。一方、黒幕に呼び出された顧雍は失態を叱られ、令牌を持っている顧杉を一刻も早く探し出すよう迫られていた。「卓瀾江のことは私に任せよ、急務は潘樾より先に顧杉を見つけることだ」白少笙は卓瀾江の剣を手に入れ、少主になりすまして鬼市に現れた。実は鬼市の用心棒に見くびられ、腕輪売りの屋台や売上を巻き上げられてしまった少笙。そこで銀雨楼の権勢を利用して用心棒を懲らしめることに成功する。しかしその様子を刺客が見ていた。潘樾は己を律し、翌日から上官芷と距離を置くことにした。困惑する楊采薇だったが、潘樾は早速、捕吏たちを集めて顧杉の捜索を命じる。恐らく顧杉は長い間、父親から虐待を受けたせいで、暴力を見ると衝動的に人を襲ってしまうのだろう。そこで灯会を開いて人を集め、故意に暴力事案を起こして顧杉を誘き出すと決めた。楊采薇は夏至まで3日しかないと訴えたが、そこへ卓瀾江が現れる。「できるさ!銀雨楼に不可能はない」しかし禾陽の民の心に大きな影を落とした灯会、そう簡単に人が集まるとも思えない。すると楊采薇が目玉となる催し物を思いついた。市場に告示が張り出された。…この度、役所と銀雨楼は共同で灯会を再開する皆で楽しめるよう灯会では山車の巡行や彩球投げなどを催す彩球を取った者は潘大人と共に天灯をともし、祈る特典あり…その様子を顧杉がなぜか偽顧雍と一緒に見ていた。銀雨楼に戻った卓瀾江は早速、灯会の準備を指示した。すると鬼市で自分を騙り銀子を騙し取る者がいると知らせが来る。「面白い…誰の仕業か見てやろう」白少笙は取り戻した銀子を裏山の木の根っこに隠していた。しかし卓瀾江に捕まり、自分に成り済ますために剣を欲しがったのかと追及されてしまう。少笙は事情を説明し、長年の蓄えを奪い返しただけだと訴えた。「本当か?」「本当よ、私たち友だちでしょう?友だちに嘘はつかない」その時、少笙は足音に気づいて咄嗟に卓瀾江の手をつかんで物陰に隠れた。「なぜ分かる?」「隠れて生きてきたから耳はいい」少笙は用心棒たちにばれたと思ったが、卓瀾江は足音が近づくに連れ、かなりの手だれだと分かった。刺客の標的は白少笙ではなく卓瀾江だった。卓瀾江は自分の剣を取り戻して応戦したが、さらに伏兵がやって来る。仕方なく卓瀾江は少笙を連れて走り出し、駆けつけた阿福(アーフウ)の馬車に乗って逃げた。つづく(*°ㅁ°)ハッ‼ まさか阿江のパパが生きてるとか?!…考えすぎ?w
2025.03.20
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难寻 Hard To Find第10話「100年ぶりの通婚」3年前の永照(エイショウ)王宮。王后と庶子の鳳垠(フォンイン)は霖川(リンセン)に嫁ぐことになった公主・鳳鳶(フォンユエン)を見送りに出た。しかしそこに永照王の姿はない。「兄長、約束したはずよ?父君も見送りに呼ぶと…」「アイヤ~妹妹(メイメイ)、うっかりしていたよ、昨日、急に具合が悪くなってな」「鳳垠!あなたっ…」鳳鳶は思わず声を荒らげたが、王后は小さく首を横に振って娘を止めた。すると霖川の使者・椿(チュン)婆やが出立の時刻を知らせに来る。結局、鳳鳶は母に触れることも叶わず、侍女・花娥(ホワオー)を伴って旅立った。…永照を離れるのはこれが初めてだった初めて訪れる霖川、そして彼との初めての出会い霖川と言えば神秘的で幽深と聞いたが、私はその純朴さと清らかさに惹かれたただひとつ清らかでなかったのは私私は兄長の脅しを受け、逃れられない使命を負って嫁いだ永照公主だった…鳳鳶と椿婆やは水路で霖川に入った。すると桟橋に到着して早々に通り雨に降られてしまう。鳳鳶は咄嗟に手をかざして雨を避けたが、ふいに傘の中に入った。「助かるわ、椿婆婆(ポポ)」しかし振り返ると傘を差し出していたのは新婦を迎えに来た赫連曦(ホーリエンシー)だった。霖川少主と永照公主の婚儀は風習に基づいて連理樹の下で執り行われた。幸せそうな赫連曦とは対照的に緊張で顔がこわばる鳳鳶。すると一族が見守る中、結髪式が始まった。椿婆やは並んで座る新郎新婦の後ろに立ち、2人の髪を1束ずつ取って赤い紐と結い合せ、純粋な愛を意味する小さな可愛い花を飾る。「少主と少夫人が末長く幸せでありますように…」髪で結ばれた赫連曦と鳳鳶は次に結連理の儀式を行った。赫連曦と鳳鳶は自分の指先を少し刺して同じ器に血を落とし、神樹の枝で血を混ぜ合わせる。「これにて婚姻成立です」赫連曦と鳳鳶は閨房に入った。寝台に並んで座ったまま身じろぎもできない2人。すると鳳鳶が炉の前に置かれた2つの化粧箱に気づいた。「その~結連理とは何なの?」赫連曦は神樹の枝が入った化粧箱を手に取った。「霖川の主が成婚する際の儀式だ、神樹の両側から折った枝を骨に埋める かつて妻を守れず悔いた先祖がいた、愛し合っていても死の別れは避けられぬ この神樹を骨に埋めれば一度だけ命に替えて相手を救える」霖川が通婚をやめてちょうど100年。しかし20年前に水害が起きた時、赫連曦の父が各部族に援助を頼み、助けてくれた鳳鳶の父と縁談を取り決めていた。「不本意な婚姻だろうが霖川を好きになってくれたら嬉しい」すると赫連曦は鳳鳶に神樹の枝を渡した。「命に関わる儀式だ、無理強いはせぬ、だがこの枝は君のものだよ 疲れただろう?休もうか」鳳鳶は困惑した。…寝る?つまり今夜…鳳鳶は覚悟を決めて赫連曦の腰に手を回した。「私、ここへ来る前に教えてもらったの、その…閨房について…」その時、赫連曦は鳳鳶の髪がかんざしにひっかかっていることに気づき、ふいに手を伸ばした。すると鳳鳶は驚いて後ろに下がってしまう。「あ…ごめんなさい」しかし赫連曦が黙ってからまった髪を外し、鳳鳶は自分の早合点だと知った。「公主、別々に寝よう…私はここで」赫連曦は隣の客房の寝台に横になると、灯りを消した。実は赫連曦と鳳鳶はこれが初対面ではなかった。…少なくとも私にとっては…あれは赫連曦が初めて永照を訪ねた時のこと水が合わずに医館を頼ったが、そこへ突然、怪我をした子供が運び込まれた『偶然、見かけて連れてきたの』赫連曦は子供に付き添っていた美しい娘に目を奪われる一体、どこの誰なのか。その時、医館に侍女が慌てて駆け込んで来た『公主?!公主?!』『しーっ、声が大きいわ…早く戻りましょう』赫連曦はその娘が永照の公主だと知り、満面の笑みを浮かべた…あの瞬間から君を忘れたことはない、ようやく私の元に来てくれたね…翌朝、鳳鳶は身支度を整えながら、烏韭(ウージウ)将軍に文が届いていることを願った。文が届いていれば将軍が王宮に駆けつけてくれるはず、しかし鳳鳶の期待はあっさり裏切られてしまう。実は永照から同行した侍女・花娥は鳳鳶の監視役だった。「いいきなものですね、公主?嫁いだ目的をお忘れですか?」花娥は何事もなく朝を迎えた鳳鳶に嫌味を言ったが、鳳鳶は自分に考えがあると反発した。「公主のお考えとはこの文のこと?ふふ 残念ながら将軍への文は王宮を出ることもなく、使いの侍女は手を切り落とされました これは警告です、母君が安らかな晩年を送れるかどうかは公主に懸かっています」霖川への侵攻を企む鳳垠は鳳鳶に少主の寝首をかくよう命じていた。少主夫人が刺客とも知らず、赫連曦は大きな花束を抱えて鳳鳶の部屋にやって来た。「目が覚めたかい?これを君に」「…ありがとうございます、少主」そこへ侍女が朝食を運んできた。鳳鳶は霖川族が生食を好むと聞いていた。しかし卓には火食ばかり並んでいる。赫連曦は花束を花瓶に生けると、婚儀で何も食べない様子で鳳鳶が火食だと気づいたと明かした。「ただ好みが分からず、雑多に…これを飲むといい」「(*°ㅁ°)ハッ‼ 血の酒ですか?!」「石榴の汁だ」永照には石榴がなかった。しかし石榴が果実だと聞いて鳳鳶は早速、飲んでみる。「甘いわ!」鳳鳶はようやく笑顔を見せたが、赫連曦はなぜかうつむいてしまう。「甘い…か」実は赫連曦は生来、味覚がないのだという。その時、衛兵がやって来た。「少主、椿婆婆が神樹でお待ちです」つづく( ˶´꒳`˵ )前半の闇堕ちした男主と過去の純朴な男主の対比が上手いよね
2025.03.19
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难寻 Hard To Find第9話「離間策」昔旧(シージウ)は記憶を取り戻したいと願う涼蟾(リャンチャン)のため、口出ししないことにした。そこで昨今、朔雲(サクウン)で続いた失踪者の捜査に乗り出したが、涼蟾が危険な状態だと知らせが届く。激怒した昔旧は涼蟾の部屋に乗り込み、付き添っていた赫連曦(ホーリエンシー)に剣を突きつけた。しかし赫連曦は涼蟾を助けたるためにも自分を信じて欲しいと訴える。「命に別状はない、この3年、体が弱っていた原因は?」「3年前、傷だらけの涼蟾と出会った、心の臓には何か刺さった痕が… ひと月かけてようやく救ったが、病根は分からずじまい、だから薬で命をつないでいた お前はそんな涼蟾を刺したんだ!」「心の臓に傷…まさか!」赫連曦は慌てて涼蟾の襟元を開いた。すると肩に赤いあざが広がっている。赫連曦は涼蟾がかつて昔旧を救った時と同じように、涼蟾の手のひらを斬りつけ、瘀血を排出した。赫連曦は昔旧に涼蟾の世話を任せて部屋をあとにした。琴桑(チンサン)は世子に少主夫人を任せるのかと不満を漏らしたが、赫連曦はこの機に世子府を訪ねて朔雲が捕らえた賊の正体を探りたいという。一方、昔旧は涼蟾の手当てをしながら、確かに涼蟾と赫連曦は夫婦だったのかもしれないと肩を落とした。…同じ方法で命を救うとは…そこへ阿笙(アーション)が失踪者の名簿と戸籍簿を届けに来た。「世子、他にも報告が… 捕らわれていた朔雲族の1人が逃げ戻り、賊の所持品を渡してくれました」昔旧は阿笙から指輪を受け取った。昔旧は阿笙を下げてから失踪者名簿を開いた。…100年も昔の通婚記録?