達人のひとりごと(JKLab)

達人のひとりごと(JKLab)

2012.01.29
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 最初に、出力管の選択について振り返ってみる。純粋な3極出力管のプッシュプルで50W得られるものとなると、選択肢が限られてしまう。それに、有名なWE-300Bでも40W程度、50CA10でも30W、ラックスのアンプで使われた8045Gなら60W出るが、すでに入手は困難であった。そもそもアンプ作成のテーマは「平凡な部品で…」と言うことだったので、特殊な出力管はその主旨にそぐわない。50CA10にしても、8045Gにしても、4極管を内部で3極管接続した構造ということなので、多極出力管の3極管接続も候補に挙げることにしたら、選択肢はずっと広がったわけである。

Type
Heater
Ebmax

(V)

Ppmax

(W)

Po 3結PP

6CA7(T)/
EL34(T)
6.3V1.5A
425
25(8)
16.5

50CA10
50V0.175A
450
30
34

6L6GC(T)
6.3V0.9A
450
30
-

KT88(T)
6.3V1.6A
600
35(6)
31

300B
5V1.2A-D
480
40
-

6550A(T)
6.3V1.6A
500
42
28

8045G
6.3V2.5A
550
45
60


いずれにしても、普通のプッシュプルでは50Wの出力を得ることが難しいので、パラレルプッシュプルと言うことになる。KT88だと普通の3結PPで30W、パラレルPPなら60Wは確実だが、少し大げさだと感じた。当時、上杉研究所のU-BROS11というパワーアンプが、6CA7の3結パラPPで30Wという控えめな出力で出ていた。有名なマランツのMODEL 9だとEL34の3結パラPPで40Wである。この6CA7/EL34はフィリップスと松下のものが有名だが、各社から発売されていて入手はもっとも容易である。それに、3極管接続の特性が美しいのである。この特性はまさに驚きではないか!

というわけで、6CA7/EL34のパラPPを採用することに決定した。規格上は16.5Wなので2倍しても33Wにしかならず、出力50Wが達成できるのか、と疑問に思われるかもしれないが、出力管のグリッド電圧を+領域まで振り込むAB 2 級動作にしてやれば、通常のAB 1 級に比べて1.5~2倍くらいの出力アップは固いので、十分達成可能だと考えた次第である。





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最終更新日  2012.01.29 18:41:54
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