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2025年04月27日
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カテゴリ: オペラ
サントリーホール 17:00〜
 2階右手

 ヴェルディ:仮面舞踏会(セミ・ステージ形式)

 アメーリア:中村恵理
 リッカルド:宮里直樹
 レナート:池内響
 ウルリカ:福原寿美枝
 東京音楽大学合唱団
 日本フィルハーモニー交響楽団


 GWに突入したのですが、近年のGWはLFJ以外は不作が多いんですよね。ただ、今年は、この土日にこの日フィルの公演と、藤原が新百合ヶ丘で「ロメオとジュリエット」をやるのと、東フィルの定期と被っておりまして。で、これと東フィルの定期にした次第。

 で、なんというか…….....ま、厳しくなるんだけどね。

 率直に言って、お客は大絶賛、やってる方も自画自賛、という感じではあります。気持ちは分からんでもない出来ではあるでしょう。でも、これ、なぁ......

 まず、大前提として、これ、サントリーホールでの演奏会形式である、ということがあります。セミ・ステージというの、最近ホール主催の「ホール・オペラ」とかいうの、やってるのかどうか知りませんし、あれ見たことあったかどうかなのだけれど、舞台の前面に少し場所を取り、後方、つまりピット席の前、普段なら打楽器群が陣取るところを高めにして、舞台様にして、そこである程度演技出来るようにする。オケはその間に陣取る。こういうスタイルですが、これでやると、まず、歌唱陣は、位置によって、つまり舞台前か後方かで差はありますが、ざっくり言えば声的にはかなり楽です。そもそもサントリーなので、声楽的にはすごく楽なのですよ。新国立劇場はこれよりずっと厳しいし、東京文化会館じゃ今回のメンバーの幾人かは全然聞こえないレベルかと。その意味ではっきり言って「下駄履いてる」のは事実です。
 とはいえ、そういう環境でやってよければいいじゃないか、とは言えるんですが。じゃぁ、よかったのか?

 個々の要素はそれなりだと思うのですよ、一応。ただ、簡単に言って仕舞えば、てんでんばらばらっていうね…
 たとえば、リッカルド。声は確かに出てはいたでしょう。ただ、たとえば、ソプラノとの重唱になると、全然合わないんです。勝手に1人で歌ってる感じ。基本的にアンサンブルにならないんですよね。これ、皆そうなんですよ。レナートは声が篭ってる感じだし、アメーリアは基本声量が控えめ。サントリーだから聞こえるけど....の典型。でもそれ以前に、それで皆勝手に歌ってるから、重唱が綺麗に聞こえない。特にテノールはそうなんだけど、少なくとも今の日本では相応に力量がある人を揃えたのではあるのでしょう。ただ、これで絶賛するような出来かというと、決してそうではない。聞き映えはしますのでね。加えて、この日は出演者シンパ(おっしょさんの舞台に来たおでっさん多数という感じ)、関係者風、日フィルシンパみたいな感じの人、オペラなんでも行くんですよ的な人、が多数という感じで、まぁ、しょうがない部分はあって。というのも、これ、日フィルが新しく始めるという触れ込みの広上淳一がオペラをやるシリーズの第一回の初日ってことらしいので、まぁまぁやる方も来る方も気合い入れてきたのでしょう。そこまで色々あると、基本関係者くんな、黙ってろ、の私も、多少は仕方ないとは思ってしまわざるを得ないかと。実際ぱっと見悪くないですしね。

 ただ、ねぇ..............

 正直、広上淳一の問題は少なくないと思います。

 そもそも、仮面舞踏会というのは、意外に難しいオペラだと思います。主に指揮者にとって。
 ヴェルディ中期の充実した時期の作品とは言えるのですが、例えば「トロヴァトーレ」「リゴレット」「椿姫」のような、音楽的には歌手に重きを置いたものとはちょっと違う。といって、「ドン・カルロ」のようにオーケストラの表現がうっかりすると歌手を喰ってしまいかねないようなのとも違う。これを別の言い方をするならば、歌手の、あるいはオケの勢いでどうにかしてしまえるような作品ではないのです。

 つまり、難しいんです。このオペラ。まとめてドライブしていくのが。指揮者の力量に掛かっている。今時だと演出家の力量か?でも、本質的なところではいじりどころがない話でもあるからねぇ。食指はあまり動かないのでは。
 広上淳一、知ってるけどあまり詳しいことは知らない人なのですが、そもそもこの人そんなにオペラやってるイメージはありません。今回のプログラムの来歴を見ても、いろんなオケの話は書いているけれど、オペラは、シドニーで、まさにこの「仮面舞踏会」でデビューした、という以上の具体的なことは書いてない。
 いや、いいんですけどね。今回これを選んだのも、最初にこれでオペラメジャーデビューしたから、ってことなんでしょうけれど.........

