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リフレ派と言われる人の言説を読んでいると、どうやら不景気の原因はデフレのせいだと言っているようだ。だから、デフレを退治しろと言うことらしい。しかし、不景気の原因がデフレって、少しおかしくないか?と思うデフレと言うのは、どちらかと言えば原因ではなく結果だろう。スパイラル的なデフレなら、デフレがデフレを呼んでいると言えると思うが、現在の様なマイルドな物価の推移では、原因とは言えないのではないかと思う。(デフレスパイラルなら、デフレはドンドン拡大しなければいけない)私が見る限り、彼らはものすごく単純な3段論法で考えているように見える。1.物価下落と不景気が同時に起こっている2.だからデフレは不景気の原因だ3.故にインフレにすれば景気がよくなると言う感じではないだろうかしかし、良く考えてみると、この考えは穴だらけだ。日本の2002年からの数年間は、デフレにも関わらず景気拡大していた。デフレだから景気が悪いなら、こんな現象は起きないだろうし、インフレ状態でいたアメリカの景気が常に良かった訳でもない。デフレでどんな影響があるか考えてみるまず「値段が下がれば業績が悪くなる」のか。これは一つ一つの商品の値段と物価水準を考えると、デフレとは物価水準が下がることだ。商品の価格が1%下がっても、物価が1%下がれば、実質的な価値は変わらない。消費者にとっても、同じ給料で買えるものは増え、安くなったものはたくさん売れる。デフレは消費者にとってはいいことなのだ。ただし、企業にとっては、従業員の給与に下方硬直性がある場合は収益減になるため、短期的には減益要因となる。ここで損失が発生するのは、製品価格の下落と給与や経費の下落にタイムラグがある場合で、ラグがない場合は収益に対しては中立要因になる。また、デフレと言うのは債務者から債権者への所得移転の意味合いを持つ。そのため、負債の多い企業は実質債務が増えるため、その分業績が厳しくなる。しかし、同時に現金部分の実質価値が増えるため、現実的には影響は見た目より小さいだろう。まぁ、平たく言うと、貨幣錯覚により影響は大きく見えるが、実際はそれほどでも無いということだ。デフレによって物が売れなくなると良く言うが、これっておかしな話だ。売れないからデフレになるのだ。と言う話である。デフレが問題なのは、賃金や価格の硬直性によって調整が遅れるときで、特にデフレで実質賃金が上がると企業収益を圧迫するので、インフレによって実質賃金を下げることが企業の利益になる。つまりインフレは実質的な賃下げだと言うことだ。インフレにしろと呪文のように唱えるが、インフレは実質賃金を低下させ、そのために企業収益が上がるという一面を持っている。現在の様な安定したマイルドなデフレなら、デフレ自体の影響は、1%のデフレなら、収益影響度は最大でも1%しかないそして、経時的に賃金調節などがおきれば、その後の影響はゼロになる。結果として名目値で減収になっても、実質値では変わらない。これで減収になったと考えるのは、単純な貨幣錯覚にすぎない。日本の場合は、正規雇用を減らし、非正規雇用を増やすという形で平均給与の下落がすすんでいる。デフレ予想は織り込まれ、貨幣錯覚はそれほど大きくはないだろう。以下はwikiからの、貨幣錯覚の転載短期的には貨幣錯覚が存在するならばインフレ率と失業率の間にトレードオフが発生するが、長期的には人々が間違い続けることはなく貨幣錯覚が解消されるとすると、インフレ率と失業率の間のトレードオフは消失する(→フィリップス曲線、自然失業率)。その結果、インフレ率を引き上げるような政策は短期的には失業率の改善を達成できるものの、長期的には失業率は下がらなくなりインフレだけが上昇してしまうという、望ましくない結果を招く。ただし、アカロフらの指摘によると、貨幣錯覚は長期的にも解消され難く、この時には長期的にもインフレ率と失業率の間のトレードオフは残る。ま、よく判らん言い方ですが私は、インフレ率が上がった場合、短期的には貨幣錯覚により雇用が増えると思う。しかし、インフレ予想が定着し、定常的なインフレになれば、この貨幣錯覚はなくなり、GDP成長率は以前の自然水準に戻るのではないかと思う早い話が、インフレ自体は長期的には大きな景気押し上げ要素がない過去事例を見れば、高成長しているときは例外なくインフレになっている。しかしこれは、インフレだから高成長していると言うことではない当たり前だが、景気が良くなって、受給が引き締まるからインフレになるのだ。インフレになったから受給が引き締まるなんてことはない例えば、株の話をすると、企業収益が悪くなったら株価は下がるだろうこれを、両者には相関関係があるのだから、株価が下がったから企業収益が悪くなったという人は、マズいないだろう。