なぜ失踪者の祖先は皆、霖川(リンセン)と通婚を?…その時、昔旧は指輪の形が赫連曦の腰帯にある刺繍と同じことに気づいた。…霖川の印、まさか赫連曦が黒幕か?…赫連曦は琴桑に地下牢の捜査を任せて世子府を後にした。当時、涼蟾を治療した医者の証言では確かに世子に救われた時、涼蟾は虫の息だったという。しかし朔雲中の医者が手を尽くし、ひと月かけてようやく助かっていた。『心の臓の傷とは?』『奇妙な傷でした、利器による深手ではありませんが、私にも見当がつきません』…まさか″連理の枝″を刺して私の命を救ったと?だとすればなぜ今も生きている?それにあの腕の傷痕は何が原因だ?…赫連曦は山を登りながら考えあぐねていたが、その時、もやの中から突然、昔旧が飛び出して来た。昔旧は雲衛を率いて赫連曦を待ち伏せ、斬りかかるも跳ね返された。「何の真似だ?」「赫連曦…霖川少主と朔雲世子として腹を割って話そう 涼蟾は永照(エイショウ)の公主・鳳鳶(フォンユエン)では? お前は鳳氏を殺戮した、目的を果たしたら涼蟾も殺すつもりか?」赫連曦は何も答えなかったが、その時、昔旧があの指輪を見せた。「これはお前のか?」「どこでそれを…」「やはりな…雲衛、やつを捕えろ!」一方、雲衛が出払った世子府の地下牢では例の賊がほくそ笑んでいた。どうやら計画通り世子は赫連曦を捕らえに行ったらしい。そこで賊は飲み水に毒を混ぜ、鼻と口を覆った。琴桑が地下牢へ潜入すると、衛兵たちが毒殺され賊は逃走していた。驚いた琴桑は少主に報告するため急いで南枝(ナンシ)苑に戻ったが、門衛が殺され、涼蟾の姿もない。すると寝所の柱に脅迫文を見つけた。一触即発となった赫連曦と昔旧。その時、琴桑が駆けつけ、涼蟾がいないと報告する。…鳳鳶の命が惜しくば独りで落雲(ラクウン)崖に来い…↓何だって?!霖川の血を引く朔雲族を誘拐した黒幕は赫連曦ではなく、3年前に赫連曦に殺されたはずの永照王・鳳垠(フォンイン)だった。実はお尋ね者となった配下・雲暮(ユンムー)が阿笙に捕まったのも計画のうち。雲暮が涼蟾の本当の身分を明かし、次に赫連曦の指輪を持たせた捕虜をわざと逃がす。こうして赫連曦と昔旧を争わせ、その隙に鳳鳶をさらったのだった。…覚悟しておけ、積年の恨みを晴らしてやる、あの時、死んだのは身代わりだ…実は赫連曦が本殿で落とした指輪を拾ったのは本物の鳳垠だった。赫連曦と昔旧は落雲崖の廃墟に入った。すると早速、仮面の賊たちが現れる。「ここは私に任せろ、涼蟾を救え」「…任せた」昔旧は赫連曦を先に行かせたが、雲暮には渡りに船だった。涼蟾が目を覚ますと目の前に仮面の男が立っていた。「目が覚めたが?愛しい妹妹(メイメイ)~♪」「あなたは誰?!」すると涼蟾は男が持っている石に気づいた。…赫連曦が見せてくれた神樹の樹心だわ…その時、爆音が聞こえたかと思うと赫連曦が現れた。鳳垠は鳳鳶と霖川の血を引く朔雲族の捕虜たちの命を盾にして赫連曦を脅した。「お前の心の臓の血が欲しい」地下室の明かりが一斉に点灯すると、周囲は捕虜たちの牢だった。涼蟾は涙ながらに止めたが、赫連曦は自分の胸を刺してしまう。「初めて会った時、私はお前の″右肩″を刺した… 本当は傷つけたことを悔いていた…これは…罪滅ぼしだ…」赫連曦は涼蟾をじっと見つめて合図を送り、その意味を悟った涼蟾が小さくうなずいた。すると赫連曦が涼蟾めがけて剣を放つ。瞬時に右に体をくねらせた涼蟾、その時、赫連曦の剣が鳳垠の仮面をかすめた。仮面が外れ、涼蟾に短剣まで奪われてしまった鳳垠。一瞬の静寂のあと、鳳垠と涼蟾は地面に落ちた樹心に目を止めた。2人は同時に手を伸ばしたが、鳳垠は涼蟾に手を切り付けられ怯んでしまう。その隙に涼蟾は鳳垠の血がついた樹心を奪い取ろうとした。すると思いがけず手のひらの傷口が開いて樹心に血が滴り落ちてしまう。その時、樹心が力を取り戻して激しい波動が起こり、近くにいた涼蟾が吹き飛んだ。「阿鳶!」無意識に愛妻の名を叫んで涼蟾を抱き止めた赫連曦。その間に鳳垠は樹心を追いかけて飛び出して行った。赫連曦は深手を負いながらも愛しい鳳鳶を守った。「阿鳶?阿鳶?」すると気を失っていた涼蟾がようやくうっすら目を開ける。赫連曦は思わず涼蟾を抱きしめ、安堵の涙を流した。その時、敵を一掃したが昔旧が到着、2人の深い愛情を目の当たりにしてしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)あーゆぇん!次回から過去編です、お楽しみに♪
2025.03.18
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难寻 Hard To Find第8話「真実の姿」倒れそうになった涼蟾(リャンチャン)を咄嗟に抱き止めた赫連曦(ホーリエンシー)。しかし涼蟾をかばって燭台にぶつかり、衣に火が燃え移ってしまう。赫連曦はすぐ上着を脱ぎ捨てたが、背中と手に火傷を負った。食事はお開きとなり赫連曦は独り、涼亭で星空を眺めていた。すると眼下の山道を歩く父子の姿が見える。その時、運悪く父親が持っていた提灯の明かりが消えた。怯える息子の様子を見た赫連曦は胸から樹心を取り出し、父親の提灯を灯してやる。そんな赫連曦の優しさを偶然、涼蟾が見ていた。赫連曦は涼蟾が来たと気づいて座った。すると涼蟾は火傷の手当てをすると言って有無を言わさず赫連曦の肩をむき出しにしてしまう。「姑娘が何てことを…」「姑娘でも医者になる、傷の手当てに男女は関係ないわ」涼蟾は赫連曦の背中に薬を塗りながら、実は身体中、傷だらけだと知った。「誰にやられたの?…火が怖いのね、考えれば分かるわ 私が訪ねた夜、ろうそくの火を消したでしょう?部屋の中は真っ暗で明かりもない」「意外と賢いのだな」「またそんな言い方するんだから…」涼蟾は火傷に優しく息を吹きかけると、赫連曦は思わずどきっとしてしまう。「3年前、どうやって朔雲(サクウン)へ?」「私もよく覚えていない、昔旧に助けられて世子府にいたの」「奴が助けた?」その時、2人は思いがけず目と目が合った。赫連曦は急に照れ臭くなり、またぶっきらぼうに戻ってしまう。「早くやってくれ」涼蟾が薬箱を片付けていると、満天の星が見えた。「赫連曦、あなたはいつも高い場所から星を眺めているのね」「星に近いからだ」「私は破談の罰を受けた夜が一番、星に近かった 暗い夜、星のような無数の蛍が突然、飛んできたの」「蛍ではない、あれは…(うっ)…幻覚だ」赫連曦はうっかり口を滑らせ、ばつが悪かった。「ふふ、あなたは私だけではなく、他の人の暗闇もいつも照らしていたのね」しかし赫連曦は素直になれず、帰れと突き放してしまう。すると涼蟾は預かっていた樹魄(ジュハク)を返した。「どう使えばいいか私には分からないから…」昔旧はちょうどその様子を目撃、涼蟾自身が記憶を取り戻したいのだと知り、引き返してしまう。翌日、涼蟾は赫連曦のため明かりを手作りした。そこでその夜、こっそり赫連曦の居所に吊り下げたが、ちょうど赫連曦が戻って来る。「あなたに贈り物があるの…火の代わりに蛍石で明かりを作ったわ、光を贈りたくて あなたと一緒にいるうち、口は悪くても心根は優しいと分かったの 刑場では私に傘を差しかけ、星を見せてくれた、きっと大勢の暗闇に光を与えて来たはず でもあなたの夜は暗いままよ?…あなたの暗闇を照らしたいの」「忘れたのか?私がお前を殺そうとしたことを」「覚えてる、でも本当に極悪非道なら、なぜ琴桑は忠誠を尽くしているの? 心優しいあなたを過去の私が傷つけたのよね、憎まれて当然よ 記憶が戻ったら私の過ちを必ず償うわ」涼蟾は琴桑が煎じていた樹魄をこれから飲むと言った。しかし涼蟾との関係が壊れることを恐れた赫連曦は咄嗟に夜は効果がないと嘘をついてしまう。「明日にしろ」「そうなの、じゃあ明日にするわ」…あの時、赫連曦は洞窟の中で突然、息を吹き返した『樹心?』赫連曦は樹心のおかげで助かったと気づいたが、惨殺された霖川(リンセン)族の亡骸を見て絶叫する…赫連曦は夢の中で再び絶望と悲しみを味わい、苦しさのあまり飛び起きた。すると涼蟾の明かりが目に飛び込み、怒りに任せて床に投げつけ壊してしまう。「赫連曦よ、しっかりしろ!まさかあの女に未練があるのか?」翌朝、涼蟾が涼亭で朝食をとっていると、赫連曦がやって来た。「琴桑、下がれ」琴桑が席を外すと、赫連曦は樹魄の煎じ薬を出した。しかし心の臓に負担がかかるため疾患のある者には使えないという。「お前が常用しているのは心の臓の薬か?」「弱った体を補う薬だから大丈夫、薬をちょうだい」涼蟾は嘘をついて薬瓶に手を伸ばしたが、赫連曦は涼蟾の手首をつかんだ。「もしお前が許されぬ大罪を犯した極悪人でも受け入れられるか?」「もしそうでも…それも私よ、自分を取り戻して犯した罪への対価を払うわ」涼蟾は赫連曦の手を振り解き、潔く薬を飲み干した。「効果は一刻ほどで現れる…」しかし涼蟾はいきなり喀血、倒れてしまう。「鳳凰!」つづく( ๑≧ꇴ≦)赫連曦の顔がいちいちツボってしまうw
2025.03.17
