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Jan 31, 2024

反省と原因探しは違うのです。

テーマ：自分らしい生き方・お仕事(38371)

カテゴリ：カテゴリ未分類

ある日の知人との会話です。

「市川さん。こんにちは。」

「お久しぶり。なんだか元気ないねえ。」

「いやあ。いろいろあってねえ。」

「よかったら力になれるかもしれないよ。話すだけでも楽になるかも知れない。」

「実は、息子が高校を中退したんだよ。」

「息子さんは、勉強が出来て、進学校に入学したんじゃなかったの？」

「そうなんだ。ところが２年になってから、急に落ち込んでね。
成績も急落。
板前になるとか言い出して、俺たち夫婦も先生もみんなで説得したんだけど、

「家内は、あなたが、家庭をないがしろにしているから、こんなことになったのよ！
と俺を責めるし、
俺は俺で、お前が勉強！勉強！って教育ママやってるからこういうことになったんだ！と家内に八つ当たりしているんだ。
もう、家内も息子の顔を見るのもいやなんだ。世間体も悪いし。」

「少しは反省したらどうかな？」

「息子が？」「違う！君と奥さんだ！」

１　いまさら原因探求なんかしても同じだよ。
２　原因がわかったところで解決には結びつかないよ。
３　原因探しをしているってことは、中退したことが悪いっていう前提で考えているんだ。
４　なにごとも前に進むことを考えることだよ。
思考を後ろ向きにしてはいけない。

「そんなこと言っても、中退は、悪いに決まっているよ。今時、高校も卒業せずに、どうやって生きていけるんだよ！」

「君も知っているとおり、俺は高校中退だよ」

「そんなことは知っているよ。でも貴方は家庭の事情だろう。うちの息子は甘ったれているんだ。」

「そうじゃないよ。息子さんには息子さんなりの考えがあるはず。
今後の人生を親として真剣に考えてやろうじゃないか。」

「高校に行くように説得してくれないか！！」

「どうやら、ご夫婦の選択肢はそれしかないようだね。これじゃ家庭崩壊だよ。
高校なんかどうでもいいじゃないか。」

「他人事だと思って、無茶言わないでくれ！俺たちの時代と時代が違うんだぜ。
高校くらい出てなくてどうするんだよ。」

「いや時代なんか変わらないね。俺たちの時代も高校進学率は９９％だった。
どこがどう違うのさ。」

「わかった。
スーパーの住み込み店員から、裸一貫たたき上げた、貴方の話は説得力が違うよ。息子と会ってくれないか。」

★　翌日、彼の家を訪ねました。

親子３人を前にしての会話です。私は息子さんにこう切り出した。

「私は、中退の原因を聞きにきたんじゃないし、高校に行けとも言わないよ。
そんな話はもう、さんざん、ご両親と話し合ってきたんだろうからね。」

「はい。」

「今後、どうやって生きていくつもりかな？社会人になったら、親のすねを齧っていきていくわけにはいかないからね。」

「僕は板前さんになりたいんです。」

母親が口をだす。「だから高校でてからでも遅くないって言っているでしょう！」

「お母さん。少し彼の話を聞いてあげましょう。」

「僕は今すぐにやりたいんです。」

「わかった。今すぐやればいい！君はたった今、大人になった。
１７歳でも大人だ！そのことを自覚しなさい！」

「はい。」

「板前修業は、皿洗い、長時間労働、無給の世界だ！
年下の先輩から罵倒され、屈辱に耐え、それでも、泣き言を言わず、
やってやってやりまくり、
包丁一本で腕と男を磨き、
将来、お客様を唸らせるほどの料理の哲人になる覚悟が君にあるかな？」

「やります。やって見せます！！」

「よしわかった。頑張って、将来、一国一城の主となって私に挨拶にきなさい。」

★　先日、修行先の店主から暖簾分けをされた、彼がたずねてきました。

「社長、その節はお世話になりました！」

「おめでとう。見違えるほど逞しくなったね。」

「ありがとうございます。これからも精進して、お客さまに喜んでもらう店を創っていきます。」

「君は２４歳になった。私がこの会社を興したときと同じ年齢だ。
まさに栄光の扉が開いたね！！
お客様、従業員、仕入先、家族、そして、暖簾分けをしてくれた親方夫婦、先輩に感謝して生きていくんだよ！」

「はい！！ありがとうございます！！僕は、食材にも感謝しています！」

「よく精進したね。食材に感謝。貴重な命を粗末にしてはいけない。見事だ。
まさに、職人の道だよ！」

老子の第４８章に「無為と作為」とあります。

学をなせば、日に益し、道をなせば日に損す。これを損してまた損し、もって無にいたる。

知能を万能とする考えを、学問を志す者は、日々強めていく。
だが、「道」にのっとる者は、日々弱めていく。
弱め弱めた究極に、真の道が拓ける！！

学問を修めるもよし、無学もまたよし。「道」は、無為に通ず。
しかし学歴は万能ではない！
無為であってこそ、人の心を捉え、天下を治めることが出来るのだ。
作為によって、天下を治めようとしてもそれは無理な相談なのだ。
と説いているのです。

人を見て法を説くのです。私は、この子の瞳を観て、中退を奨励しました。
目標と決意のない子には、決してこのような対応はしないのです。

市川善彦講師写真勇気を持って山口にて ☆　笑よく業を制します。お祓いよりお笑いです。　今日もあなたの良心というナビは正常に作動していますか？