達人のひとりごと(JKLab)

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2012.04.01
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 パワーアンプの設計は論理学だと思う。設計の仕様が決まれば、あとはほぼ必然的に回路が決まっていくからだ。本機の仕様(設計目標値)は以下の通りである。
1.ダイナミックレンジ100dB以上
 最大出力は50W以上、残留雑音は0.2mV以下であること。8ohm負荷で50Wということは電圧にすると20Vとなる。人間の可聴ダイナミックレンジは120dBと言われるが、実際には環境雑音も必ず存在するので、100dBあれば十分であろう。
2.無帰還時に低歪み
 NFB量は10dB程度に抑え、それに頼らず歪み打ち消しによって低歪みを目指す。ここで言う歪み打ち消しは3次歪みの打ち消しである。出力段とドライブ段の間の歪み打ち消しにより、最大出力時0.2%以下、1W時0.03%以下を目指す。
3.無帰還時に広帯域
 NFB量は抑え、5-100kHzまで-3dBの範囲に収める。このため無帰還時の高域特性を改善する。
4.ダンピングファクター(DF)10以上
 スピーカーのインピーダンス特性の影響を抑えるために、DFは5以上が必要である。


1.ダイナミックレンジ
 最大出力60W、残留雑音0.12mV/0.08mVのため105/108dB。これは余裕を持って達成できた。
2.歪み率
 最大出力時2.3%/2.5%(60W)、定格出力時0.4%/0.4%(40W)、1W時0.065%/0.06%。これは仕様より悪い値だが、実は3次歪みが多いとリミッター効果で入力余裕度が増す、と言う利点があるのだ。
3.周波数特性
 1.2Hz-75kHz/1.2Hz-68kHz(-3dB)。出力トランスを半分のインピーダンスで使ったため、低域特性は信じられない程よいが、高域特性は少し物足りない。
4.ダンピングファクター
 4.7/4.6とまずまずの値である。NFBを増やせばもっと高くできるが、このくらいの値が好ましい音質である。
全体としては、なかなか高性能のアンプができたのではないかと思う。詳しいデータは こちらを参照





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最終更新日  2012.04.01 19:20:42
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