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「帰りは8時半ごろになるから。夕飯お願いね。 冷し中華とワンタンを買ってあるから、今夜はそれでいいから」 すべてはその電話が始まりだった。 妻の帰る時間に合わせて調理に取り掛かった。 妻が帰ってきたので、彼女宛の電話が2本入っていることを告げた。 電話の終わった妻が、夏休みに遊びに来る姪の電話番号を登録し、 姪たちの到着時間を義姉に携帯でメールを打つという。 「ねぇ。アドレス帳ってどうやって出すんだっけ」 「うるさい今手が話せない」 きゅうりとハムを千切りにし、麺をゆで始めるところだった。 タイマーをセットし、金糸卵用の薄焼き卵を焼き、ワンタンのスープに取り掛かっていた。 「ねぇ。お姉さんのメールアドレスってどこに入れるの」 またまた、リビングのほうから妻の声だ。 「一番上の欄。アドレス帳のメアドに合わせて真中のボタンを押せ」 「ねぇ新幹線の絵文字ってある?」 「そんなの知らん。今忙しいんだから」 「絵文字をどうやって出すのかわからないんだけど。ねぇ」 面倒なので、妻のところへ行って、絵文字を出してあげた。 「え?今どうやったの。自分でやっちゃったらわからないじゃない。もう一回やって」 「ええ!?ここをこうして・・・」 そのときキッチンタイマーが茹で上がりを告げた。 火を止めにいくと、麺を入れたなべは今にも吹きこぼれそうだったし、 ワンタンのなべも猛烈に沸騰していた。 慌てて、なべの火を消し、麺をざるにあけるとき、 なべがまな板の上のトマトに当たって、トマトが2つ床に転がり落ちた。 「ああもう」とトマトを追いかけようとしたとき、脚の小指に衝撃がきた。 「」右の足の小指を「イヤ」というほどワゴンにぶつけた。文章では「イヤというほどぶつけた」と書くが実際に「イヤッ」などとは言わない。おかまでも言わないと思う。むしろ、声が出ない。 小指の爪が剥がれかけ、血が噴き出していた。 どうみても「自損事故」なので、妻を怒るわけにもいかないが やっぱり、不幸の源は携帯だ。 我が家は携帯に呪われているとしか思えない。 そのとき妻がやってきた。 「なんか今すごい音がしたけど。夕飯できた?」 ← お願いします^^
2007/08/10
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「絶対やめたほうがいい」 「いいから。お願いだから。せっかく借りてきたんだから」 そう言って差し出したのは、「中高年の星」綾小路きみまろのライブCDだった。 これを携帯で聞くのだという。月曜の朝の通勤電車の中で、とんでもない悲劇が彼女に降りかかることなど知る由もない、日曜日の午後のことだった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ホームに着くと、彼女は携帯のイヤホンを両耳に入れ、 きみまろのライブCDを再生すると、携帯をバッグにしまった。 夏休みに入った企業もそろそろあるのだろうが、電車は相変わらず混んでいた。満員電車に押し込まれるように乗ると、 うまい具合にドアの横に滑り込み、きみまろの世界に没頭することができた。 朝の通勤電車は、皆一様におし黙っている。 聞こえるのは、規則的な電車の走行音と時折入る車内アナウンスだけだ。 しかし、電車のゆれに身を任せている乗客の中に 一人だけ、押し寄せる爆笑の波に必死に耐えている女がいる事は誰も知らない。 「くっくっくっ・・・。はぁ・・・ククク・・・・。ゴホンゴホン・・・ふぅ」 思わず笑いがもれそうになると、咳き込んだフリをしてごまかしていた。 彼女の脳内には、笑いの空気が充満し、今にも破裂しそうだった。 ともすれば、爆笑しそうになるのを必死にこらえた。 そのとき、妻の顔を見れば、必死で笑いをこらえる珍妙な表情が見られたに違いない。 しかし、彼女は、幸か不幸か車内に背を向けていた。 すると、近くに立っていた紳士が心配そうに声をかけてきた。 「もしもし、大丈夫ですか」 妙齢な淑女が苦痛に顔を歪め、辛そうにしていると思ったらしかった。 「はっ!?ええ、大丈夫です。何でもありません」 さすがに、まずいと思ったが、身動き取れない満員電車のこと。 携帯の再生をとめることも、イアホンをはずすこともできないまま、拷問のような時間が始まった。 