全5件 (5件中 1-5件目)
1

省エネ技術の採用を考えるとき、一般的に、次のようなことが起こります。•省エネを目指すと導入の費用が高くなる。•導入も費用を安く抑えようとすると省エネにはならない。この二律背反の現象は、車でも、家電でも同じでしょう。では、建築の場合どうでしょう?多分、製品としての省エネ設備をつけただけの場合は、車や家電と同じように、「省エネ」か「安い」かの選択を迫られるかもしれません。しかし、建築は、多くの要素から出来上がっています。それぞれの要素の思いがけない組み合わせをすることで、「省エネ」と「安い」という二律背反に見える要求の両方を満たすことができます。「省エネ」はプロジェクトの中の一要素建築の場合、ランニングコスト(水道光熱費)は、建物が完成してから、ずう〜っとのことなので省エネは諦めきれない要求事項です。一方、イニシャルコスト(建設費)は、諸々の要素の積み上げであり、各要素が少しづつでも標準より高くなると総工事費が大幅に予算を超えてしまいますので、どの要素も標準に収めておかなければプロジェクト全体が破たんしていまします。バリアフリーも、清潔さも、耐震性も、また、建築以外では、良質なスタッフの確保も、電子カルテetc. 大切なものはたくさんあります。省エネももちろん大切ですが、他の分野の予算配分を侵食してはなりません。ですから、「省エネ」と「(建設費の)安さ」は両立させなければならないのです。そういった観点で考えると、地中熱がいかに素晴らしい省エネ手法だとしても、特別扱いはできないのです。費用対効果をシミュレーションし、導入するに値する技術なのかどうかの見極めが必要です。無批判に受け入れ、金銭的な負担を負った先に、わずかながらの電気代の節約では目も当てられません。下のグラフは、今回のシステムの採算シミュレーションです。今回、導入した方式では、杭を地中熱の採熱部分として使ったり、室内の間仕切り部分を放射冷暖房部分と兼用したり、工事費全体のUPを極力抑え、採算の合うシステムとなっています。試験的に導入し、採算度外視のプロジェクトは違い、本当に元の取れる地中熱利用が完成しました。かなや設計 環境建築家 金谷直政
2015年01月13日
コメント(0)

地中熱利用と、放射冷暖房の相性が良いことは、前回書きました。このことを別の視点から考えてみます。暖房時には、一般的なエアコンの場合、室外機で約50℃程度の温度を作ります。この50℃の温度を配管を通して室内のエアコン機器に運び、配管に接続する薄いアルミのフィンに熱を伝えます。その温まったアルミのフィンに風を吹き付け、風に熱を乗せて室内に伝えるわけです。ですから、冬の外気温が約0℃だとすると、50℃も暖めなければならないのです。一方、放射冷暖房は、まず室外機で作る温度が36℃程度と、エアコンに比べ14℃も低い温度です。ですから、地中熱と放射冷暖房の組み合わせでは、東京での地中の温度が年間を通して18℃であることから、18℃暖めれば良いだけです。1.一般的なエアコン:0℃→50℃(50℃の差)2.地中熱と放射冷暖房:18℃→36℃(18℃の差)いづれも、ヒートポンプという技術を使っていますから、熱を低いところから高いところへ汲み上げるということを考えると、汲み上げる温度差が小さいほうがエネルギー消費が小さいのがわかると思います。水を50mの高さまで汲み上げるエネルギーと18mまで汲み上げるエネルギーの違いのようなものなのです。得られる熱が同じならエネルギー消費が少ない方が良いですよね。これが、地中熱と放射冷暖房が省エネである理由なのです。下記に、一般的なエアコンと、地中熱を利用した冷暖房システムの消費電力の比較を示します。東京都心のオフィスビル(笹田、2010) 地中熱利用促進協会ホームページより東京都心のオフィスビルで、空調システムを空気熱ヒートポンプ(通常のエアコン)から地中熱ヒートポンプに更新したケースを示しています。空気熱と地中熱の電力消費量の実績を比較すると、年間で49%の節電・省エネとなっており、とくに夏季の節電・省エネ効果が大きいことがわかります。(地中熱利用促進協会より抜粋)かなや設計 環境建築家 金谷直政
2015年01月12日
コメント(0)