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难寻 Hard To Find第7話「傘の中で」少主が留守の間、琴桑(チンサン)は献身的に涼蟾(リャンチャン)を世話した。「少夫人、石榴です、昨日のものより甘いですよ」「赫連曦(ホーリエンシー)はどこへ行ったの?数日、見ていないけれど…」「永照(エイショウ)です」「何のために?」「少夫人…私にはお答えできません」しかし琴桑は少主が戻れば涼蟾の記憶が戻るかもしれないと励ました。その時、ふいに冷たい風が吹き込んできたかと思うと、雷雨になる。「こんな大雨になったのは少夫人が破談の罰を受けた時ですね」「大雨?小雨だったわ」「それは傘の中にいたからです」一方、昔旧(シージウ)は涼蟾を自由の身にしたものの、諦めきれずにいた。その手には婚姻の証しとして受け取った化粧箱がある。…唯一の持ち物だったこのかんざしを託したのは涼蟾の本心だったはず…3年前、狩りに出かけた昔旧は川辺で倒れている娘を発見、世子府へ連れて帰ったそれから3ヶ月後、娘は無事に回復するも記憶が戻らず、そろそろ出て行きたいという『自分が何者か、名前すら思い出せないのです』昔旧は何とか娘を引き止めたいと願い、″秋の月″を意味する″涼蟾″という名を授けたその時、急に昔旧が胸を押さえてばったり倒れてしまう涼蟾は世子が2ヶ月前に落馬したと知り、咄嗟に衣を緩めたすると世子の胸に真っ赤なあざが浮き上がっている『瘀血が流れを阻んでいる…』涼蟾は一刻を争うと判断、阿笙(アーション)の帯刀を抜いていきなりあざに突き刺すと、昔旧は血流が戻って息を吹き返した涼蟾が描いた人相書きのおかげで阿笙が例の賊を捕らえた。普段は温厚な昔旧も相手が涼蟾を襲ったとあって容赦なく痛めつけ、阿笙は思わず目を逸らしてしまう。すると賊は世子妃を殺そうとしたのではなく探していたと釈明した。「彼女は…我が永照国の公主・鳳鳶(フォンユエン)だ」実は3年前の永照王宮の殺戮は赫連曦の仕業だった。その時、赫連曦が鳳氏を一人も生かさないと公言したという。一方、涼蟾も自分の出自を考えあぐねていた。もし自分が赫連曦の妻の″鳳鳶″なら、恐らくそれなりの身分だったのだろう。…公主であれば迷わず殺せ…涼蟾は賊が放った言葉を思い出し、琴桑に尋ねることにした。涼蟾は傘を差して琴桑を探しに外へ出た。するともやの向こうから水廊を歩いて来る赫連曦の姿を見つける。その時、涼蟾は琴桑の話が事実だと確信した。赫連曦が近づいて来る足音は確かに野晒しの罰の時、朦朧とした意識の中で耳にした音と似ている。…あの夜、あなたが傘を差してくれたのね…赫連曦は涼蟾に小さな化粧箱を差し出した。「これは神樹の樹液が千年かけて形成した樹魄(ジュハク) 3つしかないうちの最後の1つだ あらゆる難病を治癒する、お前の記憶も戻るかも」しかし記憶を取り戻せるかどうかは試さなければ分からないという。その時、突然、昔旧が現れ、化粧箱を奪った。「これは怪しい、先に安全を確かめてからだ」「お前と遊んでいる暇はない、早く返せ」すると涼蟾は服用するかどうか自分が決めると訴え、樹魄も自分で保管すると言った。雨が止み、望月山に日が差した。昔旧は雲衛を呼んで南枝(ナンシ)苑を警護したが、涼蟾に理由を明かすことができない。実は書庫で調べたところ、確かに賊の証言通り赫連曦の妻は永照の公主・鳳鳶だった。3年前、霖川(リンセン)が突然、滅亡。永照の前王は病死し、長子・鳳垠(フォンイン)は本殿で殺され、鳳鳶は失踪したという。永照の政変に王族鳳氏の殺戮、霖川の滅亡…。昔旧は赫連曦が涼蟾を探し出して記憶を戻させたいのには何か目的があるはずだと警戒した。「君が赫連曦から虐げられやしないか心配なんだ 何か企んでいるに違いない、私もここで守る」一方、赫連曦は昔旧の行動に困惑し、琴桑に留守の間に何があったのか調べるよう命じた。涼蟾は赫連曦の部屋に夜食を届けたが応答がなかった。仕方なく引き返すことにしたが、ちょうど琴桑と出くわす。「少主なら部屋にいるはずです」「暗かったから寝たのかしら?」「少主はお嫌い…いえ、暗いところがお好きなんです」そこで涼蟾はもう一度、赫連曦を訪ねた。「(コンコン!)返事をしないなら中に入るわよ」涼蟾がろうそくをのせた料理を持って部屋に入ると、ふいに赫連曦が現れた。「昔旧と一緒の食事は嫌かと思って持って来たの ちょっとしたお礼…私は覚えていなかったけれど傘のこと」動揺した赫連曦は表情を悟られまいと咄嗟にろうそくを吹き消し、涼蟾を追い出してしまう。「出ろ、あとで食べに行く」赫連曦が部屋を出るとちょうど琴桑が戻って来た。実は阿笙が例の賊を地下牢に収監、昔旧が永照の政変を調べているという。こうして腹に一物ある赫連曦と昔旧が同じ食卓についた。しかし昔旧は気まずい雰囲気に耐えられず、茶を入れて来るという。「あ、それなら私が…」涼蟾は昔旧を引き止め席を立ったが、うっかり段差を踏み外して燭台めがけて倒れてしまう。その時、赤連曦が駆けつけ、危ないところで涼蟾を抱き止めた。つづく( ˶´꒳`˵ )傘を差した涼蟾いいわ〜♡
2025.03.17
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难寻 Hard To Find第6話「近づく距離」「涼蟾(リャンチャン)、涼蟾?」意識が朦朧としていた涼蟾は昔旧(シージウ)の呼びかけで目を覚ました。すっかり憔悴した涼蟾の姿に心が傷む昔旧。「どうしても婚約を破棄するのか?」「ずっともやの中にいるようだった… 記憶が戻らなくても生き直せると思ったのに、過去はどこまでも私を追いかけて来る 信じていたの、あなたとならきっと…悪いのは私、全ての責を私が負わなくては」「もう話すな」すると昔旧は涼蟾の縄を外しながら自分が婚約を破棄すると言った。涼蟾は世子と言えども罰を受けねばならないと心配したが、昔旧はそもそも夫がいた涼蟾との婚姻など無効だと嘘をつく。「間違いだったんだ、そなたを解放する」涼蟾をはりつけにしていた縄が切れた。すると支えを失った涼蟾はその場で崩れ落ちるように倒れてしまう。「ごめんなさい…」昔旧は咄嗟に涼蟾を受け止めたが、抱きしめることははばかられた。そこへ赫連曦(ホーリエンシー)が駆けつける。「まだ息はある」「急いで治療してくれ、お前に任せる」昔旧は愛しい涼蟾を赫連曦に託し、今度は自ら野晒しの罰を受けることにした。赫連曦は献身的に涼蟾を介抱した。しかし涼蟾が目を覚ますと、一切そんな素振りを見せない。「粥だ、欲しいものは琴桑(チンサン)に準備させる」「どうして急に世話を焼き始めたの?」「…死なれては困る」涼蟾はぶっきらぼうな赫連曦にため息を漏らしながら粥を受け取ったが、なぜかにおいが変だった。すると赫連曦があることに気づく。「臭いのは粥ではない…お前だ」(∩≧▽≦∩<ヒャーーー!2日間も野晒しだった!赫連曦は自分の居所がある渓谷へ涼蟾を連れて行った。ここは温泉が湧き出ているため、傷に効くという。赫連曦は涼蟾が温泉で身体を洗っている間、寝台に寝転がりながら石榴の耳飾りを眺めていた。…あの出来事には何か裏が?どうすれば記憶を回復させられる?…その時、外から涼蟾の悲鳴が聞こえた。「鳳鳶(フォンユエン)!」赫連曦は部屋を飛び出したが、涼蟾の姿はなかった。慌てて温泉に飛び込み鳳鳶の姿を探す赤連曦、すると水中から涼蟾が現れる。「はっ!ここで何しているの?!」「まともに体も洗えぬのか?!」「石につまづいただけよ」その時、ちらちらと雪が降って来た。涼蟾は雪を見るのが初めてだと喜んだが、赫連曦は山奥で雪が降るのは当たり前だとつれない。「で、どの石につまづいた?」涼蟾は足元にある石を拾って差し出した。すると赫連曦は石ではなく、涼蟾の腕にある赤いあざを見て愕然とする。「この傷はどうした?」「知らない、元からこうだった」実はその場所にはかつて赫連曦がある葉を埋め込んでいた。…なぜこんなことに、あの時、何があった?…「出るわ、もう行って」一方、仮面の男は主のため、霖川(リンセン)の血を引く朔雲族を捕まえていた。黒幕の男は次々に彼らを斬りつけ、小さな石にその血を塗りつけたが、樹心が開く様子はない。「主上、樹心を開けるのは正真正銘の霖川族だけでは?」そこで配下は赫連曦をこの隠れ家に誘い込んではどうかと提案した。「赫連曦の血を得る上で公主が役立つはず…」「名案だ」赫連曦は琴桑に鳳鳶を恨んでいる者がいないか探すよう頼んだ。しかし琴桑は霖川で少主夫人は皆に愛されていたと証言する。「ならば可能性はひとつ、出自に関わる」「まさか3年前の例の件? 出過ぎたことを申しますが、少主も本当は信じたくないので…」「さらに調べてみる、世話を頼むぞ」赫連曦がちょうど涼蟾の部屋を通りかかると、涼蟾は炉に座って髪をすいていた。すると昔の記憶が蘇り、足を止めてしまう。かつて赫連曦は髪を乾かさずに居眠りしてしまった鳳鳶の髪をとかしたことがあった。赫連曦はしばし涼蟾の姿を眺めていたが、ふと我に返った。「コンコン!」ちゃんと戸を叩いて涼蟾の部屋に入る赫連曦。「琴桑に頼んでは?」「薬くらい自分で塗れるわ」すると赫連曦は涼蟾から強引に薬を奪い取ってしまう。「自分は全能だとでも?」「少なくとも記憶は取り戻せない」「それは私が解決する」赫連曦は黙って涼蟾の腕をつかみ、薬を塗った。しかし首の傷に手を伸ばすと、驚いた涼蟾は自分でやると拒む。その時、赫連曦が急に涼蟾の腕をつかんで引き寄せ、2人の顔が接近した。「私に任せろ」「・・・」「終わった、もう休め」赫連曦は相変わらずぶっきらぼうだが涼蟾を気遣い、出て行った。高鳴る鼓動に戸惑いながら、火照った顔を手で仰ぐ涼蟾。慌てて長い黒髪をまとめてかんざしを挿そうとしたが、あの石榴のかんざしは見つからなかった。…かんざしは?ぁ、あの時に失くしたのね@婚礼…赫連曦は留守の間、琴桑に南枝(ナンシ)苑を頼んだ。「朔雲の石榴はどうだ?」「少夫人の好みかと」「…″あの者″もだろう、あとで渡しに行く」「少主、また会いに行くのですか?」「持ち帰りたい物もある、鳳鳶の記憶を取り戻せるはず…」琴桑は拝命したが、少主夫人の記憶が戻れば今の関係が崩れてしまうと心配した。しかし赫連曦は構わないという。「今の関係は水面に映る月、幻に過ぎぬ、惜しむくらいなら現実に向き合う …琴桑、″あの者″のことはまだ伏せておけ」つづく(  ̄꒳ ̄)湯上がり、外は雪…でも部屋の戸は全開w
2025.03.14
