達人のひとりごと(JKLab)

達人のひとりごと(JKLab)

2012.08.06
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 ここのところオリンピックを見るのに忙しくて、しばらく書き込んでいなかった。さて、回路については大体説明が終わったところである。あと残っているのは電源部だ。このアンプでは、低雑音を目指していることもあり、電源の設計にはかなり気を配っている。最大の特徴は、全ての電源にコイルを入れていることだ。信号部への電源供給において、電源部のGNDと信号部のGNDを分離し、ホット側はコイルで分離している。これによって電源側から混入するノイズをシャットアウトするためである。
 まず、出力段の電源供給について説明しよう。出力段への供給電源はチョークインプット平滑回路を用いている。チョークインプットはダイオードに常に電流が流れ続けるため、その内部抵抗は電源トランスの巻き線抵抗とチョークコイルの直流抵抗の和に等しい。これに対して、コンデンサーインプット平滑回路ではダイオードに断続的にしか電流が流れないため、内部抵抗も巻き線抵抗の和よりもずっと大きくなるし、パルス性の雑音を発生しやすいのだ。従って、チョークインプットの方が遙かに優れているわけである。ただ、ダイオード整流の場合、スイッチ投入直後には高電圧を発生してしまうので、真空管がウォームアップするまでの間、タイマーリレーを使って供給電圧が低くなるようにしている。

 さて、チョークインプットはコイルが入っているので、それで電源部と信号部の分離ができそうに思われるかもしれないが、チョークインプットの場合、チョークコイルの信号側のGNDにコンデンサーを通過したリップル電流が流れてしまうのである。このGNDは電源側につながなくてはならない。そこで、さらに小容量のチョークコイルを直列にしてその後コンデンサーを置けば、完全に信号側のGNDを分離することができる。そんなわけで、ずいぶん贅沢な回路になってしまった。





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最終更新日  2012.08.06 22:10:59
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