地中熱の利用に当たっては、設置費用が嵩むことは、前回、述べた通りです。そして、その解決策として、杭を使った実例を紹介しました。地中熱利用には、ヒートポンプという技術を使います。ヒートポンプは、熱を低いところから高いところに汲み上げる装置で、水を低いところから高いところに組み上げるポンプをイメージするとわかり易いのではないでしょうか?熱をくみ上げるポンプというイメージです。そして、このヒートポンプの特性として、熱源温度(地中熱源側、一次側と言います)と利用温度(室内の冷暖房設備、二次側と言います)の温度差が小さければ小さいほど高い効率が得られる。と理解しておくことが大切です。地中熱利用に最適な壁面放射冷暖房以前より、高齢者等、弱者の居住環境には、エアコンよりも放射式冷暖房が、快適で、なおかつ安全であることを追求し、それに見合った設備「壁面放射冷暖房」を開発してきました。こういった試みは、建築設備機器としては、唯一、医師会のホームページでも取り上げていただいています。壁面放射冷暖房は、暖房時には36℃程度の温水、冷房時は18℃程度の冷水、のように、熱源温度と利用温度の温度差がきわめて小さくて良い冷暖房設備です。この「壁面放射冷暖房」と「地中熱ヒートポンプ」の組み合わせが、「省エネ」と「快適」を両立させる冷暖房システムとなります。 高齢者等の弱者が快適→すべての人が快適この画像は、サーモカメラで撮影した、暖房時の居室の様子です。右側の壁面が30℃程度で、一様に赤っぽくなっています。反対の壁面、天井、床も25℃程度のほぼ均一な温度になっています。これは、部屋全体の温度がほぼ一様なため、平均輻射温度が高めになっており、とても快適な状態であることがわかります。このように、地中熱を使った省エネ型の冷暖房が、快適な住環境を実現することと両立していくことがおわかりいただけると思います。かなや設計 環境建築家 金谷直政
2015年01月12日
コメント(0)

地中熱を使った省エネとは?地中熱を利用し、省エネルギーに貢献するという考えが最近よく聞かれます。考え方自体は1912年にスイスにおいて地盤の熱をヒートポンプの熱源として利用する考えが出ていたようで、ヨーロッパなどでは20年ほど前から急速に普及してきているようです。冷暖房等の建築設備は、快適性と設置費用、光熱費のバランスを考えながら、現実的な設備を提案しなければならないと常々思っているが、地中熱の場合、設置費用が嵩み、一般的な建物での導入は難しいのが現実です。当たり前のことかもしれませんが、「省エネ」とは、ただ単に「省エネ」が求められることは実は少なく、実際には「省コスト」が求められていることに注意しなければなりません。例えば、ハイブリッドカーが1000万円だとすれば、今ほどハイブリッドカーが普及しているでしょうか?ガソリン車に比べ、ちょっと高いくらいで、ガソリン代が節約できると考えると、通勤や、社用に使う人の場合、1年で元が取れるとか、2年で元が取れるとか、考えて導入しているのではないでしょうか?省エネ技術も同じだと思います。「地球にやさしい」という事だけではなく、光熱費が安くなり「何年で元が取れる」という感覚が大切と考えます。地中熱利用の省エネは、太陽光発電と同程度さて、話を地中熱利用に戻すと、地中熱を利用するためには、地中に穴を掘り、その穴に配管を通し、配管の中を通る冷媒を通して、地中の温度と熱交換をすることになります。その、穴を掘るのが、非常に高いのです。住宅1軒分の冷暖房をする場合、大体100mの深さの孔を掘らなければなりません。穴を1m掘るのに1万円~3万円かかりますので、100万円~300万円掛かります。どうですか?電気代を節約したいがために地中熱利用をする。→そのために穴を掘る→その値段が100万円以上!!!!地中熱を利用しても、光熱費は0円にはなりません。冷暖房費が30%程度安くなるだけです(それでもすごいのですが)。2万円/月かかっていた冷暖房費が、6000円/月、程度安くなる程度。しかも夏と冬だけですから、半年分として、12万円/年安くなる程度ですので、最低でも元を取るのに約10年かかる計算です。実は、10年で元が取れるのは、建築の中では悪い方ではありません。太陽電池も、補助金が無くて買電価格32円/kWh(2014年 東京電力管内)で買ってくれた場合で13年程度で元が取れるので、地中熱利用と太陽電池利用は、今のところ、同じくらいに「現実的」な省エネ技術と考えて良いのかもしれません。太陽光発電より、効率的な地中熱利用の方法しかし、もっと良い方法があります。それは、穴を掘らずに地中熱を利用する方法です。東京でも、墨田、江東、江戸川、葛飾、中央区(関東平野は利根川の三角州なので、東京湾沿岸は似たような地盤です)などは地盤が悪いので、ある一定規模以上の建物を建てる際は杭が必要になります。コンクリート造の建物の場合、1億円程度の建物でも1000万円程度の杭工事費がかかってしまいます。実は、この杭を地中熱の利用に活用することが可能なのです。墨田区に建設した事例を紹介したいと思います。この建物は、都市型ケアハウスと言って、高齢者が住む共同住宅で、80坪程度の狭小地でも、建てることができる、高齢者施設の中では、コンパクトな施設になります。年金等で生活されている高齢者のための住宅なので、家賃はあまり高くすることはできませんし、建設費も通常より高くすることはできません。そんな中、光熱費も安くするために地中熱利用を採用することにしました。写真のような杭を利用して、採熱用の配管を地中に埋め込みました。かなや設計 環境建築家 金谷直政
2015年01月10日
コメント(0)