もう一歩言って、株価が上がれば企業収益が良くなると言ったら、この人大丈夫かなと思うのではないかインフレと景気の関係も、これに似ていると思う実体経済の受給が緩んだからデフレになったのだ実体経済を無視して、金融政策でインフレにしました。しかし、それで実体経済の受給が引き締まるだろうか? 私はならないと思うよ。貨幣錯覚のプラス効果は短期で終わるし、当然金利も上がってしまうから、民間企業の資金はクラウドアウトされて、それほど大きな投資が起こるとは思えない。金利が上がれば、民間投資は抑制される。何故かこの大原則を無視して、リフレ派はインフレになれば投資が増えるとか言っている。何より、国内投資が低調なのは、国内の投資収益が低調だからで、だからデフレになったのだ。国内の投資収益が上向かなければ、国内の投資は増えない。そのためには、インフレにするより、法人税を減税したほうがよほど効果がある。(税金と言うのは、企業にとってはただのコストだ。そして、日本はそれが世界で最も高い)私は昨年の日記で、法人税とフラット税制を導入すべきだと言ったが、背景にはこんな認識がある。実体経済、国内産業を活性化させる以外に解決策はないと思う。
2013年04月23日
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少し前の話ですが、安部総理が、デフレは「貨幣現象」だとか言っていました。これ聞いたときは「えっ?」て思いましたよ社会に流通している貨幣の総量が物価の水準を決定するという経済学説(貨幣数量説)があります。この考えでは、社会に出回る貨幣が多いとインフレになり、少なければデフレになるという考えです。要は、貨幣が少ないからデフレになっている。なので、金融政策で貨幣を増やせばインフレになると言う考えなのでしょうが幾らなんでも、全部が全部貨幣現象の訳がないだろうゼロ金利下では、金融政策でインフレは起こせません。これは過去10年程度の社会実験で、ある程度証明されてしまいました。これでインフレになるのなら、過去10年でとっくにインフレに振れています。有名なのはミルトン・フリードマンで、彼は「インフレーションとはいついかなる場合も貨幣的現象である」とか言っています。彼およびその信奉者は、この説ゆえに「マネタリスト」と呼ばれています。岩田・日銀副総裁も、広義にはこの一人になります。この説からは、必然的に、「貨幣の量を増やすことがデフレ脱却につながる」という結論が導かれる。黒田・日銀による「大胆な金融緩和」とは、まさにそのことであるでしょう。しかしね~ 全部が全部貨幣現象の訳ないでしょう、と思います。先日の日記にも書きましたが、この学説は、2000年代の日本では旗色が悪い・・・と言うか、全てが貨幣現象だと考えている学者の方が圧倒的に少数派です。インフレやデフレにはもっと複合的な要因があると考えるのが当たり前です。単純な話ですが、テレビやパソコンの値段が下がったのは、貨幣現象とは全く違う要因ですし、グローバル化に伴う賃金下落圧力も、貨幣現象とは無関係です。そして、インフレ転換してもテレビやパソコンの値段は元には戻りませんから、インフレ転換しても問題解決とは行かないのです。なので、そもそも論として、政策目標に金融政策でデフレ脱却というのが間違いだと思う。メリットがあまりに少ないし、実現性が不透明だ。金融政策ではマネーストックをコントロールすることが出来ないので、デフレ脱却できません。今回の量的緩和も、効果は疑問です。インフレにするだけなら、実は簡単で、実物資産を政府(日銀)が買い捲れば良いのです。そうすれば、嫌でもインフレになります。しかしこれは、金融政策ではありません。日銀のETFや J-REITの購入も、金融政策ではありませんインフレ誘導するなら、財政政策が最適です。
2013年04月20日
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量的緩和はそもそも効果があるのだろうか今日はその点に関して意見でも書いておこうと思います。「量的緩和でインフレ率が何故上がるのか」と考えると、私など最初に考えるのは、貨幣数量説に基づく経済理論を思い浮かべる。曰く 「日銀が準備預金を積み増せば物価が上がる」と考えるマネタリストの考え方だ。かく言う私も、昔は素朴にこの理論を信じていたのだが・・・ どうやら現在の状況では通用しない考えとなっている。「流動性の罠」に陥っているからだ日本は2000年代に入り、デフレ脱却のために量的緩和を行ってきたのですが、この政策の導入以前から、効果があるのか?と言う議論はありました。有名なのは「岩田・扇論争」とかがあるようですが、これは時代背景が2000年代と異なるため、話の中身が現在とズレがあるようです。簡単に書いてしまえば、マネタリーベースを増やせば、銀行貸し出しが増えて(マネーストックが増えて)インフレになると言う考えですが、2000年代のデータを見る限り、マネタリーベースとインフレ率には全く相関関係がありませんどうやら学者の間では、「量的緩和に直接的な効果はない」と言うコンセンサスができているようで、学者でこれを提唱している人は殆どいないようです。