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难寻 Hard To Find第5話「婚約破棄」琴桑(チンサン)から墨と筆を借りて居所に戻った涼蟾(リャンチャン)。その時、目にも留まらぬ早さで赫連曦(ホーリエンシー)が現れた。「何をするの?!」「動くな」赫連曦は涼蟾の襟元をつかんで肩をあらわにすると、樹心の力を当てる。…もしや体内にあるのか?私のために″連理入骨(レンリニュウコツ)″を?…しかし赫連曦はかざしていた手を下ろした。「あった?」「なぜ枝を探していたと?」「あなたが取り出す姿を見たから、私の枝もここにあるのかと」「ふっ、お前に限ってあり得ぬ」すると赫連曦は帰ってしまう。実は連理入骨は命に替えて伴侶を救う誓いだった。…それを一瞬でもお前に期待した私が愚かだった当然か、誓っていたらお前が今、生きているはずがない…翌朝、身支度を整えた涼蟾は髪を梳かしながら、ふと自分の過去の共通点に気づいた。石榴の花で作った紅、琴桑がくれた石榴、赫連曦が持っていた石榴の耳飾り…。その時、赫連曦がいきなり部屋に入って来る。「もう傷は治ったはずだ、務めを果たしてもらう」赫連曦は枝を保管していた箱を置いた。すると涼蟾はあからさまに不機嫌になり、かつて夫婦だったとしても部屋に入る時は門を叩くべきだと諭す。涼蟾の毅然とした態度にたじたじの赫連曦、そこで一旦、下がって部屋にある柱を叩いた。「(コンコン!)これでいいか?」涼蟾は記憶を取り戻すため、自分に関わる石榴の耳飾りが見たいと訴えた。すると赫連曦は苛立ちを隠せず、枝に関わることさえ思い出せばいいという。「お前を生かした理由を忘れたのか?記憶を取り戻す手助けはせぬ 我らの過去と枝の捜索は無関係だ」「逃げでは?…無関係ならなぜ私を閉じ込めるの?!」涼蟾の鋭い指摘にぐうの音も出ない赫連曦。そこへちょうど琴桑がやって来た。「(コンコン!)少夫人、お薬です」琴桑は東籬(ドンリー)から涼蟾がいつも飲んでいる薬を預かっていた。「なぜ毎日、薬を飲んでいる?」「道理の枝とは無関係よ、教えない」「にっ…」赫連曦は琴桑に涼蟾を任せて出かけて行った。一方、涼蟾は阿笙(アーション)が訪ねて来たと知り、賊の人相書きを渡すことにする。「阿笙、世子はどうしてる?」「それが大君が世子を地下牢へ」大君は昔旧が涼蟾との婚約を破棄するまで鞭で打つよう命じていた。その頃、実は赫連曦は大君を訪ねていた。″天乩(テンケイ)術″で過去に戻り、霖川(リンセン)族を蘇らせたいという。大君はかつての恩を返すため快く同意したが、赫連曦はその表情を見て困惑した。明らかに緊張した大君は茶を注ぐ手が震えている。「一生に一度しか使えない術だと聞きました…もしや代償を負うのでは?」赫連曦は断念した。霖川が大君を救ったのは善意に過ぎず、無関係の大君に負担をかけられないという。「ではどうやって甦らせる?」「それを考えるのが私の務めです」赫連曦はそこで部屋を出たが、回廊で涼蟾と出くわした。涼蟾は大君に自分から婚約を破棄すると申し出た。しかし朔雲(サクウン)の掟で信義に背いた者は3日間の野晒しの罰を受けねばならない。「知っているのか?」「知っています…責任は全て私に、破棄するなら私が責を負うべきです」こうして涼蟾は刑場ではりつけとなった。赫連曦は罰を受けずに済むよう大君と話をつけると提案したが、涼蟾は拒む。「当然、受けるべき罰よ、自分の選択には責を持たないと…苦しいのは身体だけ」雨の夜。赫連曦は城楼から憔悴する涼蟾の姿を見守った。…記憶を失った今が鳳鳶(フォンユエン)の本来の姿なのか?そんな姿を私には寸分も見せなかったな…やがて雷鳴がとどろき、激しい雨となった。赫連曦は刑場へ降りると、気を失った涼蟾に息があるか確認、安堵する。…そういう性格なら、なぜ3年前、あんなことを?お前の過去はどこまでが真実で、どこまでが偽りなのか…すると赫連曦は涼蟾に傘を差し出し、雨が止むまでしばし立っていた。涼蟾が目を覚ますと刑場は真っ暗だった。雨のせいですでに松明の火は消え、夜空は分厚い雲に覆われている。「星は見えなくても諦めがつく、でも月まで出てくれないなんて…」城楼にいた赫連曦はそんな涼蟾のため、樹心を取り出した。「行け」すると星のような小さな光が刑場を飛び回り、そのひとつが涼蟾の鼻の頭に留まる。涼蟾は思わず笑みを浮かべたが、体力は限界に来ていた。翌朝、昔旧は突然、縄を解かれた。しかし父の意思に反する限り解放されるとは思えない。実は世子妃が婚約を破棄、ちょうど罰を受けているという。一方、涼蟾はあと1日を残してに明らかに衰弱していた。見かねた赫連曦は連れて帰ると決めたが、その時、昔旧が現れる。「なぜ来た?」「なぜお前がいる?!」「死なれては困る、見守って当然だろう?」「そんなに大切ならなぜ罰を受けさせた?!そこまで憎いのか?!」「我らの問題だ!お前に何が分かる?!」「婚姻も我らの問題、私はお前と違って責を取る!」奇しくもそれぞれ自分の責を持った涼蟾と昔旧。赫連曦はその場で呆然とたたずみ、昔旧を止めることができなかった。つづく( ๑≧ꇴ≦)ヒャーッ! ←何が?w
2025.03.12
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花间令 In Blossom第12話変装して済善堂(サイゼンドウ)に乗り込んだ潘樾(パンユエ)と卓瀾江(ジュオランジアン)。500両の取り引きを持ちかけて堂主・顧雍(グーヨン)との対面を果たし、県令を灯会の死者と同じように血剣で始末して欲しいと依頼した。しかし顧雍は灯会事案とは無関係だという。「私は剣を封じた、仕事は弟子に任せている、私はできぬ」「確かに偽物のそなたにはできぬだろう、本物の顧雍と話したい」潘樾は顧雍の顔から仮面を引き剥がし、正体を暴いた。潘樾は顧雍に金子を渡す際、わざと履き物を踏んで反応を見ていた。すると顧雍はぶかぶかの靴を履いており、痛がる様子もない。実は例の″7日の約束″の時から顧雍の足が体格の割に大きく、歩き方が不自然だと気づいていた。その時は足が悪いのかと思ったが、帳簿を調べるうちにあることに気づいたという。「衣服も靴も全て同じ物を2つ買っていた、それで疑った…本物はどこだ?」「誰か!」追い詰められた替え玉は護衛を呼んだ。卓瀾江は時間稼ぎのため潘樾のつけ髭を剥ぎ取って正体を明かしたが、潘樾にやり返されてしまう。思いがけず客人が県令と銀雨楼の少主だと知り困惑する替え玉。そこへ騒ぎを聞きつけた顧雍の使いがやって来た。顧雍は潘樾と卓瀾江を呼んだ。刺客が命を狙われるのは常、そのため替え玉を使っているという。すると顧雍は確かに血剣が顧家秘伝の奥義と認めたが、灯会事案とは一切、関係ないと否定した。見た者は必ず命を落とすと恐れられる伝説の血剣。それでも潘樾は血剣を見せて欲しいと頼んだ。血剣は上官芷(シャングワンジー)が推察した通り、先が3本に分かれ、そのうち2本が細く長くなっていた。「血剣を修行した者は人体の血の流れを熟知している 剣先が血管を破れば大量の血液が気管に流れ、人は窒息死する」すると顧雍は無関係の証しとして右手首にある大きな傷跡を見せた。「十数年前、敵に腕の腱を切られ、私は剣を封じた 灯会の事案発生後、誰かが私を陥れていると疑い、遺体を調べた、犯人は右手使いだ」潘樾は上官芷も同じ見解だったと思い出した。…遺体の傷口は天突の左に偏っていた、左から右に刺さっています、右手で突いたかと…顧家で顧雍の他に血剣を使えるのは一人息子の顧杉(グーシャン)だけだった。しかし顧杉は5年前、病気で亡くなったという。潘樾と卓瀾江は顧雍の話に納得し、帰ることにした。すると顧雍は少主だけ帰ることを許し、依頼通り潘樾に襲いかかる。「一旦、出した血剣には必ず人命を与えねば!」しかし卓瀾江が身を挺して潘樾をかばった。そこで潘樾は少主に何かあれば銀雨楼が大挙して攻め入ることになっているとほらを吹く。卓瀾江もこれは将来の少主夫人のためだと訴え、どうしても殺すなら自分が先だと強気に出た。顧雍は金子だけを受け取り、潘樾を見逃した。しかし潘樾は顧雍の釈明に全く隙がなく、まるで準備していたようだと疑う。すると正門への道すがら、回廊で気が触れた堂主夫人と出会した。「犯人は顧雍よ!犯人は顧雍なの!」夫人は息子を亡くしてから心神を喪失、こうして一日中うわ言を叫んでいるという。楊采薇(ヤンツァイウェイ)はなかなか戻らない潘樾を心配し、書斎で待っていた。すると潘樾が反目している卓瀾江を連れて帰ってくる。( ˙꒳˙ )ン?<どうして一緒?卓瀾江は潘樾から一緒に事案を吟味してくれと頼まれたと説明、助けてもらった潘樾は否定できず、少主は熱心な上、報酬も必要ないとごまかした。潘樾は血剣が灯会事案の特徴と一致していたと教えた。しかし顧雍は右手が使えず、嫌疑が晴れたという。ただ帰り際に聞いた堂主夫人の言葉が引っ掛かった。夫人は何か知っていそうだが、心神喪失した夫人から聞き出すのは難しいだろう。そこへ凌児(リンアル)が食事の準備ができたと報告に来た。「腹が減った、行こう!」卓瀾江は喜んで上官芷の腕を叩き促したが、潘樾は仲睦まじい2人の様子を見て嫉妬した。「私は着替えてから行く」↓(  ̄꒳ ̄)フッ、飯食うのに着替えるのかよ@阿江阿澤(アーヅー)は着替えを手伝いながら、主の苛立ちの原因が上官芷だと気づいた。「まさか!凌児の言う通り、卓少主と同じように上官小姐が好きなん…」「馬鹿者!県令として配下を気にかけているだけだ」「そうですよね、どちらにせよ上官小姐は卓少主と仲がいいし でも組織の夫人になるなど上官公子が許しませんよ」「組織の夫人?!」すると潘樾は無骨な少主夫人になった上官芷の姿を想像し、身震いしてしまう。楊采薇は女同士なら夫人から話を聞き出せるかもしれないと考え、潘樾と卓瀾江に協力を頼んだ。卓瀾江に嫉妬して乗り気でない潘樾だったが、上官芷を危険な目に遭わせることもできない。そこでその夜、時間稼ぎのため卓瀾江が顧雍を訪ねている間に、上官芷と潘樾が屋敷に忍び込むことになった。