北海道の北見市、築40年のアパート、古くてなかなか借り手が付きません。大家さんとしては、壊すにも解体費用がかかるし、更地にすれば土地の固定資産税が6倍にもなるので、古家&空き家のままになってしまいます。現在、全国で問題になっている空き家の多くが、このような問題を抱えています。少子高齢化による高年齢の部分が大きい人口ピラミッド。もし、建物の築年数ピラミッドというものがあれば、人間の高齢化と連動するように、築年数の多い部分が多くなってきているのかもしれません。しかし、建物の場合、古いから寿命を迎えるという事はありません。「リフォーム」という魔法で若返りが可能です。人で例えれば、還暦を迎えたところで体が生まれたての新品になるようなもの。ここで、建物の寿命について考えてみると、日本の住宅の寿命は短いと言われています。国土交通省の建設白書によるとイギリスの住宅の平均寿命は75年。一方日本の平均は26年。消費大国のアメリカでさえ44年であることと比べると、極端に短いようです。日本の住宅の寿命が短い理由としては、建物そのものが陳腐になってしまうことが考えられます。どういった点で陳腐になってしまうかというと。頻繁に更新される建築基準法に適合しなくなる。住宅に求められる要求水準に適合しなくなる。等が、考えられます。しかし、建築基準法においては変更の必要がないほどに高度化してきました。また、住宅の要求水準もこれ以上は必要ない位充実してきました。つまり、現行の建築基準法を順守し、長寿命を見据えた、構造、断熱、維持管理のしやすさ等を考慮した住宅を丁寧に作れば。これからの日本の住宅の寿命はイギリス並みに長くなると思われます。したがって、今回のリフォームをきっかけに、現行の建築基準法に適合し、新築以上の構造、断熱、維持管理のしやすい最高水準のアパートに再生出来れば、借り手のいない古アパートが、有効な社会の資産として動きだすことになります。特に、アパートのような収益物件の場合、事業として成り立っていることが前提になります。事業性の裏付けは、面的な広がりと持続性のある空き家問題の解決へとつながっていくと考えられます。かなや設計 環境建築家 金谷直政
2015年01月07日
コメント(0)
全5件 (5件中 1-5件目)
1