 最初に書いた通り、個々の要素は悪くないんだと思います。ただ、率直に言えば、多少声が出ても、日本の歌手は基本的にはそんなに凄い実力があるわけではない。日フィルは今回はかなり頑張っていた方ではあると思いますが、しかし、そもそもオペラを知らない。合唱は、これは東京音大の合唱団ということだそうで、まぁ、アマチュアですよね。実は一番しっかりしていたと思いますが、これも、結局は引っ張ってあげないといけない。ほっておいてもそれぞれが勝手にドライブしていってくれる、とはいかない。要は、皆、指揮者がドライブしていかないと無理なんですよ。
 それでも、作品が勝手にドライブしてくれるような力があれば、なんとかなってしまうものなのだけれど........仮面舞踏会は、なかなかそうはいかない。

 一番問題だったのは、オケのコントロールだったと思います。
 このオペラが「勝手にドライブしてくれるものではない」というのは、恐らく「作品としての統合を指揮者なりの方で図ってやらないとまとまらない」ということでもあると思います。これが大変なわけです。全体としてどう構成していくのか、その中でこの場面をどう作るか、それを全体のバランスを含めて見通しを持って取り組まないと、まとまらない。
 この対極が、トロヴァトーレあたりかなと。あれは、ドラマがどうとかいうより、ほぼほぼ15分毎の小景の集合体で、物語の連続性はあるとしても音楽的には殆ど「次行ってみよう」で済んでしまう。他の面では凄く大変でも、こういうまとまりに関しては、あまり神経を使わなくてもいい。言い換えると「仮面舞踏会」を成功させるには、そういうまとまりが必要なのだけれど........

 まぁ、まとまってなかったよね。それは歌手とオケと合唱と、という以前に、オケの中でも、この場面で、この部分で、この楽器がどういう風にこのフレーズを奏するべきか、というのが、見通しがなかった。何処に向かって演奏を進めていけばいいのかはっきりしない。
 結果、同じ幕の中、場の中でも、どうしてここでそういう演奏になるの?と首を捻ってしまうところが多数。歌手とのバランスでいえば、歌を聞こえるようにしたいのか、そんなことお構いなしにガンガン行きたいのか、よくわからない。聞こえたり聞こえなかったり。勿論歌手の良し悪し(上手い下手だけでなくむしろ調子の良し悪し)はあるけれど、それをどうにかするのがオペラの指揮というものでは。オペラはあくまで劇なので、歌手がやってることが見聞き出来てなんぼなんでね。好き勝手やっちゃいかんのですよ。指揮者が。
 それでもなんとかなる作品もあるけれど.........

 恐らくこの「酷評」はなかなか分からないんじゃないかと思います。個々の要素は、特に今時の日本なら、そう悪くないしね。でも、それをまとめきれてない、その結果、1+1+1=3ですらなく、よくて2.1、あるいはそれ以下というのが正直な実態じゃなかったかなと。

 敢えて言えば、この場で何故「仮面舞踏会」やったんだ、というのが本音かなぁ。この陣容だったら、そうだなぁ、たとえば「トスカ」とかでも良かったんじゃないだろうか。あれも簡単じゃないけど、「仮面舞踏会」に比べればね。そういう言い方も申し訳ないけれど、唯一あまり悪く言う気がしなかった合唱が勝負するのは1幕のテ・デウムだけで、しかも歌い映えはするし。まぁ、そういうもんじゃないんだろうけれどもさ。

 一応演出付いてましたが、まぁ、そう邪魔にならない程度にまとめてました、ってところでしょうか。ただ、謎のダンサーがついて回ってたのは、なんとなく分からなくもないけれど、あまりいいアイディアでもなかったかな。

 終演後結構いい評価をする人が多かったようではあるのだけれど............まぁ、あれか、オペラ知らん人にはそうだろうし、今の日本のオペラばっかりの人だと、そうなっちゃうのかな。「つまらない」というのとは違うしね。





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最終更新日  2025年04月27日 09時58分36秒
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