堂主夫人は侍女から半ば強引に薬を飲まされていた。部屋を偵察していた楊采薇は夫人の心神喪失が顧雍の薬のせいだと疑う。すると独りになった夫人は料理を作る真似事をしたかと思うと、嬉しそうに岡持ちを手に出て行ってしまう。一方、卓瀾江は今日の無礼を詫びに来たという名目で顧雍を引き留めていた。「これは私蔵の文君(ブンクン)酒だ、婚儀の日に飲むつもりだった だが今日、この酒で許しを請いたい」「…必要ない」「顧堂主、この酒杯は受けるべきかと」楊采薇と潘樾は夫人の後をつけた。夫人は裏庭にある庭石の前で止まったが、運悪く弟子に見つかり、連れ戻されてしまう。そこで采薇と潘樾は庭石を調べてみた。特に不審な点はなかったが潘樾は仕掛けを発見、秘密の扉を開けることに成功する。実は裏庭の地下には牢があった。牢の壁には灯会の死者の傷口と同じような穴があった。その時、采薇は暗闇で何かを踏み、足をくじいてしまう。潘樾が調べてみると、鎖が落ちていた。恐らくこの牢に閉じ込められた何かが四肢と部屋の四隅を鎖で繋がれていたのだろう。一方、顧雍は少主がまだ灯会事案のことで自分を疑っていると分かった。卓瀾江は潘樾が突き止める前に話して欲しいと説得したが、顧雍は一貫して無関係だという。「顧堂主がそう言うなら信じよう、私もこの件から手を引く」「ではお引き取り願おうか」「待った、まだ話がある…父親の話だ」地下牢で捕らわれていたのは蛟だったのか。何にせよ何者かがここから脱出したのは明白だった。しかし楊采薇と潘樾はすぐに捕らわれていたのが人間だと知る。恐らく鎖で拘束され、必死にもがき続けたのだろう。地面には血を流しながら引っかき続けたのか、赤い手の跡が残っていた。すると潘樾は幼い頃の恐ろしい記憶が甦り、激しい頭痛に襲われてしまう。采薇は急に苦しみ出した潘樾に駆け寄ったが、実は以前にも同じ症状を見たことがあった。…これはまさか?…幼い頃、楊采薇は待ち合わせに来ない潘樾を探していたすると桃林で友だちからいじめられている潘樾を見つける『お前は不義の子だ!父親に似ているところが全くない! だから娘(ニャン)はお前を恥じて首を吊ったんだろう?!』母を蔑まれた潘樾は憤激、司馬亮(スーマーリャン)を押し倒すと、力の限り首を締めたしかしちょうど采薇が駆けつけ潘樾を制止し、司馬亮は難を逃れる潘瑾(パンジン)は高官の息子を害した潘樾を折檻し、蔵に縛り付けて監禁した音もなく真っ暗で冷たい地下の蔵潘樾は恐ろしさと悔しさの中、縄を解こうと必死にもがき苦しんだその時、采薇が現れ、縄を解いて潘樾を救出してくれるあまりの恐怖から潘樾はうなされていたが、采薇はかつて潘樾が教えてくれた怖い時に安心する童謡を歌って聞かせた…楊采薇は潘樾を落ち着かせるため、あの時の童謡を歌った。♪金豆鬼や~風、雨、雷、恐ロシア~金豆鬼を脅かした~しくしくしくしく~「潘樾、私を見て、怖くない、私を見て」すると潘樾は次第に落ち着きを取り戻し、目の前にいる上官芷の姿に気づく。「…そなた」つづく( ๑≧ꇴ≦)ここに来て明智小五郎シリーズw
2025.03.12
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花间令 In Blossom第11話潘樾(パンユエ)と楊采薇(ヤンツァイウェイ)は卓瀾江(ジュオランジアン)が来たと聞いて外に出た。すると氷売りの三姑娘(サングーニャン)と妹・霜霜(シュアンシュアン)が前庭で捕吏たちに氷を振る舞っている。聞けば卓瀾江が不愉快な思いをさせたお詫びに″上官芷(シャングワンジー)から″と言って三姑娘に謝意を渡していた。これはそのお返しなのだという。「しかし氷とは別に話があって来た…潘大人(ダーレン)、少しいいか?」潘樾は卓瀾江と2人だけで書斎に入った。すると卓瀾江は妻殺しを告発したことを謝罪し、灯会事案の再調査に協力したいという。一方、取り残された楊采薇は書斎の様子が気になって氷も喉を通らなかった。その時、潘樾と卓瀾江が出て来る。「何を話していたの?!」「心からの協力を申し出たが信じてもらえぬ まあ~どちらにせよ銀雨楼(ギンウロウ)は関わらせてもらうがな」楊采薇は卓瀾江を馬車まで送った。劉(リウ)捕吏と陳三(チェンサン)は2人の様子を眺めながら、別れ難くて話が終わらないのだと揶揄する。ちょうど後ろでその話を聞いていた潘樾は面白くなかったが、その時、三姑娘が片付けている氷車を見てあることに気づいた。「三姑娘、父親(フーチン)とはどんな関係だった?」「普通の父と娘、他の家と同じかと」すると潘樾は氷入れの容器を回し、削られた強叔(チアンシュー)の名を見せた。「父親の名前を削るとは相当の恨みがあるはずだ」三姑娘は確かに憎んでいると認めたが、事情は言えなかった。しかし霜霜が潘樾の前に立ちはだかって姉を守る。「姐姐は飢饉でよそから禾陽(カヨウ)に流れてきた あいつが引き取ったのは姐姐を働かせるため 私は酒飲みのあいつにいつもぶたれていた、姐姐が守ってくれたの あいつがいなくなってやっと安心したわ!」霜霜はその証拠に虐待で傷だらけになった足を見せると、号泣してしまう。楊采薇は三姑娘たちと入れ違いで県署に戻った。「大人、何をしたんです?彼女、泣いていましたけれど…」「…そうか、分かったぞ!」すると潘樾は慌てて書斎に戻った。潘樾は蛟(ミズチ)の被害者に暴力や虐待の過去があったと気づいた。すると潘樾と楊采薇は同じ事案が頭に浮かぶ。実は被害者の一人・八爺(バーイエ)は貧しい子供を束ねて働かせていた。劉捕吏は確かに八爺がいつも威張り散らし、子供だちの稼ぎが少ないとトゲ付きの棒で打っていたという。しかし子供たちに家族はなく、八爺が死んだあと散り散りになっていた。一方、卓瀾江は川に現れた蛟を配下に調べさせることにした。そもそも水路は銀雨楼の縄張り、看過できない。「もし偽の蛟を作れと言ったらどうする?」「はっ!分かりました!端午節の龍舞と同じです 骨で牙を作り、獣の皮か桐油布(トウユフ)で体を作る、それを内側から支えます」「趙(ジャオ)堂主の線で進めよう」卓瀾江は素人に骨組みを作れるとは思えず、大工も当たれと命じた。質屋を見張っていると、潘樾の読み通り子供たちが盗品を売りにやって来た。捕吏たちは子供たちを県署に連行、八爺の埋葬場所を聞き出すことに成功する。人里離れた侘しい墓地に埋められていた八爺。楊采薇はまるで古巣に戻ったかのように感慨深げだったが、潘樾は上官芷が不安なのだと誤解した。「怖いなら来なくても良いぞ」「恐れを克服しなくては…はっ!気をつけて!遺体が傷つくわ!」すると楊采薇は咄嗟に駆け寄り、ござで包まれた遺体を両手で支えた。潘樾は上官芷の千金とは思えぬ行動に目を丸くしたが、黙って手巾を差し出し、陳三に検視を頼む。しかし亡骸は腐乱が酷く、陳三は自分の経験から何も見つけられないと訴えた。「そなたの経験?」「はっ!大人、祖師いわく検視には時間が必要だと…」「時間をやろう、遺体を運べ」帰りは雨になった。潘樾と一緒に馬車に揺られながら、楊采薇は自分を気遣ってくれた潘樾に感謝する。潘樾は遺体を守った上官芷を皆が避けたからだと言ったが、楊采薇は人にどう思われても構わないと笑った。「そなたの言葉とは思えない、こうも短時間に人は変われるものか?」楊采薇は返答に困ったが、その時、急に馬車が停まった。雨が止んだので馬の蓑を外すという。「それなら少し歩きませんか?」潘樾は上官芷と一緒に付近を散策した。すると上官芷が木の実を見つけ、一粒食べて顔を歪める。「それは?」「最初は苦いけれど、次第に甘くなるんです」潘樾は上官芷に勧められるまま一粒、口に含んだ。「ウッ…ん?」「少し待って…甘いでしょう?」「確かに」上官芷は喜ぶと、ふと空を見上げた。「虹だわ」潘樾は上官芷と並んでしばし空を眺めた。「このように風景を楽しむのは久しぶりだ」県署に戻った楊采薇は皆が寝静まった頃、密かに八爺の遺体を検視した。そしてこっそり陳三の部屋に手がかりを残し、祖師のお告げと見せかける。すると翌朝、陳三は自分の手柄とばかりに県令に報告した。「深夜まで努力した甲斐がありました! 死者の傷は皮膚上にありましたが、骨には全く痕がありません これは独特の形の刃物によるものかと」「独特の形か…具体的には?」しかし陳三は肝心の武器まで考えが及ばなかった。楊采薇は仕方なく陳三の説明通りなら凶器の先が3本に分かれ、そのうち細くて長い2本が骨に達しない長さだとすれば、灯会の死者と同じ傷ができると推察する。そこで思い浮かんだ武器を描いて潘樾に見せた。潘樾は上官芷を連れて地下牢にやって来た。ここには江湖の無法者が収監されており、武器に詳しい者がいるかもしれないという。武器というより肉を焼く道具のような絵を見せて回る楊采薇。すると興味なさそうに独房で座っていた男が絵を見て血相を変えた。「これは…血剣だ…」男は15年前に刺客と出くわし、伝説の剣を目の当たりにしたという。「剣で血を取り、血で剣を養う…まるで暗闇に人の命を奪う死神のようだった あの光景は一生、忘れられぬ…」実は潘樾はその刺客を知っていた。「かつて禾陽一の刺客だった済善堂(サイゼンドウ)の堂主・顧雍(グーヨン)だ」四大宗族を調べ上げた潘樾は済善堂の帳簿も手に入れていた。「顧雍は日常の品を外地で買い付けている」皇帝の如く贅沢三昧の顧雍、しかしなぜか全て2つずつ購入していた。しかし楊采薇はこれほどの男なら殺しも公然とやれるはず、蛟を装う必要などないと訝しむ。「どうやら会う必要がありそうだ」一方、蛟を調査していた卓瀾江も手がかりをつかんでいた。配下の報告では失踪した大工がひとり、また県内の骨の売買記録をまとめたところ、牛や馬の肋骨と大腿骨を指定した買い手がいたという。「済善堂です」楊采薇は済善堂に同行したいと頼んだが、潘樾は別の案件を任せた。実は劉捕吏が行方知れずだった前捕吏頭・孫方(スンファン)を見つけたという。証拠品の令牌を紛失したせいで役所を追われた孫方は、雅客居(ガカクキョ)で給仕をしていた。当時、唯一の糸口は容疑者が落とした令牌だけで、当然、厳重に警備していたという。しかしある夜、盗人が侵入、孫方が気づいて応戦したが、力及ばず取り逃していた。「確か黒衣で覆面をしていた、目元と腕力から判断するに若い男だろう、背は低かった」…若い男なら顧雍ではないわね、手下かしら…変装して済善堂に到着した潘樾。すると門の前でやはり変装した卓瀾江とかち合った。それぞれ調査を進めていた2人は奇しくも同時に済善堂にたどり着いたらしい。潘樾は邪魔をしないよう釘を刺したが、卓瀾江は潘樾に解決できるなら手出ししないと挑発した。済善堂では表向き人探しを生業としていたが、裏では殺しを請け負っていた。すると弟子が2人に声をかけてくる。「ご希望は?」「堂主と取り引きしたい」「500両以上の商売なら堂主がお相手しますよ」そこで卓瀾江は500両で県令・潘樾を始末するよう頼んだ。つづく(  ̄꒳ ̄)字幕がついても飽きてくるのは不思議とだいたい同じところなんだよね〜(ボソッ