が、どうやら高橋洋一さんがこれを主張しているようです。この人大丈夫なんですかね先に書いたように、量的緩和はインフレ率に直接的な影響力はないというのは、学者の間ではコンセンサスになっています。でも、日本ではもう一歩進んで「異次元の量的緩和」をするわけです。これをやる根拠は大まかに2つあるようです。一つは、大幅な金融緩和をすれば、予想インフレ率が上がりインフレになるというものです。今回副総裁になった岩田規久男氏がこれを主張しているようです。しかし、マネタリーベースがなぜインフレ予想を高めるのかという理論がなく、過去10年、マネタリーベースを増やしても予想インフレ率は上がらなかったと言う事実があるので、どうも旗色の悪い理論だと思いますねもう一つは、偽薬効果と言うものです。量的緩和ではインフレにならないことを認めた上で、「首相が信じて国民に宣伝すれば偽薬効果がある」という考え方です。まぁ、株で言えば、「株式分割すれば株価が上がる」と言うようなもので、本質的に上げる効果はないが、上がると信じる人が多ければ上がると言う、心理効果のみを狙った考えです。山崎元氏などがこれに当たります。結局、量的緩和の効果はゼロではない(心理効果はある)が、大きな力はないと考えるのが妥当だと思います。岩田規久男氏は、緩和の量が足りないとの主張で日銀批判をしてきています。私も日銀が極端な政策を取れば、どこかに閾値があり、ある一定の水準を超えればインフレになると思います。しかしそれは、財政ファイナンスと取られた「日本売り」なので、恐らく2%の物価目標などぶっちぎって、コントロールの効かないインフレとなるでしょう。アベノミクスはインフレを起こすことのできない偽薬ですが、偽薬にも効果があるので、無駄ということはない。しかし、日本の財政状況を考えると、財政ファイナンスと取られかねない一連の政策は、ハイリスク・ローリターンのまことに愚かな政策に見えるのです。2000年代に入り、古典的なマネタリストの主張は否定されてきました。リフレ派と呼ばれる人たちの考えも、学術的には否定的、事後的な観察でも「負け続け」なわけです。(本人たちはそう思ってないでしょうが)それらの人が政府の実権を握っている現状には、ちと驚かされます。世論がそれを望んだと言うことですね衆愚政治と言う言葉がピッタリ来ます。高橋洋一さんの言ってることは、かなりおかしいよこういう人が影響力を持っているのは、憂うべきことだと思う。
2013年04月18日
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4月5日の日銀の政策発表は、非常にショッキングでした。確認の意味で、内容を書いておこうと思います。・金融市場調節の操作目標を、従来の無担保コールレート・オーバーナイト物から、マネタリーベースに変更することとしました。その上で、「マネタリーベースが、年間約60兆から70 兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」ことを決定・長期国債の保有残高が年間50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うことを決定しました。また、長期国債の買入れ対象を、40年債を含む全ゾーンの国債とした上で、買入れの平均残存期間を、現状の3 年弱から7年程度と、国債発行残高の平均並みの期間に延長・ETFおよびJ-REITの保有残高が、それぞれ年間1兆円、年間300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う・「量的・質的金融緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続することとします。・「資産買入等の基金」は廃止し、いわゆる「銀行券ルール」を一時停止することとしました。内容はこちらまー 内容見て「正気ですか?」と本気で思いました。「伝統的な」金融政策から完全に逸脱しています。従来の金融政策って言うのは、ちゃんと理由があって色々と制限がされているので、そのルールを無視して大幅な緩和をすると言うことは、相応の副作用があると考えなければいけませんこれまでの日銀の買いオペには いくつかルールがありました 金融調節を目的とする買いオペによる 国債保有残高は発行日銀券を超えない範囲とする 直近発行銘柄はオペの対象としない 保有する長期国債の残存年数 1~2年とする(2012年4月27日まで) →1~3年(2012年4月27日以降)今回の会合で、いずれも撤廃されました。これらは 日銀のバランスシートを守るためであり、また財政ファイナンスと受け取られないためにやってきたことです。