耳からは否応なしにきみまろの漫談が入ってくる。 ついつい耳を傾けてしまうと、爆笑の誘惑が襲ってくる。 くすぐりの刑を受けているようなものだ。 「mm・・・んんん・・・くーーーっ・・・・・・はぁ・・・・・」 先ほどの紳士は、本当に心配になったらしく、 なんと、彼の前の座席で眠っている男性をゆり起こすと 「すみませんが、この方が具合が悪そうなので、代わってあげてもらえませんか」 いきなり起こされた男性も、「仕方ないな」という感じで「どうぞ」と席を立った。 「いえ、本当に何でもありませんから。どうぞ座ってください」と必死で妻も言ったようですが 半ば強引に、押し込むように座らされてしまった。 無論すぐに、イヤホンをはずし再生をとめたが、 退屈していた乗客からは、一斉に注目を浴びてしまった。 恥ずかしさで、冷や汗が噴きだした。 その冷や汗を見て隣に座っている男性までもが心配そうに 「こりゃ、ひどい汗だ。もうすぐ駅ですから。病院に行ったほうがいいですよ」 「病院がわからなかったら駅員さんに聞けばいいですよ」 「本当に大丈夫ですから・・・」 今更、 「きみまろを聞いていて笑いをこらえていただけです」 とは、とても言い出せず、真っ赤になってうつむいているしかなかった。 私が帰るなり、 「ねぇこれ消して!きみまろ消して!!」 それから堰を切ったように、この朝の顛末を語ったのだった。たぶん妻は、当分は乗る車両を変えることだろう。 ← クリックお願いします^^
2007/08/07
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いまだに、「携帯地獄」から抜け出せない。 「ねぇ。オーナー情報ってどうやってみるんだっけ」 「それ昨日も、おとといも教えた。何度も自分の情報見て楽しいか」 「色々することがあるの。顔写真も入れちゃおうかな」 「やめときな。落としたときに返ってくるもんも返ってこなくなる」 「どういう意味よ」 「ところで、この携帯じゃあなたのみたいに音楽聞けないの?」 「一応、聞けることにはなってるけど、色々揃えなけりゃならない」 「聞きたい。聞けるようにして」 お金はかからなかったのですが、トラブル続きで一向に先に進みません。 楽天のショップでマイクロSDカードを購入したところ、 なんと、新品のはずが箱が開封されており、中の説明書も折れ曲がり、 ためしにSDをセットしたものの認識されず、接触不良の表示。 結局新品と交換になりました。 最近楽天で買い物しても、商品がまともに届きません。 妻のリクエストで注文した時計は、まったく連絡ないまま時が過ぎ 1週間後、メールで問い合わせると明後日発送との返事。 そして、発送当日メールがきました。 「発送中の事故により商品を破損しました。 メーカーにも在庫がなく商品をお送りできないためキャンセルさせていただきました。 お預かりしたポイントはすでに返却済みですのでご確認ください」唖然! こんな事が続いたので、カードリーダーやステレオイアホンマイクは、 たまっていたY電機のポイントで購入しました。 しかし、1,980円のステレオイアホンマイクは3日目で壊れた! (やっぱり安物はだめだ) そんなトラブルにもめげず、必死の作業が続きます。 自分の好みで数あるCDの中から厳選してパソコンに落としていますが 当然妻の検閲も厳しい、というか文句ばかりいってくれる。 「これ好きじゃない。これはパスね。」 もちろん、妻からのリクエストもあるにはあるのだが、曲名がさっぱりわからない。 「こういう曲だってば。『♪ふふふーん ふふふーん ふふふんふんふんふーん』・・・・」 といささか音程の怪しい不可解な鼻歌。 「・・・・・・そんな曲聞いたことない」「えー!?耳おかしいんじゃないの。こうよ・・・」「何度聞いてもわからんもんはわからん」 そんな妻も、初めての携帯がうれしくてたまらないらしい。 「せっかく携帯もったのに、なかなか電話とかメールがなくてつまらないなぁ」 「用事がなければ、かけてこないだろ。みんなには一応知らせたんだ」 「えーと。メアドと番号知ってるのは、まだ、あなたと姉さんだけなんだけど」 「・・・」(友達いないのか) ← クリックも忘れずにお願いします^^
2007/08/04
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