2025.03.10
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难寻 Hard To Find第4話「共同戦線」翌朝、赫連曦(ホーリエンシー)は中庭の木に水をやりながら琴桑(チンサン)に調査を命じた。「昨夜の死士たちが先日と同じ輩か調べてくれ」琴桑は拝命して下がろうとしたが、そこへちょうど涼蟾(リャンチャン)がやって来た。(* ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾<少夫人(シャオフーレン)(๑・᷄ὢ・᷅)<姑娘(グゥニャン)、私は少夫人じゃないわしかし琴桑は意味ありげに微笑んで行ってしまう。涼蟾は赫連曦に何としても今日、太子府に戻ると宣言した。「あなたの話を信じる、だから夫婦にはなれないと世子に伝えたいの その後は″連理の枝″探しや贖罪もあなたに全て委ねるわ」( ー̀ωー́ )<…行こう″(ノ*>∀
2025.03.10
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难寻 Hard To Find第3話「波乱の婚儀」愛する涼蟾(リャンチャン)を取り戻し、無事に世子府へ連れ帰った昔旧(シージウ)。しかし涼蟾から明日の婚儀を取りやめたいと言われてしまう。「あの男の狙いは明らかに私よ…私の出自は不明だし、あの男も異常だわ 決して諦めないだろうから、もしまた…」「だったらなおさら反故にはできない、君を1人にするのは危険だ 私の心配ならいい、16歳で朔雲(サクウン)一の勇士に勝った男だぞ?(๑•̀ㅂ•́)و✧」一方、屋敷に戻った赫連曦(ホーリエンシー)は琴桑(チンサン)から報告を聞いていた。涼蟾を襲った男は朔雲族ではなく、骸から死士特有の毒薬があったという。「…我々以外にもあの女を狙う者がいるのか」世子と世子妃の婚礼の夜。涼蟾を乗せた花輿の行列が2人の共白髪を祈る民衆の間を進んでいた。…あの時、昔旧に助けられねば生きる術もなかった、与えられた命をもう一度、生きてみよう…すると侍女・東籬(ドンリー)が世子妃に声をかける。「世子に会うまでは振り返ってはいけません」「分かったわ」…よそ者の私のために昔旧は大君と決裂してまで私を妻とした、その愛情と恩義に必ず報いる…涼蟾が橋の前で輿から降りると、昔旧の笑顔が見えた。…今日の婚儀は昔旧が準備してくれた、喜ぶべきだわ…その様子を赫連曦と琴桑が高所から眺めていた。昔旧は過去を不安に思う涼蟾のため、婚姻の証しとして″天乩雲盤(テンケイウンバン)″を差し出した。しかし大君の天乩雲盤を盗んだと気づいた涼蟾に拒まれてしまう。一方、天乩雲盤を見た赫連曦は目を見張った。…朔雲の天乩術は時を操るとは聞いていたが、まさか本当に存在していたとは…すると大君の怒りを買わないよう阿笙(アーション)が咄嗟に天乩雲盤を引き取った。代わりに珍しい夜明珠(ヤメイジュ)を取って来るという。安堵した涼蟾は阿笙が戻ってくるのを待つ間、自分の婚姻の証しを渡した。「これは朔雲に来た時の唯一の所持品よ…だからこれを」しかし赫連曦は涼蟾の誓いの品を見て激しく動揺する。…あのかんざしを婚姻の証しにするのか?!…その時、仮面の男が涼蟾めがけて矢を放った。涼蟾からかんざしの入った化粧箱を受け取った昔旧。すると風のように赫連曦が現れ、2人の間に割って入った。「またお前か?!」憤慨する昔旧だったが、その時、弓矢が飛び交い、死士たちに包囲されてしまう。逃げ惑う民衆たち、婚儀は一転、戦場と化した。「世子妃を守れ!」昔旧は雲衛(ウンエイ)に涼蟾を任せ、赫連曦と死士たちに立ち向かった。こうして計画通り公主から赫連曦を引き離すことに成功した仮面の男。高所から独りほくそ笑んでいたが、ふいに主が現れた。「主上?」「やはり奴だったか…」奇しくも敵対する昔旧と協力して死士に応戦することになった赫連曦。しかし足止めされていると気づき、本当の狙いが涼蟾だと分かった。慌てて引き返した赫連曦は危うく死士に斬られそうになっていた涼蟾を救出、そのまま抱き上げてしまう。その頃、独りになった昔旧は深手を負いながらも死士を一掃していた。しかし腹を刺され喀血、ついにひざをついてしまう。その時、涼蟾を連れ去る赫連曦の後ろ姿に気づいた。「私の世子妃になぜつきまとう?!」「婚儀は成立していない、彼女はまだ霖川(リンセン)の″少主夫人″だ」「お前は何者?!」「私は霖川の少主・赫連曦」再び赫連曦の屋敷に連れ去られた涼蟾。赫連曦は目的を果たすため自分たちが夫婦だったと明かし、左肩から光る石を取り出した。「これは霖川神樹の樹心・永夜(ヨンイエ)だ…着いたぞ」気がつくと涼蟾の目の前には3年間、探し求めていたあの大木があった。しかし夢で見た大木と違い、なぜか枯れ果てている。「これは我が霖川族の神樹・連理樹だ 以前は枝葉が生い茂っていたが今はこの有様、お前のせいでな …4年前、私たちはここで婚儀を挙げ、全ての儀式を終えて正式な夫婦となった」涼蟾はにわかに信じられなかったが、驚いたことに赫連曦は自分の胸元に朱砂色のあざがあることを知っている。「ばかばかしい!」「己の許されぬ罪を忘れた者こそが滑稽だ!」憤慨した赫連曦に凄まれ、驚いて転んだ涼蟾。その時、連理樹に手をついた涼蟾は赫連曦と微笑み合う光景を垣間見て困惑する。「…以前、あなたは″連理の枝″を渡せと言ったわね、どういうこと?」すると赫連曦は肩から短い枝を取り出した。「連理の枝は2本、1本は私の枝でもう1本は婚儀の日、私がお前に手渡した 2本の枝を接ぎ木すれば再び芽吹いて成長し、絡み合い、連理して蘇る」涼蟾はようやく赫連曦が連理の枝を出せと要求している理由を知った。そこで霖川をもっと見たいと頼んだが、赫連曦の表情が一変する。実はここは樹心が見せる幻で、本当の霖川は涼蟾のせいで瘴気(ショウキ)に覆われ、生あるものは全て失われていた。「我が一族はお前のせいで地下に封印された… 一族解放のためでなければお前など八つ裂きにしている!」赫連曦と涼蟾は現実に戻った。責任を感じた涼蟾は縁談を白紙に戻し、連理の枝を必ず探し出すと約束する。「今からお前は私のものだ、どこへも行かせぬ」「でも今夜は世子府に戻らせて?昔旧が心配するわ」しかし赫連曦は涼蟾を部屋に閉じ込めてしまう。琴桑は少主に黙って少主夫人に差し入れすることにした。涼蟾の部屋の前に食事を置き、門を叩いて急いで物陰に隠れる琴桑。少主夫人が訝しみながらも受け取る姿を見て安堵したが、すぐ赫連曦にばれてしまう。しかし少主は意外にも見逃してくれた。そこで琴桑は薬や新しい衣を届けたが、涼蟾は赫連曦が置いてくれたのだと誤解する。…まさかあの男から?あの人は一体どんな人なのかしら?…つづく
2025.03.10
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难寻 Hard To Find第2話「連理の枝」昔旧(シージウ)は自分をかばって刺された涼蟾(リャンチャン)を抱き留めた。「涼蟾!」「何と呼んだ?」…りゃんちゃん?…赫連曦(ホーリエンシー)は娘の名前を聞いて困惑した。その時、阿笙(アーション)が雲衛(ウンエイ)を率いて駆けつける。「世子!世子妃を連れてお逃げください!」「生け捕りにしろ」しかし阿笙が剣を抜いた時にはすでに男の姿は消えていた。屋敷に戻った赫連曦は自分の人違いかと困惑した。するとたった1人の配下・琴桑(チンサン)が現れ、やはり霖川(リンセン)の神樹の絵を描いたのは朔雲の世子妃だと報告する。一方、涼蟾を襲った男も主に報告していた。「公主か確かめ損ねました…」「確かめずとも似ているなら殺せ!」「しかしその娘は朔雲の世子妃で…」「それがどうした?!あの女のせいで落ちぶれたのだ!千人殺してでも逃すな!」「承知しました、主上、それからもう1つ…今夜、例の者を見かけました」翌朝、赫連曦は世子府に忍び込み、涼蟾の部屋をのぞいた。昏睡する涼蟾を献身的に看病している昔旧、その傍らには神樹の絵が飾られている。…何が朔雲の世子妃だ…あの時、はりつけにされた自分を刺した鳳鳶(フォンユエン)の顔を見間違えるはずがない。赫連曦は昔旧と東籬がいなくなった隙に涼蟾の寝所へ入った。その時、ちょうど夢にうなされた涼蟾が目を覚まし、白湯を飲むため寝台を離れる。「…起きたか?」驚いた涼蟾が振り向くと、自分を刺した男が立っていた。「うまく隠れたものだな、鳳鳶」涼蟾は咄嗟にかんざしをつかんだが…。昔旧は中庭で阿笙から昨夜の男を取り逃したと聞いていた。そこへちょうど薬を取りに行った東籬が通りかかり、一緒に涼蟾の寝所へ戻ることにする。