墨田区の建築家 「気まぐれブログ」
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世の中には様々な仕事があります。社会が高度に複雑になるにつれて、専門的な仕事がどんどん増えてきます。厚生労働省編職業分類の2011年改訂版によると、我が国のには17209種類の職業があるそうです。さて、いきなり大風呂敷を広げましたが、何を言いたいかというと、私の専門分野の建築の設計の仕事をしている立場で感じるのは、建物を建てようとする際に多くの専門家が関わりますが、専門家が多すぎ、また、それら専門家と専門家の連携がスムーズに取れないことによる問題が多くなっています。こういった問題解決には、建築家の果たす役割が大きいと考えます。近年、起こった重大事件を例に問題点を確認してみます。先ずは、東日本大震災2011年宮城県沖を震源地とする未曾有の震災がありました。18,449人の死者・行方不明者を出す大災害でした。事故の現場には、さぞかし痛ましく無念な事態があったことと思います。私が、注目したいのは、そういった事故の現場の一つ、福島第二原発事故になります。この事故は、予想を超える高さの津波が来たため原子炉周辺の施設が破壊され冷却水を原子炉に供給出来ずに水素爆発が起こり大量の放射能を放出したというものです。爆発の影響で破壊された状態であることから未だに燃料を回収できない不安定な状態が続いています。この事故の中に、専門家が細分化していることで事態が深刻化したことを二点見ることができます。まず、第一の問題。地震が起こり大きな津波が来る危険性が予見した専門家がいたにも関わらず、有効な対策が取られなかったこと。この地震が起こる前から、大地震が起こること、そしてそれに伴う大津波が来ることを報告されていました。しかし、当時の東電は、これらの報告を無視、あるいは矮小化していました。更に、こういった東電の意向に沿うような説を訴える学者の意見などを持ち出し、大津波の対策をとらなかったのです。経営者にとっては、起こるかどうかわからない天災に経費をさくよりも利益を上げることのほうが大事だったのでしょう。ここで、災害をリスクと考捉え、そのリスクを取り除くのか?最小に抑えるのか?それとも抱えきれるものなのか?等を考えていれば、結果は違っていたと思います。当時の東電の経営的な立場の近くに建築家がいれば、もっと適切な助言ができたのではないかと思います。次に、第二の問題。原子力発電所を設計した技術者の職能の問題があります。福島第二原発は、設計がおかしかったのではと思います。特に配置計画に疑問を感じざるを得ません。この事故では、冷却水が送られないことが爆発を誘発しています。その原因は、全電源喪失でした。施設の中には、絶対に電源が途切れてはいけない施設があります。人の命にかかわる建物は電源が保たれるように設計するのは設計の基本です。それは誰が何と言おうと変えてはいけない鉄則です。建物の設計では、様々な技術者が関わりますが、その技術者をコントロールし、設計の鉄則を主張する立場の専門家が、しっかり機能していたのか疑問に思います。津波がきて、真っ先に水を被る海岸近くに自家発電設備を作っていることは大きな誤りです。こういったバックアップ用の施設は水が被らない高いところに配置すべきです。ここからは、推測になりますが、原子力発電所ということで、決定権を持つのが原子力技術者か、プラントのエンジニアリングだったのではないでしょうか?そのため建築計画の鉄則よりも、専門性の高いエンジニアが誤った優先順位で設計をしたのではないかと思います。ここでもやはり、建築家の立場で、それぞれの専門家の意見を聞き優先順位を整理していれば、こんなことにはならなかったはずです。設計の現場では、何を優先させるかの選択の連続です。例えば、デザインを優先させ、打ちっぱなしコンクリートを多用すれば、断熱材が入れられなくて省エネ性は犠牲になります。また、床や階段をコンクリートにすることで転倒した際のダメージが大きくなり、場合によっては骨折や命にかかわることにもなりかねません。A.見た目をかっこよくしたい。→コンクリート打ち放し。B.省エネ性能を高めたい→コンクリート表面を断熱材で覆う。というように、AかBかを選択しなければなりません。こういった選択しは、デザイナーが決定権を持てばA。設備のエンジニアが決定権を持てばBとなります。ここで大切なのは、Aが間違いということではなく、Bが正しいという事ではないという事です。イメージを優先させる建物の場合はAを選択した方が良い場合もあります。
2018年02月04日
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