問題は、デフレがどうのと言う以前に、国債や通貨の信任に関わる事柄だと言うことです。軽々に撤廃して良いものではない日銀の政策目標が マネタリーベースに変更になって その目標に向かって国債を買い入れるということは、日銀の国債保有残高が、総発行量に占める割合をどんどん増やしていくと言うことです。そして、あまりにその割合が高くなれば 市場はそれを財政ファイナンスと認める日が来るかもしれませんそれは日本国債の格付けが下がる事を示唆し ジャンク債となれば大量に国債を保有する銀行や生保は経営悪化は免れないでしょうし、それ以上に国債を買いまくってる日銀のバランスシートまで毀損され空前の円安に見舞われる、と言うシナリオも普通に出てきました。量的緩和は、買い続けているうちはまだいいですが、これをいざ解除する時となれば 問題が多く発生します。当たり前ですが、日銀がグロスで月7兆円も買うと言っているのですから、暫く国債は高値で推移するでしょう。ファンダ無視した高値で日銀は国債を買い入れるのです。国債金利のファンダメンタルズによらず、日銀が常に満期の長い国債を買ってくれるのだから、国債価格は上がり、金利は下がります。こうした長期金利の人為的操作は、まさに官製バブルそのものです。そして、ファンダから乖離したバブルは、必ずはじけます。信用崩壊で金利が上がる、又は首尾よくインフレ率が上がると、金利上昇で値を下げた国債を日銀が抱え込む事になります。量的緩和解除のため売却すれば、売却損が多く発生します。平均残存期間が7年なら、1%の金利上昇で約7%の損失が発生するのですよ。かといって、売らずに保有し続けると、財政ファイナンスと言われかねない計画通りに買い入れれば、2年後の日銀の保有国債は約200兆円、平均残存期間は7年です。インフレ率2%なら、現状からは最低でも2.5%程度は金利が上がるでしょうから、その損失は・・30兆円を越えてしまいますね損失が発生すれば、最終的には日本政府が負担することになります。その他ETFやJ-REITも買う訳です。これらは金融政策と言う名が付いてますが、実質的には国の財政出動による資産買取と言って良いと思います。これらの政策を、今回副総裁になった岩田規久男さんが提唱してたのは知ってたが、まさか本当にやるとは思わなかった。昔の社会党みたいに、責任ある立場になったら、この様なリスキーな政策はしないだろうと思っていたのです。外野なら幾らでも無責任なことを言えますが、当事者になればできないだろうとまー ホントにビックリした。正直、まともな出口戦略があるとは思えないのですが・・・どうなるか、非常に興味がありますね
2013年04月11日
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またまた久しぶりの更新となりますが、最近の金融政策に関して少し書いておきたいと思ったので筆を取りました。まーしかし、本気で日本大丈夫かなと、思ってしまう今日この頃です。昨年の今頃は、少々日本政府の財政に関して書いていました。過去の私の書き込みを見れば判りますが、私はアベノミクスと呼ばれる政策には大反対です。理由はここでは書きませんが、盛大なバラマキをまた始めたなと思っています。今回、内閣支持率は非常に高い状態で推移していて、今までの内閣支持率のパターンを踏襲していません。理由は為替と株式市場が好調だからでしょう。為替が円安方向に動き始めたのは昨年の11月頃からです。これは海外投資家の投資姿勢がドル、ユーロに回帰し始めたからですが、これに自民党の歴史的勝利、その後の首相による大幅な日本の金融緩和を示唆するニュースも加わり、円安方向に弾みがつきました。ニュースなどではアベノミクスのおかげで円安的な論調が目立ちますが、今回の市場の動きは、「たまたまタイミングが良かった」のだと思います。そして、日銀人事と先日の金融緩和のニュースです。ニュースを見たときはぶったまげたそして、やっちまった感が半端なかった。これ、急先鋒の「リフレ派」と言われる人たちが主張してたことをそのままヤル気ですね。日銀の保有国債を倍にするとか・・・・先日日銀のB/S見てみたら、日銀の保有国債は約100兆円 これを倍増する気らしいサスガにここまで極端な金融緩和をすれば、そりゃ円安になるでしょうよインフレ圧力も増すし、普通にデフレ脱却は可能でしょうが、だから日本の問題が解決するわけではありません短期的には当然、景気にはプラスですが、長期ではとんでもない副作用が出る政策だと思う。こんな異常で危険な社会実験をやるなよと言いたい副作用でトンデモナイことになりかねません個人レベルでは、暫くは続くであろう「官制バブル」に踊るのが最適解なのだろうが、自分の意見は陳べておきたいと思う。
2013年04月10日
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