しかし部屋はもぬけの殻、すると阿笙が駆けつけ、例の男が現れたと報告した。「追うぞ!」赫連曦に連れ去られ、屋敷に監禁された涼蟾。男は″連理の枝″を出せと迫るが、記憶を失った涼蟾には何のことだかさっぱり分からなかった。「来ないで!自分が誰かも分からないのに、連理の枝なんて知らない!」しかし男はじりじりと迫って来る。涼蟾はかんざしを握りしめていることを思い出し、咄嗟に自分の首に突きつけて脅した。「私が死んだら何も得られないわよ!」「芝居上手なところは少しも変わらぬな…連理の枝を出せ!」涼蟾は覚悟を決めてかんざしを突き刺そうとしたが、赫連曦は涼蟾の腕をつかみ、かんざしを放り投げてしまう。すると赫連曦は怒りをにじませながら涼蟾の首をつかんだ。「死ぬにしても殺すのはこの私だ」「あなたは一体…誰なの?」「私か?…お前の手で葬り去られた亡霊だ」赫連曦は当時の悔しさを思い出し、大粒の涙をこぼした。琴桑が廊下で待っていると赫連曦が出てきた。「少主、連れ帰ったのは世子妃ですか?」「…琴桑、世子妃の来歴と身辺を調べろ、何ひとつ漏らすな それから昨夜、市場で世子妃を襲った者がいる、単なる強盗か裏があるのか探ってくれ」赫連曦は涼蟾にかつて鳳鳶が愛用していた紅を見せた。「5月に咲いた柘榴の花で作った紅だ、見覚えは?」「…知らない」そこで赫連曦は涼蟾の首根っこをつかみ、鏡の前に座らせた。「この3年、耳飾りをつけたことは?」「ないわ」すると赫連曦は鳳鳶の耳飾りを涼蟾に無理やりつけてしまう。「しっかり見ろ、お前は朔雲族ではない…自分が誰かを思い出せ 連理の枝はどこだ?思い出すんだ」赫連曦は涼蟾の肩の傷をつかんで拷問した。「どうして…こんなことを…」「案ずるな、そう簡単には死なせぬ」調査を終えた琴桑が戻り、赫連曦は報告を聞いた。涼蟾が朔雲に来たのは3年前、連理樹についてずっと探り続けており、記憶がないのは本当だという。「世子との婚儀を明日に控えているとか…」「探し続けて3年、まさか記憶を失って朔雲の世子妃になっていたとはな」琴桑はようやく少主が鳳鳶を探している理由を知った。「もう1本の連理の枝を隠している…」「まさか世子妃は…」赫連曦は自分のせいで傷が開いてしまった涼蟾のために薬を差し入れた。すると涼蟾は囲炉裏のそばに横たわり、まるで抜け殻のように炎を眺めている。「起きろ、薬を塗る」赫連曦は動こうとしない涼蟾の腕をつかんだが、涼蟾は怒って手を振り解いた。「触らないで!」「…死んでは困る」しかし涼蟾は男が差し出した盘をひっくり返してしまう。赫連曦は黙って落ちた薬瓶を拾ったが、その時、涼蟾が自分を睨みつけていることに気づいた。「思い出したのか?」「何を思い出して欲しいの?…殺そうとしたり、さらったり、あなたは一体、誰?! 望みは何?!3年間、何も思い出せないのよ?でもあなたに関係ないでしょう?!」「…私たちの関係を知りたくはないのか?」「私が誰かなんてどうでもいい、あなたとの過去も… 今はここから離れたいだけ、あなたから離れたい!」赫連曦は激しい怒りをどこへぶつければいいのか分からず、握りしめた薬瓶を廊下へ投げつけた。「行け…」涼蟾は部屋を飛び出そうとしたが、ふと思い出して耳飾りを外してから逃げた。その姿を黙って見ていた赫連曦は虚しさに襲われ、涙が込み上げる。「なぜだ…なぜ私だけが覚えている」一方、昔旧は必死に涼蟾を探していた。すると市場でふらふら歩いて来る涼蟾の姿を見つける。「涼蟾!」「昔旧…」2人は自然と駆け出し、人目もはばからず抱き合った。「涼蟾、大丈夫だ、帰ろう」「世子、馬車を呼びました」「使わぬ」裸足で逃げてきた涼蟾を抱き上げた昔旧、その様子を物陰から赫連曦が見ていた。つづく
2025.03.05
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难寻 Hard To Find第1話「記憶をなくした世子妃」…永照(エイショウ)の王宮に死んだはずの男が現れた『これは命令だ!奴を決して本殿に入れるな!』『殺(シャ)ァァァァァァァァァァァ!』しかし不思議な力を持つ男は風のように動き回り、たった独りで兵士を片付けてしまう禁軍は全滅、頼みの綱だった護衛の姿もない本殿では永照王が怯えていたすると突然、門が破壊され、気がついた時には目の前にあの男が立っている赫連曦(ホーリエンシー)に剣を突きつけられた永照王は亡霊でも見たように全身を震わせた『赫連曦…手を下したのは私ではなく鳳鳶(フォンユエン)だ!』『鳳鳶(フォンユエン)?…もちろん彼女も逃しはせぬ』その時、隙をついて護衛が赫連曦に襲いかかったしかし赫連曦は咄嗟に素手で剣をつかみ、護衛ごと放り投げてしまうこの時、指輪が外れて転がり落ちたが、赫連曦は気づかなかった焦った永照王は命乞いした『命を出す、霖川(リンセン)を永照と同格に見なす…霖川少主は霖川も永照も束ねる帝王に…』すると赫連曦がふいに黙って立ち去ったしかし安心したのも束の間、永照王は赫連曦が去り際に後ろへ放った剣で腹を刺されてしまう『かつて責め苦に遭い、霖川族を滅ぼされた、永照の罪人は一人たりとも容赦せぬ』赫連曦は枯れた神樹の前にたどり着き、ひざまずいた『不肖者の赫連曦が参りました…どうかお許しを いつの日か″連理の枝″を見つけ神樹を蘇らせ、封印を解き霖川族を呼び戻します 全てを画策した鳳鳶は必ずや跡形なく始末します』そして3年の月日が流れた…朔雲(サクウン)の世子・昔旧(シージウ)は2日後に迫った涼蟾(リャンチャン)との婚儀を心待ちにしていた。しかし涼蟾は今日もまた不思議な大木の絵を描いている。「涼蟾、すまない、この木の在りかはまだ分からぬ 朔雲にも北陸にも存在しないことだけは確かだ」「東陸は?」「東陸の永照は開かれた国、奇樹があれば評判になるはずだ だが霖川は…東陸部族のうち霖川族だけは森の奥に住む 噂では3年前、一夜のうちにこつ然と消えたとか、霖川を探った者は生きて戻らぬ」「3年前?…私があなたに救われたのも3年前ね」実は涼蟾はそれ以前の記憶がなかった。唯一の手がかりはたびたび夢に出てくる不思議な形をした大木。涼蟾はこの木が自分の過去ではないかと執着していたが、昔旧は早く過去を手放して欲しいと願っていた。「涼蟾、そなたは朔雲生まれ、私たちは許嫁として一緒に育った 3年前、そなたは獣に追われ、川に落ちて記憶を失ったのだ この木は実在するか、夢かも分からぬ」「そうね…」涼蟾は完成した絵を丸めると、侍女・東籬(ドンリー)に市場で売ってもらうことにした。涼蟾は世子が自分の機嫌を直すため作り話をしていると知っていた。朔雲の女子は身体に傷をつけることを嫌うため耳飾りを下げない。しかし自分の耳には穴が開いてた。「東籬、私の絵のことで進展はあった?」「いいえ、でも今夜は灯籠祭りで人出が増えるゆえ、木の在りかを知る者が現れるやも…」「灯籠祭り?見に行くわ」「世子妃、しきたりで婚儀前の3日間、新婦は外出を控えます」「分かったわ」涼蟾はまた不思議な大木の夢を見た…青々と生い茂る大木からひらひら舞い落ちてくる木の葉涼蟾は木の葉を拾おうとするが、手に触れると途端に木の葉は消滅してしまう『そなたは紛れもなき金枝玉葉…焦るでない、そなたに属する葉を必ず手に入れられる』『あなたは誰?どこにいるの?』…涼蟾はいつの間にかうたた寝していた。夢の中で誰かの助言を聞いた涼蟾は矢も盾もたまらず、これが最後と決めて賭けに出る。「今夜、進展がなければこの先は涼蟾として生きる、過去は決して振り返らない」すると涼蟾は面紗で顔を隠し、こっそり出掛けてしまう。灯籠祭りで賑わう朔雲の市場。赫連曦はこの地の露店で霖川の神樹の絵が売っていると知り、付近を警戒していた。「霖川の神樹を描いた者を突き止めねば…」その時、面紗をつけた娘が露店に現れた。涼蟾は露店の店主に自分の絵の大木を知る者が現れたか尋ねた。店主は何人か興味を持った人がいたと報告したが、その様子を仮面と黒衣の男が物陰から見ている。「今夜は遅めに店を畳める?後でまた来るわ」「いいですよ、ではまた」仮面の男は涼蟾が似顔絵の公主と似ていると気づき、配下に正体を調べるよう命じた。大木を描いた面紗の娘を尾行する赫連曦。しかしほんの一瞬、目を離した隙に面紗の娘は姿を消してしまう。その頃、涼蟾は見知らぬ男に裏道へ追い込まれていた。涼蟾は急いで逃げ出そうとしたが、仮面の男が現れ、道を塞がれてしまう。「面紗を外すのだ、公主だったら迷わず殺せ、違ったら…好きにしろ」驚いた涼蟾はその場でつまずき転んだ。配下は面紗の紐を解こうと手を伸ばしたが、目にも止まらぬ速さで誰かに首をつかまれ、締め上げられてしまう。「お前ごときに外させるか」赫連曦は男の首をへし折って放り投げた。仮面の男は赫連曦を見て呆然、慌てて退散する。…なぜ奴が?まずい、急いで報告せねば…赫連曦は怯えている娘の面紗の紐を外した。驚いて振り返った涼蟾、その顔を見た赫連曦は思わず握り拳に力を込める。「やはりお前だったか…」涼蟾は居たたまれなくなり、恩人に感謝して立ち去ることにした。しかし気がつくと恩人が目の前に立ちはだかり、足止めされてしまう。「答えろ、″連理の枝″はどこだ?」「何の話をしているの?あなたは誰?」「忘れたとは言わせぬぞ!」赫連曦は怒りを滲ませながら涼蟾の腕をつかんだ。「放せ!」涼蟾を探し回っていた昔旧が駆けつけ、赫連曦に斬りかかった。しかし赫連曦は瞬時に反応、昔旧の二刀流をあっさり片手で制止する。「何者だ?」「世子の女子に手を出すな!」赫連曦と昔旧の手合わせは圧倒的に赫連曦が有利だった。すると涼蟾は昔旧の危機を救おうと咄嗟に飛び出し、赫連曦の前に立ちはだかる。「彼に手を出さないで!」赫連曦は直前で止まったが、そのまま涼蟾の肩を突き刺した。「涼蟾っ!」昔旧の叫び声を聞いた赫連曦は…。つづく( ๑≧ꇴ≦)始まった〜!安定の″虚顔″制作チーム!
2025.03.04
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花间令 In Blossom第10話身分を隠して楊采薇(ヤンツァイウェイ)の友となった卓瀾江(ジュオランジアン)。もともと争いとは無縁の都の書生だったが、3年前に父が金水幇(キンスイホウ)に殺され、禾陽(カヨウ)に戻って後を継いだ。家業を守るため冷酷無情な少主となり、親を失った悲しみなど微塵も見せなかったという。「そんな時、お前と出会った、俺をケンカ好きの荒くれ者扱いしたな? だがお前だけが友だった」当時、采薇と阿江は共に酒を飲んで孤独で苦しい胸の内を吐き出し意気投合、その後も友情を深めた。「お前は1番の友だ、なのになぜ酒屋で教えてくれなかった?」「あなたを危険に巻き込みたくなかったの」「お前のためなら死んでも構わない(キリッ」「ったく、不吉なこと言わないで」楊采薇は灯会での最初の死者・強叔(チアンシュー)を調べるため銀雨街に到着した。すると少主が人探しに来ると聞いた銀雨街堂主・趙乾(ジャオチエン)が早合点、すでに露店を営む者を全て捕らえておいたという。川꒪ͧ⌓꒪ͧ) チョ…おま…(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾<香主に降格したいのか?!すぐ解放しろ!ヒイィィィ!! (゚ロ゚ノ)ノ <はいっ!強叔の娘・三姑娘(サングーニャン)は幼い妹・霜霜(シュアンシュアン)の面倒を見ながら家業の氷売りを続けていた。確かに5年前に父が殺され、残ったのは氷車1台と2人姉妹だけだったという。楊采薇は再調査のため強叔の遺体を調べたいと頼んだが、三姑娘は遺体ならないと言った。「父を埋葬して間もなく、墓の周りで動物の死体を見つけました 父と同じ傷がありましたが役所は調べてくれなくて… その後も死者がでると墓で同じことがあって、それで蛟(ミズチ)が人を襲うと噂が広がりました 県令の命令で全ての遺体が掘り起こされ、蛟供養のため川に流したんです」一方、潘樾(パンユエ)は劉(リウ)捕吏と灯会での最後の死者・田華(ディエンホワ)を調べていた。花容店で働く小翠(シャオツイ)は店の若旦那だった田華と男女の仲で、今でも思い出すと涙がこみ上げるという。ただ田華は決して温和とは言えず、怒りっぽく、すぐ人を殴っていたと証言した。使用人たちは内心では天罰が下ったと溜飲が下がる思いだったが、調査の火の粉が降りかかるのを恐れて口をつぐんでいたという。楊采薇は聞き取り調査を終えたが、謎は深まるばかりだった。そこで卓瀾江が他の三宗家に探りを入れてみると言ったが、采薇は難しい顔をする。「10年以上、禾陽に隠れている黒幕よ?先手を打ってくるわ」「10年以上?」「うん、私の両親の死にも関係しているの」「安心しろ、必ず俺が見つけてやる、ひとまず今日は飲みに行こう」その時、卓瀾江は物陰にいる曲者に気づき、いきなり腕をつかんで引っ張り出した。曲者は楊采薇のもう1人の友・白小笙(バイシャオション)だった。鬼市まで自分たちの関係を探りに来た阿江が少主だと知り、一緒に馬車に乗る二人を見かけて心配で追いかけてきたという。しかし卓瀾江はすでに上官芷の正体を知っていた。「ふふ、ご苦労様、阿江と飲むの、一緒にどう?」卓瀾江は小笙に帰るよう目配せしたが、小笙は姐姐の誘いを断れないと無視した。潘樾は被害者が発見された現場を視察した。劉捕吏の話では他の事案もこの付近の川沿いだったという。その時、騒然とする民たちの声が聞こえ、潘樾たちは慌てて駆けつけた。すると小舟が水中を泳ぐ巨大な怪物に巻き込まれ、転覆しそうになっている。潘樾は劉捕吏に川に落ちた民の救助を任せ、怪物の影を追いかけた。しかし咄嗟に振りかぶって剣を投げたものの、逃げられてしまう。そんな潘樾の様子を物陰から見ている人影があった。その夜、潘樾は公堂で報告書を調べながら、まだ戻らない上官芷を気にしていた。すると阿澤(アーヅー)が駆けつけ、銀雨楼の地盤での追跡が難しく、川辺に向かった上官芷を見失ったという。そこへ思わぬ知らせが舞い込んだ。県署に川辺で発見された遺体が運び込まれた。亡骸には蛟の犠牲者と同じ傷があり、捕吏たちは思わず後退りしてしまう。潘樾は陳三(チェンサン)に検視を命じ、捕吏たちに上官芷をすぐ連れ戻せと厳命した。その時、思いがけず卓瀾江が酔っ払って上機嫌な上官芷を送り届けてくれる。捕吏たちは揉め事が起きないか心配だったが、県令と上官少姐を残して退散した。「飲んだのか?」「ほんの少しです~ダァ~見てください、阿江が手伝ってくれて供述書が…」すると主が戻ったと聞いた侍女の凌児(リンアル)が駆けつけた。「…少主が後ろ盾なら何事も順調だろう、私の杞憂だったようだ」楊采薇は引き上げる潘樾の背中を眺めながら、なぜ機嫌が悪いのか首を傾げた。すると凌児が実は潘樾が上官芷を心配して阿澤にこっそり警固させていたと教える。しかし阿澤が少姐を見失ったうえ蛟が現れたと知り、潘樾は血相を変えて銀雨楼に乗り込むところだったという。潘樾は無理が祟って狼に引っ掻かれた古傷が開いた。「まったく上官芷は疫病神だな」「上官少姐も事案の調査をしているだけですよ」かつては主に付きまとう上官芷が目障りだった阿澤。それがいつの間にか親しみを感じるようになったという。潘樾は困惑した。人間とはかくも短時間に変われるものなのだろうか。翌朝、登庁した楊采薇は筆を持つ潘樾の手が震えていることに気づき、古傷が痛むのだと分かった。そこで代筆すると申し出たが、潘樾は弱みを見せまいと断る。すると采薇は強引に筆と書きかけの報告書を取り上げ、記録を取るのが自分の役目だと訴えた。上官芷に押し切られる形で口述を始めた潘樾。しかし不思議と阿吽の呼吸で調書の作成がはかどり、自然と笑みがこぼれた。巷で蛟が出たと噂が広まった。民はこれも役所の再調査のせいだと気づき、県署に押しかけ調査の中止を嘆願する。潘樾たちは民の様子に困惑していたが、その時、陳三が現れ、火に油を注いでしまう。「大人、遺体の検視結果です…傷口はやはり灯会の遺体と同じ、蛟の仕業かと…」潘樾は民の不安を取り除くため、上官芷に改めて検視してもらうことにした。すると確かに傷口の位置は灯会の遺体と同じだったが、よく見ると違うという。「傷は平らではなく、血と肉が一体化している、周辺の色は皮膚と同じ 記録には青紫とありました」潘樾は偽装工作だと気づいた。上官芷も誰かが調査を止めるために人々を恐れさせたのだと同意する。まるで生死坊(セイシボウ)で坊主の側室を殺したやり口と同じように…。捕吏たちまでが蛟の祟りを恐れて、県令に調査の中止を嘆願した。すると潘樾は民に解決すると約束した手前、今さら取り消すのも具合が悪いという。「…そうだ、天意に決めてもらおう、上官芷、銅銭を100枚もって来てくれ」上官芷が銅銭を持って来た。そこで潘樾は全て表だったら調査を続けると告げる。捕吏たちは不可能だと思っていたが、上官芷がばら撒いた銅銭100枚は驚いたことに全て表だった。天意だ…>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<ザワザワ…捕吏たちは今回の遺体が灯会事案と似て非なるもので、役所の調査を妨害するための工作だと知った。しかし結局、再調査でも手掛かりをつかめた者はいない。潘樾は死者の共通点を探すよう指示したが、その時、記録を取っていた上官芷がふと気づいた。「灯会に何か特別な意味があるのかもしれません」「意味があるのが灯会でなければ?(はっ!)主簿、去年の夏至の事案を全て洗い出せ!」「確かに、夏至に特別な意味があるなら灯会がなくても犯行に及んだはず 共通点は静かな川辺に天突の傷、それが糸口だわ!」潘樾と上官芷の阿吽の呼吸は捕吏たちも目を見張るほどだった。阿澤は厨房で食事の準備をしている凌児を手伝うことにした。凌児はかえって邪魔になると思ったが、母を手伝っていた経験がある阿澤は手際よく下ごしらえしてくれる。阿澤の思わぬ一面を知って見直す凌児。すると食事中の潘樾と上官芷の様子から、2人の関係も変わって来たと気づいた。去年の夏至には9件の殺人事件があった。劉捕吏の話では当時の県令がやっと灯会がなくなったのに面倒なことをするなと手を抜いたという。その時、門衛が卓少主の来訪を知らせた。つづく( ˙꒳˙ )銅銭ネタバラシあった?もしや両面が表だったとか?w
2025.03.03
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